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政策と活動

2020年6月8日

学校全面再開にあたっての申入れ

教育長 星子明夫殿

日本共産党福岡市議団
団長  中山郁美
幹事長 倉元達朗
市議  綿貫英彦
市議  堀内徹夫
市議 松尾りつ子
市議  山口湧人


緊急事態宣言の解除を受け、本市においても6月1日から学校が3カ月ぶりに全面再開されました。長期の休校による子どもの学習の遅れと格差の拡大、不安とストレスは深刻です。新型コロナ感染から子どもと教職員の健康と命をいかにして守っていくかは、重要な課題です。こうした問題を解決するため、この間、我が党に寄せられた子ども、保護者、教職員等、現場からの切実な声、並びに6月2日に行った教育委員会からのヒアリングを踏まえ、貴職に対し以下の点について緊急の申入れを行うものです。


1.7時間授業など無理な詰め込みではなく、子どもの実態から出発する柔軟な教育を行うこと

学校現場に対して既に、「例年通りの授業時数を取り戻すため」として、土曜授業、夏休みや学校行事の大幅削減、来週からの7時間授業の実施等が通知されています。授業時数確保を最優先にしてつめこむやり方では、子どもたちに新たなストレスをもたらし、子どもの成長をゆがめ、学力格差をさらに広げることにもなりかねません。小学校で35分、中学校で40分という授業時間についても5教科偏重のカリキュラムについても合意は図られていません。

子どもたちをゆったり受けとめながら、学びとともに、人間関係の形成、遊びや休息をバランスよく保障する、柔軟な教育と合意形成が必要です。各学年での核となる学習事項を見定めて深く教え、それ以外は教科横断で学んだり、次年度以降に効率的に学んだりするなど、「学習内容の精選」が必要です。そのためには、教育委員会からのトップダウンによる「方針決定」を厳しく戒め、学校現場の創意工夫を保障すべきです。


2.子ども一人ひとりを大切にする手厚い教育を行うこと

子どもたちは、かつてないような不安やストレスをためこんでいます。国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」では、76%の子どもが「困りごと」として「お友だちに会えない」ことをあげ、「学校に行けない」(64%)、「外で遊べない」(51%)、「勉強が心配」(50%)と続いています。各種のアンケート調査には「イライラする」「夜眠れなくなった」「何もやる気がしない」「死にたい」などの子どもの痛切な声が記されています。また、コロナ禍による家庭の困窮は子どもにもさまざまな影響を与え、家庭内のストレスの高まりは児童虐待の増加などをもたらしています。

こうした子どもを受け止める手厚い教育が必要です。かつてない学習の遅れと格差に対しては、子ども一人ひとりに丁寧に教えることが欠かせません。学習が遅れた子どもへの個別の手だても必要です。子どもの本音を受け止め、かかえた不安やストレスに共感しながら、心身のケアをすすめていくには、手間と時間が必要です。休校の中で特別な困難をかかえた子どもには、より立ち入った心理的、あるいは福祉的な面も含めた支援も求められます。


3.感染防止の基本である「身体的距離の確保」を行うこと

子どもの集う学校で万全の感染症対策を行う重要性は言うまでもありません。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、「新しい生活様式」として、「身体的距離の確保」を呼びかけ、「人との間隔はできるだけ2メートル(最低1メートル)空けること」を基本としています。しかし「40人学級」では、2メートル空けることはおろか、1メートル空けることも不可能で、「身体的距離の確保」と大きく矛盾しています。「コロナ×こどもアンケート」の「こどもたちが相談したいこと」の1位は「コロナにかからない方法」です。「40人学級」に教職員も子どもも保護者も不安の声を上げています。「身体的距離の確保」を「新しい生活様式」の重要な一つとして社会全体で取り組んでいる時に、教室を例外とすることは重大な問題であり、20人程度の少人数学級、授業のための手立てをとるべきです。


4.消毒や清掃、給食準備などの教職員の新たな負担を解消すること

学校では感染症対策として、子どものマスク着用や手洗いの徹底、健康チェック、毎日の清掃、消毒、全員分の給食の配膳、出校できない子どもへの家庭訪問などの手立て、オンライン授業の準備など今までにない多くの業務が教員に課されており、そのため早朝からの出勤、昼休みも取れず、勤務時間を大幅に超えて働くなど、法違反の状況が常態化しています。もともと異常な長時間労働で働いている教員にそれらの負担が上乗せされ、授業準備もままならない事態となっています。「このままでは、心身ともに壊れてしまう」「学力保障どころではない」という悲痛な声が、爆発的に広がっており、早急に解決すべきです。


以上の事を踏まえ、以下の点を要請します。


(1)7時間授業、土曜授業、夏休み短縮、体育会等学校行事の中止、5教科偏重のカリキュラムづくり等、一方的な方針を撤回し、学校現場に対し「学習内容の精選」「柔軟な教育」を行う権限を認め、各校に周知すること。

(2)教室内で十分な「身体的距離の確保」が行えるよう、「空き教室」や特別教室をフルに活用し20人程度の学級編成にすること。そのために必要な教員を市独自に確保し、財源措置を国に求めること。特別教室へのエアコン設置を前倒しすること。体育館も授業で活用できるよう、エアコン設置を急ぐこと。

(3)スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、養護教諭の増員を行うこと。出校できない子どもたちの学力保障のためのオンライン授業、その他の手立てをとること。必要な人的加配を行うこと。

(4)清掃、消毒については教員の業務とせず、行政の責任で専門業者に委託すること。消毒液、マスク等感染防止のための資材は遅滞なく現場に配分すること。給食準備についても行政として人員配置の手立てを取ること。また、その打合せ等、学校現場の負担を極力軽くするよう教育委員会としても現場に協力すること。


以上

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