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政策と活動

2008年度予算要望

2008年度予算編成に関する申し入れ

2007年12月25日

福岡市長     吉田 宏 殿
福岡市教育委員長 飯野毅紀 殿

日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
幹事長 中山いくみ
星野美恵子
ひえじま俊和
倉元 達朗
熊谷 敦子

今日、社会的な貧困と格差が大きな問題となり、福岡市においても市民の暮らしと経営は依然として厳しい状況に置かれています。

こうしたなか、夏の参議院選挙で、自民、公明政権が進めてきた弱肉強食の「構造改革」路線に対し、国民の厳しい審判が下されました。また、「戦後レジームからの脱却」を掲げて侵略戦争を美化し憲法改悪に突き進もうとした流れにストップがかけられました。その後も、防衛省と米軍再編を舞台にした利権汚職が発覚し、また自民、民主両党による「大連立」構想が急浮上するなど、国民不在の政治に対する国民の怒りと不信はますます高まっています。いま国民が、アメリカいいなり、大企業奉仕の自公政治にかわる新しい政治のあり方について模索し、探求する時代に入っています。

福田内閣は、規制緩和万能、市場原理主義の「新自由主義」の路線にしがみつく経済政策を続けようとしています。史上空前の利益を上げる大企業の利潤追求を最優先にし、生活保護基準の切り下げや後期高齢者医療制度の導入など社会保障の改悪、雇用と所得の破壊、中小零細企業の倒産をいっそう進めようとしており、さらに消費税増税が企まれています。これでは、貧困と格差は広がる一方です。格差社会の広がりが自殺の増加や家庭の崩壊、犯罪の増加など深刻な社会の病理現象を生んでいます。

こうした中で、地方自治体が国の悪政から住民を守る「防波堤」としての役割を果たすのか、それとも国とともに悪政の推進役となるのかが厳しく問われています。

ところが、吉田市政は就任一年にして、「開発よりも暮らしを最優先にする市政」への転換を強く求めた市民の期待を裏切り、市民無視・ムダな大型開発・市民負担増と福祉切り捨ての山崎前市政を基本的に継承しようとしています。

人工島などムダな大型開発を改め、税金ムダづかいをきっぱりやめれば、福祉・子育て・地域経済・教育の充実など市民の暮らしを応援しながら、財政再建をすすめることはできます。高すぎる国保料の引き下げを求める14万5,899余の請願署名に示されたように、暮らし応援の市政こそ市民の願いです。

よって、貴職が、2008年度予算編成にあたり、以下の重点要望を実現されるよう申し入れるものです。

以上


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2008年度予算編成に関する日本共産党の重点要望

1 国の悪政から市民生活を守ることを市政運営の基本に

(1)福田内閣の2008年度政府予算案は、社会保障予算の自然増分の2200億円削減、生活保護費の母子加算の削減、後期高齢者医療制度の実施など、暮らしと教育、営業など国民生活に関わる予算を切り捨てる一方、大型公共事業を大幅に増額し、研究開発減税と証券優遇税制の拡充、継続など大企業・大資産家への優遇を続け、5兆円規模の軍事費に加えて米軍再編経費を追加しようとしている。こうした予算と経済政策は、増税や社会保障切り捨てなどで苦しむ国民に背を向け、貧困と格差をいっそう拡大するものと言わざるを得ない。市長は、国に対し、大型開発と軍事費のムダづかいをやめ、大企業優遇税制を改め、地方財政を拡充し、福祉と暮らしを最優先する予算に切り替えるよう要求すること。

(2)政府税制調査会がまとめた税制改定答申に消費税増税が盛り込まれ、与党も来年度実施を企んでいる。「社会保障の財源」が口実とされているが、消費税が導入されて以来、社会保障は改悪され続ける一方、法人税の大幅減税に充てられてきたのが実態である。さらに、所得の低い人ほど負担の重い最悪の税制である消費税を増税することは、社会保障に真っ向から反するものに他ならない。市長は、近年の増税に苦しむ市民の生活と中小企業の営業を守る立場から消費税増税に反対するとともに、政府に対し、消費税を増税しないよう強く要求すること。

(3)主権在民、恒久平和、基本的人権の尊重、議会制民主主義、地方自治など、日本国憲法の先駆的意義を国づくりに生かすことがますます求められている。日本をアメリカとともに「戦争できる国」につくりかえる九条改憲の狙いに対し、国民多数が「憲法守れ」「九条守れ」の声をあげ、「9条の会」が全国各地に無数に結成されるなど、その世論はいっそう広がっている。また、憲法二十五条の生存権にもとづいて社会保障を確立することは、貧困と格差の打開を願う国民的要求である。市長は、憲法尊重擁護義務を踏まえ、憲法を守り市政運営に生かす立場を表明するとともに、憲法改悪にきっぱり反対すること。

(4)「2011グランドデザイン」について

  • 「政策推進プラン」は、選択と集中と称して、人工島や九大学研都市構想、新都心構想など大型開発をさらに推進する一方で、市民生活に関わる施策を切り捨てようとしている。くらし、福祉、教育の充実をはかるとともに、開発優先路線を改めてムダな大型公共事業を中止し、そのための莫大な税金投入や起債をやめること。また、公共事業は児童館や保育所、特養ホームの新設、学校や市営住宅の施設更新を優先にして生活密着型に切りかえること。民間資金を活用して公共事業を拡大するPFI手法の導入をやめること。
  • 「行政改革プラン」は、スリム化や経費節減、民間能力の活用などを掲げ、市職員に労働強化と過重負担を強いて、市民サービスを低下させるものに他ならない。本市職員数は市民一人あたりで政令市最低となっており、こうした劣悪な労働条件が職員の不祥事を生む土壌の一つともなっており、増員による改善こそ求められている。同プランは撤回して抜本的に見直し、「市職員825名削減計画」も撤回すること。
  • 公共施設の管理運営や福祉サービスなどの行政責任を放棄し、労働者の待遇悪化につながる民営化や民間委託の推進をやめること。「市場化テストの導入」は行政に営利と効率を持ち込むものであり、やめること。税務職場への派遣社員の導入を中止すること。保健福祉や社会教育など市民生活に関わる公の施設は直営を原則とし、指定管理者制度の導入にあたっては、公的団体を指定管理者とし、公募する場合でも株式会社など営利企業を除外するとともに、指定管理者に対してサービス向上と公正公平な管理運営、徹底した情報公開を行うよう厳しく指導監視すること。シルバー人材センターなど公の施設の管理を委託してきた公的団体の事業確保と雇用拡大を図ること。
  • 「財政リニューアルプラン」は、歳入歳出改革として、受益者負担の適正化や扶助費の制度運用の効率化が盛り込まれているが、市民にこれ以上の負担増を押しつけることは貧困と格差をいっそう拡大するものであり許されない。市民犠牲型の同プランは撤回するとともに、大型開発をやめて真の財政再建を進めること。
  • 扶助費の効率化と称した福祉切り捨てや、受益者負担と称した公共料金値上げなど、市民負担増をやめること。また、低所得者に対する住民税などの独自減免を促進すること。増税に苦しむ高齢者や障害者に対して水道・下水道・ごみなど公共料金等の福祉減免を行うこと。

(5)市職員の長時間・過密労働の現状は深刻である。「全体の奉仕者」として公正で民主的な行政業務に専念し、心と体の健康を保持できるよう、区役所や福祉関係、教育、防災を始め人員不足の全ての部署の職員を増員し、嘱託・臨時職員を定数化するとともに、サービス残業を根絶し、超過勤務手当は実態どおり支払うなど、賃金・労働時間などの労働条件を改善すること。

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2 国保・医療・年金・介護・福祉・障害者施策など社会保障制度の充実を

(1)国民皆保険制度の根幹である国民健康保険制度の充実を図ること

  • 政府の医療制度改革関連法は、高齢者を中心にした自己負担の引き上げと保険給付の削減、自由診療と保険診療を組み合わせた混合診療制導入や診療報酬の抑制、療養病床を現行の38万床から15万床に減らし、受診抑制、医療の営利化などをおし進めるものである。その結果、国民の命と健康に重大な影響を与え、自治体にも大きな犠牲を強いて、深刻な医師不足や地域医療が危機に瀕するなどしており、こうした医療制度改悪に対して国に見直すよう要求すること。
  • 2008年4月から実施されようとしている後期高齢者医療制度は、75歳以上の全ての高齢者をこれまでの保険から切り離して、福岡県広域連合では年額10万1,750円(年金収入208万円の単身世帯)もの全国最高の保険料を年金から天引きし、滞納者から保険証を取り上げ、しかも受ける医療内容も診療報酬上で制限するという過酷な制度であり、多くの国民や医療関係者が強く反対している。連動して、70~74歳までの医療費窓口負担も2倍にするなど、高齢者に多大な負担増と差別医療を押しつける同制度の実施を中止するよう国に求めること。
  • 政府が実施した健保本人の3割自己負担増や長期入院患者の食費・居住費の全額自己負担などは深刻な受診抑制と病気悪化を招いており、元に戻して見直すよう要求すること。また、国庫負担を大幅に引き上げ、高過ぎる薬価にメスを入れるなど医療保険財政の健全化を図るよう国に求めること。

(3)こども病院・感染症センターの人工島移転は、その事業費や利便性、医療機関の適正配置からしても、多くの市民や医療関係者から強い反対の声が出されており、開発破綻救済の無駄遣い以外の何ものでもない。現地建て替えか当仁中学校跡地などの近隣地を基本にして、人工島移転をやめること。また、こども病院の地方独立行政法人化をやめるとともに、市民病院は統合や民営化をやめ、市直営で現地存続させること。

(4)薬害C型肝炎問題は、肝炎ウイルスが混入した「フィブリノゲン」など血液製剤によって起きた医原性の感染症で、放置すれば肝硬変や肝がんになり生命さえ脅かされている。患者には何の責任もなく、責任は全て製薬企業と製造・販売を認めた政府・厚生労働省にあることは、この間各地の集団訴訟判決でも明らかであり、直ちに被害者全員の一律、一括救済をするよう国に決断を求めること。

(5)真に安心できる年金制度の確立を求めること。

  • 約5,000万件にのぼる「消えた年金」問題は、その存在を知りながら、長年放置してきた歴代政府に最大の責任がある。「ねんきん特別便」の送付は、厚生年金の標準報酬月額を載せ、国民年金も具体的な未納期間を載せるなど、「宙に浮いた」記録の通知内容を工夫し、段階的でなく対象の1億人に送付し、死亡した遺族も含めて一人も残さず国の責任で早急に解決するよう要求すること。併せて、その責任を放棄するような社会保険庁の解体・民営化をやめるよう求めること。
  • 国の年金改革は、2017年まで毎年保険料(率)を引き上げる一方、受け取る年金も毎年下げていき、2023年までに新規裁定時水準の15%も引き下げようとしている。こうした年金改悪に反対し、基礎年金の国庫負担を2分の1に早急に引き上げ、改悪前の給付水準を維持するよう要求すること。また、その財源は消費税増税ではなく、ムダな大型開発の中止と税制で優遇されている大企業に応分の負担を求め、雇用政策の拡充で安定した年金の支え手を増やすとともに、巨額の年金積立金を計画的に有効活用するよう求めること。
  • 国連も勧告している「最低保障年金制度」の創設や障害基礎年金の支給要件緩和など低年金者や無年金者の救済対策を要求すること。また、25年間にも及ぶ長い保険料納付期間を諸外国並みの10年以上に短縮するとともに、申請(裁定請求)しなければ年金がもらえない制度を改めるよう求めること。さらに、全ての無年金障害者に対して特別給付金が支給されるよう国に要求するとともに、本市においても実態調査して専門の相談窓口を設置すること。

(6)介護保険制度の改善・充実を図ること。

  • 国による介護保険制度改悪によって、この間、不当に要介護度が低く下げられて「軽度者」を保険利用から締め出し、保険料の引き上げ、利用サービスの切り下げが強行され、在宅でも施設でも「介護難民」を生み出した。とりわけ、本市にあっては「介護予防」の名によって高齢者から自立に必要な車イスや介護ベッド(特殊寝台)が合わせて3,000件以上も取り上げられ、深刻な事態を招いている。厚生労働省(06年8月老健局振興課)も福祉用具の機械的・一律的回収をしないよう通知しており、医師の診断書等に基づき介護実態に即して一方的な取り上げをやめるとともに、市独自に福祉用具の購入、レンタル費用の助成制度をもうけること。
  • 特別養護老人ホーム等の「ホテルコスト」と称する居住費と食費の全額自己負担によって入所者が負担増に耐えられず特養ホームからの退所等を余儀なくされている。国に対し、こうした負担制度を無くすよう要求するとともに、本市では特養施設やショートステイ、デイサービス等の食費等に対する減免制度を設けて救済するなど、低所得者対策を拡充すること。
  • 本市の特別養護老人ホーム待機者は、6,000人以上にのぼっており、早急に整備計画を見直し、待機者解消のために必要な施設増設を促進すること。
  • 介護報酬の改悪によって、要支援・要介護度1の軽度高齢者のこれまでの家事援助型ホームヘルプサービスが大幅に減らされる事態が広がるなか、現場の介護労働者の賃金体系も下がる一方で、離職者が相次ぎ慢性的な人材不足を招いている。国に対し、サービス利用限度額の引き上げと定額制の介護報酬を改めるよう要求するとともに、本市において福祉人材確保のための補助制度を設けること。
  • 年金平均月額4万7,000円のお年寄りにとって、介護保険料は支払い能力の限界に来ており、引き下げること。また、市独自の保険料減免制度は、わずか530件程度しか適用されておらず、第4 段階(市民税本人非課税)の低所得者から負担が大幅に軽減されるよう、実効性あるものに拡充すること。さらに、国の「税制改革」に対応した2年間の保険料軽減経過措置は08年度以降も延長して継続すること。
  • 利用料についても、在宅サービスの支給限度額に対する利用率が依然として低迷しており、重い利用料負担のため必要な介護が受けられない実態にあり、低所得者のための市独自の利用料減免・助成制度を設けること。併せて、その財源は必要に応じ一般会計から補填するとともに国にも財政措置を求めること。
  • 国の介護給付負担割合を25%から当面30%まで拡大して、支払い能力に応じた保険料・利用料負担に改めるとともに、国の制度として低所得者対策や特養ホーム等基盤整備等の拡充を図るよう要求すること。
  • 市民福祉サービス公社が解散されるなか、「コムスン事件」に見られるように、民間社会福祉法人の介護事業所の不正が後を絶たない。本市でも監査・指導体制を強化して、お年寄りの犠牲者を出さないよう公的責任を果たすこと。

(7)「地域包括支援センター」を設置したにも拘わらず、介護予防や夜間訪問介護、小規模多機能型居宅介護などのサービス量は圧倒的に少ない現状にある。したがって、地域における高齢者の生活を総合的に支えていくために、同センターは保健師や主任ケアマネージャー、社会福祉士の3職種体制の拡充・強化を図り、中学校区ごとに設置するとともに、要介護者を24時間体制で支える「地域密着型サービス」は、小学校区ごとに拡充すること。

(8)老人福祉センターや障害者施設などの福祉施設の指定管理者制度の適用にあたっては、営利目的の株式会社等に運営を任せることをやめること。

(9)各種個人給付を拡充すること

  • 老人医療費助成制度を復活するとともに、敬老金及び祝い品支給を元に戻すこと。
  • 障害者医療費助成の等級制限を緩和して対象を拡大するとともに、母子家庭医療費助成については、児童扶養手当支給制限強化に連動した対象制限をやめ、元に戻すよう国や県に要求すること。また、本市など政令市と一般市町村に対する母子及び乳幼児の医療費補助格差の是正と本市への障害者医療費補助適用を福岡県に要求すること。併せて、父子家庭医療費助成制度も創設すること。
  • 後期高齢者医療制度を選択しない一般保険制度の65~74歳までの重度心身障害者医療費助成制度の廃止をやめること。併せて、鍼灸マッサージ等を引き続き保険治療の対象にすること。
  • 本市の高齢者乗車券制度は所得制限を撤廃し、全ての高齢者に交付するとともに、給付額も増額してお年寄りの生き甲斐である社会参加を促進すること。併せて、渡船料の65歳以上高齢者無料制度を復活すること。

(10)難病である潰瘍性大腸炎とパーキンソン病の患者に対する公費負担医療制度の継続、難病患者に対する公費負担医療制度の拡充を県と国に求めること。また、人工透析患者の食費負担を公費助成すること。

(11)癌など終末期医療患者の緩和ケア施設(ホスピス)が低診療報酬の影響を受けて圧倒的に不足しており、市の責任で増設すること。併せて、民間病院の緩和ケア病棟などを促進するための補助制度を設けるとともに、NPOなどのボランティア体制を支援すること。

(12)本市原爆被害者の啓発・相談事業を維持・強化するための運営費補助や長期入院患者見舞金及び死没者遺族弔慰金補助を増額するとともに、鍼・灸・マッサージ治療費を補助すること。併せて、被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付すること。また、国に対し、放射能「原因確率」に固執する現行基準を廃止した原爆症認定の早期見直しを求めるとともに、福岡県に対し、被爆二世の医療費助成制度を要求すること。

(13)アスベスト対策については、石綿使用施設の解体、撤去作業等による被害発生防止に万全を期すとともに、関係者の無料健康診断や治療補助制度をつくること。また、石綿被害救済法は、国や企業の責任を曖昧にし、対象疾病を中皮腫と肺がんに限定しており、きわめて不十分である。国に対し、指定疾病に石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水を追加し、地方自治体の負担をなくすなど、同法の見直しを求めること。

(14)市民の保健・衛生向上を促進すること

  • 本市の「保健福祉センター」は、生活保護の切り捨てや相次ぐ不正事件を起こすなど、福祉行政を大きくゆがめ、市民の命と健康を脅かしている。したがって、本来あるべき管轄地域住民の保健・予防・衛生に責任を持つという保健所の機能と役割を果たすよう抜本的な改善をすすめること。
  • ノロウイルス、新型肺炎SARSや鳥インフルエンザ、相次ぐ院内感染、急増する結核、AIDS対策等に対して、本市の予防・健診・治療体制をいっそう強化するとともに国の感染症対策予算の増額を要求すること。
  • 予防接種法一部「改正」に伴う65歳以上高齢者のインフルエンザ・ワクチン接種料は無料とするとともに、値上げされた各種がんなどの成人病健診料を引き下げ、ミニドッグ受診の促進を図ること。低迷している歯科の節目健診(歯周病検診等)の料金を全額助成して拡充すること。
  • 08年4月から実施される「特定健診」および「特定健診指導」は、糖尿病など生活習慣病やメタボリックシンドローム症候群対策に限定して、従来の健診項目の一部を削減し、ミニドッグ健診も無くそうとしている。また、健診実施者がこれまでの市町村から医療保険者に変更され、加入者の受診率や利用率が一定の目標に達しない場合、多額のペナルティが課せられるという「医療費の適正化」(国の財政支出の削減)を図るものである。したがって、本市での特定健診の実施にあたっては、従来の健診水準を下げることなく、健診費用負担を低く抑えるなど真に市民の健康保持・増進に役立つようにすること。併せて、国に対し、受診・利用率に伴うペナルティカットをしないよう要求すること。
  • 「健康日本21福岡市計画」については、世代別・疾患別の健康目標数値を大幅に引き上げるとともに、推進体制を地域自治会や住民だけに押し付けるのではなく、予算措置を大幅に増やして体制拡充し行政責任を果たすこと。また、市は、市民の自主的・自覚的な健康活動の参加を支援・保障すること。

(15)食品の安全性を確保すること

  • 本市の「吉兆天神フードパーク」における消費期限等の表示張り替え販売など、食品偽装事件が相次いで発生し、消費者の「食の安全・安心」がおびやかされている。「福岡市食品衛生監視指導計画」では、業種、施設ごとの標準監視回数はわずか年2回で、3万件を超える対象施設に食品衛生監視員は51人と極めて貧弱である。したがって、食品偽装を未然に防ぎ市民の食の安全を守るため、食品衛生監視員や監視回数を大幅に増やすこと。また、国に対して、独立行政法人まかせの食品表示検査を抜本的に改めるとともに、その予算確保や必要な法整備、内部告発対処の迅速化を要求すること。
  • O−157や狂牛病、鳥インフルエンザの発生、輸入食品や市場外流通食品など食品の安全性確保が重要課題となっており、本市の検査、監視、指導、研究体制を強化すること。とりわけ、学校、保育所などの大量調理施設に対しては「重点検査」でごまかさず、法定通り決められた回数の立ち入り検査を実施すること。
  • アメリカのBSE対策は極めて不十分であり、日本と同様に全頭検査対策をアメリカに取らせるまで牛肉輸入を禁止するよう国に要求すること。

(16)生活保護行政を充実すること

  • 貧困と格差がいっそう強まるなか、国に対し、生活保護の改悪をやめ、保護基準を引き上げるとともに、母子加算廃止の中止や老齢加算の復活を求めること。
  • 市独自の「福祉手当」を創設し、夏期・年末にそれぞれ支給すること。併せて、夏季一時扶助費を新設し、期末一時扶助費は大幅に増額するよう国に求めること。
  • 生活保護は市民の「最後のよりどころ」であり、法違反の申請拒否はゆるされず、必要な申請用紙を各区福祉事務所のカウンターに常設して自由に申請できるよう、市民の申請権を保障すること。併せて、「生活保護のしおり」を市民が自由に取れるよう各区役所や公共施設の窓口に置いて制度の周知徹底を図ること。
  • 人権侵害の「一括同意書」や履歴書提出の強要、「面接」「指導・助言」を口実に不当に保護申請を排除したり、予告なしの訪問調査、扶養義務の強要、病気や年齢等を無視した就労強制、「辞退届け」強要などをやめること。
  • 子どもの貯金やアルバイト料まで収入認定して子どもの夢や向学心を傷つけるような指導をやめること。併せて、保護費を積み立てた預貯金は収入認定せず、生命保険等の解約返戻金や交通事故補償金などについても一律に収入認定しないこと。
  • 家や土地など実態を無視した資産活用強要はやめること。ローン付き住宅を保有している必要な人にも保護を適用すること。また、家賃実態に応じて住宅扶助を引き上げるとともに、保護世帯の市営住宅入居に際しては、02年厚労省通知「公営住宅に入居する被保護者の保証人及び家賃の取扱について」を周知・徹底して、連帯保証人は免除すること。
  • 福岡学資保険裁判の最高裁判決に基づき、学資保険の保有・活用を全面的に認め、高校就学に必要な全ての費用を支給するとともに、不当な世帯分離を強要せず、自立に役立つ専修学校等まで教育扶助を拡大するよう国に要求すること。
  • 生活再建と自立のために車を容認した秋田裁決にならって、本市においても通院、障害者などに必要な自動車やバイクの保有・借用を認めること。
  • 保護世帯がいつでもどこでも安心して受診できるよう、現行の医療券方式をやめ、健康保険証のような「医療証」に改善すること。併せて、入院治療に必要な寝巻き・オムツ等の支給制限や通院回数制限をやめるとともに、強制退院を強要しないこと。また、移送交通費は無条件に支給すること。
  • 各区のケースワーカーは一人で90件もの担当を受け持つなど、懇切・丁寧な対応ができておらず、増員配置して、被保護者の人権が尊重されるように体制拡充や研修指導の徹底を図るとともに、保護決定は14日以内の法定期限を厳守すること。
  • 本市における一連の保護課職員による生活保護費の詐取事件等は、市民の保護行政に対する信頼を大きく失墜させるものであり、管理・監督体制(チェック機能)を抜本的に強化し、再発防止に万全を期すこと。
  • 本人の意思を尊重しない要生活保護世帯向け長期生活支援資金(リバースモゲージ)制度の強要をしないこと。また、全国市長会として、生活保護基準切り下げ、有期保護制度創設、資産処分方策強要などを提言した「新たなセーフティネットの提案」は保護行政を大きく後退させるものであり、撤回すること。

(17)ホームレス対策を強化すること

  • 市内のホームレスは約800人余と増加の一途をたどっており、深刻な社会問題となっている。国の「ホームレス自立支援法」に基づき、民間ボランティアやNPO支援団体まかせをあらため、本市に1ヶ所しかない救護施設(松濤園)の増設や市の責任で自立支援センター等を設置すること。併せて、民間ボランティアやNPO支援団体への補助金を大幅に増額するとともに、市は窓口を博多区役所(保護3課)だけでなく中央区などにも増やすこと。
  • 住所不定を理由にした法違反の生活保護排除をやめるとともに、とりわけ急迫保護入院の場合、退院即打ち切りでなく、療養が継続できるよう居宅の確保や就労斡旋などの抜本的な自立支援策を講じること。ホームレス患者の入院協力金を増額し、市立病院でもホームレス患者を大幅に受け入れること。

(18)障害者施策の充実・改善を促進すること。

  • 障害者自立支援法が実施されて一年半、応益負担により、原則一割の利用料負担を求められることになり障害者とその家族に深刻な影響がもたらされている。国に対して一刻も早く応益負担制度を撤廃するように強く求めること。法施行以前よりもサービス水準が後退しているものには市独自の制度をつくり救済すること。とりわけ知的障害者入所施設のすべての利用者が、従前のように無料で医療を受けられるように、市が独自の制度をつくること。市の負担軽減措置の上限額引き下げと対象範囲の拡大など拡充・継続すること。
  • 施設への報酬単価の引き下げと日割り計算方式の導入は、施設の減収、労働条件の悪化、利用者へのサービス低下につながるものであり、国に報酬単価を引き上げ、月額計算方式を復活させるよう要求すること。また、施設の減収について、国の激変緩和措置は不十分であり、市が新たな助成制度を創設し、補填すること。
  • 自立支援法が利用者、施設に悪影響を及ぼしているのに、市が実態調査をまともにおこなっていないのは全くの怠慢であり、早急に、本市のすべての利用者や施設に対し実態調査をおこない、しかるべき対策を取ること。
  • 障害者の自立と社会参加に大きな役割を果たしている小規模作業所への本市補助金は不十分であり増額すること。
  • 小規模作業所の重度加算補助は重度利用者2分の1以上制限を撤廃して上限をなくすとともに、土地家屋借り上げ料補助については月額3万円の限度額を大幅に引き上げ、送迎負担金軽減対策、給食や健康診断にかかる補助制度を認可施設と同様につくること。
  • 障害者施策の中で最も遅れた分野である精神障害者施策の抜本的改善をはかること。とりわけ、共同作業所(精神)への本市補助金は、不十分であり早急に福祉作業所との格差是正をおこなうこと。
  • 障害児療育については、応益負担の導入による負担増とならないよう、市独自の負担軽減策を2008年度以降も継続すること。東部療育センターを2008年度に建設・開設し、運営は民間委託しないこと。
  • 日中活動系サービスを整備するなど養護学校高等部卒業後の障害者(児)の進路対策を充実すること。
  • 障害者の雇用を促進するため、市職員への障害者採用の職域を拡大し大幅に増やすとともに、障害者就労支援センターのジョブコーチ等を増員常勤化して体制強化し民間就職斡旋や就労安定対策をいっそう促進すること。
  • 障害者・児への日常生活用具・補装具等の負担が大きくなっており、給付については、低所得者の負担軽減を拡充するとともに、必要な品目等を増やし数量制限を撤廃すること。
  • ガイドヘルパーが一対一で付き添い、外出の支援をおこなう移動支援事業は、重度障害者になくてはならないものである。散歩、政治活動、宗教活動などを制限し、報告書提出を義務づけるなどの要項は人権侵害であり、ただちに改め、外出内容の制限をなくすこと。
  • 障害者の社会参加を促進するために本市の交通運賃割引制度を精神障害者を含むすべての障害者と介護者に拡大すること。また、タクシーチケットと同額のガソリンチケットを発行し、移動手段を自家用車中心に生活している障害者が選択できるようにすること。
  • バリアフリー対策の充実が求められており、既存の公共的施設等にも義務付けするとともに、必要な助成措置を実施すること。また、歩道の段差解消など交通弱者対策を促進すること。JR今宿駅、下山門駅、笹原駅へのエレベーター、エスカレーターの設置を急ぐこと。
  • 西鉄等に障害者が利用しやすいバスの台数を増やすとともに路線を拡大するよう強く要請すること。

(19)あんま治療を本市国保助成事業の対象にすること。また、鍼灸・あんま・マッサージの無資格者営業については調査・摘発し厳格に対応すること。

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3 開発破たんの人工島などムダな大型開発をやめ、生活・安全優先のまちづくりへ転換を

(1)開発破綻が深刻な人工島について

これまでに2,959億円の事業費がつぎこまれた人工島は、土地が売れる見込みもなく破たんしており、市民の多くが見直しを求めている。市長は「検証・検討」をおこなったが、その内容は、従来の計画を基本的に問題なしとした上で、企業誘致のための交付金バラマキなど前市政を上回る計画を打ち出し、自らが「推進本部長」として引き続き事業を遂行していくことを決めた。これは「大胆な見直し」という公約を破り捨て、市民を裏切るものである。

  • 土地利用計画の定まっていない市5工区や、必要のない市3・4工区の埋立・造成工事はただちに凍結・中止すること。
  • 博多港開発工区の道路や下水道、公園など基盤整備は本来なら博多港開発⑭が行うべきであり、市が土地を買い肩代わり整備するのは銀行への債務保証と博多港開発の破綻救済に他ならず、こうした税金投入をきっぱりやめること。
  • 現行制度の2倍にのぼる「投資額の10%、限度額10億円」という企業立地促進交付金制度の拡充は、人工島の売れない土地を売らんがためでありやめること。また、センター地区に集客施設を誘致するための制度新設はやめること。
  • 巨額の公金・税金投入となる市立病院や青果市場の統合移転や高速道路の延伸などやめること。
  • 3万トン以上の大型船は減少しており、港湾計画を見直し、水深15mの岸壁整備、航路浚渫をやめること。
  • 人工島全体について、住民投票や市民アンケートを実施し市民参加で見直すこと。

(2)都市再生の基本的な考えにもとづく「新・福岡都心構想」は、財界主導で新たな都心開発や港湾開発を行うもので、ゼネコンの仕事づくりに他ならず、幹線道路などその具体化による大型開発はやめること。またその促進のための都心部における容積率緩和はおこなわないこと。

(3)過大な需要予測にもとづき、莫大な税金投入となる新福岡空港にきっぱり反対し、空港問題は近隣空港との連携、既存ストックの有効活用での解決を促進すること。「新空港先にありき」の無駄な調査をただちに中止すること。

(4)巨額の市費投入となる「九州大学学術研究都市構想」は、バブルの発想に他ならず推進をやめるとともに、同「推進機構」から撤退すること。

(5)渡辺通駅北土地区画整理・再開発事業は九電や第三セクター⑭都市未来ふくおかなどに便宜を図るものであり計画を撤回すること。併せて、下川端再開発事業の失敗等で市民へ負担を押付けてきた都市未来ふくおかから直ちに出資を引き上げるとともに、解散を要求すること。

(6)香椎駅周辺地区土地区画整理事業については、もともと反対住民も多く、事業を中断し、住民や商店街等との話し合いを促進し、まちづくり計画を住民参加で見直すこと。

(7)香椎副都心土地区画整理事業地区内に地域住民が集うことのできる「総合文化・コミュニティ施設」の他、特別養護老人ホームなど老人施設、児童館等を建設すること。また、千早駅利用者のための駐輪場を増設すること。加えて、住民が反対している名島5丁目地区のマンション建設計画を見直させること。

(8)伊都地区土地区画整理事業については、住民合意を貫き、減歩緩和など住民負担軽減を図ること。

(9)九大跡地を活用した六本松のまちづくりについては、都心の貴重な公共用地であり、住民無視の一方的なまちづくりは許されず、市が主体性を持って取り組むこと。跡地については情報を公開するとともに、児童館や文化施設、こども病院、災害避難場所等々「六本松九大跡地を考える連絡会」や多くの市民の声を反映させ、公共的活用を中心に据えること。箱崎キャンパス跡地利用については、一体的活用と公園整備など住民の要望を反映させること。

(10)地震対策の強化について

  • 西方沖地震で半壊した集合住宅の8割が新耐震基準であったことを直視し、国に基準の見直しを要求すること。また、被災者生活再建支援金制度の住宅本体への適用などの改善策について、西方沖地震被災者にも遡って適用するよう国に要求すること。
  • 市有建築物の耐震化について、2015年度までに95%にする計画を前倒しして早急に取り組むこと。
  • 大規模災害時の初動態勢や市の対応の改善、また一人暮らしの高齢者等の地域での救済体制づくりなど市民の要望を把握し、地域防災計画を見直すこと。また公民館等、地域の「備蓄」の整備を早期に完了すること。
  • マンションやアパート、戸建住宅などの耐震化を促進するための助成制度を充実して、住宅の耐震化率を引き上げること。共同住宅耐震診断費補助制度については、新耐震基準で建てられたものも対象とすること。
  • 警固断層における大規模地震発生の確率が高まったことをふまえ、同断層付近など大きな被害が想定される地域の「危険物の貯蔵場の用途に供する特定建築物」の現状把握を早急におこない、耐震化促進の指導を徹底すること。また同地区の設計地震力の上乗せ基準について周知のための広報を行うとともに、基準を遵守した建築物に添付する認証シールを交付する等、実効性を持たせるための工夫を行うこと。
  • 住宅以外の民間建築物について指導を強化し、老人や障害者福祉施設など公共性の高い社会福祉施設に関しては助成制度をつくること。

(11)本市の消防力の整備状況について、国の指針に照らして人員の充足率をみると予防要員が80%しかないなど不足しており、市民の命を守るため早急に増員すること。また救急救命士も大幅に増員すること。

(12)河川、水害対策について

  • 御笠川激特事業は2007年度で終了するが、更に整備流量を1000立方メートルにも対応できるように河床掘削事業を早期に着手することを県に求めること。併せて、御笠川流域で小中学校グランドや公園など公的施設を利用した遊水地(池)や地下貯留施設の整備を早期に完了させること。
  • 水害常襲地帯である七隈地域、周船寺などの河川改修等を早急に行うこと。また、床上浸水緊急5ヶ年事業に指定された東区湊川の河川改修については、体制を強化し事業を期間内に完了させること。
  • 樋井川の鳥飼地域の水害対策については、住民合意のもとで行うこと。

(13)都心部での悪臭、合流管の能力不足による浸水被害、博多湾の汚濁などの対策である博多駅周辺地区の「合流式下水道緊急改善事業」は事業費の大幅な増額と事業の前倒しを行い、早期に完了させること。併せて、中央区の分流化の事業計画を立てること。

(14)福岡県に対して過大な水供給計画の改定を早急に行うことを求めるとともに、国と県に対して、必要性のない大山ダム及び五ヶ山ダムの建設は凍結・中止することを要求すること。併せて、本市の水需給計画を抜本的に見直すこと。

(15)下水道の管渠やポンプ場の更新事業については、年次計画を立て積極的な取り組みを行うこと。また道路側溝や水路上の歩道のコンクリート蓋、下水道施設のマンホール蓋などの老朽化等による破損によって人身事故が頻発しており、施設の実態把握や、補修・改築など年次計画を立て事故防止策を図ること。

(16)交通対策・改善について

  • 福岡一極集中による都市膨張と交通対策を無視したまちづくりによって、都心部を中心に交通渋滞の深刻化、さらに都市環境破壊が進行しており、天神一極集中の開発の是正、パーク・バスアンドライドの促進等で自動車交通の総量規制など、抜本的な都心部交通対策を確立すること。
  • 天神や博多駅地区等の都心部ならびに、赤坂・千代県庁口などの地下鉄駅周辺における自転車駐車場整備を推進するとともに、無料制度を拡充すること。放置自転車をなくすために街頭指導員を増員し、事業を充実すること。また、50cc超のバイクの駐車場を整備すること。
  • 西鉄貝塚線と地下鉄との乗り継ぎを解消し、区間を三苫まで延長する相互直通運転のために、西鉄との協議を急ぎ、アイランド線事業と切り離し早期事業化を図ること。
  • 人工島の鉄軌道計画は、多額の事業費と杜撰な需要予測など赤字経営は必至であり、計画を断念すること。ウォーターフロントへの地下鉄延伸はやめること。
  • 香椎参道付近の交通渋滞をなくすため、JR鉄道高架の延長など平面交差を解消すること。また、名島地区についても鉄道と道路の平面交差をなくすこと。
  • 博多バイパス(水谷—下原間)の早期整備を図ること。交通渋滞を早期に解消するため、東区の国道495号(旧国道3号)線の拡幅を急ぐこと。また、国道263号の道路整備を急ぐこと。
  • 市営渡船能古〜姪浜航路を増便すること。また、台風等による欠航時には、学生等の利用者の避難場所を確保すること。
  • 今宿・姪浜間の昭和バス代替の「路線バス」運行については、地元への寄付金名目の負担押しつけをやめ、市が全額補助すること。
  • 南部地区の交通対策の一環として、環状型大量輸送交通機関の整備を検討すること。

(17)住宅行政について

  • 国は公営住宅をこれ以上大きく増やさないとし、入居者対象を狭めるために収入基準のさらなる切り下げ、ポイント制の導入、預貯金などの資産査定、期間を限定する定期借家制度の導入などで、現在の入居者の退去を進めることとしている。こうした住宅政策を改め、公営住宅に安心して住みつづけられる保障を確立するとともに、公営住宅の絶対数を増やすために新規公営住宅への予算補助を国に要求すること。
  • 国に対し、UR都市再生機構が検討していると言われている20万戸のUR賃貸住宅削減計画はやめるよう求めること。あわせて、大濠や那の川で進められている市街地住宅の「賃貸住宅」の用途の廃止にともなう住民の追い出しはやめ、住み続けられるよう要求すること。
  • 市営住宅の入所希望者は増え続け、公募倍率は過去最高の24.5倍となっているにもかかわらず、2005年度以来、新規建設はゼロである。建替中心の建設抑制政策を改め、新規市営住宅を大幅に増やすこと。
  • 単身者向け住宅の倍率は47.6倍、高齢単身者住宅は64倍と依然高い。高齢者向け住宅の戸数を早急に増やすこと。また、母子世帯・心身障害者世帯の入居枠を増やすこと。
  • 戸建住宅に比べ、重い負担を強いられているマンション居住者の不利益をなくすために、マンション敷地内を公共性の強い空間としてとらえ、ごみ置き場や公園の固定資産税減免や維持管理費等の補助、防犯灯や受水槽の電気代等の補助などを行うこと。

(18)中高層建築等建設にかかる紛争について

  • 中高層建築物に起因して近隣住民と建築主との紛争が多発している。市民の住環境を守るために開発規制を強化する用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の周知と積極的適用に努めること。
  • 住民に対する納得のいく説明や話し合いをしない不誠実な建築主が続出しており、「建築紛争の予防と調整に関する条例」を遵守するよう強く指導し、条例に罰則規定を設けること。また、条例を関係住民の同意など、実効あるものに改めるとともに、国に対して法改正を要求すること。携帯電話鉄塔建設問題は、住民の納得なしの業者の建設強行は許されず話し合いを強く指導すること。
  • 博多港開発(株)の偽りの申請を見過ごし、愛宕浜マリナタウンの建築協定廃止をみとめたことは市の重大な過失である。住環境を守るため、(株)コスモスイニシアに工事を中止するよう働きかけ、開発責任者である博多港開発と福岡商事(株)に対して、当該地の買い戻しを含めて住民の意思を尊重するよう厳しく指導すること。
  • 姪浜など児童数の急増で、学校の過大規模化が予測される地域に対して「受け入れ困難地区」として、教育環境悪化を防ぐためのマンション建設規制条例をつくること。

(19)市街地は、開発によって緑が激減しており、緑地保全(保全林)の地区指定を促進するとともに、予算を大幅に増額し、市民との共同で都市緑地の保全・買取を積極的に推進すること。

(20)動植物園の再生計画は市民、職員の意見がよく反映されるよう努めること。また、動物が本来の生き生きとした姿を見せる展示方法の導入、飼育環境の改善とともに職員の増員を行い、教育的施設としての役割を果たせるようにすること。

(21)九州電力と国に対して、危険なプルサーマル計画をやめるよう求めること。玄海1号機の延命、60年運転計画をやめさせ原子力発電所の総点検に取り組み、安全性に少しでも疑問が出た原発については運転を停止し、安全を確保するとともに、市民への報告と情報公開を求めること。

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4 市民負担増の異常なごみ行政を転換し、自然環境の保全を

(1)ごみ処理基本計画「循環のまち・ふくおか」と市民本位のごみ行政の確立について

  • 国に対し、一般家庭ごみの有料化の推進をやめるよう求めること。一般家庭ごみの有料化は、本市の行政責任を放棄し、市民に新たな重い負担増を押し付けたものであり、制度を元の無料に戻すこと。少なくとも市長公約通り、高齢者・障害者・ひとり親世帯のための負担軽減措置をもうけること。
  • 本市のごみ処理基本計画は、「ダイオキシン対策」などとして大型廃棄物処理施設の建設を進めた国の誘導策にのったものであり、本市では談合も生んでいる臨海清掃工場や新東部清掃工場などの過大な施設建設を始め、大量生産・大量消費・大量焼却を前提にしたものとなっている。横浜市や名古屋市にならい分別収集品目の拡大など、行政と市民、事業者が一体となったリデュース(発生抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用)推進でごみ減量を基本にした計画に抜本的に改めること。
  • 本市の大野城・太宰府市など他都市からのごみの受け入れは、ごみは各自治体の責任において処理することとされている「廃棄物処理法」にも反するものであり、直ちにやめること。また、都市圏南部環境行政推進協議会については直ちに解散するともに、南部工場建替え計画については見直すこと。
  • 事業系ごみについては、中小・零細事業所のごみ処理手数料を引き下げ、減免制度を拡充するとともに、特にオフィス紙ごみのリサイクル等を推奨してごみ減量を促進すること。
  • 昨年改正された「容器包装リサイクル法」は、事業者の責任と負担を消費者と自治体に転嫁し、自治体の費用負担を増大させる「改悪」とも言える内容になっている。「家電リサイクル法」とあわせ、発生抑制や製造企業の引き取り義務など製造者責任を盛り込んだ法改正を早急に行うよう求めること。現在、自治体が費用を負担し行っている容器包装廃棄物の分別収集の費用負担を事業者負担とするよう求めること。市の責任で、一般家庭から排出される空き瓶・ペットボトルが、リサイクル効果を生むための再生受け入れ施設を整備すること。
  • 粗大ごみ有料化や家電リサイクル法の実施に伴い不法投棄や家庭内滞留が増加しており、市の責任で不法投棄対策を強化するとともに、家電排出時の消費者負担については低所得者の軽減を図るために本市独自の助成制度を設けること。
  • 有料化された粗大ごみ収集を無料にもどし市の責任で収集するとともに、高齢者、障害者に対する大型ごみの持ち出しサービスも無料にして負担軽減すること。
  • 住民押し付けの校区紙リサイクルステーションではなく、高齢者や障害者など社会的弱者に配慮する上でも、市の責任で定期的に古紙回収を実施し、紙のリサイクル率を引き上げ、ごみ減量と市民負担の軽減を図ること。また、地域集団回収報奨制度や回収業者助成を増額し、ごみ減量リサイクルを支援すること。全ての区にリサイクルプラザを整備すること。

(2)産業廃棄物施設及び処分場については、廃棄物の排出事業者や製品、販売事業者の責任強化を図ること、土地の所有者に産廃の不法投棄が行われないよう措置する努力義務を課すことや、水源地などに産廃処理施設を設置することができないように位置規制を盛り込むなど「廃棄物処理法」の改正を国に要求すること。また、本市においても、厳重な立ち入り監視・調査・指導を行うとともに、「福岡市産業廃棄物処理施設の設置に関わる紛争の予防及び調整に関する要綱」を条例化して同様の主旨を盛り込み、違反者への罰則規定を強化すること。また、博多港が他都市からの産廃受け入れ拠点となっており、実態調査と監視体制を強化すること。

(3)ごみ清掃や下水道などの委託人件費が年々下がってきており、積算にあたっては、委託労働者の基本給や各種手当を増額し、労働条件の改善を図るよう市が責任を持って委託企業を指導すること。

(4)「バリ会議」で、温室効果ガス削減数値目標の明示に反対したアメリカに日本政府が同調したことに、世界から批判が集まっている。環境省と経済産業省がまとめた京都議定書の目標達成計画の見直しに関する最終報告は、温室効果ガス排出量の8割を占める産業界・経済界の「自主計画」と「国民運動」任せの方針となっており、目標の達成が危ぶまれている。国に対し「地球温暖化対策の推進に関する法律」の改正にあたっては、国と産業界との協定化、自然エネルギーの開発促進と電力買取りなどの法制化及び体制の整備、二酸化炭素の排出量を考慮した環境税の導入など、実効ある措置を盛り込むよう求めること。また、本市でも地球温暖化防止対策条例を制定すること。

(5)博多湾の水質は、人工島建設に伴い悪化しており、アオサの大量発生や赤潮等の被害が深刻となっている。汚染を防止するため、下水排水や湾内部生産の抑制など保全策の充実強化を図ること。また、環境基準点を増やすこと。

(6)クロツラヘラサギ・ミヤコドリなど多様かつ希少種が飛来し、休息場や餌場となっている国際的に重要な湿地である和白干潟を国設鳥獣保護区特別保護地区に指定させ、早急に「ラムサール条約」の登録湿地とすること。また今津湾を含め、博多湾全体を国設鳥獣保護区にすること。

(7)光化学オキシダントは市内の観測地点全てで基準を上回っており、大気汚染は深刻な状況が続いている。今年は11年ぶりに本市で光化学オキシダント注意報が発令され、学校の屋外での授業等が中止になるなど、市民生活にも影響が及んだ。本市庁用車の低公害車導入を促進するとともに、民間事業所への普及をいっそう促進し、「第二次自動車交通公害防止計画」に都心部への交通量総量規制を盛り込むなどの抜本策を講じること。また、国に対して自動車排ガス規制の強化を要求すること。

(8)国道3号線の博多区千代、堅粕は低騒音舗装が行われたが、経年劣化しており、自動車騒音は改善されていない。騒音低減効果を図るために周期的な舗装を行うなど、国に対して抜本的な改善措置を取るよう、強く要求すること。また、本市の責任を棚上げすることなく、国道3号線沿道住民の住環境整備、緑地帯保全等の切実な要求に誠実に応えること。あわせて、箱崎阿恵線の交通騒音・振動について、低減対策を講じること。

(9)ダイオキシン類の発生源とされる塩化ビニールについて、発生と結びつく物質の製造・流通・販売・回収などについて規制を抜本的に強化するよう国、県に働きかけること。併せて、清掃工場や焼却施設、最終処分場等の排煙、排水、焼却灰、土壌など、ダイオキシン類発生対策に万全を期すこと。

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5 雇用と中小企業の営業を守る総合的施策、農林水産業の再建を

(1)仕事と雇用の危機打開について

  • 偽装請負を根絶するため労働者派遣法などを改正し、パートや派遣、契約社員などへの「同一労働同一賃金」の原則、不当な差別や格差の禁止、均等待遇を法律に明記し、人間を「使い捨て」「モノあつかい」する働かせ方をやめさせるよう国に要求すること。最低賃金を「健康で文化的な最低限度の生活」ができるように時給1000円以上へ抜本的に引き上げ、どこで働きどんな職業に就いていても適用される全国一律の制度にするよう求めること。長時間労働を野放しにし、非正規をさらに増やすために労働者の権利を奪う「労働ビッグバン」計画をやめるよう政府に要請すること。
  • 市として、雇用拡大・就職難打開のための体制を強化すること。市内の主要な企業に対して、雇用拡大と新規採用増、サービス残業や偽装請負・不当解雇など労働現場の無法の根絶、有給休暇の取得率などの独自の基準(福岡市しごとルール)をもうけて要請すること。若い人に労働者の権利や相談窓口などを知らせる宣伝物をつくり、啓発キャンペーンを展開すること。地場中小企業などに対する「青年雇用助成金制度」を導入すること。

(2)多重債務問題の解決のために「多重債務問題改善プログラム」を具体化し、市長を先頭にした全庁包括的な組織をつくり、各部署と相談窓口との連携を強め、生活再建にも責任を持つこと。また、多重債務問題の専任職員を消費生活センターに配置し、また、担当職員を各区役所に配置して、相談しやすい体制をつくること。ヤミ金融、日掛け業者など悪質な貸し金業者に対する取り締まりを関係機関と協力して進めること。

(3)本市経済の主役である中小企業のための予算を大幅に増やし、新産業創出事業だけでなく、既存産業の活性化・支援策を拡充すること。また、中小零細事業所の訪問調査を行い、実態と要求を把握するとともに、全庁を通じた対策会議を設置して、中小企業の育成・振興を図ること。併せて中小企業部を復活させ、体制・人員を拡充すること。

(4)大企業ゼネコン型の公共投資でなく、福祉、教育、住宅など中小業者の仕事となる生活密着型公共事業を増やすとともに、大手に発注した工事についてはその下請けを地場企業が受注できるよう強力に指導すること。併せて、大企業優遇となるプロポーザル方式は見直し、分離分割発注など地場企業により厚く仕事がわたるようにすること。また、250万円以下の小規模工事については地元中小業者が優先受注できる簡易な「小規模登録制度」を新設・実施すること。

(5)公共工事の発注にあたり、2次3次を含め全ての段階での下請け契約書の提出を義務付け、実態の調査・点検を行い、全ての現場労働者に適正賃金(積算単価による賃金)が支払われるよう「公契約条例」を制定すること。「建設業退職金共済制度」のさらなる普及に努めること。また、全ての下請企業への代金不払いや遅延、倒産が発生した場合、下請企業と労働者の救済に努めること。

(6)大型店の出店から地元商店街を守り、地域社会の環境を守るには現行法では不備であり、出店を許可制にするなど大店立地法の抜本改正を国に要求すること。併せて、市独自の規制を検討するとともに、当面、出店にあたって影響を及ぼす範囲の中小零細業者や住民を加えた調整のための協議会の設置を条例化すること。また、大型店の撤退に伴う中小零細テナントの救済及び支援を行うこと。

(7)地域の主人公である住民、市民・事業者、NPO、行政が一体となった「商店街の振興・再生」計画を個別商店街ごとにつくり、「空き店舗」対策は、抜本的に拡充し地元合意ですすめること。また、駐車場・駐輪場の整備にかかる支援策の拡充を行うとともに、商店街対策予算を増額すること。

(8)景気対策、また中小零細建設業者の仕事起こしとして、住宅の改装などの際に一定額の助成を行う「住宅リフォーム助成制度」を早急に新設すること。

(9)中小業者への融資について

  • 責任共有制度の導入により、すでに制度融資の金利が上がり、貸し渋りへの懸念も強まっている。中小企業と金融機関の「架け橋」となっている信用保証制度を元の制度に戻し、保証協会の基金の増額等によって保証機能を強化するよう国に要求すること。政府系金融機関の民営化・統廃合をやめ、低利・長期・固定の政策金融を大幅に拡充するよう政府に働きかけること。
  • 銀行や信用保証協会に対し、本市の制度融資の主旨を徹底すること。また、信用保証料の引き下げを信用保証協会に要求するとともに、当面、小口資金など市として保証料の補助を拡充すること。
  • 2年を限度とする返済猶予にとどまらず、実情に合わせて借入金の「返済軽減」や「返済凍結」など返済条件の変更を柔軟に行われるようにすること。
  • 無担保無保証人融資については利率を引き下げるとともに、保証料の全額補助を実施すること。併せて小口事業資金の返済期間を延長すること。また、中小業者に対し、市による小口の直貸し制度を新設すること。
  • 創業支援資金制度は、自己資金なし、保証人なしでも借りられるよう拡充すること。また、利率を引き下げ、信用保証料の補助を行うこと。

(10)農林水産業の再建と振興について

  • 農産物の輸入自由化に反対すること。ごく一部の大規模経営だけを対象にし、生産に携わっている大多数の農家を排除し、集落の自主的な共同も壊す「品目横断対策」を中止し、続けたい人やりたい人すべてを大事な担い手と位置づけ、農家経営を可能な限り維持できるよう国に要求すること。外国で行われている農産物の価格保障など食料自給率を50%に引き上げる実行ある対策を求めること。
  • 10年前には2万円前後(60kg)であった生産者米価はいまや1万5000円台と下落し、稲作労賃は1日2959円に過ぎない。暴落した米価の回復は、農家の最大の願い、担い手支援であり、不足払い制度を創設して、農家手取りを生産費に見合う水準(1万7000円以上)に近づけるよう国に要求すること。
  • 野菜や花卉など安い輸入物の影響を受けて農家は苦境に立たされており、機敏なセーフガードの発動で輸入調整を行うよう政府に要求すること。また、市内の農家を保護するため、市として独自支援策を拡充するとともに、予算を大幅に増額し、公共事業中心でなく、農産物の価格補償や農家の所得保障などに切り換えること。
  • 「株式会社の農業参入」政策に反対すること。近年、増えつつある非農家や他産業からの農業への新規参入者を重視し、その定着のために一定期間の生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整えること。また、「市街化区域内農地の宅地並み課税」を実施しないこと。
  • 魚価の低迷、漁獲量の減少、後継者不足などに的確に対応する振興策と予算を拡充すること。夏の猛暑で海水温が上昇して唐泊の養殖カキが大量に死滅し、死んだカキの処理の費用も重なって生産者の経営に影響を与えており、助成をおこなうこと。
  • 著しく高騰している燃料代のために農業・漁業従事者が苦しんでおり、助成を行うこと。

(11)西部市場は06年37万トン、62億円を取扱っている市場であり、西部地域、糸島地域の小売業者、生産者が利用する、かけがえのない施設である。西部地域の小売店、生産者つぶしにつながる西部市場の閉鎖はやめ、統合せず、存続させること。

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6 憲法に基づき、子ども一人一人を大切にし、健やかな成長・発達を保障する教育・文化行政の推進を

(1)教育行政について

  • 今日、いじめによる自殺、子どもの生命が奪われる事件等が相次ぎ、児童虐待も後を絶たず多くの国民が心を痛めている。教育の深刻な荒廃は、過度の競争や管理を現場に押し付けてきた長年の教育行政のゆがみがもたらした結果であり、一人ひとりを大切にする教育に転換することが求められている。生命の大切さ、真理に基づく社会的道義を確立するためにも、日本国憲法に依拠した教育行政に転換すること。
  • 改悪された教育基本法は、教育の目的を「人格の完成」、「人間の育成」から、財界の要求する「人材の育成」へと根本から覆し、「愛国心」を強制するなど日本国憲法と相容れないものとなっており、改悪された教育基本法と教育三法を元に戻すよう国に求めること。

(2)学校教育について

  • 本市教育改革プログラムの改訂にあたっては父母や教職員の声を生かすとともに、戦後最低となっている本市教育予算を大幅に増額すること。
  • いじめや不登校等の問題については、数値目標を押し付けず、現場の要望を聞き、その真の解決に必要な条件整備を図ること。
  • 一斉学力テストは子どもと学校間の競争を更に激化させるものであり、来年度は実施・参加しないこと。「習熟度別学級」、教員評価システムの拡大、強化は競争を強化し、教育を歪めるものであり行わないこと。
  • 35人以下学級の実施は市長の公約であり、本市独自の常勤講師採用等行い、来年度、中学校まで拡大すること。併せて、正規職員を大幅に増やし30人以下学級を即時実現するよう国・県に強く要求すること。
  • 登下校中や学校内の子どもの安全対策は教職員や地域住民に負担を押し付けず、学校警備員の配置、シルバー人材センター等を活用した地域巡回員制度(仮称)、必要な地域へのスクールバス導入等、総合的な対策を図り、必要な予算をつけること。
  • 貧困と格差の拡大の下、給食費さえ払えない低所得の保護者も増え、就学援助制度の充実は、さらに切実になっており、適用基準を大幅に広げ、周知徹底するとともに、窓口での相談・申請には親身な対応をすること。市費による支給分は支給単価の引き上げと内容の改善を図ること。
  • 学校選択制や学校評価システムは競争を激化させ教育にはなじまないものであり、導入を行わないこと。2学期制については現場の声を聞かないままの拙速な導入・押し付けを行わないこと。小中一貫校は、競争の低年齢化を生み出すものであり、導入しないこと。
  • 体罰による「指導」は違法であり、学校現場で違法を容認することは暴力行為を拡大することにつながり許されない。体罰については厳正に対処するとともに、体罰一掃のための研修などの取組を充実させること。
  • 子ども達の相談相手となっている養護教諭の複数配置を急ぐとともに、養護教諭や心の教室相談員の意見が、学校全体の教育指導に生かされるよう保障すること。また専門のカウンセラーを全校配置するよう国に求めるとともに、当面、市独自に手立てをとること。
  • 不登校児童にとって重要な役割を果たしている「学校適応指導教室」(早良区・中央区)は2箇所では不十分であり、当面各区に1ヶ所増設するとともに、ボランティアによる不登校児童などのためのフリースクール等の実態調査を行い、支援すること
  • 全ての学校図書室に、専任の司書教諭を早急に配置するよう国に定数措置を求めるとともに、当面本市独自に配置すること。兼任の司書教諭については市費加配の活用等による授業時数の軽減を図り、司書業務を行える条件をつくること。
  • 中学校部活動は顧問や指導員不足による廃止や運営費不足が深刻化しており、補助指導員の大幅な増員や指導日数を増やすため、更なる予算増額を図ること。県に対し県大会の参加費徴収をやめるよう求めること。
  • 教職員は休みたくても休めず長時間過密労働を強いられ、精神疾患による休職者が増え続ける等、健康破壊が深刻である。超過勤務の実態を踏まえ是正のための実効性のある措置を取るとともに、休暇を取りやすい環境を整えること。夏期休暇等は、自主研修による教師としての自己研鑽や健康回復にとって重要であり、出校の強制をやめること。また、病気休暇の代替教員の配置を速やかに行うよう県に求めること。市費事務職員の削減計画を撤回すること。
  • 「指導力不足教員」政策と「新勤務評価制度」は、ILO・ユネスコからも「教員の地位勧告」に抵触すると指摘されており、「目標管理」による教職員評価制度はやめること。

(3)学校教育施設について

  • 学校施設整備予算を増額し、築25年以上を経過しても大規模改修が行われず先延ばしされてきた老朽校舎の改善を速やかに実施するとともに、校舎・体育館の耐震化は公約通り着実に実行すること。また、施設・設備をはじめとする学校環境・安全点検は専門家により一斉に行い、学校からの意見も日常的に聴き、必要な改善は速やかに実施すること
  • 学校の全ての教室に早急に冷暖房を設置し、小学校のパソコン教室については来年度完備すること。
  • トイレが不足している学校については増設を行い、多目的や洋式トイレの適正配置を図るとともに、「臭い」「汚い」「暗い」等の問題を改善すること。
  • プールが老朽化した学校が多く、生徒の安全対策にも支障が出ている。紫外線対策としての日よけの設置を含め、改修計画を策定すること。
  • 生徒数が1,000名規模になっている那珂小、松島小、西新小、百道中などの過大規模校は教室が不足し分割授業ができないなど授業にも支障が出ており、必要な学校での教室増設を緊急に行うとともに、分離新設計画を早急に立てること。

(4)特別支援教育について

  • 特別支援教育については、子どもと保護者の選択権を重視し、適正就学指導委員会の判断結果の一方的な押し付けを行わないこと。また、普通学級に通う色弱、難聴等、視覚・聴覚障害児童・生徒に対する支援を強化するなど、希望の進路に添った学校の受け入れ体制を整えること。
  • 小中学校の特別支援学級は保護者と子どもの意見を重視し、本来の学校区への通学を基本に大幅に増設し、介助員の配置や冷暖房設置など必要な手立てをとるとともに、教職員の大幅な増員を国に求めること。
  • バリアフリー化を進めるため、肢体不自由児が通う全小中学校へのエレベーター設置を行うこと。
  • LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)など障害の多様化に対応する支援体制の充実を図り、障害児が安心して通学できるよう介助員・補助員制度を導入すること。また、特別支援教育の導入後の問題について保護者の声を聞き国の制度改善に反映させること。

(5)高校教育について

  • 推薦書や調査書における子どもの「人格」評価や、一部だけの中高一貫校導入は、受験を小学校に持ち込み、競争を激化させるものであり、高校ごとの入試問題作成は中学校教育を歪め子どもの成長を阻害するものである。このような高校入試制度の抜本的見直しを県に要求すること。
  • 定時制高校は、不況のもと経済的に進学できない人や不登校児等の最後の「受け皿」となっている。通学に便利な場所に、普通科の定時制高校を早急に設置するとともに、博多青松高校の定員増を県に要求すること。
  • 生徒数減を理由にした市立高校の定員減を行わないこと。
  • 博多高等学園の定員を増やすとともに、高等部Bコース(軽度学級)を各養護学校に設置し、全員が希望するコースに入学できるようにすること。
  • 福岡地区では約5割が私立高校に通学し、公立の約4.6倍の学費を負担している。負担軽減のために私学に対し、授業料補助を含む助成を行い、助成額を大幅に増やすこと。また、国に対し私学への経常費補助の削減などを行わないよう要求すること。
  • 保護者の失業や倒産等による進学や通学の断念など、子どもたちの高校教育を受ける権利が脅かされている。市教育振興会の高校奨学金の入学支度金、奨学資金を実態に見合うよう増額するとともに、所得要件等の基準を緩和し、必要な予算措置を講じること。
  • 高校から要望の強い進路相談員を全校に配置すること。 

(6)幼稚園教育について

私立幼稚園の運営は幼児の減少や人件費の負担増などで極めて厳しい状況にある一方、共働き家庭の子の預かり保育の実施による対応にも苦慮しており、教諭の待遇改善を図るためにも、運営費補助等を大幅に増額すること。就園奨励費の市単独事業分については第2子までひろげること。

(7)学校給食の改善について

  • 「食育」の観点からも学校給食の充実が求められており、調理員体制について現行の非常勤職員制度を改め、文部科学省基準以上の人員を市の正規職員で配置し、責任を持った調理を行うこと。また、退職者の補充は直ちに正規職員で行うとともに、有休の代替要員は市の責任で確保すること。各小学校に栄養士を配置すること。
  • 輸入食品の受け皿にもなっている「統一献立・一括購入方式」をやめ、地元農業の振興にも資する地元農水産物中心の給食に転換すること。中学校のセンター方式を自校方式へ改めるとともに、給食時間の十分な確保のためにも当面配送・回収車の台数を増やすこと。

(8)人権・同和教育について

  • 教員を勤務時間内に「市同和教育研究会」等の事務局業務に従事させることを直ちにやめること。また、学校研修、連絡会等を通じての解放同盟の教育介入を排除し「全市一斉同和教育研修会」については廃止すること。
  • 同和枠から一般対策に移行された加配教員を、実質的に「同和」枠として配置していることは許されず、市費の非常勤講師等を含め、少人数学級の実施など真に教育上必要な学校への配置とすること。
  • 本市の「人権教育・啓発基本計画」は、「同和問題の解決に向けた取り組みの手法・成果を生かす」などとして、実質同和問題のみに矮小化しており、このように人権を侵し、差別を温存する同和教育の延長となるニセ「人権教育」の押し付けはやめること。
  • 市教委が「同和地区児童」を特定し調査することは、まさに差別をつくりだす憲法違反の人権侵害であり、直ちにやめること。また実質、部落問題を特別扱いする副読本の使用の強制をやめ廃止すること。
  • 学校やPTAへの「同和研修」の強要、解放同盟の運動や主張に加担する「研修」名目での職員の出張をやめること。

(9)図書館について

総合図書館や分館の司書は正規職員として増員すること。また、遠距離の市民でも書籍等の活用ができるように公民館や配本車などで検索・貸出・返却ができるシステムづくりを行うこと

(10)文化財について

埋蔵文化財など文化遺産の調査、発掘、整理、保存に従事する専門家を増員し、調査員の身分保障と待遇改善、人員の確保に努めること。

(11)社会教育等施設について

  • 公民館が自治協のセンターにされ、社会教育機関としての役割・機能が脅かされている。職員体制の充実をはじめ、必要な手立てをとること
  • 人権の街づくり館、教育集会所について公民館と同様に地域住民の社会教育活動や地域活動に気軽に使えるように広報・周知すること。
  • 青年が文化芸術・サークル活動等に気軽に使える施設を各地に整備し、利用時間については仕事帰りでも使えるように配慮すること。

(12)文化・スポーツ行政について

  • 文化やスポーツの名で、不必要に莫大な市費をつぎ込むイベント行政は抜本的に改めること。また、自主的活動を行っている本市の市民文化団体、スポーツ団体への運営費助成や、事業補助を大幅に増額すること。
  • 老朽化しているスポーツ施設の改善を図り、管理体制の充実を図ること。また、野球・テニス・サッカー・ラグビー・ダンス・スケートボードなどに気軽に使える運動場やスポーツ施設を新増設すること。その計画や設計については利用者の声を反映させること。
  • 老朽化している市民会館を建てかえること。また、西部地域をはじめ各区に、気軽に利用できる中規模ホールと音楽・演劇練習場を新・増設すること。その計画や設計については利用者の声を反映させること。

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7 真の「子育て日本一」をめざし、少子化対策の抜本的強化を

(1)こどもの医療費助成制度については、中学生まで拡充すること。また乳幼児医療費助成制度を国の制度として行うよう要求すること。

(2)本市の公費負担による妊婦健診はわずか2回となっている。厚生労働省の通知にもとづき、14回に拡充すること。

(3)保育行政について

  • 2007年10月1日現在、待機児は636人に増え、今なお深刻な状況である。在園児追い出し、つめこみの定員増や、幼稚園への押し付けをせず、早急に新設をすすめるとともに、既存保育園の増改築などの緊急対策で待機児解消を図ること。
  • 「民営化した保育所の保育内容等は一定水準にある」等とした「民営化した保育所の保育内容等検証委員会」報告書を理由に公立保育所の民営化を進めることは許されず、市長公約通り、民営化は中止すること。
  • 民間保育園は職員や法人の犠牲的な努力によって運営がおこなわれており、補助金の削減は許されず大幅に増額すること。
  • 2008年度の保育料の値上げはしないこと。高過ぎる保育料はすでに限界を超えており、他都市並に市費を繰り入れ、保育料を引き下げるとともに、第2子以降の減免は保育料の高いほうを減免すること。
  • 「認定こども園」については幼稚園や保育園現場の負担増や保育水準の低下等も懸念されており、現場に認定の押し付けをしないこと。
  • 無認可保育所は、24時間保育や、休日、延長保育、障害児保育など、市民の多様な保育要求に応え、市の保育行政の補完的役割を果たし、施設・児童数ともに増加している。全ての無認可保育所への助成制度を創設するとともに、認可を推進していくための財政的支援を行うこと。
  • 職員配置・施設などの最低基準を抜本的に改善するよう国に求めるとともに、当面市独自に、保育士対子どもの人数を1歳児1:6を1:4へ、3歳児1:20を1:10へ、4~5歳児1:30を1:20へと改善すること。
  • 障害児を受け入れる保育所全てに保育士を加配すること。また、巡回指導や障害児保育研修、個別観察指導・保護者カウンセリングなどの体制を整えるとともに、看護師等を配置すること。
  • 政令市のほとんどが実施している産休明け保育を、本市においても公的責任で早急に実施すること。
  • 延長保育や夜間、休日保育などの特別保育事業を実施している保育所は、通常保育へのしわ寄せや、保育士等の勤務条件の悪化をきたしており、市として正規職員の増員と労働条件の改善で安定的に実施できるようにすること。また、保育ニーズを踏まえて、特別保育事業を充実させること。

(4)留守家庭子ども会について

  • 全児童対策を口実にした留守家庭子ども会の縮小・廃止は許されず、開設時間等、更に充実を図ること。また、留守家庭子ども会指導員に対して全児童対象の遊びの指導など、新たな業務を押し付けないこと。
  • これまでのおやつ代や教材費、光熱水費等の実費負担に加えて導入された利用料の負担は、利用したくてもできない家庭を増やし、留守家庭の子どもの安心して生活できる場を奪っている。利用料については、遅くとも来年度から市長公約通り撤廃すること。
  • 長期休暇中については、希望する高学年児童も入会できるようにすること。
  • 児童数70名を超える子ども会は2つのクラスに分け、施設を増設し、指導員の配置を行うこと。正規指導員を最低2人、児童数50人以上の子ども会には3人以上配置し、健全育成に責任が持てる体制とすること。また障害児受け入れの子ども会へは、まず正規指導員1名を加配し、その上で、障害児童数に合わせ指導員を加配すること。
  • 指導員の賃金を引き上げること。児童の健全育成のためにも経験豊かな指導員こそ必要であり、5年間の任期付き雇用を撤廃するとともに、希望する職員については、そのまま採用すること。また、補助指導員へ公務災害補償が適用できるようにすること。
  • 老朽化したプレハブの建て替えを急ぐとともに、トイレなどの施設を増設し、冷暖房を設置すること。

(5)「児童館」は子どもの利益を保障し、豊かな発達に資する地域福祉活動の拠点施設として国も推奨し、すでに全国4,750箇所に設置されている。本市でも20年以上も前から子どもたちを含め多くの市民が請願や陳情等々で繰り返し要望し続け、これまで請願署名25団体、約36万筆が本市議会へ提出され、多くの議員が紹介議員となっている。今日、その必要性はますます高まっており、これだけ多くの市民の願いを踏みにじり続けるのでなく、応えることこそ行政の責務である。子どもプラザや公民館では肩代わりできるものでなく、市長公約通り、全区への設置を新年度着手するとともに、専門職員のいる児童館を小学校区ごとに設置すること。また、今後建設される地域交流センターには児童館機能を持たせること。

(6)いじめや虐待、不登校など深刻な相談は急増しており、子ども総合相談センターの児童福祉司を大幅に増員するとともに、児童相談所を増設すること。

(7)アレルギー疾患患者は多様化、増加の傾向にあり、季節・ストレス等での病状悪化等、患者は常に大きな不安感を抱いている。不安解消と治療促進のためにも、最新の医学的根拠に基づいて相談に応じられるような体制の充実を行うこと。また除去食の給食を行っている保育所に補助を行うこと。併せて当面喘息とアトピー性皮膚炎を学校病の指定に加えるよう国に要求すること。

(8)働いても世帯所得が少ない貧困層「ワーキングプア」が急増しているなか、貧困世帯率が87%にのぼる母子家庭にとって、児童扶養手当はまさに「命綱」である。度重なる制度改悪により減額された上に、物価スライドでさらに削減することはあまりにも冷たい仕打ちであり、国に対し充実・増額するよう要求するとともに、市独自の「上乗せ手当」の支給などの措置を取ること。また、父子家庭にも児童扶養手当を適用するよう国に求めるとともに、母子家庭同様、所得(就労)、住宅、医療、教育、家事などへの援助策を講じること。

(9)児童手当については、真の子育て支援となるよう独自財源を組むとともに、所得制限を撤廃し、支給年齢の引き上げや支給額の大幅引き上げを行うよう国に要求すること。

(10)母子・寡婦福祉資金は、無利子・無保証人にし、貸付金額を増額するなど施策の改善を行い、必要なときに借りやすい制度にするよう国に求めること。また、各種貸付制度は申し込みから2週間以内に貸与できるように借入れ手続きを簡素化すること。

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8 女性の声を市政に生かし、真の男女平等社会実現へ

(1)女性の賃金は男性の69%、女性パートの賃金は男性正社員の47%、女性管理職の登用は1.8%(部長級)、経済活動への女性の参加を示す国連ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)は75ヵ国中42位と、日本女性の地位は先進諸国では最低となっている。日本の男女差別撤廃と女性の地位向上のために、女子差別撤廃条約選択議定書を直ちに批准するとともに、女子差別撤廃条約やILO156号条約批准国にふさわしい、男女共同参画社会基本計画の充実と実効ある施策を国に要求すること。また、選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間の短縮、婚外子差別禁止、「離婚後300日」規定の改善など民法の改正を速やかに行うよう求めること。

(2)男女共同参画の名で女性労働者に対する時間外・休日・深夜労働が強要され、女性の健康・母性破壊が深刻化し、残業や深夜労働ができない女性は退職や非正規労働への転換を余儀なくされている。家庭や子育てとの両立はいっそう困難になっており、女子保護規定の条項を復活させるよう国に要求すること。

(3)職場で働く女性の過半数をしめるパートや派遣、臨時、契約など非正規労働者の労働条件の改善なくして、男女平等の前進はない。雇用の不安定に加え、正規雇用との賃金や処遇の格差は拡大しており、国連からも法律に明記して差別を禁止するよう勧告が出されている。雇用形態が異なる場合にもフルタイム労働者と同等の条件を保障するILOパートタイム労働に関する条約の批准、現行「パート労働法」や「労働者派遣法」の実効ある改正を図るよう国に求めること。

(4)改正施行された「男女雇用機会均等法」をいかし、企業への指導を徹底するとともに、法の実効性が疑問視されている点については制定された「男女雇用機会均等対策基本方針」の施策の強化によって改善を図るよう国に求めること。あわせて付帯決議に基づく早急な間接差別の範囲の見直し、強力な救済機関や罰則の設置など、実効性を高めるため抜本的な法改正を要求すること。

(5)福岡市男女共同参画を推進する条例と福岡市男女共同参画基本計画については、母性保護の特別措置や雇用における間接差別の禁止、男女共同参画の推進に関する苦情処理及び救済を行うための第三者による機関(オンブズパーソン)の設置などの規定を盛り込んだものに改定すること。

(6)市の女性役付職員で課長級以上は技術職を含めてもわずか5.9%にすぎず、何年も同じ水準で推移しており、「雇用における平等」を、まず本市が率先して実現する立場から、女性の採用、管理職への登用を積極的に進め、昇給、昇任などの差別を一掃すること。また、政策、方針決定への女性の参画を促進するために、各種審議会の女性登用率を大きく引き上げること。

(7)男女とも働き続けるための条件整備を図ること

  • 本市が行った市民意識調査でも、男女ともに働き続けられるために企業に望むことの第一にあげられているのは「仕事や家事・育児に男女共に参加できるような企業の意識改革促進」であり、子育てと介護を社会的に支える仕組みをつくる必要がある。賃金保障や期間の延長などの内容充実を指導、啓発し、条件整備を行うなど、育児・介護休業法を全ての企業で遵守させること。パートや派遣労働者に対して適用条件を厳しくすることは許されず、有期雇用労働者にも同法が適用されるよう運用や制度の改善を国に求めること。
  • 市職員の育児休業取得状況は、女性も1年以内の取得がほとんどであり、男性の取得はわずか1人である。取りたくても取れないというのが実態であり、男女とも利用しやすくするために、給与保障、代替要員の確保などの措置を講じること。
  • 市職員の介護休業制度については、給与保障、代替要員を配置するなど安心して活用できるように改善すること。また、民間事業所への啓発を行うこと。

(8)男女雇用機会均等法にセクハラの禁止、被害者への解雇や不利益扱いの禁止を明記するよう国に要求すること。本市でも「セクシャルハラスメント防止条例」をつくり、その一掃に努めること。当面、セクシャルハラスメントや女性労働者の様々な訴えに対し、被害者の保護、助言・指導・勧告が効果的に行えるよう、相談・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を各区に設置すること。

(9)男女共同参画推進の拠点施設である女性のためのセンターはアミカスに限るのではなく、各区1ヵ所ずつ、低料金で気軽に利用できる便利な場所に建設すること。

(10)増加するDV被害の訴えに対し、必要な体制が追いついておらず、実効ある救済策を確立するため、国に予算の増額を要望すること。あわせて、加害者の犯罪対応と、加害者更正プログラムに関する規定を盛り込むよう求めること。今年改正されたDV防止法に基づき、市として「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護のための施策に関する基本計画」の策定、配偶者暴力相談支援センターを設置すること。休日・夜間の相談体制、心理療法担当職員、子ども連れの被害者のための保育士や学習援助者など、相談・一時保護・自立支援の施策を拡充すること。公営住宅への優先入居や自立に要する費用の補助などをすすめること。不足している母子寮の増設、民間シェルターへの支援の強化、一時保護から自立に向う中間的施設(ステップハウス)の開設・運営への助成を図ること。また、更生と再発防止のために加害者へのカウンセリング、教育などを行うこと。

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9 汚職腐敗を正し、清潔、公正、平和、市民参加の市政を

(1)元助役と元市会議員に懲役刑という実刑判決が下されたケヤキ・庭石事件に見られるように、財界奉仕の大型開発行政のもと汚職腐敗事件が後を絶つことなく異常なほど繰り返されてきた。市当局の再発防止策も効果を上げているとは言えない。政官業の構造的癒着の実態について、市が責任を持って体制もつくり徹底した調査を行い、市役所から汚職を一掃すること。また、市長は市政を歪めかねない財界との不適切な関係は止めること。

(2)政官業構造癒着の根を絶つため、本市の政治倫理条例に企業・団体献金の禁止を盛り込むこと。また本市発注公共事業の受注企業や下請企業への政治資金パーティー券販売の禁止を盛り込むこと。

(3)内部告発制度については、調査主体を第三者機関など外部とし、外郭団体・第三セクター内部からの告発も調査対象とし、告発者の保護についても匿名通報、不利益取り扱いの禁止などを盛り込んだ条例を制定すること。

(4)95に及ぶ外郭団体・第三セクターは、今や必要性そのものが厳しく問われており、特に株式会社への出資については、本当に必要性があるかのチェックを行い、問題のあるところからは出資金を引き上げること。また、博多港開発や都市未来ふくおかなど、無駄な開発を進める第三セクターは積極的に廃止、縮小を行い、その他の団体についても、その運営、事業及び予算の執行について厳正な監査、指導を行い、情報公開をさらに徹底するとともに、そのあり方について抜本的に見直すこと。

(5)市の退職幹部の外郭団体や利害関係のある民間企業への天下りを禁止し、口利き・斡旋に対する規制措置を講ずること。

(6)本市の汚職腐敗は極めて深刻であり、入札制度の改革を行うこと。

  • 今回見直した一般競争入札制度の拡大に伴い、等級区分(ランク制)を厳格に適用すること。施工体制については2次以下の下請けまで契約書の提出を義務付けるなど適正化を図ること。また、談合を排除するために、一定数の入札参加業者の除外や予定価格の決定に抽選くじを導入すること。
  • 一般競争入札制度の拡大に伴い地元中小企業・業者の仕事確保の観点から、工事規模に対応して入札参加資格を限定する「条件付一般競争入札」とするとともに、一定額以下は大企業を排除する逆ランク制度を採用すること。
  • 談合情報が寄せられた場合、入札の延期を行うとともに、疑惑企業を入札から排除した上で参加業者をくじ引きで半数に減らすなどの措置を取ること。談合が判明した場合は、登録を抹消し損害賠償義務を負わすなどペナルティを厳しくすること。

(7)特命随意契約や委託契約及び、プロポーザル方式のあり方については、特定業者と長期に亘る委託契約が継続的に行われるなど公正・公平性が失われており総点検を行い、制度の抜本的な見直しを行うこと。

(8)市民意見募集やパブリックコメントは、意見を聞くだけで政策に反映しないなら意味がない。政策決定に市民意見をとりいれる仕組みをつくること。各種審議会等委員の市民公募枠を新設・拡大すること。また、市民に大きな影響を与える施策や制度など市政の重要事項について、その是非を市民に直接問う機会を設けるため、「住民投票条例」を新設するとともに、法制化を国に要求すること。

(9)福祉や社会教育、文化・芸術、環境保全などの分野で社会貢献の重要な役割を果たしている特定非営利活動(NPO)法人への支援を充実すること。NPO 法人の優遇税制を法人市民税減免だけでなく拡充すること。

(10)本市では、全国の同和事業終息の流れに反し、本年度も1億7,195万円余の予算を計上し同和対策事業の継続を行っている。このような異常な「部落差別」の温存、固定化政策はやめ、真に部落問題の解決を図るため、一般対策の事業も含め、「同和」を要件とする特別な施策は直ちに終結すること。また、事実上市の丸抱えとなっている部落解放同盟福岡市協議会への補助金2,950万円等は直ちに、全額打ち切ること。「校区人権尊重推進協議会」への「同和研修」を強制する市の指導や補助金支出をやめること。

(11)自治協議会との「共働」と称して、行政が補助金をテコに仕事を押し付けたり、介入したりするやり方を改めること。コミュニティ推進員制度と称して地域自治の侵害をしないこと。また市民公益活動推進条例は、市民に対し公益活動への参加協力を強制して思想信条の自由を侵害することや、学校に地域貢献の役割を課すことなど、様々な問題点を含んでおり、廃止すること。

(12)国民保護法は、アメリカの危険な戦争に国民を強制動員するものであり、憲法に反する法律である。市長は、戦争準備体制づくりに反対するとともに、公共施設を米軍・自衛隊に提供したり、市民の土地や物資を強制使用・収用したりすることを盛り込んだ本市国民保護計画を破棄すること。

(13)自衛隊の海外派兵は明白な憲法違反であり、アメリカの無法な戦争支援からきっぱり手を引くべきである。市長は自衛隊のイラクからの早急な撤退を求めるとともに、イラク特措法、テロ特措法の延長や新法制定、「恒久法」化をしないよう国に申し入れること。

(14)在日米軍基地の強化に反対するとともに、市民の願いである板付基地の全面返還を強く要求すること。福岡空港の軍事利用や博多港への米軍及び自衛鑑の入港は市民を危険にさらすものであり、いかなる名目であれ軍事利用を拒否するとともに、博多港に「非核神戸方式」を適用すること。博多港引揚記念展示館、常設の平和資料館を設置すること。また、非核自治体宣言を行うとともに、「福岡市非核平和条例」を制定すること。

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