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日本共産党福岡市議団の政策と活動

2013年11月22日

安部整形外科火災を受けての緊急の申し入れ

福岡市長  髙島 宗一郎 様

日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
副団長 星野美恵子
幹事長 中山いくみ
熊谷 敦子
綿貫 英彦

10月11日に起きた安部整形外科(博多区)の火災で高齢患者など10人が犠牲となり、市民はもとより全国に大きな衝撃が走っています。

安部整形外科のような有床診療所は、国の政策によって大病院を追い出された高齢者の受け皿となっており、地域で重要な福祉的役割を果たしている場所で二度とこうした惨事を起こすことは許されません。また、高齢者や子どもが集まる施設についても同様のことがいえます。

火災の原因などについては、警察などの捜査がすすめられていますが、現時点で明らかになっている問題点を緊急にただし、こうした災害が二度と起きないように急いで手だてをとることは、市民の命とくらしを守る市政の責任です。

日本共産党市議団は、以上の見地にたって、緊急に以下の6点を市長が実行されるよう強く要請するものです。


(1)病院・診療所について問題を浮き彫りにする詳細な調査をおこなうこと

今回の火災をうけて、市消防局・住宅都市局などが緊急の点検を行っていますが、単なる適合・不適合のチェックにとどまらず、問題を浮き彫りにすることが必要です。たとえば、今回の火災では、医院側が提出していた訓練計画や当直体制が実態と違っていたことが明らかになっていますが、把握されず、市が勧告や警告をしていませんでした。こうした点についてもチェックするとともに、なぜ計画の通りになっていないのかを聞き取るなど、立ち入った詳細な調査を行うべきです。

(2)財政支援を行い、有床診療所への防火扉の点検を義務づけること

建築基準法にもとづく防火扉の定期報告(点検)について、福岡市の場合、有床診療所は対象から外されています。この報告を義務づけるとともに、必要な費用を支援することが欠かせません。

(3)有床診療所にたいし緊急の消防対策を市の責任でおこなうこと

総合的な防火体制が整備されるのを待つことなく、今すぐできる対策をうつ必要があります。

たとえば、今回の火災では通報の遅れが一因とされていますが、自動火災報知設備が作動すると、火災通報装置から自動的に所在、名称などが119番通報される「自動通報」は1台数十万円で設置できるといわれています。また、トラッキングを防止するシリコンは100円程度で購入できます。こうした緊急にできる消防の手だてを有床診療所に対して市の責任でおこなうべきです。

(4)スプリンクラー設置をはじめ、有床診療所の防火体制整備のために財政支援をおこなうこと

安部整形外科にはスプリンクラーが設置されておらず、惨事を拡大させる一因ともなりました。東京理科大の辻本誠教授が2001〜2011年に全国の医療施設で発生した火災を調べたところ、スプリンクラーの設置で焼損面積が30分の1に激減し、死者はゼロとなっており、絶大な効果を発揮しています。

ところが、スプリンクラーの設置は数千万円が必要とされ、有床診療にはこうした整備をする体力がありません。こうした中で、最近、既存水道管直結の簡易型スプリンクラーが注目されており、これなら1施設250〜500万円で設置できます。市の責任で早急に導入すべきです。

また、火災時に対応する当直の人員配置はどこでも貧弱なままであり、防火扉もいまだに旧式の熱感知式のものを使っている診療所が少なくありません。こうした点を改めるために国に対し有床診療所の防火体制整備の財政支援を求めるべきです。

(5)有床診療所の診療報酬引き上げを国に求めること

有床診療所の診療報酬は大病院の半分以下であり、診療所全体の26%は赤字経営とされています。国の政策で大病院を追い出された長期入院の人々の受け皿となり、地域の福祉の重要な部分を担っている実態があるのに、それにふさわしい扱いになっていません。国の責任で有床診療所の診療報酬の引き上げ、とりわけ、入院基本料の引き上げをおこなうべきです。また、来年4月に計画されている、有床診療所に対する、財政支援なしでの管理栄養士配置の義務化をやめるよう国に求めるべきです。

(6)高齢者や子ども等が集まる施設に対する防火点検体制を強化すること

今回の火災では、消防局が違法増築部分を把握する機会がありながら、住宅都市局に伝わらず、防火扉の不備などが見逃される結果となりました。

消防による点検は、年間1万件をこえて市内の建築物へ実際に査察が入る貴重な機会となります。

有床診療所に限らず、保育園や老人ホームなど、建築基準法の定期報告の対象外のものでも高齢者・子ども・不特定多数が集まる施設に対して消防点検を行う場合は、建築基準法上の専門性をそなえた人員を配置し、問題点が見過ごされないようにすべきです。同時に、消防局の点検の情報が住宅都市局と共有されるようなしくみの導入も求められます。

また、こうした施設について、消防計画が現実に実行されているかどうかもチェックし、警告できるよう消防関係の人員も増強する必要があります。


以上


安部整形外科火災を受けて市長に緊急の申し入れ


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