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日本共産党福岡市議団の政策と活動

2008年7月25日

福岡市長 吉田宏様

日本共産党福岡市議団

こども病院の人工島移転問題に関する質問状

こども病院の人工島移転に反対の市民世論が大きく高まる中、先の市議会第2委員会において請願審査が行われ、反対請願が継続審議となった。ところが、市長は、今月中に「最終判断」をしてあくまでも人工島移転を強行する姿勢である。

こうした事態を受け、これまで一貫してこども病院の人工島移転に反対してきたわが党市議団として、吉田市長に対し、以下の3点について質問し、市長の回答を求めるものである。なお、回答期限は7月31日(木)とする。


(1)

わが党はこれまでも、こども病院の人工島移転の様々な問題点を指摘してきた。

こども病院を人工島に移転すれば、市内の小児医療のバランスが崩れ、西部地域では小児科医院や産婦人科医院との連携がなくなるなど空白ができ、東部でも民間病院の小児科閉鎖などの問題が生じる。この点については、市内の多くの小児科医が人工島移転に反対する最大の理由となっており、また、病院事業運営審議会の答申でも「移転により、小児2次医療の空白地帯をもたらすことを危惧する意見があった」「整備場所については、再検討すべきとの意見があった」との留意事項が明記された。これに対し、市当局は、九州医療センター等に小児医療の拡充を要請していることをもって解決できると説明しているが、患者家族や専門家からは「小児科の医師不足は深刻であり、どの病院であってもこども病院の代替はできない」と疑問の声があがっており、市の説明は納得できるものではない。医療バランスを崩さないためには、現地あるいはその周辺こそ最適地である。

また、交通利便性の問題については、現在のこども病院が市の中心部にあり、地下鉄駅に近いなど、通院でも救急搬送でも問題ないことと比べて、人工島は公共交通機関がないため極めて不便であり、とくに患者家族の不安が大きい。市当局は人工島への都市高速道路の延伸を計画していると説明しているが、これは少なくとも50億円もの本市負担を伴うものである。こども病院の整備場所は便利であることが最も優先されるべきである。

さらに、人工島における騒音等の療養環境の問題や、大地震時に機能不全となる心配、医師や看護師の確保など様々な問題点が指摘されている。しかしながら、市長は市民を納得させる説明を一切してこなかった。

こども病院の人工島移転は、破たんした人工島の救済に他ならない。病院用地として博多港開発の土地を買うことが市長の狙いであることは明白である。市民からも「人工島のツケを子どもに押し付けるのか」と厳しい批判の声があがっている。人工島推進のためにこども病院を利用することは断じて許されない。

こうした問題点が明らかになり、市民の反対世論は高まる一方である。「こども病院の人工島移転に反対する連絡会」による請願署名は9万3,586人にのぼり、患者家族による7万人を超す署名もすでに市長に提出されている。こうした世論を背景に、市議会も反対請願を不採択できなかったのである。この結果を踏まえれば、市長に人工島移転を強行する権限はない。

したがって、市長は議会の意思を尊重し、今月中としている「最終判断」をやめ、人工島への移転計画を白紙撤回するとともに、現地あるいは周辺での整備を含めて改めて検討しなおすべきである。市長の見解を問うものである。


(2)

こども病院の敷地面積について、市長及び市当局の説明が突如変わったが、これは極めて不可解である。

こども病院を新しく整備する際の敷地面積について、市当局は「検証・検討報告」では1.5~3ヘクタールだとして市議会にも報告したが、先の説明会と第2委員会では「機能強化のため、十分な駐車場スペースを確保するため、最低3ヘクタール必要」と変わった。しかし、病院事業運営審議会の答申でもそのようなことはまったく示されていない。市長及び市当局が、博多港開発から買い取る土地をより広くしようと企んでいると疑わざるを得ない。この点についてわが党は第2委員会で質したが、当局から明確な答弁はなかった。

周知の通り、博多港開発は昨年度人工島の土地売却が進まなかったことなどから赤字となり、またも経営破たんの危機に直面している。無謀な人工島事業を市といっしょに推進してきた融資銀行団にも責任があることは当然であり、市長が銀行いいなりに広大な病院用地を買い取ることは、市民不在も甚だしく重大問題である。

そこで、人工島のこども病院用地の面積を最低3ヘクタールへと突如変更したのはなぜか、市長の説明を求めるものである。


(3)

市立病院再整備をめぐる業務委託に関して、吉田市長の政治姿勢が問われる新たな事実が浮上してきた。

市長は今年6月11日、人工島移転を前提にした新こども病院の基本構想の策定、整備手法の検討、説明会資料の作成などを内容とした「平成20年度福岡市病院事業アドバイザー業務」を、コンサルタント企業「PwCアドバイザリー株式会社」に特命随意契約で委託している。

わが党の調査によれば、同社に対する業務委託は今回で5回目となり、総額2億7800万円余にのぼる。最初は2006年4月で、当時の山崎市長が、市立2病院の人工島への統合移転を前提にした新病院整備に関する業務を委託した。同年11月の市長選挙において、病院移転を推進した山崎前市長に審判が下り、「こども病院の人工島移転を見直す」と公約した吉田市長が当選したが、市長は就任後この業務委託を中止しなかったどころか、引き続いて「検証・検討」作業を指示した。同社はこども病院の現地建て替えについて「理想から程遠い病院にならざるを得ないことを明らかにする」と結論ありきのシミュレーションを行い、「ハイリスクローリターン」との報告書を2007年7月にまとめた。これが「検証・検討」に重大な影響を及ぼし、市長は「こども病院の移転先はアイランドシティが最適」との結論へと導いたのである。

市当局の資料によれば、今回特命随意契約とした理由として「平成18年度及び19年度に行った業務とは連続性を有し、一貫した考え方・方針で臨む必要がある」とされている。すなわち、市長は「見直す」との選挙公約を就任直後から反故にし、山崎前市長と「一貫した考え方・方針」を持って、その敷いたレールの上をひた走ってきたと言わざるを得ない。

したがって、市長が、新病院の人工島移転推進のため前市長のもとで業務委託されたコンサルタント会社と継続して契約し、こども病院の移転先を人工島に導くための業務を指示してきたのは、市長の「見直し」公約と矛盾するのではないか。市長の説明を求めるものである。

以上


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