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政策と活動

2012年度予算要望

2012年度予算編成に関する申し入れ

2011年12月26日

福岡市長 高島宗一郎 殿
福岡市教育委員長 八尾坂修 殿

日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
副団長 星野美恵子
幹事長 中山 郁美
熊谷 敦子
綿貫 英彦

3月11日に発生した東日本大震災と福島原発の過酷事故は、まさに未曾有の国難と言うべき事態となり、日本社会と政治の根本を問うものとなっています。多くの国民が社会と政治のあり方に疑問を持ち、自らの生き方と価値観を真剣に探求しています。そうしたなか、地方自治体にとってもこれまでの方針や政策をおおもとから見直し、住民の命と暮らし・福祉を守ることを最大の使命にすえてまちづくりを進めることが重要です。

いま「1%の大金持ちが支配する社会でいいのか」「私たちは99%だ」とのスローガンを掲げた運動がウオール街から全世界に広がっています。わが国を見ても、大企業の内部留保は260兆円にも及び富の集中が進む一方で、国民の所得は減り続け貧困と格差が拡大しています。「国際競争力の強化」を口実にした外需依存の経済政策を改め、国内需要を喚起させ、国民所得を回復し、家計を応援する政策への抜本的転換が求められています。

ところが民主党・野田内閣は、経済と財政の行き詰まりを消費税増税と社会保障の一体改悪、TPP(環太平洋連携協定)参加などによって突破しようとしています。一昨年の「政権交代」に託された国民の願いは何もかも裏切られ、極端な対米従属と財界奉仕・国民犠牲の政治が「民・自・公」の三党体制で推し進められる、国民不在の異常な政治です。

本市においては、髙島市政発足後1年が経ちましたが、この間、暮らし応援の施策に乏しく、市民生活を脅かす国の悪政に立ち向かう姿勢も見えない一方で、人工島の破たん救済の新たな方策を打ち出したり、こども病院移転問題では不透明な決定過程や人工島のデメリットが多く指摘されたにもかかわらず人工島移転を決定したりなど、自ら掲げた「共感できる政治」とは全く逆の方向に進んでいることがはっきりしてきました。市長が財界関係者の支援を受けて政治資金パーティーを開いたことは、まさに市民よりも財界奉仕の市政へ舵を切ったことを強く印象付けるものです。

わが党は、憲法と地方自治法の精神に立って、福祉・子育て・雇用・地域経済・教育・環境保全の充実など市民生活の応援を基本にした新年度予算を強く要請するものです。

よって、貴職が、2012年度予算編成にあたり、以下の重点要望を実現されるよう申し入れるものです。

以上


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2012年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望

1 市政運営の基本について

(1)日本国憲法の五原則(主権在民、恒久平和、基本的人権の尊重、議会制民主主義、地方自治)を真に生かした国づくりが求められており、9条を生かした平和外交、25条に基づく社会保障拡充は国民的要求である。市長が憲法をどのように捉えているのかは市政運営の基本に関わることであり、あいまいにすることは許されない。憲法遵守、改憲反対の意思表明を明確にすること。

(2)野田内閣が閣議決定した2012年度予算案は、老齢年金、障害年金、児童扶養手当などの削減、介護保険料大幅値上げ、子ども手当削減と年少扶養控除廃止など社会保障を切り捨て、国民の暮らしに背を向ける一方で、将来の消費税増税を先食いする「交付国債」を発行し、大企業と富裕層減税を温存するとともに、1隻1,200億円の「ヘリ空母」を増備するなど軍事費を増額し、東京外郭環状道路や八ツ場ダム、胆沢ダムなど大型開発を復活させ、原発推進関連予算を4,200億円も計上するものであり、国民の暮らしを破壊し、内需をさらに冷え込ませ、経済も財政も悪化させるものである。まさに民主党の2009年総選挙公約の総くずれで、自民党政治を継承するものとなった。市長は国に対し、世界の流れとなっている富裕層への課税をはじめ、歳出・歳入の徹底的な改革によって財源を確保して、福祉と暮らし、地方向けの予算を拡充するよう要求すること。また、市民に重い負担と我慢を強いる「消費税増税と社会保障削減の一体改悪」に反対すること。

(3)「福岡市総合計画」と行財政運営のあり方について

  • 市長は「新ビジョン」検討として「25年後の福岡をどのようなまちにしたいか」というテーマで意見聴取を行ったが、これらを「アジアのリーダー都市」づくりの推進材料として、開発路線や財界奉仕の市政を具体化することは問題である。総合計画の策定にあたっては、住民の福祉の増進という地方自治体の役割を果たすことを基本にすえ、市民の暮らしの願いを取り入れる仕組みをつくるとともに、大型開発推進路線をやめ市民生活最優先に切り換えることを新年度予算編成の基本とすること。
  • 現行「財政リニューアルプラン」は市民生活よりも市債残高縮減を優先することを基本にしており、これを継承した高島市政も「選択と集中」などとして、借金財政のツケを市民に押し付けている。市民犠牲型の同プランは一部見直しではなくきっぱり廃止し、市民負担増に頼らない財政再建策を検討すること。
  • 「行政改革プラン」は自治体としての役割と責任を放棄する「自治体リストラ」とも言うべきものであり、「費用対効果」「コスト縮減」を旗印に民営化や民間委託、PFI手法、貴重な公有財産の売却、職員削減などを推進することは市民サービス切り捨てにつながるものであり許されない。同プランを廃止すること。
  • 「事業仕分け」は、その対象から重点事業と公約事業が意図的に除外されているため人工島などのムダにメスが入らない一方、福祉や市民生活関連の事業を当事者抜きで切り捨てるものであり、やめること。

(4)市職員「削減計画」と労働条件等について

  • 本市職員数は市民一人あたりで政令市最低となっており、これ以上の削減は職員に労働強化と過重負担を強いて、市民サービスを低下させるものに他ならず、削減計画を廃止すること。
  • 慢性的な人員不足のもとで市職員は長時間・過密労働に苦しみ、精神疾患も多く、また連続する給与引き下げによる生活への影響も深刻であり、改善は急務である。職員が「全体の奉仕者」として公正で民主的な行政業務に専念し、心と体の健康を保持できるよう、区役所や福祉関係、教育、防災など必要な部署を増員し、嘱託・臨時職員を定数化するとともに、サービス残業を根絶し、給与引き下げをやめるとともに超過勤務手当は実態どおり支払うなど、賃金・労働時間などの労働条件を改善すること。
  • 税務職場における派遣社員導入は「クーリング期間」を悪用した脱法行為であり、ただちに中止し、本市正規職員を配置すること。また、コールセンターなどの民間委託については偽装請負の疑いもあり、やめること。

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2 原発事故と自然災害から市民を守る対策の強化を

(1)原子力事故から市民を守るために

わが国最悪となった福島原発事故が起きたことによって、原発事故は他の事故には見られない異質の危険があること、現在の原発技術が未完成で危険なものであること、世界有数の地震国・津波国に集中立地することの危険性、安全神話によって重大事故への備えを怠って深刻な結果を招いたことが明確になった。福岡市から最短で37kmに位置する九州電力玄海原発は、運転開始から36年経ち原子炉圧力容器の劣化が異常に進んでいる1号機や老朽化の2号機、プルサーマル発電の3号機、冷却水漏れ事故を起こした4号機といずれも深刻な問題を抱えており、いつ過酷事故が起きてもおかしくない状況が続いている。ところが九電は安全神話にしがみつき「やらせ」事件を起こしたり、事故を隠ぺいしたりするなど全く無反省のまま原発を再稼働しようとしている。安全な原発などありえないことを前提に、原発事故から市民を守るための厳格な対応が市長に求められる任務である。

  • 市として九電と国に対して、玄海原発の4機すべての再稼働中止と早急な廃炉を強く要請すること。
  • 本市の原子力事故地域防災計画は、原子炉破裂など最悪規模の事故も想定した避難計画を策定するとともに、国まかせでなく市独自に避難指示が出せるよう専門機関を設置すること。
  • 九電と締結する原子力安全協定は、事故後対策だけでなく、立ち入り調査や施設の変更などに対する事前了解など厳しい内容を盛り込むとともに、締結に向けた協議を公開すること。

(2)脱原発について

  • 国に対し、原発依存のエネルギー政策から撤退して「原発ゼロの日本」をめざす政治的決断をおこなうよう強く要請すること。
  • 市として「脱原発宣言」を行い、エネルギーの「地産地消」をめざし、市内における再生可能エネルギーの拡大と低エネルギー社会の促進に力を入れること。再生可能エネルギーによる発電量目標を定めること。市有施設を活用した太陽光、風レンズ風車などの風力、小水力などの発電を拡大すること。
  • 住宅用太陽光発電システム設置を飛躍的に増やしていくために補助金額を増額し、希望数に対応した予算を確保するとともに、国と県に財政措置の拡大を要請すること。

(3)食品の放射能汚染について

  • 福島原発事故による食品の放射能汚染について、市民の間に不安が広がっている。国の検査をすりぬけた食品を市内で流通させないために、飛び抜けて高い線量のみを測る簡易の検査も含め、不安を持った市民が食品を持ち込めるよう市として独自に検査機器と体制を整備すること。また、国に機器購入への補助を求めること。
  • 本市として、放射線被曝に「しきい値」はなく、「少なければ少ないほどよい」という放射線防護の大原則に立ち、国の食品の暫定規制値をたえず引き下げへ向けて見直すよう、国に求めること。

(4)福島原発事故による放射能に汚染されたがれきの処理を本市が受け入れることに市民の不安が高まっており、原則受け入れを拒否すること。

(5)地震・津波対策の強化について

中央防災会議は、「国民の生命と財産を守るという行政としての根幹的な責務を十二分に果たす」ため「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波」に対する対策をたてるべきだとしている。本市でも、東日本大震災の厳しい教訓を、真摯に受け止め、地域防災計画の見直しとあわせ、早急な地震・津波対策を講じる必要がある。

  • 警固断層は、日本国内でも地震発生の可能性が高い活断層に分類されている。この活断層が市内中心部を含む人口密集地帯を通過するにもかかわらず、本市の警固断層帯の地震や被害想定は、3年間かけて国の地震調査研究推進本部が行う調査結果待ちで、当面「現況のまま」としていることは許されず、市として早急に見直しを行うとともに、建築物の耐震化をはじめ、災害情報の伝達体制、避難体制づくり等々、ハード・ソフトの災害対策の具体化に早急に取り組むこと。
  • これまで本市は、博多湾には津波の影響はないとしてきたが、福岡県の11月7日発表の調査によれば、対馬海峡東の断層でマグニチュード7-8級の地震が発生した場合、干満差の考慮なしで、本市の西区や東区で2m超の津波がくるとの予測がされている。海岸保全施設等のハード対策に取り組むとともに、危険性と避難方法を住民に徹底するなど、被害を最小限にくいとめるための施策に早急に取り組むこと。
  • 荒津の石油コンビナートや、西戸崎の石油タンク、東浜のガスタンク等の危険物貯蔵所施設の耐震化率は58%に過ぎない。早急に全体の調査を行い、耐震対策と津波対策を徹底し、安全性を確保すること。
  • 地域での高齢者等弱者救済体制を市が責任を持ってつくり上げ、地域での日常的な防災訓練に活用するなど日常不断に地震対策の連携を図ること。
  • 市有の既存公共施設の内、35棟4,247戸の市営住宅をはじめ未だ72施設の耐震改修が残されている。災害時に被災者を受け入れる公共建築物の耐震化は喫緊の課題であり、2015年度までの解消計画を前倒しして早急に取り組むこと。
  • 民間建築物耐震化促進事業耐震改修助成の活用状況をみると、本市の旧耐震基準の木造住宅は約65000戸にものぼるにもかかわらず、ここ4年間の助成件数はわずか40件前後にすぎず、また共同住宅の同助成にいたっては4年続けてまったく活用されていない。補助額の引き上げや、人命救済のための耐震ドア、耐震ベッド、窓や屋根の補強等だけでも活用できる等、助成要件を緩和し、民間建築物の耐震強化の促進を行うこと。また広報も強めること。
  • 老人や障害者福祉施設など公共性の高い民間社会福祉施設に対し、耐震対策の重要性についての指導・助言を行うだけではなく、耐震化を強く促すために、市として助成制度をつくること。
  • 建物構造の耐震化だけでなく、大規模集客施設における天井や照明などの付帯施設の地震対策についても万全を期すよう指導を徹底すること。

(6)市内に783か所もある急傾斜地崩壊危険地域について、解消されたのは県が特に危険だと認定したわずか30ヶ所の内の28カ所のみである。集中豪雨発生などによる危険は一層高まっており、地権者の協力も得ながら、県に指定区域の拡大を求めるとともに、市としても積極的な取り組みをすすめ、早急な解消につとめること。

(7)本市の消防力の整備状況は、国の指針に照らしてポンプ車は3台不足し充足率91.2%しかない状況が続いており、また人員の充足率も予防要員は昨年を下回る80.1%、要員全体平均でも89.2%しかなく、札幌市の102%や静岡市の99%等と比しても政令市で低い方となっている。市民の命を守る上で重要な消防力であり、早急に増車・増員すること。また救急救命士も大幅に増員すること。

(8)河川水害対策について

本市では、近年発生している集中豪雨等によって那珂川、樋井川などで河川決壊、溢水などによる浸水被害が発生した。市民の命と財産を守る自治体の役割を果たすために災害防止対策の充実が求められている。

  • 市街地を流れる那珂川の水害対策等については、県が2010年度からおおむね5年間の事業として行っている「床上浸水対策特別事業」の事業期間の短縮と「広域基幹河川整備事業」を早期に完成させるよう、県と国に要求すること。また内水排除を進めていくためにも貯留池などの施設整備を行うこと。さらに、若久川については、河川と護岸の嵩上げや河床掘削、バイパス雨水管、若久団地内に調整池の整備など浸水防止対策を具体化し、早期に事業化図ること。
  • 樋井川の浸水対策については、「床上浸水対策特別事業」で行っている河床掘削や護岸整備事業の短縮を県に求めるとともに、当仁中学校跡地や小学校、公園などの公的施設を活用して、地下貯水施設等を早期に設置すること。また、浸水被害にあった田島、鳥飼、長尾地域での浚渫など改修を急ぐとともに、上流域での浸水対策については、公共施設などを活用した調整池やバイパス雨水管などの整備を早急に具体化させること。
  • 周船寺川の河川改修事業については、全体事業約156億円に対し、平成23年度末の進捗率が37%で、約98億円の残事業があり、計画の前倒しで河床掘削や護岸整備を急ぐこと。
  • 須恵川・宇美川流域の松島校区の浸水対策については、河床掘削や護岸の嵩上げなど河川改修事業の推進を県に要求すること。
  • 天神周辺地区では、一旦浸水被害が発生すれば甚大な被害が想定され、その浸水対策は緊急性が求められている。雨水整備レインボープランとして進められている雨水幹線整備や貯留施設、浸透施設等の前倒し整備を早急に行うこと。また下水道の分流化についても年次計画を立て事業を推進すること。

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3 国保・医療・年金・介護・福祉・障害者施策など社会保障制度の充実を

(1)国民皆保険制度の根幹である国民健康保険制度の充実について

  • 本市の国保世帯は、年所得200万円以下の低所得者がその約82%を占め、更に国保世帯の平均所得は5年間で25万円も減少し今年度は85万円となっている。そのような中、所得割算定基礎額233万円の3人世帯で 429,000 円という本市の高い保険料が「払いたくても払えない」事態を生み出し、保険料滞納は、5万4008 世帯と全被保険者(22万4329世帯)の約4分の1世帯にのぼる等引き続き深刻である。5年連続で取り組まれてきた保険料引き下げ請願署名は累計で30万筆を超えており、市長は一般会計からの法定外の繰入額を大幅に増やして2012年度保険料を全世帯で大幅に引き下げること。
  • 本市の保険料が異常に高くなっているのは、保険料の未納見込分(31億円)、高額所得者の賦課限度額の超過額(48億円)等を保険料に上乗せしているからである。必死で保険料を納めている方の保険料にこのような上乗せをすることは許されず、「上乗せ方式」をやめること。
  • 国にたいして、この間、30%台に引き下げられた国庫負担割合を元に戻すよう要求するとともに、本市の収納率低下等に係る不当なペナルティカット(交付金削減)をやめるよう求めること。
  • 治療費が窓口全額自己負担となる「資格証明書」の発行は、14,000世帯以上、加入世帯の5.7%にも上り全国最悪となる中、受診を我慢して命を落とす事態も起こっている。面談できないことを理由に「特別な事情」を調査しないまま機械的に資格証を発行するやり方は許されず、全ての国保世帯に保険証を交付して市民の医療を受ける権利を保障すること。
  • 本市の保険料減免世帯比率はわずか6.2%に過ぎず、極めて低い水準にある。市独自減免制度については、当面、「所得の減収が前年比20%以上」に適用するよう元に戻して改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して、適用対象をひろげること。
  • 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用がわずか4件という異常な事態となっている。担当部署での周知徹底を図るとともに、市政だより等も活用して広報し、必要な世帯の活用を促進すること。また、負担金が1万円以上になる場合という制限は撤廃すること。
  • 本市における国保料滞納者に対する差し押さえは、05年度111件(約5,600万円)から2010年度1921件(約7億4000万円)と13倍にも増えている。預金4円、年金や子どもの学資保険までも差し押さえる冷酷、異常なやり方はやめること。

(2)後期高齢者医療制度について

  • 後期高齢者医療制度は、民主党の公約に反し未だに廃止されず、75歳以上の大多数を今後都道府県単位に広域化するとしている国保に入れ、あくまでも別勘定にする「新制度」に改変されようとしている。その内容は、70~74歳の患者窓口負担を2倍化、75歳以上の保険料軽減措置の段階的縮小等、国の負担を減らし、さらなる負担を高齢者に押し付け高齢者を一層差別するものとなっている。医療抑制や保険料滞納を余儀なくされている高齢者をこれ以上苦しめることは許されず、同制度は「新制度」への移行ではなく直ちに廃止するよう国に求めること。
  • 高い保険料が払えず、滞納したお年寄り4,109人の内、1,299人が正規の保険証を取り上げられ短期証となっている下、来年度、再来年度の保険料が更に一人あたり年額5000円引き上げられようとしている。あらゆる手立てを取り保険料負担を軽減するとともに、お年寄りを医療から排除する短期証発行はやめるよう広域連合に求めること。
  • 75歳以上の高齢者の医療費負担が重くなっており、無料にすること。

(3)こども病院の人工島移転計画について

市長は「こども病院移転計画調査委員会」における人工島移転の「決定過程に問題があった」「地震で孤立するリスクの高いのは人工島」等の意見を無視し、調査終了直後、人工島移転を「決定」した。

  • 市長は「人工島では液状化は起こらない」「地震・津波対策として非常用電源を上層階に配置する」等として災害対策は万全かのように描いているが、これは「大規模な地震の際には新しい埋め立て地では何が起こるかわからない」「孤立のリスクが一番高い人工島に病院をつくってはならない」等の専門家の意見を無視するものである。また、市長は「現地周辺に新たな小児科を整備することを医師会に依頼した」とあたかもこども病院の機能を代替できるかのようにしているが、医師会内部では何ら具体的な検討はされていないものである。「人工島に移転すればかかれなくなる」「一番災害に弱い人工島はやめて欲しい」という患者家族、市民の願いを踏みにじり、子どもの命を守るこども病院としての機能を果たせなくなる人工島移転「決定」に対し「またも市長に騙された」と市民の怒りはひろがっており、議会への請願も行われている。従って市長は、こども病院を交通アクセスが悪く、最も浸水リスクの高い脆弱で危険な人工島へ移転する方針は撤回し、安全性の高い場所への整備計画に変更すること。
  • 現在係争中である「こども病院の人工島移転先用地売買代金返還等請求」住民訴訟において原告側が申し立てた調査嘱託に対して、現地建て替え経費を市が1.5倍に水増しした経緯についてのゼネコン3社からの回答がこれまでの市当局の説明と食い違っているにもかかわらず、市長は何ら調査しようとしていない。これは市長選挙における「決定過程のプロセスを明らかにする」「一度時間を巻き戻し全面的な見直しをする」という市民との約束を裏切るものであり、市長はゼネコンヒアリングの経緯について市の関係者に対する徹底調査を行い、市民に明らかにすること。
  • 独立行政法人市立病院機構が契約した新病院整備をPFI方式で担う業者の代表企業は、受託していた市の指定管理における契約違反を行っていたという重大な事実が発覚した。その情報が伏せられたまま有識者委員会で選定作業が行われたことは不当であり、業者選考をやり直すとともに、併せて過大な駐車場計画、病院の敷地面積、ベッド数等の規模そのものを見直すこと。

(4)医療制度の改善について

  • 高齢者をターゲットにした自己負担の引き上げと保険給付の削減、診療報酬の抑制、療養病床の38万床から22万床への削減など、受診抑制と入院患者追い出し等、国民の命と健康に重大な影響を与え、大量の「医療難民」「介護難民」を生み出してきた医療改悪を元に戻す取組みは進んでおらず、逆に国は窓口定額負担の導入や70~74歳の患者負担の2倍化を検討している。国に対し、患者の負担軽減と診療報酬引き上げ等を図り、国民の医療を受ける権利を保障するよう要求すること。
  • 今日、産科・小児科など深刻な医師不足によって、救急患者の「たらい回し」が起こる等、地域医療が危機に瀕している。国に対し、抜本的に予算を増やし診療報酬を大幅に引き上げるとともに、不足しているNICU増床など周産期医療体制の充実、医師や看護師等の養成・確保を図るよう要求すること。

(5)真に安心できる年金制度の確立について

  • 民主党は「特例水準の解消」を口実に支給額を3年で2.5%引き下げる法案を来年通常国会に提出するとともに更に毎年0.9%ずつ連続的に引き下げ、支給開始年齢は引き上げることを検討しようとしている。国民の最低限の生活を保障する国の責任放棄は許されず、年金額の削減と支給開始年齢引き上げ計画を中止するよう、国に強く求めること。
  • 国連の社会権規約委員会は、わが国の公的年金には最低保障が存在しないことへの懸念を表明し、公的年金の最低保障制度を取り入れるべきだと勧告をおこなっている。国に対し、最低保障年金制度を創設するとともに消費税をその財源としないよう求めること。
  • 保険料を25年以上納め続けなければ1円も年金が支給されないという受給条件は異常に厳しいばかりか、元々少ない給付が更に減らされようとしている。年金受給のための条件を「10年以上」へとただちに引き下げるとともに、無年金者、低年金者の救済対策を要求すること。また申請しなければ年金がもらえない制度を改めるよう求めること。
  • 特別障害給付金支給制度は、その支給対象を広げ全ての無年金障害者に対して適用されるようにするとともに、障害基礎年金と同額に引き上げるよう要求すること。また障害基礎年金の支給要件緩和を求めること。

(6)介護保険制度の改善について

  • 重い保険料、利用料負担により必要な介護が受けられない実態がひろがる中、民主党がまとめた社会保障「改革」案は要支援1、2の人や年収320万円以上の人の利用料を2倍、65歳以上の人の保険料の月1000円引き上げ、「生活援助」の基本時間の60分を45分に縮減等、大幅な負担増の一方サービスは削減するという重大な内容となっている。市長は、現在検討中の制度改悪を中止し、国庫負担割合を現在の50%から少なくとも60%に引き上げ、国の制度として低所得者のための保険料、利用料の減免制度をつくるよう国に求めること。併せて要介護認定や利用限度額は廃止し現場の専門家の判断で必要な介護を受けられる制度に改善するとともに、「生活援助」等の給付制限をやめるよう国に求めること。
  • 本市の介護保険第5期計画においては一般会計からの繰り入れも行い保険料の引き下げを図るとともに、当面市独自の利用料減免・助成制度を設けること。
  • 特別養護老人ホーム等の居住費と食費の全額自己負担によって入所者が負担増に耐えられず、退所等を余儀なくされている。国に対し、こうした利用者負担を軽減するよう要求するとともに、本市では特養施設や小規模多機能施設、ショートステイ、デイサービス等の食費等に対する減免制度を設けて救済するなど、低所得者対策を拡充すること。
  • 本市の特別養護老人ホーム待機者は、施設に申し込んだ人だけを調査対象にし、回答が無い方の分は勝手な推計値を使う等、杜撰かつ意図的な調査によって昨年の7517人から一気に3500人へと減らされた。更に緊急に必要な整備数について要介護3以上や居宅、単身等の条件をつけて3カ年で1100人分とする等、今後の整備計画は極めて問題のあるものとなっている。市長は早急に実態を正確に把握するとともに希望者全員が速やかに入所できる待機者解消計画を策定し、土地の無償貸与等も行い遅くとも3年以内で待機者解消を図ること。併せて、介護療養病床の廃止方針の完全撤回を国に要求するとともに、生活支援ハウスの増設やグループホーム、宅老所などへの支援強化を図ること。
  • 相次ぐ介護報酬の改悪によって、事業所の運営は悪化し、現場の介護労働者の賃金体系も抜本的な改善が図られず、離職者が相次ぎ慢性的な人材不足を招いている。介護報酬とは別枠での公費投入による賃金の大幅引き上げの実現とともに、介護報酬の大幅な引き上げを国に求めること。その際、保険料上昇につながらないよう引き続き国費で措置し増額するよう求めること。また、本市において介護施設職員の人件費に補助を行う独自制度を設けるなど介護人材確保のための方策を講じること。
  • 高齢者の介護ニーズ把握やサービス提供にとって重要な役割を果たすとともに、各種情報のセンターとなる地域包括支援センター(いきいきセンター)の人員不足が深刻となっており、人員増、体制強化のための手立てを急ぐこと。

(7)高齢者など個人給付等の拡充について

  • 老人医療費助成制度を復活するとともに、大幅に縮小された敬老金及び敬老祝品支給を元に戻すこと。また、老人クラブの補助金を増額すること。
  • 本市の高齢者乗車券制度は所得制限を撤廃し、全ての高齢者に交付するとともに、給付額も増額してお年寄りの生き甲斐である社会参加を促進すること。併せて、渡船料の65歳以上高齢者無料制度を復活すること。

(8)国民の死因の第一位である癌に対する終末期医療患者の緩和ケア施設(ホスピス)が不足しており、国や県に増設のための手立てを要請するとともに、民間病院のホスピス等を促進するための補助制度を創設し、ボランティアへの支援を強化すること。

(9)本市原爆被害者の相談事業を維持・強化するための運営費補助を拡充するとともに、福祉プラザの駐車場使用料を全額免除すること。被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付すること。また、国や県に対し、被爆二世の希望に応じて「被爆二世健康手帳」を交付し、被爆者援護法に定める健康管理手当支給の疾病について被爆二世の希望者に医療費の助成をおこなうとともに、原爆症認定を被爆者の実態にあった方法に改善するよう求めること。被爆実相証言・原爆展等の開催について、ふくふくプラザだけでなく市の公共施設・公民館などを積極的に提供するとともに、市としても積極的に開催すること。

(10)アスベストは市内でも吹付けだけでなく成形板として多く建築資材に使われながら、解体・改修工事において野放しに近い状態にあり、本市も実態を把握していない。市としてアスベスト成形板を使っている建築物の調査費用や解体・改築の工事費用への補助をおこなうこと。成形板をふくめ、アスベスト含有建材の石綿障害予防規則の立場で安全な処理を徹底させ、少なくとも市のかかわる公共施設の工事では厳格に守らせるとともに、廃棄場を確保すること。成形板をふくめアスベストを扱う建設労働者の防塵マスクの普及につとめ、市内業者への購入補助をおこなうこと。成形板をふくむアスベストの被害や対策について市民に周知や広報を強化すること。国民健康保険の特定健康診査の問診において職種や経歴に応じて石綿被害を明らかにできるように対策をとること。

(11)薬害C型肝炎に関し、すべての被害者の救済をはかり、製薬企業にも謝罪・補償・再発防止をおこなわせるなど、全面解決にとりくむよう、国に求めること。また、薬害B型肝炎に関しても、国に対して、すべての被害者を救済し、肝硬変や肝がんへの医療費支援など恒久的肝炎対策をおこなうよう求めること。

(12)福岡市においても、いまなお水俣病で苦しんでいる人が多いが、専門的な知見をもった医療機関が限られ、他県へ出向くことは大きな負担となっており、福岡市の責任で相談窓口や検診体制の確立を図ること。また、水俣病被害者救済法に基づく患者の救済について、申請を打ち切らないよう国に求めること。

(13)市民の保健・衛生向上を促進すること

  • ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンの接種について、安心して受けられる体制を整備しながら、国の負担での定期接種化を求めること。
  • 本市の「特定健診」および「特定健診指導」は、加入者の受診率や利用率が極めて低く、出前健診など周知・徹底を図り促進すること。また、一定の目標に達しない場合、「医療費適正化」の名のもとに行われる国のペナルティカットする制度を導入しないよう今後も国に要求すること。

(14)食品の安全性を確保すること

  • 輸入食品の検査人員の大幅な増員をはじめ抜本的な対策強化、BSE(牛海綿状脳症)対策にもとづく米国産牛肉の輸入規制の緩和の中止、および安全のための正確な情報を消費者が知るために食品の表示を統一的におこなう法律の制定を、国にたいして求めること。
  • 「福岡市食品衛生監視指導計画」では、業種、施設ごとの標準監視回数はAランクでわずか年2回、3万件を超える対象施設に食品衛生監視員は実働54人と極めて貧弱である。したがって、食品偽装を未然に防ぎ市民の食の安全を守るため、食品衛生監視員や監視回数を大幅に増やすこと。

(15)生活保護行政を充実すること

  • 2010年4月公表された厚労省の推計調査によると、生活保護水準以下で暮らす人のなかで生活保護を受けられている人の割合(捕捉率)は15.3%に過ぎず、本市では13万世帯が保護基準以下の生活を余儀なくされていることになる。行政窓口での資料設置やライフライン事業者まかせの要保護者の把握は本来保護が必要な人を救済するためにはまったく機能しておらず、同推計調査に基づく厚労省「通知」(2010年4月14日付)にそって、市政だよりや広報番組の活用など、憲法25条で保障された権利としての生活保護制度の啓発や周知徹底を抜本的に強化すること。
  • 貧困と格差が大きな問題となる中で、本市においても生活保護世帯が前年10月度比6.7%増の2万9648世帯となり、深刻な事態となっている。市長は、政府に対し、保護基準を抜本的に引き上げるとともに生活保護費を全額国庫負担にするよう要求すること。
  • 2006年の生活保護老齢加算の廃止によって、高齢者は食事回数を減らしたり、水光熱費や冠婚葬祭等交際費の節約などを強いられ、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」をも営めない深刻な実態にある。2010年4月、福岡高裁は「老齢加算廃止は違法」との判決を下しており、市長は国に対し、直ちに老齢加算の復活を要求すること。
  • 生活保護申請が急速に増大するなか、本市の体制は国のケースワーカー配置標準数「80対1」をはるかに上まわる「100対1」となっており、現場に多大な困難をもたらすなど実態に合っていない。不安定な嘱託職員や任期付短時間勤務職員等で間に合わせるのではなく、標準数を満たすよう、安定した身分の専門ケースワーカーを大幅に増員して、迅速で親身な対応ができるようにする。また、現場では行政側の人権無視の対応が続発しており、研修などによって、憲法・生活保護法および2010年4月14日付通知の趣旨に沿った対応を徹底すること。保護決定は14日以内の法定期限を厳守すること。
  • 猛暑のもと、生活保護世帯は冷房費を無理に節約させられ、体調を壊す事態が続出している。国に対して、生活保護の夏季一時扶助費の新設と期末一時扶助費の大幅増額を求めるとともに、それが実現していない現状では、国の生活保護とは別に、市独自の「福祉手当」を創設し、夏期・年末にそれぞれ支給すること。
  • 生活保護は市民の「最後のよりどころ」であり、「面接」「指導・助言」を口実に不当に保護申請を排除することは許されず、必要な申請用紙を各区福祉事務所のカウンターに常設して自由に申請できるようにし、申請権を保障すること。資産調査のさいの本人・家族の同意書は一括としないこと。生活保護申請に必要なものは申請書のみであることを明確に告げ、本人の意思に反した履歴書の提出はおこなわせないこと。受給後の予告なしの訪問調査はしないこと。病気や年齢等を無視した就労指導、扶養義務や辞退届けを「協力」の名で行政側が強要するケースや、「後で収入として申告する」よう行政側の指導に従ったにもかかわらず、あたかも不正受給であるかのように問題視される事例が現場では後をたたず、実施要領の立場で厳正におこなうよう現場で徹底すること。保護費の支給明細書を受給者本人に分かるように改善すること。
  • ローン付き住宅を保有している人についても、『生活保護手帳』(別冊問答集2009年)でも条件によっては生活保護の適用を「差し支えない」としており、一律に適用しないような機械的な態度はとらないこと。
  • 公立高校の所要額を目安にしている「高校就学費用」は極めて不十分であり、私立高校への進学を困難にするばかりか、授業料・入学準備金・修学旅行費など不足額を「生活扶助費」やアルバイト料等で補填しなければならないのが実態である。国に対し、基準を抜本的に見直し増額するとともに、大学、専修学校等への進学者については強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方をやめるよう要求すること。
  • 保護世帯がいつでもどこでも安心して医療を受けられるために、現行の医療券方式をやめ、健康保険証のような「医療証」に改善するとともに、入院治療に必要な寝巻き・オムツ等の支給制限をやめさせること、また、長期入院被保護者の実態を無視した6ヵ月以内の強制退院を強要しないこと、および入院中の住宅扶助打ち切りをやめることを国に求めること。
  • 求職活動の交通費は無条件に支給すること。また、医療費の交通費について、実費に対して行政側が勝手に費用を算出して「抑制」したり、本人の実態を無視して医療機関をかえさせたりするケースが増えており、本人の意思を尊重し、医療をうける権利を阻害することのないように支給すること。
  • 生活保護受給者があんま・マッサージの申請をしたときに、福祉事務所がこれを断るケースが生じているが、「必要な場合は必ず正しく扶助する」というのが市の立場であり、かかりつけの担当医師が治療上の必要を判断した場合、受けられるよう現場に徹底すること。
  • 生活保護の有期制化、職業訓練に一度でも欠席すれば保護を打ち切られるなど求職者支援制度の活用を保護の受給要件化、生活保護世帯の医療費自己負担の導入、保護受給者の意に反した「奉仕活動」の強制などの4点をやめるよう、国に求めること。

(16)ホームレス対策を強化すること

  • 市内のホームレスは270人と減少したものの、依然として雇用悪化の影響で事態は深刻である。すべての区役所で生活保護の申請ができるようになったが、現実には受け付けない事例があり、徹底をはかること。
  • 就労自立支援センターに続き、一時保護・自立支援センターを早急に整備するとともに、民間ボランティアやNPO支援団体への補助金を大幅に増額すること。また、ホームレス保護受給者を食い物にする「貧困ビジネス」(囲い屋)等については、実態を調査・把握し適正に対処すること。
  • 急迫保護入院の場合、退院即打ち切りでなく、療養が継続できるよう居宅の確保や就労の斡旋などの抜本的な自立支援策を講じること。ホームレス患者受け入れ医療機関への入院協力金を増額すること。

(17)障害者施策について

  • 今年7月の障害者基本法改正を受け、障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会において「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」が取りまとめられた。通常国会に提出予定の障害者福祉法(仮称)については「障害のない市民との平等と公平」「障害の種別間の谷間や制度間の空白の解消」「本人のニーズに合った支援サービス」等を掲げた提言を最大限尊重し、反映させるよう国に求めること。
  • 障害者自立支援法が明確に廃止されるまでの間、本市においては、市独自の負担軽減制度を継続・拡充すること。また、本市障害者福祉計画は応能負担を原則に当事者の意見を反映させ抜本的に見直すこと。事業所報酬単価の大幅引き上げと月額計算方式の早急な復活を国に求めること。
  • 国や本市の施策が不十分な中、重度障害者の経済的困難がひろがっており、本市の重度心身障害者福祉手当は貴重な越年支援給付となっている。本手当について本市が行ったアンケートは手法、内容ともに障害者の人権を踏みにじるものとなっており撤回し、制度は無条件に存続すること。重度心身障害者医療費助成制度については所得制限を撤廃すること。
  • 小規模作業所への土地家屋借り上げ料補助について月額3万円という限度額を大幅に引き上げるとともに、法定制度移行の如何に関わらず補助制度の充実を図ること。地域活動支援センターに対する国庫補助金を実態に見合った水準に引き上げるよう国に求めること。
  • 重度障害者の入院中ヘルパー介護について、「コミュニケーション支援」事業と位置付け直ちに実施するとともに、就学前障害児のホームヘルプ利用については必要な時に使えない厳しい要件審査をやめて改善すること。
  • 精神障害者に対するJRや西鉄等の交通運賃割引、市営渡船の運賃割引を他の障害者と同等に実施し、格差をなくすこと。福祉タクシーのチケットは移動手段の選択幅をひろげ、ガソリンチケット制を設けること。
  • 地域生活に移行するための大切な「受け皿」となる精神障害者グループホーム等への設置費、運営費補助は実態にあっておらず、大幅に増額して施設増設を推進すること。
  • 障害者の雇用について、本市職員の採用を抜本的に増やすとともに、民間企業に採用増を要請し、そのための補助制度をつくること。
  • 障害児・者の日常生活・補装具の購入に対する国の給付が不十分な中、経済的負は大きいものがあり、市独自に支援制度を創設すること。
  • ガイドヘルパーによる病院内移動や散歩、政治活動、宗教活動等の移動支援について他の自治体では認められているにもかかわらず本市では厳しく制限・排除している実態について、当事者はもちろん識者からも障害者に対する基本的人権侵害だとの厳しい批判の声が上がっている。プライバシー侵害にもあたる利用者の細かい利用報告書の提出義務付けを含め、異常なあり方を改善すること。
  • 視覚障害者にとって重要な誘導ブロックの破損や危険な構造を改善するとともに、自転車の危険走行等によって安全をおびやかされている視覚障害者等の安全を守る手立てを検討すること。
  • 須崎公園のステージにスロープが設置されていない等、バリアフリーの遅れた公共施設について早急に改善すること。

(18)高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、水道・下水道・ごみなど公共料金等の福祉減免をおこなうこと。低所得者に対する住民税などの独自減免を促進すること。

(19)多重債務者への支援を強めること。ヤミ金対策を関係機関と連携して強化すること。低利の生活福祉資金貸付制度や緊急小口資金貸付制度を抜本的に拡充するなど、個人向け、離職者向け、個人事業者向けのセーフティーネット貸出制度を拡充すること。

(20)高齢者や生活困窮の世帯の孤立化をふせぐ重要な役割を担っている地域の民生委員・児童委員を増員するとともに、費用弁償の増額を国に求め、当面市独自の上乗せ分を増額するなど待遇の改善を図ること。乳幼児を持つ家庭を全戸訪問する「すこやか赤ちゃん訪問事業」を民生委員だけに担わせることは無理があるため、保健師や助産師などの専門家を基本にするなど、民生委員の業務内容を見直すこと。

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4 人工島など大型開発をやめ、生活優先のまちづくりへ転換を

(1)人工島事業について

アジアの交流拠点都市づくりと称して、人工島事業は17年前の1994年に4,600億円の事業費で計画、着手された。しかしながら、土地処分が計画どおりに進まず、サイエンスパーク、中華街構想など二転三転し、この間4度目の見直しが行われた。これまでも見直しごとに破綻救済に莫大な税金が投入されてきた。髙島市長は12月5日に人工島事業の課題を再検討し、新たな破たん救済策を打ち出そうとしている、アイランドシティ・未来フォーラムからの提言を受け取った。売れる見込みのない土地をつくり続け、売れない土地の処分のために限りない税金投入を続ける人工島事業は完全に破たんしており、事業推進は許されない。

  • 本市のコンテナ貨物取扱量について、2015年度に100万TEUの目標は可能だとして港湾整備しているが、この間の実績から目標に届かない事は明らかであり、新たなコンテナターミナルは必要ではなく、D岸壁の整備はやめること。またみなとづくりエリアはこの4年間、青果市場用地を除き1件も分譲処分がなく、需要がないのは明らかであり市4工区事業は凍結すること。
  • アイランドシティ・未来フォーラムでは土地利用計画について、効果的な公共投資により都市の建設を積極的に先導するとして、大型コンベンション、体育館、都市高速道路の延伸の早期整備、鉄軌道の整備が提言されている。さらなる莫大な税金と公金の投入となる無駄な大型開発事業はやめること。また、こども病院、青果市場の移転をやめること。
  • アイランドシティ・未来フォーラムでは、低迷を続ける経済情勢を背景に、土地の取得に関する企業等の考え方も変化しているとして、人工島の土地促進手法について分譲方式から借地方式への変更が提言された。借地方式に変更されることになれば、現在の資金計画は大もとから崩壊し、融資銀行団からの借入金、起債の償還金の返還ができなくなるのは明らかである。一般財源、税金の投入につながる借地方式への変更はしないこと。
  • アイランドシティ・未来フォーラムでは、企業等の立地促進策として、現在の10億円を上限とした企業立地促進交付金の交付金上限額をさらに引き上げる事が提言されている。企業立地促進交付金制度の財源は、起債も認められず、全額一般財源、いわゆる税金で賄うものであり、本市財政に多大な影響を及ぼすことになる。交付金上限額を引き上げることは許されずやめること。

(2)国際競争力の強化などとして行おうとしている「福岡都心部の機能強化」の推進体制である「福岡地域戦略推進協議会」は九電・福銀等の七社会を中心としたものである。この都心づくりなるものは「天神・渡辺通り」「博多駅周辺」「ウォーターフロント」の各エリアでの銀行やゼネコン、財界のもうけづくりのために、公金を投入する仕組みをつくるものに他ならず、このような取組みはやめるとともに、中央・博多ふ頭などの新たなウォーターフロント開発は行わないこと。

(3)近隣空港の開設、昨今の経済活動の低迷、少子高齢化、ITの普及に加えて九州新幹線の開通で福岡空港の乗降客数は毎年減少の一途である。ピーク時の2002年度は1968万人だったものが、2010年度の速報値では1595万人へと、81%にまで落ち込んでおり、需要予測は全くの虚構となっている。小型化した便の過密解消は、計画されている誘導路の増設で十分であり、空港問題は、既存ストックの有効活用や、近隣空港との連携等で解決し、不必要な滑走路増設のために1800億円もの公金をつぎ込むことはやめるよう国や県に要求するとともに、本市として、この計画から撤退すること。

(4)際限のない巨額の市費投入となる「九州大学学術研究都市構想」の推進をやめるとともに、同「推進機構」から撤退すること。

(5)市民センター、図書館、音楽演劇練習場の整備が予定されている香椎副都心の公共施設に、住民の要望である児童館、特別養護老人ホームなども併せて設置し、早急に整備すること。また整備にあたっては、設計段階から利用者の声を十分反映すること。

(6)香椎駅周辺地区土地区画整理事業については、住民や商店街等との話し合いを促進し、商店街の活性化につながるまちづくり計画にむけて住民参加で見直すこと。

(7)六本松の九大跡地は、地元をはじめ多くの市民が嘱望しているように、緑にかこまれた文化ホールを備えた少年科学文化会館の移設を早急に決定すること。また建設にあたっては、設計段階から活用団体や地域住民の声を反映させること。箱崎キャンパス跡地利用については、四校区協議会提案などの住民要望を反映させ、一体的活用を基本に、市が責任を持った利用計画をつくること。

(8)西部市場跡地は近隣公園が必要な地域であり、地元住民の要望も強く設置すること。

(9)本市の水需要計画については、大山ダム完成後には筑後川からの一日取水量が計画に対して3万5千立方メートルも減少することや、水施設能力が一日最大供給水量の1.5倍に見られるように過大であり抜本的に見直すこと。また、県が1050億円の事業費をかけて進めている五ヶ山ダム建設は、本市の水需要の実態から必要性はなく、渇水や治水対策についても問題があり、県や国に中止を要求すること。

(10)交通対策について

  • 地下鉄は本市にとって唯一の公営公共交通であり、市民の貴重な財産である。公的責任を放棄し、民間企業の利益を図り、安全安心の運行に逆行する民営化は行わず、地方公営企業としていっそう市民の足の利便性と収益の向上を図り、安全輸送に徹して事業継続・発展を図ること。
  • 福岡一極集中による都市膨張と交通対策を無視したまちづくりによって、都心部を中心に交通渋滞の深刻化、さらに都市環境破壊が進行しており、天神一極集中の開発の是正、公共交通機関への乗り換え促進等で自動車交通の総量規制など、抜本的な都心部交通対策を確立すること。
  • 西鉄貝塚線と地下鉄との乗り継ぎを解消し、区間を三苫まで延伸する相互直通運転のために、西鉄との協議を急ぎ、早期に事業化すること。
  • 公共交通機関である西鉄などのバス運行事業者は、利潤最優先でこの5年間で一日当りのバス運行距離8900キロメートル、バス運行本数を約450本も減少させ、新たに公共交通空白地がつくりだされるなど深刻な社会問題となっている。西鉄等の交通事業者にこれ以上の路線の廃止を行わないよう強く要求すること。また、高齢者をはじめ大きな要求となっている公共交通不便地におけるコミュニティバスの運行など積極的に取り組むこと。
  • 福岡外環状道路は、整備完了に伴い西南部の交通渋滞など大きく改善された。沿線住民や病院等の強い要望で実現したバス運行については、暫定的な運行でなく、定期運行を西鉄に要求するとともに、バスカットを含めバス停整備を国に求めること。
  • 交通バリアフリー促進のため、JR下山門駅や西鉄三苫駅へのエレベーターの設置を急ぐこと。また、西鉄等に対し、障害者が利用しやすいノンステップなど低床バスの台数を国の基準に基づき増やすとともに、路線を拡大するよう強く指導すること。JR筑肥線や、西鉄大牟田線のホームドア設置を行うよう申し入れること。併せて歩道の段差解消を急ぐこと。

(11)公営・公的住宅行政について

公営住宅法は、国と地方自治体が協力して健康で文化的な生活を営むに足る住宅を整備し、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的として制定されており、深刻な不況と格差拡大の中、その必要性はこれまで以上に高まっている。

  • 生活不安の広がりの中、昨年は16,682人の応募者に募集戸数はわずか941戸しかない実態であり、応募倍率は、野多目1丁目市営住宅の105倍をはじめ、8つの市住が50倍を超えるなど必要な市民が入居できない事態が続いている。建替中心の建設抑制政策を改め、大幅な新規市営住宅建設計画をたてるとともに、民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にするなど多様な供給方式の活用で公営住宅を大幅に増やし、そのための予算補助を国に要求すること。
  • 空家待機や特別随時募集制度等が廃止され、新たに随時募集制度にかわったが、従来、救済されていた「家主の都合により突然の退去要求を受けた世帯」については、この要件だけでは対象にならず、結局路頭に迷わざるを得ない事態となっている。住宅に真に困窮したこれらの世帯の救済策を早急に講じること。
  • 単身者向け住宅の倍率は31.58倍、高齢単身者住宅は33.10倍と依然高い。高齢者向け住宅の戸数を早急に増やすとともに、ひとり親世帯・心身障害者世帯の入居枠を増やすこと。
  • 高齢化率の高い市営住宅では、住民の共同活動も困難を抱えている。このような中「孤独死」をふせぐため単身高齢者見守りなどを積極的におこなうため、自治会等に対する支援制度をつくること。
  • UR賃貸住宅では、市内で約3700戸にも及ぶ用途廃止計画が、本市の住宅政策にとって深刻な事態を引き起こしている。廃止計画をやめるとともに、「民営化」を行わないよう国に求めること。また、老朽化した団地についても、一律建て替えでなく、改修やリフォームなど多様な住宅改善をすすめ、誰もが戻って住み続けられるようにするよう国に要求すること。さらに、「家賃の4倍以上の収入」は単身の生活保護世帯の排除につながっており、入居要件を緩和し、必要としている人が入居できるようにすること
  • 大震災の影響等で売却業務が一時中断しているが、雇用促進住宅は2021年までに譲渡・廃止を完了する計画である。廃止計画をやめるよう国に要求するとともに、市が買い取って、公営住宅として活用すること。

(12)分譲マンションの集会所や通路は、一般の住宅街の町内会集会所や多数が使う私道にあたるものであり、本来公共がおこなう基本的サービスの居住者負担を軽減するため、通路、ごみ置き場や公園の固定資産税減免や維持管理費等の補助、防犯灯や受水槽の電気代等の補助などを行うこと。

(13)中高層建築物等建設にかかる紛争について

  • 本市は、共同住宅の比率も空家の比率も全国一高くなっている。これ以上のマンション建設の必要性はないにもかかわらず乱開発が続き、いまだに「マンション紛争」は後を絶たない。市民の住環境を守るために開発規制を強化する用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の周知と積極的適用に努めること。また建築物の高さによる圧迫感の軽減、周辺環境と調和した街並みの形成等のため、絶対高さ規制を早急に実施すること。
  • 「建築紛争の予防と調整に関する条例」は、マンション建設による住環境悪化から住民を救済するための条例である。建築確認の民間参入以来、建築確認申請前に住民との誠実な話し合いをすべきという「同条例」の形骸化は深刻になっており、市は被害を受ける住民の立場で、建築業者に対し条例の遵守と住環境の改善を強く指導し、実効性をもたせ話合いを促進すること。それでも市の指導に従わず、住民との話し合いに応じないなど誠意が見られず、また工事協定も結ばないまま一方的に工事強行を行う業者に対しては、市工事の入札時にペナルティを課すなどの罰則規定を盛り込むこと。また、そのためにも都市計画・まちづくりに関し、自治体独自の条例制定権を全面的に認めるよう、国に対して法改正を要求すること。

(14)緑地保全(保全林)の地区指定を促進するとともに、予算を大幅に増額し、都市緑地の保全・買取を積極的に推進すること。併せて緑の再生にも計画的に取り組むこと。保存樹事業については、補助金削減ではなく、これまで以上の所有者の負担軽減策を講じること。

(15)動植物園の運営と整備、再生計画には、市民とともに飼育担当職員の声も十分反映させるような体制をつくるとともに、地場の仕事おこしのためにも計画を前倒しして推進すること。また長期計画とともに、現在の動物園も魅せるものにするための工夫を行い、動物が本来の生き生きとした姿を見せる展示方法の導入、飼育環境の改善とともに職員の増員を行い、教育的施設としての役割を果たせるようにすること。

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5 地球温暖化対策をはじめとする環境問題について

(1)地球温暖化対策について

産業革命以来の気温上昇を「2度以内」に抑えるため、世界全体で温室効果ガスの排出を削減する必要が求められている。国連気候変動枠組み条約の第17回締約国会議(COP17)は、地球温暖化の防止のための法的拘束力のある唯一の国際条約・京都議定書の第2約束期間を設定することを決定した。ところが日本政府は、これに不参加を表明し後ろ向きの姿勢を示しており、厳しく批判されるものである。

  • 日本政府が、京都議定書第2約束期間に一刻も早く参加するとともに、国際公約してきた「2020年までに温室効果ガスを1990年比で20%削減する」との中期目標を堅持するよう要求すること。
  • 産業界は日本の二酸化炭素の総排出量の8割を占め、わずか大企業44社、161の事業所だけで日本全体の温室効果ガス排出量の50%に達している。政府と産業界との間で削減目標を明記した公的な削減協定を義務付けるとともに、企業の目標も含めた事業所の直接排出量の総量削減を定めるなど国に要求すること。また、二酸化炭素の排出量などに着目した環境税を導入するよう国に要求すること。
  • 本市における二酸化炭素の排出量の実態は家庭部門が26%、業務部門が33%、運輸部門が29%で、業務部門が最も高くなっている。本市の地球温暖化地域推進計画では業務部門の「床面積当り二酸化炭素の排出量14%削減する計画」となっているが達成どころか増加傾向にある。削減計画の達成のため大規模事業所に対して温室効果ガス削減計画の策定を働きかけること。

(2)博多湾の水質は、2010年度のCOD75%値の経年変化において東部海域の環境基準点2ケ所で基準値を超え悪化している。また中部海域3ケ所も依然として基準値が超えており、港湾内部生産や下水排水の抑制など保全策の充実を図ること。また環境基準点を増やすこと。

(3)クロツラヘラサギ、ミヤコドリなど多様な希少種が飛来し、休息場や餌場となっている国際的に重要な湿地である和白干潟を国設鳥獣保護区特別保護地区に指定させ、早急に「ラムサール条約」の登録湿地とすること。また今津湾を含め、博多湾全体を国設鳥獣保護区にすること。

(4)光化学オキシダントは昨年に続き市内すべての測定局で環境基準値を上回っており、大気汚染は深刻な状況が続いている。本市庁用車の低公害車導入を一層促進するとともに、民間業者への普及を促進すること。また都心部への交通規制の強化など抜本的な対策を講じること。更に国に対して自動車排ガス規制の引き続く強化を要求すること。

(5)ごみ行政について

  • 本市のごみ処理基本計画は、「ダイオキシン対策」などとして大型廃棄物処理施設の建設を進めてきた国の誘導策に基づき過大な施設を大量生産、大量消費、大量焼却を前提にしたもので「拡大生産者責任」の立場で抜本的な転換が求められる。ごみを発生源で断つという基本的な観点で、行政と市民、事業者が一体となったリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の推進などごみ減量を基本とする計画に改めること。
  • 本市のごみリサイクル率は2009年度が28%にとどまっており、本市の「環境のまち・ふくおか基本計画」で定められている2025年度の目標値38%を達成していくために具体的な計画の策定を行うこと。また、ごみ分別収集は、家庭系及び事業系の可燃性ごみについて現在の4分別9区分で行っているが、再資源化、リサイクル化を一層促進するためにも分別収集を拡大すること。
  • 「容器包装リサイクル法」は、ペットボトルリサイクルなど事業者の責任と負担を消費者と自治体に転嫁し、自治体の費用負担を増大させるものであり、「家電リサイクル法」と合わせ、発生抑制や製造企業の引き取り義務など「拡大生産者責任」の立場から事業者負担の強化などを盛り込んだ法改正を早急に行うよう求めること。現在、自治体が負担し行っている容器包装廃棄物の分別収集の費用負担を事業者負担とするよう求めること。
  • 福岡都市圏南部環境事業組合については、福岡市をのぞく他の構成団体のごみ処理量が増えつづけることを前提にした大型ごみ焼却場建設であり、建設建替え計画を抜本的に見直すこと。
  • 本市の一般廃棄物の内事業系ごみ排出量は50%と全国平均を上回っており、事業系ごみの減量対策の充実が求められている。企業任せでなくオフィス紙ごみリサイクル等の推奨、目標提示など積極的な取組みを行うこと。また、2015年度に廃止するとしている「ごみ処理手数料の減免制度」については、厳しい経済状況の下で中小企業や業者に新たな負担を押し付けるものであり減免制度の存続を行うこと。

(6)産業廃棄物については、社会問題ともなっている水源地などに産廃処理施設を設置する事が出来ないように位置規制を盛り込むなど「廃棄物処理法」の改正を国に要求するとともに、本市においても、厳重な立ち入り監視・調査・指導を行い、「福岡市産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の要望及び調整に関する要綱」を条例化し、違反者への罰則規定を強化すること。

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6 中小企業の営業を守る総合的施策、農林水産業の再建を

(1)中小企業・業者対策および経済対策について

  • 2011年1~6月の本市倒産件数は69件、負債額約464億円と深刻である。本市の全企業の99%を占め、雇用の7割を担う中小企業・自営業者が“がけっぷち”においやられているいま、その経営の存続と安定をはかることは市政の緊急の課題である。2011年度、本市の中小企業予算は28億4700万円であり、一般会計の0.36%にすぎない。広範な中小企業の要求に応えられるよう、中小企業予算を大幅に増額すること。
  • 景気回復のための経済対策には公共事業だけでなく、民間需要の拡大が不可欠である。住宅リフォーム助成制度は、予算額の20倍の経済波及効果があり、住宅の寿命をのばすなど環境対策としても効果が見込め、福岡県内でも10市町村に広がっている。また全国でも2011年度に実施するのは、40都道府県330市区町村と大きく広がっている。本市でも対象工事を限定しない住宅リフォーム助成制度を創設すること。
  • 市内の全中小商工業事業所を対象にした対面・ヒヤリングによる調査を実施し、施策に反映させること。
  • 人工島をはじめとする大型公共事業に偏重した現状を見直し、小規模・生活密着型、福祉型の公共事業への本格的な転換をすすめること。競争入札資格のない未登録業者に、自治体が発注する小規模な建設工事や修繕工事等を発注する、小規模工事登録制度は県内23自治体に拡大している。本市議会で請願も採択されており、早期に実施すること。
  • 下請代金の未払いや大手ゼネコンによる低単価発注などをやめさせるためのルールが守られておらず、実態を把握し対策を講じること。「公契約に関する基本法の制定を求める意見書」が本市議会で採択されるなど公契約法(条例)の制定を求める運動と世論は大きく広がっている。政令市でも川崎市で実施され、相模原市で実施予定であり、自治体の仕事を受注する企業に人間らしく働ける賃金と労働条件を義務づける「公契約」条例の制定をすすめること。
  • 緊急保証制度(セーフティーネット)を延長し、保証枠を拡大するよう国に求めること。さらに、「一般保証」制度に導入された「部分保証」制度を廃止し、全額保証に戻すよう、国に要求すること。
  • 地域経済の中心的な担い手である中小業者は日本経済の発展に貢献してきた。その中小業者を支えている家族従業者の働き分である自家労賃は原則として所得税法第56条で必要経費に算入しないこととされている。現在いわゆる白色申告の場合、ごくわずかな額が認められているにすぎず、同じ家族労働の対価について白色申告者と青色申告者で差をつけること自体が憲法で定める「法の下の平等」に反している。2011年11月時点で全国で7県、338自治体が廃止などを求める意見書を採択している。所得税法56条を廃止し、家族従業者の労賃を正当に評価する税制に改善するよう国に要求すること。
  • 地元商店街を守るため、実態や要望を踏まえた十分な支援をおこなうよう、商店街対策予算の増額を図ること。

(2)雇用状況は引き続き深刻であり、安定した雇用の拡大は喫緊の課題である。市長が直接地元財界や大企業に正規雇用の維持・拡大を強く要請すること。また公的分野の雇用創出に努めること。国に対して「働くルール」の確立、労働者派遣法の抜本改正、雇用の安定や最低賃金の大幅引き上げを求めること。とくに、多くの学生が卒業と同時に失業者になるという現状は放置できない大問題であり、本市として就職難打開の手立て、就活支援をいっそう強化すること。

(3)農林水産業の振興について

  • アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や日米首脳会談で、野田佳彦首相は環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加に向けて各国との事前協議を進めると表明した。農水省はTPPの参加で、日本の食料自給率は39%から13%になると試算している。世界的な穀物不足で、食料価格はここ10年たらずで2.3 倍になっており、食料危機に対応できないだけではなく、農林業の壊滅で農林水産業がもっている国土や環境をまもる大切な機能である洪水防止、土砂崩壊防止、水質浄化、生態系保全など年90兆円の効果も失われることになる。さらに、TPPは、「食の安全」をまもる規制も交渉対象となり、残留農薬や添加物など基準がきびしすぎるなど、アメリカの勝手な要求がとおれば、食料の安全も大変なことになる。政府に対して参加しないよう求めること。
  • 食料自給率向上のためには農業の振興が不可欠であるが、農業所得については米価の低下傾向にあり、稲作の収益率が悪化する中、農産物価格保障対策や経営安定政策が不十分で農業従事者が安心して農業に励むことができない。米だけでなく、本市において生産量が多い花卉、野菜の価格安定対策や助成制度を改善・拡充することを国に要望し、本市農業を守ること。
  • 燃油や飼料などの生産資材価格の高騰が経営に与える影響の大きい施設園芸や畜産などには直接補てん措置が不可欠であり、市独自の制度をつくること。
  • 耕作放棄地の増加で農地の荒廃が広がっており、これ以上増やさないことは、国土の保全のためにも重要な課題である。市民農園を拡大するとともに市民参加型の生産を市がイニシアチブをもって推進すること。
  • 本市の農家の経営主の平均年齢は69.2歳と年々高齢化しており、農業従事者は、高齢化の進行や新規就農者数の少なさから減り続けている。農家の後継者とともに、近年、増えつつある農業への新規参入者の定着に力をいれ、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整えること。株式会社への農地取得の解禁に反対すること。
  • 有害鳥獣による農産物被害が深刻化・広域化しており、国に対して対策強化と補助制度の拡充を求めるとともに市として周知徹底を図ること。
  • 林業は地場産業であるとともに、森林は、木材資源の供給とともに、国土や環境の保全、水資源の涵養(かんよう)、生物多様性の保全など、国民生活にとって欠かせないものとなっている。また、低炭素社会にむけた大きな可能性を持っており育成していかなければならない。しかし、安い外材の影響で市内産木材の需要が伸びず、荒廃森林も増えている。市内産木材を使用した住宅建設や改修に対してインセンティブを与え、地元木材の利用・販売促進に努めること。公共施設・設備にも市内産木材を積極的に使用すること。
  • 燃油などの経費増と産地魚価の低迷が、漁業と漁民経営の存続を深刻に脅かしている。漁民の所得保障と価格安定対策を国に求めるとともに、漁場環境の保全、改善や後継者問題に取り組むために振興策の充実と予算を増やすこと。また、漁業用軽油にかかる軽油引取税の免除等を国に対して要求すること。

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7 憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもの成長・発達を中心にすえた教育・文化行政の推進を

今日、国の異常な教育予算抑制の中、家庭の貧富の差による教育格差が広がり、全ての子どもに教育を受ける権利が十分保障されない事態が広がっている。また過度の「競争」や非人間的な「管理」が子どもの成長を歪めており、その異常さは国際機関から厳しく指摘されている。その転換を図り、憲法と子どもの権利条約の立場に立ち、全ての子どもの「人格の完成」を目指す教育の実現が求められている。

(1)本市の学校教育について

  • 本市の教育予算は政令市中最低水準となっており、抜本的に増額すること。
  • 少人数学級については、国が小2まで35人以下学級をひろげる中、本市においては小4までと中1への実施を更に拡充することが求められている。少人数学級等に関する独自の「ガイドライン」を理由に、拡充しないことは許されず、ガイドラインは破棄し当面本市独自の常勤講師の採用等必要な手立てをとり、全ての学年、学校に拡充するとともに正規職員を大幅に増やし30人以下学級を即時実現するよう国・県に強く要求すること。
  • 悉皆による一斉学力テストは子どもと学校間の競争を激化し、子どもと教職員の困難を増大させており、市独自実施をやめるとともに国実施分には参加しないこと。
  • 貧困と格差の拡大の下、給食費さえ払えない低所得の保護者も増え、就学援助制度の充実は、さらに切実になっている。国が示しているクラブ活動費やPTA会費については直ちに項目に加え、国に対して財政措置を求めること。また、適用基準を大幅に拡げるとともにめがね購入費等、項目を拡充すること。
  • 相次ぐ体罰の根源にある要因を教育委員会として解明し、一掃のために取り組むこと。
  • 中学校部活動の相次ぐ廃止に歯止めをかけるために、抜本的な方策を検討し、当面補助指導員の更なる充実のための予算増額を図り、「全員顧問制」等、教職員への顧問強制は行わないこと。県に対し県大会の参加費徴収をやめるよう求めるとともに、当面参加費について市費で補助すること。
  • 「学校規模適正化」については子どもを中心に考え、情報の公開と住民合意を基本に据え、一方的な押し付けを行わないこと。また、通学区域の拡大にともなう児童・生徒の交通安全対策については十分な手立てをとるとともに、一人あたりの校地面積の縮減による詰め込みにならないよう配慮すること。美野島、住吉小・中連携校の現計画はグラウンド面積が国基準の6割で正常な教育活動が実施できないのは明らかであり、直ちに見直すこと。

(2)教職員体制について

  • 教職員は休みたくても休めず長時間過密労働を強いられ、精神疾患による休職者が増え続ける等、健康破壊が深刻である。過重・超過勤務の実態を踏まえ是正のための実効性ある措置を取るとともに、休暇を取りやすい環境を整えること。また、病気休暇の代替教員の配置を速やかに行うよう県に求めること。教職員の「全体の奉仕者」としての責務や勤務実態を無視した給与削減をやめるとともに異常な非正規化に歯止めをかけ、必要な人員は正規で採用すること。
  • いじめや不登校の実態を改善するために、専門のカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを全校配置するよう国に求めるとともに、当面、市独自に手立てをとること。
  • 全ての学校図書室に、専任の司書を早急に配置するよう国に財政措置を求めるとともに、当面本市独自に配置すること。司書教諭については市費加配の活用等による授業時数の軽減を図り、司書業務を行える条件をつくること。非常勤化された市立高校の図書司書については、常勤に戻すこと。学校図書の蔵書数については当面、国の標準を達成するよう財政措置すること。
  • 「指導力不足教員」政策と結びついた「新勤務評価制度」は、ILO・ユネスコから「教員の地位勧告」に抵触すると指摘され根本的見直しを直接勧告されている。本市においても「目標管理」による教職員評価制度が教師の自由を奪い現場を硬直化させており、やめること。
  • 教員採用試験の受験者に採点結果を通知するなど透明性・公正性を拡大するとともに、教職員の採用は定数内講師ではなく正規を基本に拡充するよう県に強く求めること。教員免許更新制は約束通りやめるよう国に求めること。

(3)学校教育施設について

本市学校校舎・体育館の耐震対策は、今年度いっぱいで完了の見込みとなった。今後はこれまで先延ばしされてきた耐震以外の施設整備・改善対策を大幅に充実させ安全・安心な教育環境を整えることが求められる。

  • 大規模改造対象を築30年以上としているのは許されず、築25年以上で直ちに着手すること。また、相次いで発生した窓サッシ落下事故等、危険な事故を生まないために施設・設備をはじめとする学校環境・安全点検は予算も組んで専門家により頻度を高め一斉に行い、学校からの意見も日常的に聴き、必要な改善は速やかに実施すること。学校施設整備予算は抜本的に増額すること。
  • 教室の温度について、夏期は30℃以下、冬期は10℃以上とされている国の教室温度基準違反は許されない。また災害時における避難所機能を高めることが重要な課題となっている。扇風機では根本的な解決になっておらず、普通教室へのエアコン設置を開始するとともに、9年間実施していない冬期の温度調査を実施すること。
  • 学校のいたる所にスレート板やPタイル等、アスベスト含有材が使用されており、破損時には飛散し危険であるにもかかわらず、対処方法等について学校への周知は不十分である。指針を策定し、当面の取り扱いについては緊急対策を図るとともに、対処後の報告を徹底させること。
  • 多くの学校でプールが老朽化し、生徒の安全対策にも支障が出ているにもかかわらず、今年度の改修もわずか1校にとどまった。紫外線対策としての日よけの設置を含め、改修計画を抜本的に見直し来年度から計画的に進めること。
  • フロアーにトイレが無い等、不足している学校については増設を行い、多目的や洋式トイレの適正配置を図るとともに、「臭い」「汚い」「暗い」等の問題を解消すること。
  • 生徒数が1,000名規模になっている那珂小、高取小、松島小、名島小、壱岐小、姪浜中、百道中などの過大規模校は教室が不足し分割授業ができないなど授業にも支障が出ている。「31学級が一定期間継続すること」を分離の条件として過大規模校を実質放置することは許されない。地域コミュニティーに混乱をもたらす校区調整ではなく、早急に分離・新設を行うこと。

(4)特別支援教育について

  • 特別支援教育については、子どもと保護者の選択権を重視し、適正就学指導委員会の判断結果の一方的な押し付けを行わないこと。また、普通学級に通う色弱、難聴等、視覚・聴覚障害児童・生徒に対する支援を強化するなど、希望の進路に添った学校の受け入れ体制を整えること。
  • 小中学校の特別支援学級は当面希望者のいる学校を最優先に全校設置を進めること。LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)など障害の多様化に対応する支援体制の遅れにより、困難が深刻な形で拡大している。「介助員」「支援員」については、大幅に増員して必要な児童・生徒に行き届くようにすること。「支援員」については、2ヶ月という短期の臨時的任用という配置は問題であり、安定・継続できる雇用体系とすること。
  • バリアフリー化を進めるため、肢体不自由児が通う全小中学校へのエレベーター設置を行うとともに、完備されるまでは介助員の配置等支援体制を充実させること。狭隘化している特別支援学校職員室の改善を図ること。特別支援学校の送迎バスの増便で生徒・保護者の負担軽減を図ること。

(5)高校教育について

  • 雇用・経済状況の悪化により、保護者の失業や倒産が増え、進学や通学の断念など、子どもたちの高校教育を受ける権利が脅かされている。市教育振興会の高校奨学金の入学支度金、奨学資金を実態に見合うよう増額・改善するとともに、所得要件等の基準を緩和し、定員増を図るとともに、辞退分については速やかに補欠補充を行うこと。国、県の修学資金が適用できない世帯を救済できる市独自の「緊急貸付制度」を創設すること。私学で学ぶ生徒への補助、私学への助成充実を国・県に求めること。
  • 博多高等学園の入学希望者が増え、選抜により入学できない生徒が増え続けている。定員増を図り、希望者を受け入れるとともに、特別支援学校高等部Bコース(軽度学級)を各特別支援学校に設置し、全員が希望する学校に入学できるようにすること。

(6)幼稚園教育について

私立幼稚園の運営は幼児の減少や人件費の負担増などで極めて厳しい状況にある一方、共働き家庭の子の預かり保育の実施による対応にも苦慮しており、教諭の待遇改善を図るためにも、運営費補助等を大幅に増額すること。市立幼稚園については保育室、遊戯室へのエアコン設置を早急に進めること。

(7)学校給食の改善について

  • 給食運営にあたっては、「安全・安心・おいしい」が原則であり「学校給食安全衛生基準」においては食育の重要性、調理から喫食まで2時間以内、安全性の厳守等が厳密に規定されている。ところが、学校給食センター再整備基本計画においては民間の儲けづくりが優先されるPFI手法を活用し、4箇所から3箇所への統廃合による1箇所13000食という過大規模化や大幅リストラ、安全性が確立されていないPEN樹脂製食器使用等、問題だらけの内容となっており、多くの市民が内容を知らされないまま進められようとしている。第一センターの事業者選定作業は凍結し、教育の一環である給食を民間大企業の儲けづくりに利用する本計画は市民参加で見直すとともに中学校への自校方式導入を検討すること。
  • 学校給食公社に対する教育長が8月19日に出した「経営改善」通知に基づき計画されている合理化の内容は、職員給与の1~2.5%カット、各種手当のカット、非常勤の時給を1044円から870円に切り下げ、非正規率を大幅に引き上げる等、大手民間企業を手本とし、労働者の権利を踏みにじり、給食の安全をないがしろにする異常な内容となっている。しかも、労働組合に対して僅か2ヶ月での受け入れを迫り強引に実施しようとしており、労働関係法に照らしても重大な問題である。教育の一環である給食の現場に対する異常な合理化指導は、教育行政としての責任を放棄するものであり、教育長は直ちに「8.19通知」を撤回し、公社の合理化計画をやめさせること。
  • 小学校における調理員体制について現行の非常勤職員制度を改め、文部科学省基準以上の人員を市の正規職員で配置し、責任を持った調理を行うこと。また、退職者の補充は直ちに正規職員の新規採用で行うとともに、有休の代替要員は市の責任で確保すること。各小学校に栄養士を配置すること。また、財政状況を理由に、狭隘化や老朽化等、労働環境が劣悪となっている給食室・控室が多数放置されている状況は許されず、直ちに改善すること。
  • 食材の放射能汚染調査は、現行の規模と頻度では不十分であり、市独自に基準値を厳しく運用するとともに検査機器の購入と検査体制を整え、調理後の一食分を丸ごと「ミキサー検査」にかける等充実させること。併せて、地産地消を徹底すること。
  • 食材の高騰等を理由にした給食費の月400円引き上げは、保護者の負担を増大させるものであり、当面市費の繰り入れで値上げを回避すること。

(8)人権・同和教育について

  • 本市においては、「県同教裁判」において不当な教職員人事と公費支出が断罪されており、任意団体である「市人権教育研究会」等への補助金の支出を直ちにやめるとともに、学校研修、連絡会等を通じての解放同盟の教育介入を排除し「全市一斉人権教育研修会」については廃止すること。
  • 同和枠から一般対策に移行された加配教員を、実質的には「同和」枠として配置していることにより、真に必要な学校に加配できず、教育格差を生む事態となっている。旧態依然の旧同和措置校偏重の人事を改めること。
  • 本市の「人権教育・啓発基本計画」は、「同和問題の解決に向けた取り組みの手法・成果を生かす」などとして、実質同和問題のみに矮小化しており、このように人権を侵し、差別を温存する同和教育の延長となるニセ「人権教育」の押し付けはやめること。対象を実質狭い範囲に限定する「地域の教育力活性化事業」はニーズも低くなっており、やめること。
  • 学校やPTAへの「同和研修」の強要、解放同盟の運動や主張に加担する「研修」名目での職員の出張をやめること。

(9)図書館について

予算を増額し、蔵書の充実を図るとともに、遠距離の市民でも書籍等の活用ができるように公民館や配本車などで検索・貸出・返却ができるシステムづくりを行うとともに、地域による格差を是正するため、図書館を増設すること。また、総合図書館や分館の司書は正規職員として増員すること。

(10)文化財について

国宝級の太刀をはじめ重要な文化財が相次いで発掘・発見される中、本市の文化財行政は更なる充実が求められている。関連予算を増やし、埋蔵文化財など文化遺産の調査、発掘、整理、保存の体制強化と増員を図ること。又、文化財を観光や集客の為の材料として歪曲することなく、我が国の歴史、文化等の正しい理解をひろめ将来の文化の向上発展の基礎として位置付け尊重し、既存の博物館や埋蔵文化財センター等の施設と文化財の有機的な活用を図ること。

(11)文化芸術・スポーツ・社会教育施設及び青年の居場所等について

  • 今日、青年は自己責任論で苦しめられ、孤立化が進んでおり、交流や連帯の場の保障が求められている。青年が、仕事帰りにも気軽に集える施設、文化芸術サークル活動や音楽・演劇練習場等に使える施設を増設するとともに、自主的活動を行っている本市の市民文化団体、スポーツ団体への運営費助成や事業補助を大幅に増額すること。また、市内一ヵ所しかない青年センターは老朽化が進んでおり、この際、施設の改善充実を図るとともに、増設も検討し、気軽に利用できるものにすること。市民のための文化芸術・スポーツ予算を大幅に増額すること。
  • 市民会館の建て替えにあたっては、ホールの設計やあり方等について文化団体、利用団体や幅広い市民の参画のもと具体化すること。不足している文化ホールについては計画的に増設すること。
  • 市民体育館については、人工島の破綻穴埋めのため移転することは許されず、当面耐震補強を行うとともに、建て替える際には利便性の高い都心部を基本とすること。各区体育館、市民プールなど老朽化している文化・スポーツ施設については改善・充実や駐車場の拡幅を図ること。また身近なところで野球・ソフトボール・テニス・サッカー・ラグビー・ダンス・スケートボードなどに気軽に使える運動場やスポーツ施設を新・増設し、スポーツ基本法で定められている市民のスポーツに親しむ権利を保障すること。その計画や設計については利用者の声を反映させること。

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8 一人ひとりの子どもが大切にされ、安心して子育てできる市政に

(1)保育行政について

  • 政府は、「子ども・子育て新システム」法案を来年の通常国会に提出しようとしている。この「新システム」が導入されれば、保護者は保育所と直接契約することとなり、保育所に入れない子どもがいても、国と自治体には責任がなくなるという公的責任の放棄につながるものであり、本市の保育協会や保護者からも大きな反対の声があがっている。高島市長は「保育の質が低下する新システムには反対」と公約していたが、国への要望は「新システム」が前提となっており、市長公約通り、撤回するよう国に強く要望すること。
  • 国は待機児解消のためとして子ども1人当たりの保育所面積基準の引き下げを35自治体で認めるなど、最低基準の引き下げをしている。これは今でも狭い保育所に今以上の子どもたちを詰め込むことになり、すべての子どもの発達が保障されないどころか、事故さえ起こしかねない状況を作り出すものである。国に最低基準を厳守するよう要求するとともに、義務化された条例化に際しては本市として面積基準の引き下げは行わないこと。
  • 待機児童の解消は喫緊の重要な課題となっている。本市のこの間の対策は、分園や増改築また既設内で年度当初から定員の125%まで入所させて詰め込みを更に増幅させるなどしてきているが、2011年10月1日現在、待機児は1097人にのぼるなど極めて不十分である。保育所入所申し込み数は、新待機児解消プランで見込んでいた入所申し込み数を大きく越えているのが現実であり、活用できる公的施設の利用などで新年度の待機児解消緊急対策をとるとともに、新築を中心とする計画に見直しつめこみや保育園の大規模化を解消すること。
  • 保育所新設を大幅に増やすためにも、以前行っていた市有地の無償貸与を復活し、民有地の借り上げに対する本市独自の補助制度をつくる事。また現在無償で貸している市有地の有償化計画をやめること。
  • 公立保育所について、平成23年度3ケ所が民営化され、平成24年度、25年度には1ケ所ずつ民営化されることが決まっており、最終的には7ヵ所まで減らそうとしている。最高裁判決でも保護者の意志を無視した民営化は違法性が高い事が述べられている。また本市の民営化検証委員会でも、移行に伴うトラブルも絶えない事が報告されており、公立保育所の民営化による公的責任の放棄は許されず、民営化は中止すること。また公立保育所の改築、増築を利用して定員増をはかること。
  • 本市の保育料は3歳未満児で、均等割りのみの課税世帯でくらべると他政令市の2倍以上の高い保育料となっており、課税世帯でも収入の7〜9%を占めるなど、保護者にとって大きな負担になっている。また2011年度から階層区分が増やされ、最高額は3歳未満児で8万3000円となるなど保育料は限界を超えている。市費繰り入れを増やし、保育料を引き下げるとともに、第2子以降の減免は保育料の高いほうを適用すること。「待機児童支援事業」として認可外保育所を利用する保護者への補助限度額を引き上げて負担軽減を図ること。
  • 福岡市内の保育所で保育士不足が深刻化している。保育士不足の実態調査をするとともに、労働条件を改善していくために、非正規職員の賃金を時間額1200円以上にできるように予算措置することともに、認可保育所で働く正規職員の賃金等は、少なくとも「福祉職俸給表」のもとで働く公務労働者と同水準の賃金、諸手当、一時金を実現するために予算措置をすること。また、削減された保育協会補助金を増やすこと。
  • 認可外保育所は、24時間保育や、一時、休日、延長保育、障害児保育など、市民の多様な保育要求に応え、地域の子育て支援、家族支援に大きく貢献し、保育行政の補完的役割を果たしている。認可外保育所への運営費の補助を創設すること。併せて、認可化をめざしているところには、財政支援をさらに増やすこと。
  • 職員配置基準については、保育士対子どもの人数を0歳児は1対2、1歳児は1対3、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4歳児・5歳児は1対15へと改善をすること。また基準が満たされるよう補助すること。
  • 障害児を受け入れる保育所全てに保育士を加配すること。また、巡回指導や障害児保育研修、個別観察指導・保護者カウンセリングなどの体制を整えるとともに、看護師等を配置すること。
  • 政令市のほとんどが実施している産休明け保育を、本市においても公的責任で早急に実施すること。また保育ニーズを踏まえて、休日保育、病児・病後児デイケア事業など特別保育事業を拡充させること。
  • 保育所での豊かな「食育」としての給食をめざすために、3歳以上児の主食を含めた完全給食を実施すること。あわせて、現在の「自園方式」での給食を継続し、外部委託を導入しないこと。

(2)子育て世帯は、低賃金・不安定など、雇用状況の悪化により、比較的所得が低く、子育てにかかる経済的負担が大変重くなっている。子どもの医療費助成制度については、2010年4月1日時点で中学生まで拡大した自治体が通院で510自治体、入院で715自治体になっている。本市においても、通院・入院ともに中学生まで無料にすること。あわせて、子どものメガネ・コンタクトにかかる費用も助成対象とすること。また、乳幼児医療費助成制度を国の制度として行うよう要求すること。本市など政令市と一般市町村に対する乳幼児の医療費補助格差の是正を県に求めること。

(3)留守家庭子ども会について

  • 児童数70名を超える留守家庭子ども会は77か所もあり、改善が急務となっている。増築などで実質的な分割をおこなって、全ての子ども会を70人以下にすること。また、施設のうち狭隘化施設は33か所、老朽化施設は24か所もある。施設改善を急ぐとともに、トイレのない施設や少ない施設も残されており、トイレの増設を急ぐこと。
  • 本市では、留守家庭子ども会事業の高学年の受け入れを順次おこなっている。学年拡大に伴い、施設の建て替えや増築を急ぐとともに、指導員や補助指導員も大幅に増やすこと。併せて学年拡大にあたっては、指導員の必要な研修を行うとともに、現場でのあらたな課題や要求を把握して、改善に努めること。
  • 現在月3000円の利用料と運営費で、保護者は実質6000円程度の負担をしなければはならないが、これにより滞納世帯や預けたくても預けられない世帯がうまれているなど、保護者にとって大変な負担となっている。来年度から利用料を無料に戻す手立てをとること。
  • 児童数41人以上の子ども会には、現在2人の正規指導員が配置されているが、これを改め3人以上の配置にし、子どもたちの健全育成に責任が持てる体制とすること。また障害児受け入れの子ども会へは、まず正規指導員1名を加配し、その上で、障害児童数に合わせ指導員を加配すること。
  • 開設時間の延長など労働強化となっている指導員・補助指導員の賃金を引き上げること。また、指導員の超過勤務分や勤務日以外の行事参加分の手当てについては保障をすること。児童の健全育成のためにも経験豊かな指導員こそ必要であり、5年間の任期付き雇用を撤廃するとともに、希望する職員については、そのまま採用すること。また、補助指導員の待遇が不十分となっており、待遇改善を図るとともに、公務災害補償も適用できるようにすること。

(4)子どもたちが放課後や休日に安心してすごすことができる重要な「児童館」は、本市においては中央児童会館一つしかなく、建て替え工事期間中は、冷泉小学校などすでに廃校になった小学校の敷地などを使って児童館を増やし対応すること。あわせて中央児童会館の建て替えにあたっては利用者の声を反映すること。また、児童館の必要性はますます高まっており、子どもプラザや公民館では肩代わりできるものでなく、専門職員のいる児童館建設は小学校区を基本にしながら、まずは各区に早急に設置すること。検討されている早良区の地域交流センターや千早駅前の公共施設には児童館機能を持たせること。また、中高生も集える「若者の居場所づくり」の施設はモデル事業として1か所にとどめず、各区につくり専門員を配置すること。

(5)格差と貧困の広がり、子育ての社会的孤立化が進む中で、児童の虐待死が増加の一途をたどっており、大きな社会問題となっている。本市においても、昨年度こども総合相談センターに寄せられた児童虐待の相談件数は604件となっている。親身な相談活動ができるように専門職である児童福祉司や児童心理司を大幅に増員するとともに、児童相談所を増設すること。また、児童養護施設については、児童指導員が心的治療を要する子どもたちを抱え負担が増えており、職員配置を「4人に1人」とするよう、国への要求をふくめあらゆる手だてを講じること。

(6)子どものアレルギー疾患は多様化、増加の傾向にあり、季節・ストレス等での病状悪化等、患者は常に大きな不安感を抱いている。市は早良区・東区の医師による相談事業を打ち切ったが、広報の周知、託児体制、身近な場所での小規模開催など、悩んでいる親子が気軽に来やすいように再構築して充実をはかること。また除去食の給食を行っている保育所に補助を行うこと。あわせて、当面喘息とアトピー性皮膚炎を学校病の指定に加えるよう国に要求すること。

(7)母子・寡婦福祉資金は、制限が多く必要なときに借りにくくなっている。借りやすいよう制限を緩和すること、および貸付額の増額を国に求めること。また、各種貸付制度は申し込みから2週間以内に貸与できるように借入れ手続きを簡素化すること。併せて児童扶養手当については手当額の拡大と所得要件の緩和を国に求めること。

(8)ひとり親家庭医療費助成の対象制限を緩和すること。

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9 女性の声を市政に生かし、真の男女平等社会実現へ

(1)労働における男女差別撤廃について

  • 我が国の女性の労働力率は諸外国と比較して低い水準にあり、特に子育て世代とされる20歳代後半から30歳代の労働力率が極端に低いM字型となっている。そして、女性労働者の給与水準は男性の約7割であり、OECD諸国の中で男女間給与格差は極めて大きく、女性が最も働きにくい国となっている。ILOの8時間労働条約や権利侵害を国連に通報できる制度を定めた女性差別撤廃条約の選択議定書などを早急に批准するよう国に求めること。
  • 女性労働者の半数が、パートなどの非正規雇用であり、その賃金は女性正規雇用者の69.8%、男性の49%しかない。現行の「パート労働法」の差別禁止の3要件(正社員と同一職務、転勤や配転の有無が正社員と同じ、期間の定めのない労働契約)規定はごく一部の「正社員と同視すべきパート労働者」にしか適用されないものである。この要件をパート労働者すべてに拡大し、均等待遇の原則を明記し、事業主が、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生などの労働条件での差別的取り扱いを禁止するよう国に求めること。
  • 雇用悪化の下で、育児休業の取得に伴い解雇される「育休切り」や、復帰後に希望しない異動を強要されるなど、勤務先から不当な扱いを受けたとして全国の労働局に寄せられた2010年度相談件数が、全国で2929件、福岡県では86件となっており、これは「出産・子育てと仕事を両立しにくい」状況を示している。育児休業法の定める内容の普及を国に求めること、併せて本市としても市内企業などへの啓発を強めること。
  • 男女雇用機会均等法の施行から20年余たち、最近も2007年に一定の改正が行なわれたにもかかわらず、男女の賃金格差、昇進昇格差別の改善は遅々として進んでいない。また同一価値労働同一賃金を定めたILO100号条約はすでに批准しており、条約にもとづく格差是正が求められる。企業への指導を徹底するとともに、間接差別の範囲の拡大・強化に対し、強力な救済機関や罰則・強化などをすすめるよう法律の見直しを図り、事実上の差別禁止、是正をすすめるよう国に要求すること。
  • 市の管理職の女性比率は6.1%とここ数年横ばいとなっており、この比率は2010年4月1日現在の調査で19政令市中16位と低い水準にあり、本市では「雇用における平等」に反する事態となっている。女性の採用、管理職への登用を積極的に進め、昇給、昇任などの差別を一掃すること。また、政策、方針決定への女性の参画を促進するために、各種審議会の女性登用率を大きく引き上げること。
  • 市職員の育児・介護休業取得状況は、男女ともに取りたくても取れない、とりわけ男性は1桁台というのが実態である。給与保障など経済的支援、人的支援、昇任昇格制度の改善などを行って育児・介護休業取得を推奨すること。

(2)国連からのくりかえしの改善勧告や国民要求にもとづき、選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間の撤廃、婚外子の相続などにおける差別禁止規定を盛り込むなど、民法の改正を速やかに行うよう国に求めること。

(3)罰則などの強制力をもった「セクシャル・ハラスメント防止条例」をつくり、その一掃に努めるよう指導すること。当面、セクハラや女性労働者の様々な訴えに対し、被害者の保護、助言・指導・勧告が効果的に行えるよう、相談・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を各区に設置すること。

(4)2010年度アミカス等に寄せられたDV相談は3828件と4年前の2.2倍にものぼっており、市として「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護のための施策に関する基本計画」を早急に策定し、心理療法担当職員、子ども連れの被害者のための保育士や学習援助者を増員するとともに、休日・夜間の相談体制を整え、相談・一時保護・自立支援の施策を拡充すること。自立に要する費用の補助、不足している母子寮の増設、民間シェルターへの補助金など支援の拡充、一時保護から自立に向う中間的施設(ステップハウス)の開設・運営への助成を図ること。また、更生と再発防止のために加害者へのカウンセリング、教育などを行うこと。併せて、増加するDV被害の訴えに対し、必要な体制が追いついておらず、国に対し実効ある救済策を確立するための予算の増額を要望するとともに、加害者の犯罪対応と、加害者更正プログラムに関する規定をDV防止法に盛り込むよう求めること。

(5)男女共同参画推進の拠点施設であるセンターはアミカスに限るのではなく、各区1ヵ所ずつ、低料金で気軽に利用できる便利な場所に建設すること。

(6)いわゆる「慰安婦」問題は、かつての戦争において日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与え、その子孫も親世代が傷つき癒されていないことで傷ついている。国連の人権機関の勧告や韓国・台湾・アメリカ・カナダ・オランダ・EU議会における解決促進決議を日本政府は無視し続けている。また今年8月30日に韓国憲法裁判所が「日本政府と交渉しないのは被害者たちの人権侵害にあたり憲法違反だ」との決定を下した。そして韓国外交通商部は日本外務省に政府間協議を申し入れている。日本政府が韓国政府との協議に応じて、被害女性への謝罪と賠償を一日も早く果たすよう強く要求すること。

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10 汚職腐敗を正し、清潔、公正、平和、市民参加の市政を

(1)人工島ケヤキ・庭石事件で今年、最高裁判所が志岐・西田両被告の上告を棄却し厳しい実刑判決が確定した。本市行政をめぐっては、開発優先の市政運営の下で、自民党パーティ券事件や総務企画局長贈収賄事件など、政官業の構造的癒着事件が度々起こってきたが、この一掃は市政の重要な課題である。市役所から汚職腐敗を一掃すること。

(2)「政治とカネ」の問題に対して市民の目はますます厳しくなっている中、市長が政治資金をつくりだすために、政治資金パーティをおこない、副市長は多くの局長に半ば強制的に券購入を押し付けた。またこのパーティには地元財界の七社会のメンバーが世話人として名を連ねている。これは、事実上の政治献金に該当するものであり極めて問題である。市長はこのパーティの全容の調査・公表をおこなうとともに、企業・団体献金を受け取らず、本市発注公共事業の受注企業や下請け企業への政治資金パーティ券販売は行わないこと。

(3)90に及ぶ外郭団体・第三セクターについては、その必要性が厳しく問われている。存続の意義がなくなった「博多港開発」は廃止し、その他の団体についてはその運営、事業及び予算の執行について厳正な監査、指導を行い、そのあり方について抜本的に見直すこと。

(4)外郭団体や利害関係のある民間企業への市退職幹部の天下りを禁止すること。また、本市の美術館、博物館、総合図書館の館長職への天下りをやめること。

(5)一般競争入札の運用にあたっては、地元中小企業・業者の仕事確保の観点から、一定額以下は大企業を排除する逆ランク制度を採用すること。また、談合を防止するために、技術評価を勘案したたうえで、一定数の入札参加業者の排除や予定価格の決定に抽選くじを導入すること。

(6)指定管理者制度は、営利民間企業の参入などに道を開き、本市の行政責任を放棄するものであり、公共施設は原則として市直営とすること。また、指定管理者制度を導入する場合は、一般公募せず従来管理委託してきた公的機関を指定管理者に指定すること。併せて選定過程の透明性を確保するとともに選定委員会を公開すること。また「ミズノ・日本管財グループ」などの協定違反が続発したことを踏まえて、市の立会・抜き打ちなどのモニタリングを強化し、協定違反などについては契約解除するなど厳しい処置を取ること。

(7)特命随意契約や委託契約及び、プロポーザル方式の在り方については、特定業者との癒着構造によって入札の公正・公平さが失われており、制度の総点検を行い抜本的な見直しを行うこと。

(8)ごみ清掃や下水道などの委託人件費が年々下がっており、積算に当たっては、委託労働者の基本給や各種手当を増額し、労働条件の改善を図るよう市が責任を持って委託企業を指導すること。

(9)消費者の権利を守るため、消費者行政の充実・強化のための財源措置を国に要求すること。また複雑・多様化する相談に対応できるよう本市の消費生活センターの業務委託費を引き上げ、相談員の体制を強化するとともに、相談員が職務に専念できるよう、専門職にふさわしい給与を保障し、任期付き雇用を改めるなど待遇改善を図ること。また、「福岡市消費生活条例」に基づき、不当な取引行為事業者への是正勧告を強化すること。

(10)市長はこの間、いわゆる「第3者委員会」を次々と設置し、さも市民意見を聞いたように装っているが、結局政策決定は市長の独断で行われており、こうしたやり方は市民を欺むくものである。また市長は直接対話を要望する運動団体と会うことさえ拒否しており問題である。広聴活動における市民意見募集やパブリックコメントについては、反対意見を無視することなく、市民からの要望を政策決定に取り入れること。併せて各種審議会等委員の市民公募枠を新設・拡大すること。また市政の重要事項に関する「住民投票条例」を新設すること。

(11)特定非営利活動(NPO)法人は、福祉や社会教育、文化、芸術、環境保全などの分野で社会貢献の重要な役割を果たしているものの、人材や資金の確保に苦労している。NPO法人への支援をさらに充実するとともに、NPO法人の優遇税制を法人市民税減免だけでなく拡充すること。

(12)市民生活や社会経済活動の場から暴力団を排除するための「福岡市暴力団排除条例」が制定されたが、市内で発砲事件が続発し、市民の安全で平穏な生活が著しく脅かされている。この間まったく検挙されていないことを踏まえ、県警に対し事件一掃の取り組みの強化を要請すること。

(13)「空き交番」が増え、地域住民から不安の声があがっている。市民生活の安全確保のため、交番減らしをやめ、空き交番や夜間不在交番を解消するよう要請すること。

(14)本市では、全国の同和事業終息の流れに反し、2011年度予算において前年度を上回る1億5913万円も計上するなど、いまだに同和対策を特別扱いしていますが、一般対策の事業も含め「同和」を要件とする施策は直ちに止めるとともに、10年前に策定した「福岡市人権・同和行政基本方針」は廃止すること。事実上、市の丸抱えとなっている部落解放同盟福岡市協議会への補助金(2530万円)は直ちに全額打ち切ること。「校区人権尊重推進協議会」への「同和研修」を強制する市の指導や補助金支出をやめること。

(15)自治協議会との「共働」と称して、本来行政がやるべき仕事を押し付けたり、介入したりするやり方は、自治会活動に支障を来たすなど、様々な矛盾を生んでおり、こうした住民自治組織の自主性を壊すやり方はやめること。

(16)市民の平和と安全を守るために

  • 米軍板付基地は、現在でも米軍機の飛来が続いており、市民に大きな不安を与えている。市長は、その即時全面返還を国と米軍に対して強く要求するとともに、福岡空港の軍事利用に反対すること。
  • 商業港である博多港には、昨年は旗艦ブルーリッジ、揚陸艦ラシュモアが「友好・親善」と称して入港しており、市民の安全が脅かされている。市長は、港湾管理責任者としての権限と責任を明確にし、市民の安全確保の立場から、博多港への米軍及び自衛隊の入港をいかなる名目であれ拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。
  • 公共施設を軍隊に提供したり、市民の土地や物資を強制使用・収用したりすることを盛り込み市民を戦争準備体制づくりに強制動員する本市国民保護計画を破棄すること。
    また、本市の防災訓練における自衛隊の関与は最小限にとどめ、自衛隊車両の体験試乗などはやめさせること。
  • 国是である「非核三原則」の法制化を要求するとともに、市長は、市民が求める非核自治体宣言を行うこと。また、平和事業予算を大幅に増やすとともに、「平和資料館」を設置し、博多港引揚や福岡大空襲、原爆に関する常設平和資料館を設置し、資料収集を積極的に行うこと。

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