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政策と活動

2014年度予算要望

2014年度予算編成に関する申し入れ

2013年12月26日

福岡市長  髙島宗一郎 様
福岡市教育委員長  八尾坂修 様

日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
副団長 星野美恵子
幹事長 中山 郁美
熊谷 敦子
綿貫 英彦

自公政権の復活から1年余となりますが、安倍政権は消費税大増税、社会保障切り捨て、原発推進、集団的自衛権行使容認、秘密保護法強行成立など、国民多数の民意に逆らう暴走に暴走を重ね、矛盾を深めつつあります。決定された2014年度政府予算案も、国民に重い負担を押し付ける一方で、大型公共事業や企業減税をばらまき、軍事費を拡大する、まさに「大企業栄えて民滅ぶ」「暮らしを犠牲に戦争する国へ」という内容となっています。こうした暴走の根底には、自民党政治の行き詰まりがあります。「異常な財界中心」の政治を続けてきた結果、日本は働く人の所得が減り続け、経済全体が停滞・縮小する国となっています。また「異常な対米従属」の政治によって、沖縄をはじめ米軍基地問題の矛盾が限界点をこえるとともに、TPP問題にみられるように日本の経済主権・食料主権が根底から破壊される危機に直面しています。このように、日本社会は60年余続いた自民党型政治の総決算が求められる時期を迎えています。地方自治体にとっても従来型の地方政治を続けていいのかが鋭く問われています。

一方、高島市政の3年間を見れば、すでに負の遺産となりつつある人工島事業の破たん救済を進めながら、「アジアの拠点都市づくり」「人と企業を呼び込む」「成長エンジン」などと言って都心部とウォーターフロントの大規模再整備を推進して、財界奉仕へと市政をゆがめてきました。一方で、その財源づくりのために「行革」と称して市民犠牲の大号令をかけ、福祉や教育の充実を求める市民の切実な願いに冷たく背をむける、まさに旧態依然たる市政を続け、さらに加速させているのが実態です。市民不在で強引な市政運営の一つひとつが市民との間に深刻な矛盾をつくり出し、様々な分野から批判と怒りの声と運動となって広がり、市長リコール運動にまで発展しています。

本来、地方自治体の役割は住民の生活と福祉を守ることです。国の悪政から市民生活を守る防波堤となり、また中小企業・業者の営業を支える足元からの景気対策で経済再生と財政立て直しを両立させることこそ、いま真に求められている市政のあり方です。わが党は、憲法と地方自治法の精神に立って、福祉・子育て・教育の充実や地域経済・雇用対策、安心・安全なまちづくりと環境保全など、市民生活の応援を基本にした市政へと抜本的に転換することを強く要請するものです。

よって、貴職が2014年度予算編成にあたり、以下の重点要望を実現されるよう申し入れます。

以上


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2014年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望

1 市政運営の基本について

(1)日本国憲法の五原則(主権在民、恒久平和、基本的人権の尊重、議会制民主主義、地方自治)を真に生かした国づくりが求められており、憲法9条を生かした平和外交、25条に基づく社会保障拡充は国民的要求である。しかしながら、安倍内閣がこの憲法を変えて「アメリカとともに戦争できる国」づくりへと暴走している今、市長が憲法をどのように捉えているのかはあいまいにできない極めて重要な問題である。市長にとっては、憲法遵守の立場が厳しく問われるものであり、改憲反対の意思表明を行うこと。

(2)国民の所得が減り続けるなか、消費税の大増税が暮らしも経済も財政も壊すことになるのは必至である。来年4月の消費税増税の実施を中止するよう政府に要求すること。また、本市の公共料金に消費税増税分を転嫁しないこと。

(3)環太平洋連携協定(TPP)が大前提にしている「例外なき関税ゼロ」になれば、政府の試算でも農業生産額は3兆円も減少し、食料自給率は27%まで低下するだけでなく、全産業の就業者数が190万人も減少するとされている。「非関税障壁の撤廃」になれば、混合診療や医療への株式会社の参入、公共事業の「地元優先発注」の撤廃や給食食材の「地産地消」の中止、食品の安全基準や自動車排ガス規制の大幅緩和などが懸念されている。自民党が約束した「重要5項目」も守れず譲歩を重ねており、「国益」が守られないことは明らかとなっている。こうしたTPPに対し、JAなど農業団体だけでなく医師会・医療関係団体、消費者団体、労働組合など全国各地、福岡市内からも強い批判の声があがっており、各国交渉も「年内妥結」には至らなかった。市長は国に対し、TPP交渉からの撤退を強く要求すること。

(4)「行財政改革プラン」等について

  • 市長が策定した「行財政改革プラン」は、財界奉仕の大型開発プロジェクトを推進するための財源を確保するために、教育、福祉、医療、文化などありとあらゆる市民サービスを「スリム化、効率化」の名で切り捨て、負担増を押し付けるものに他ならない。市民犠牲の行革は許されず、「行財政改革プラン」は撤回するとともに、不要不急の大型開発のムダづかいを一掃するなど、市民本位の財政再建を進めること。
  • 受益者負担の見直しと称した、市民センター、体育施設、文化施設、公園、動植物園、美術館、博物館など市民利用施設の使用料値上げ・高齢者利用料減免の廃止・付設駐車場の有料化をしないこと。
  • 公の施設の指定管理者制度について、公募制や民間営利企業の参入は問題が多く、抜本的に見直して、原則直営に戻すこと。行革プランで検討されている、博物館、美術館、アジア美術館、図書館、海の中道青少年海の家、背振少年自然の家への指定管理者制度の導入の検討をやめ、直営で事業を充実させること。
  • 外郭団体の見直しについては、開発推進型の外郭団体・第3セクターを聖域とすることなく、存続の意義のなくなった「博多港開発株式会社」を解散すること。九電の利益保障となっている「株式会社福岡クリーンエナジー」を解散し、東部清掃工場を直営化すること。
  • 区役所窓口接遇評価ボタン(いいねボタン)は科学的な評価方法とは言えず、職員のモチベーションの向上の効果は期待できないものであり、中止すること。今年10月から実施した区役所窓口サービス実態調査は、委託した民間業者の調査員が密かに接触あるいは監視するという、まるでスパイのような方法で、評価内容も「接客」のスキルを点数化するものであり、住民奉仕に徹すべき公務員のあり方とは相容れず、調査結果は破棄すること。区役所市民課の委託業務範囲の拡大は、行政責任を放棄するもので、個人情報漏えいの危険もあり、検討をやめること。
  • 税務職場等における派遣社員導入は「クーリング期間」を悪用した脱法行為であり、ただちに中止し、本市正規職員を配置すること。

(5)市職員削減の中止と労働条件等改善について

  • 本市職員数は人口あたりで政令市最低となっているにもかかわらず、「行財政改革プラン」は人件費の抑制及び組織のスリム化と称して、さらに職員数を削減することを打ち出している。人口が増えている一方でこれ以上削減することは職員に労働強化と過重負担を強いて、ひいては市民サービスを低下させるものに他ならず、職員削減を中止すること。また、技能労務職関係業務の退職不補充を改めること。
  • 慢性的な人員不足のもとで市職員は長時間・過密労働に苦しみ、精神疾患も多く、改善は急務である。職員が「全体の奉仕者」として公正で民主的な行政業務に専念し、心と体の健康を保持できるよう、区役所や福祉関係、教育、防災など必要な部署を増員し、嘱託・臨時職員を定数化するとともに、サービス残業を根絶し、超過勤務手当は実態どおり支払うなど、賃金・労働時間などの労働条件を改善すること。
  • 大幅な給与引き下げによる職員の生活への影響は深刻であり、これ以上の給与引き下げはやめること。退職手当の削減をやめること。
  • ごみ清掃や下水道などの委託人件費が年々下がっており、積算にあたっては、委託労働者の基本給や各種手当を増額し、労働条件の改善を図るよう市が責任を持って委託企業を指導すること。

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2 国保・医療・年金・介護・福祉・障害者施策など社会保障制度の後退を許さず充実を

(1)国民皆保険制度の根幹である国民健康保険制度の充実について

  • 本市の国保世帯は、年所得200万円以下の低所得者がその約86%を占め、更に国保世帯の平均所得は5年間で約18万円も減少し今年度は約86万円となっている。そのような中、所得割算定基礎額233万円の3人世帯で 43万8,800円という本市の高い保険料が「払いたくても払えない」事態を生み出し、保険料滞納は、5万1842 世帯と全被保険者22万8790世帯の約4分の1にのぼる等深刻な事態となっている。本市の保険料が異常に高くなっているのは、保険料の未納見込分31億円、高額所得者の賦課限度額の超過額54億円 等を保険料に上乗せしているからである。必死で保険料を納めている方の保険料にこのような上乗せをすることは許されず、「上乗せ方式」をやめ、保険料を引き下げること。
  • 異常に高い保険料を引き下げるためには法定外繰り入れを大幅に増やすことが必要である。2012年度の法定外繰り入れは約50億円であり2007年度の70億円と比べて20億円も減少している。「繰り入れは全国医療費と本市医療費との差額分だけ」等とするルールを撤廃し、繰り入れ額を増やすこと。
  • 国に対して、まずは、「応益割」部分を国の支出で1人1万円引き下げ、中・低所得者の負担軽減により逆進性を緩和し、その後は25%台に引き下げられた国庫負担割合を元に戻すよう要求するとともに、市町村国保を解体し住民不在の機構に改編して更に住民負担を増やす広域化を進めないよう求めること。
  • 治療費が窓口全額自己負担となる「資格証明書」の発行は、16,711世帯、加入世帯の7.5%にも上り全国最悪となる中、受診を我慢して命を落とす事態も起こっている。面談できないことを理由に「特別な事情」を調査しないまま機械的に資格証を発行するやり方は許されず、全ての国保世帯に保険証を交付して市民の医療を受ける権利を保障すること。
  • 本市の保険料減免世帯比率はわずか5.56%に過ぎず、極めて低い水準にある。市独自減免制度については、当面、「所得の減収が前年比20%以上」に適用するよう元に戻して改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して、適用対象をひろげること。
  • 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用が0件という異常な事態となっている。担当部署での周知徹底を図るとともに、医療機関への要請や市政だより等の活用を強化し広報・周知を図り、必要な世帯の活用を促進すること。
  • 本市における国保料滞納者に対する差し押さえは、05年度111件(約5,600万円)から2012年度2245件(約 6億7000万円へと件数で約20倍、金額で約11倍にも増えている。年金や子どもの学資保険までも差し押さえる冷酷、異常なやり方はやめること。

(2)後期高齢者医療制度が強行されて以来、既に2回にわたる保険料値上げが行われ高い保険料が払えず、滞納したお年寄り3,396人の内、1,088人が正規の保険証を取り上げられ短期証となっている。あらゆる手立てを取り保険料負担を軽減するとともに、お年寄りを医療から排除する短期証発行はやめるよう広域連合に求めるとともに、直ちに悪法を廃止し元の老人保健制度へ戻すよう国に求めること。

(3)医療制度の改善について

  • 療養病床の38万床から22万床への削減により、大量の「医療難民」「介護難民」が生み出され、高い窓口負担による受診抑制も引き起こされている。更にプログラム法では来年度から70~74歳の自己負担を現在の1割から2割へと引き上げることが決定された。患者負担増をやめ、診療報酬引き上げ等を図り、国民の医療を受ける権利を保障するよう国に要求すること。本市において無料定額診療を実施する医療機関を増やすとともに、制度の広報を充実させること。
  • 今日、有床診療所は大病院や高齢者施設に入れない高齢者等の大事な受け皿となっているが、診療報酬の引き下げ等によって経営が厳しい状態となっている。安部整形外科の教訓を踏まえ、防災対策、看護体制を充実させるよう本市独自の検査、補助を充実させるとともに、国に診療報酬の増額と補助充実を求めること。

(4)こども病院の人工島移転計画について

市長はこども病院の人工島移転を強行しているが、「地震対策は行われている。液状化は起きない」という説明は偽りで、密かに病院機構が新たな地盤改良を行っていたことが判明した。また、「地域医療を守るため唐人町周辺に新しい小児科をつくる」等と説明した内容はその後医師会との協議も具体化もされていない。そのような中、小児二次医療連絡協議会に示された資料によると、人工島移転後の新病院には西部地域の患者の 約8割がかかれなくなるという重大な見込みが明らかにされており、患者、その家族の不安がひろがっている。「新病院基本構想」では260床とされたベッド数も未だ県の認可が下りず、233床にとどまったままである。公約を破り、市民と議会を欺き続けてこのまま移転を強行することは許されない。市長は、この間の誤りを認め、最も浸水リスクの高い脆弱で危険な人工島での工事は中止し、現地にこども病院機能を維持するよう手立てをとること。

(5)真に安心できる年金制度の確立について

  • 年金保険料の際限ない値上げ、繰り返される給付削減、支給開始年齢の先送り等、年金制度の連続改悪が強行される中、高齢者の生活困窮と年金不信が広がっている。市長は、保険料の引き上げをやめ、減らない年金制度を確立するよう国に求めること。
  • 強行成立した「社会保障改革プログラム法」においては「特例水準の解消」で1兆円、「マクロ経済スライド」で1.5兆円等、空前の年金削減が強行されようとしている。市長は本法を施行しないよう国に求めること。
  • 特別障害給付金支給制度は、その支給対象を広げ全ての無年金障害者に対して適用されるようにするとともに、障害基礎年金と同額に引き上げるよう要求すること。また障害基礎年金の支給要件緩和を求めること。

(6)介護保険制度の改善について

  • 2012年4月施行された介護保険法改悪により、生活援助時間の削減が強行され、「会話やコミュニケーション、掃除等の時間が大幅に削減され利用者の「状態悪化」など深刻な影響が出ている。これに加え、成立したプログラム法により利用料の2割への引き上げ、要支援者の介護はずし、特養ホームからの要介護2以下の締め出しが実施されようとしている。市長は、現場の専門家の判断で必要な介護を受けられる制度に改善するとともに、「生活援助」等改悪された制度を元に戻し、プログラム法に基づく改悪を実施しないよう国に求めること。併せて国庫負担割合を現在の50%から少なくとも60%に引き上げ、国の制度として低所得者のための保険料、利用料の減免制度をつくるよう求めること。
  • 本市の介護保険料は基準額である市民税本人非課税世帯で年額64,344円等大きな負担となっており、高い利用料と合せ悲鳴が上がっている。一般会計からの繰り入れも行い保険料の引き下げを図るとともに、当面市独自の利用料減免・助成制度を設けること。
  • 本市の特別養護老人ホーム待機者は、推計値を含む等、杜撰かつ意図的な調査によって3500人とされたままであり、今後の整備計画は極めて不十分なものとなっている。市長は早急に実態を正確に把握するとともに希望者全員が速やかに入所できる待機者解消計画を策定し、小学校跡地等土地の無償貸与も行い早急に待機者解消を図ること。併せて、介護療養病床の廃止方針の完全撤回を国に要求するとともに、生活支援ハウスの増設やグループホーム、宅老所などへの支援強化を図ること。
  • 特別養護老人ホーム等の居住費と食費の全額自己負担によって入所者が負担増に耐えられず、退所等を余儀なくされている。国に対し、こうした利用者負担を軽減するよう要求するとともに、本市では特養施設や小規模多機能施設、ショートステイ、デイサービス等の食費等に対する減免制度を設けて救済するなど、低所得者対策を拡充すること。
  • 相次ぐ介護報酬の改悪によって、事業所の運営は悪化し、現場の介護労働者の賃金体系も抜本的な改善が図られず、離職者が相次ぎ慢性的な人材不足を招いている。介護報酬とは別枠での公費投入による賃金の大幅引き上げの実現とともに、介護報酬の大幅な引き上げを国に求めること。その際、保険料上昇につながらないよう引き続き国費で措置し増額するよう求めること。また、本市において介護施設職員の人件費に補助を行う独自制度を設けるなど介護人材確保のための方策を講じること。

(7)高齢者など個人給付等の拡充について

  • 老人医療費助成制度を復活するとともに、大幅に縮小された敬老金及び敬老祝品支給を元に戻すこと。また、老人クラブの補助金を増額すること。
  • 本市の高齢者乗車券制度は所得制限を撤廃し全ての高齢者に交付するとともに、バスやタクシーだけでなく要望の強いタクシーへの利用も可能にし、給付額も増額してお年寄りの生き甲斐である社会参加を促進すること。併せて、渡船料の65歳以上高齢者無料制度を復活すること。

(8)本市原爆被害者の相談事業を維持・強化するための運営費補助を拡充するとともに、ふくふくプラザの駐車場使用料を全額免除すること。被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付すること。また、国や県に対し、被爆二世の希望に応じて「被爆二世健康手帳」を交付し、被爆者援護法に定める健康管理手当支給の疾病について被爆二世の希望者に医療費の助成をおこなうとともに、原爆症認定を被爆者の実態にあった方法に改善するよう求めること。被爆実相証言・原爆展等の開催について、ふくふくプラザだけでなく市の公共施設・公民館などを積極的に提供するとともに、市としても積極的に開催すること。

(9)アスベストは市内でも吹付けだけでなく成形板として多く建築資材に使われながら、解体・改修工事において野放しに近い状態にあり、本市も実態を把握していない。市として現場の実態調査を行うとともに、アスベスト成形板を使っている建築物の調査費用や解体・改築の工事費用への補助をおこなうこと。成形板をふくめ、アスベスト含有建材の石綿障害予防規則の立場で安全な処理を徹底させ、市のかかわる公共施設の工事では厳格に守らせるとともに、廃棄場を確保すること。成形板をふくめアスベストを扱う建設労働者の防塵マスクの普及につとめ、市内業者への購入補助をおこなうこと。成形板をふくむアスベストの被害や対策について市民に周知や広報を強化すること。国民健康保険の特定健康診査の問診において職種や経歴に応じて石綿被害を明らかにできるように対策をとること。

(10)薬害C型肝炎に関し、カルテの有無等で救済対象を限定するなどの対応を改めすべての被害者の救済をはかり、製薬企業にも謝罪・補償・再発防止をおこなわせるなど、全面解決にとりくむよう、国に求めること。薬害B型肝炎に関しては、体制を整備し大幅に遅れている和解金支払いを急ぐとともにすべての被害者救済を進め、治療費助成を創設するよう求めること。併せてウィルス性肝炎患者の治療推進と生活支援に向け、肝炎対策基本法の更なる充実を求めること。

(11)生活保護行政を充実すること

貧困と格差が大きな問題となる中で、本市においても生活保護世帯が前年10月と比較して1,000世帯増加し3万2,082世帯となり、深刻な事態となっている。そのような中、安倍政権は、申請にあたって書類提出の義務付け、親族の扶養義務の強化、基準引き下げなど、国民の生存権を保障する制度の根幹にかかわる大改悪を、短時間審議で強行したことは極めて重大である。憲法25条が保障した国民の生存権をまもるために保護申請の門前払いや強権的な保護の打ち切りなど、排除と切り捨ての保護行政をあらためる事が求められている。

  • 生活扶助基準の引き下げの影響を調査し、国に撤回を求めること。あわせて生活保護費を全額国庫負担にするように国に要求すること。
  • 2006年の生活保護老齢加算の廃止によって、高齢者は食事回数を減らしたり、水光熱費や冠婚葬祭等交際費の節約などを強いられ、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」をも営めない深刻な実態にある。市長は国に対し、直ちに老齢加算の復活を要求すること。
  • 公立高校の所要額を目安にしている「高校就学費用」は極めて不十分であり、私立高校への進学を困難にするばかりか、授業料・入学準備金・修学旅行費など不足額を「生活扶助費」やアルバイト料等で補填しなければならないのが実態である。国に対し、基準を抜本的に見直し増額するとともに、大学、専修学校等への進学者については強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方をやめるよう要求すること。
  • 保護世帯がいつでもどこでも安心して医療を受けられるために、現行の医療券方式をやめ、健康保険証のような「医療証」に改善するとともに、入院治療に必要な寝巻き・オムツ等の支給制限をやめさせること、また、通院が15回以上の患者へのしめつけ、長期入院被保護者の実態を無視した6ヵ月以内の強制退院を強要しないこと、および入院中の住宅扶助打ち切りをやめることを国に求めること。
  • 生活保護を申請した人の親族に対して各地の自治体が、親族の援助が保護受給の要件であるかのように書いた書類を送りつけて申請をしめ出している問題について、厚生労働省は2013年11月8日、「扶養義務が保護を受けるための要件であると誤認させるおそれのある表現となっていた」と認め、「可及的速やかに改善を図る」よう求める事務連絡を全国の自治体に出した。本市においても扶養が前提と認識させるような照会文書の送付はやめること。
  • 生活保護申請権について、国会審議で厚生労働大臣は「第7条申請権保護の原則は変わらず、口頭申請も担保されている」「保護開始時期は書類が全部整って受理された時ではなく、本人が申請したとき」「申請書類に扶養義務者を書かない・扶養義務者が所得状況を書かなくても、申請は認める」と答弁している。本市においても、これまでと同様に口頭の申請でも受け付けること。
  • 生活保護は市民の「最後のよりどころ」であり、「面接」「指導・助言」を口実に不当に保護申請を排除することは許されず、必要な申請用紙を各区福祉事務所のカウンターに常設していつでも申請できるようにし、申請権を保障すること。資産調査のさいの本人・家族の同意書は一括としないこと。
  • 生活保護申請が急速に増大するなか、本市の体制は国のケースワーカー配置標準数「80対1」をはるかに上まわる「100.8対1」となっており、現場に多大な困難をもたらすなど実態に合っていない。不安定な嘱託職員や任期付短時間勤務職員等で間に合わせるのではなく、標準数を満たすよう、正規のケースワーカーを大幅に増員して、迅速で親身な対応ができるようにする事。
  • 現場では病気や年齢等を無視した就労強要指導、扶養義務や辞退届けを「協力」の名で行政側が強要するケースなど人権無視の対応が続発しており、研修などによって、憲法・生活保護法および 2010年4 月14日付通知の趣旨に沿った対応を徹底すること。また保護決定は 14日以内の法定期限を厳守するとともに、保護費の支給明細書を受給者本人に分かるように改善すること。
  • 猛暑のもと生活保護世帯は電気代を節約するために冷房もつけず、熱中症などにかかるなど体調を壊す事態も生じている。生活保護世帯がエアコンを購入する際に、保護費以外の収入がある世帯には社会福祉協議会の貸し付けが認められているが、収入がなければ購入の手立てがなく、差別されている。国に対して制度改正を求めると同時に、本市独自に収入認定しない貸付制度をつくる事。また生活保護の夏季一時扶助費の新設と期末一時扶助費の大幅増額を求めるとともに、それが実現していない現状では、国の生活保護とは別に、市独自の「福祉手当」を創設し、夏期・年末にそれぞれ支給すること。
  • 行財政改革プランで生活保護受給世帯の下水道使用料金について、生活扶助費に含まれているとして減免の見直しが検討されている。生活保護受給世帯の負担増につながる下水道使用料金の減免制度を廃止しないこと。
  • 求職活動の交通費は無条件に支給すること。また、医療機関への通院にかかる交通費について、実費に対してケースワーカーが勝手に費用を算出して「抑制」したり、本人の実態を無視して医療機関をかえさせたりするケースが増えており、本人の意思を尊重し、医療をうける権利を阻害することのないように支給すること。

(12)市内のホームレスは217(2013年1月)人と減少したものの、依然として雇用悪化の影響で事態は深刻である。自立支援センターなどへの強制入居はさせず、本人の要望があれば民間住宅へ入居させること。あわせて民間ボランティアやNPO支援団体への補助金を大幅に増額すること。またホームレス保護受給者を食い物にする「貧困ビジネス」(囲い屋)等については、実態を調査・把握し適正に対処すること。あわせて急迫保護入院の場合、退院即打ち切りでなく、療養が継続できるよう居宅の確保や就労の斡旋などの抜本的な自立支援策を講じること。ホームレス患者受け入れ医療機関への入院協力金を増額すること。

(13)障害者施策について

  • 「行財政改革プラン」で障害者施策について「個人給付から事業への転換などを検討」とされているが、現行施策の削減・廃止はせず、本市における市独自の負担軽減制度や、重度心身障害者福祉手当を存続・充実させること。重度心身障害者医療費助成制度については所得制限を撤廃すること。
  • 小規模作業所への土地家屋借り上げ料補助について限度額を大幅に引き上げるとともに、職員の賃金を引き上げ、事業所の運営を支えるために法定制度移行の如何に関わらず補助制度の充実を図ること。
  • 療育センターの人件費補助をふやして人員配置を充実するとともに、現在の3カ所の療育センターでは不足しており、増設計画を立てること。
  • 重度障害者の入院中ヘルパー介護の「コミュニケーション支援」事業について、施設利用者にも適用し、利用者の意見を反映して活用できる対象事業を拡大すること。就学前障害児のホームヘルプ利用については必要な時に使えない厳しい要件審査をやめて改善すること。
  • 視覚障害者の同行援護事業の利用上限時間や利用条件を緩和すること。
  • 精神障害者に対するJRや西鉄等の交通運賃割引、市営渡船の運賃割引を他の障害者と同等に実施し、格差をなくすよう、事業者との本格協議と市の手だてを講じること。福祉タクシーのチケットは移動手段の選択幅をひろげ、ガソリンチケット制を設けること。
  • 地域生活に移行するための大切な「受け皿」となる障害者グループホーム等への設置費、運営費補助は実態にあっておらず、大幅に増額して施設増設を推進すること。
  • 障害者の雇用について、本市職員の採用を抜本的に増やすとともに、民間企業に採用増を要請し、そのための本市独自の補助制度をつくること。
  • 障害児・者の日常生活・補装具の購入に対する国の給付が不十分な中、経済的負担は大きいものがあり、市独自に支援制度を創設すること。
  • ガイドヘルパーによる病院内移動や散歩、政治活動、宗教活動等の移動支援について他の自治体では認められているにもかかわらず本市では厳しく制限・排除している実態について、当事者はもちろん識者からも障害者に対する基本的人権侵害だとの厳しい批判の声が上がっており、プライバシー侵害にもあたる利用者の細かい利用報告書の提出義務付けを含め、異常なあり方を改善すること。
  • 視覚障害者にとって重要な誘導ブロックの破損や危険な構造を改善するとともに、自転車の危険走行等によって安全をおびやかされている視覚障害者等の安全を守る手立てを検討すること。
  • 知的障害者は、療育手帳の区分程度によるサービスの格差があり、改善をはかること。
  • 喀痰吸引など医療的ケアを必要とする障害者の在宅生活を支援するとともに、医療的ケアが必要な障害者の短期入所の充実をはじめ、施設での医療的ケアのための人員・補助などの支援を強めること。
  • 障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会がとりまとめた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」にもとづく障害者総合福祉法の制定を国に求めること。

(14)高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、水道・下水道・ごみなど公共料金等の福祉減免をおこなうこと。低所得者に対する住民税などの独自減免を促進すること。

(15)生活困窮者への対策として、低利の生活福祉資金貸付制度や緊急小口資金貸付制度を抜本的に拡充するなど、個人向け、離職者向け、個人事業者向けのセーフティーネット貸出制度を拡充すること。

(16)高齢者や生活困窮の世帯の孤立化をふせぐ重要な役割を担っている地域の民生委員・児童委員を増員するとともに、費用弁償の増額を国に求め、当面市独自の上乗せ分を増額するなど待遇の改善を図ること。

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3 人工島など大型開発をやめ、生活優先、安心・安全のまちづくりへ転換を

(1)人工島事業について

高島市長の3年で人工島事業推進予算は合計410億円にのぼる。造った土地は計画通りに売れず、昨年見直した事業計画・資金計画が早くも破たんしている。その破たんを救済するための税金投入は、天井知らずとなっている。病院や青果市場、道路など税金による土地買い取りとハコモノ整備はすでに631億円以上にのぼり、住宅市街地総合整備事業を名目にした住宅建設への補助にも57億円、さらに今後、120億円の拠点体育館、250億円の都市高速道路が計画され、企業立地交付金は260億円も予定されている。土地単価をどんどん引き下げ、売れば売るだけ赤字が増え410億円の赤字という負の財産を抱えることになる。税金の無駄使いの最たるものである人工島事業推進は許されない。

  • 市のコンテナ貨物取扱量について、2012年は84万9千TEUであり、2013年も9月までの速報値でみると前年同時期と比べほぼ横ばいなのが実態である。市が目標としている2015年度100万TEUの達成は程遠い。また3万トンのコンテナ船も増えておらず、大型貨物船が着岸するD岸壁は必要なく、国も事業化の見通しを立てられない状況にある。従って、必要のないD岸壁の整備はやめること。また、みなとづくりエリアの土地について大幅な土地処分単価の大幅引き下げで、売却すればするほど赤字となり、今後数百億円の税金を投入する市4工区の埋め立て事業は凍結すること。
  • まちづくりエリアについて、売れない土地を処分するために「定期借地方式」を導入し大規模商業施設の立地や新産業・研究開発ゾーンへのベンチャーや研究機関の立地を目指しているが、土地処分の見通しはなく、処分がすすんだとしても収支が逆転し赤字となる事は明らかである。このような中売れない土地の穴埋めのための120億円もの拠点体育館の整備が具体化されようとしている。公共施設の導入は税金・公金による破たん救済でありやめること。
  • 市長は産業界の要求をのんで、人工島に進出する企業に対する交付金を最大30億円へ大幅拡充し、260億円もの税金を投げ渡そうとしている。対象企業について、雇用される正規職員の数も把握しておらず、税収効果についても不明確である。税金のムダづかいである立地交付金制度を廃止すること。
  • 巨額の赤字となる人工島の収支計画では、港湾整備事業基金を枯渇させ、港湾特会の破たんが必至であり、借金返済のための一般会計からの税金投入をしないこと
  • すでに竣工している土地の活用など、人工島事業について市民参加で抜本的に見直すこと

(2)市長は、本市の借金財政を深刻にさせ、暮らしを犠牲にしてきた大型開発路線に何の反省も総括もないまま歴代市長の「アジアの拠点都市」づくりを継承している。税金も使って再開発を促進する「特定都市再生緊急整備地域」の国指定を受け、九電・福銀等の七社会を中心に計画されている天神明治通り沿いの再開発に対し、容積率の規制緩和や税制の優遇、金融支援を行うとともに、新たな天神通線の整備などを計画しているが、銀行やゼネコン、財界のもうけづくりのために、国や市の莫大な公金を投入することは許されず、「新都心構想」に沿った異常な大型開発推進をやめること。

(3)市はウォーターフロント地区について、総事業費がどこまで膨らむか、本市の財政負担がどうなるのか一切示さないまま、大型クルーズ船に対応するための施設整備や中央ふ頭の北側埋め立て、公園や第二期展示場の整備、集客・商業施設の誘致など、大規模な再整備を推進し、さらに天神・博多駅とを結ぶ新たな公共交通機関の整備まで検討しようとしている。市財政を破たんさせるこのような無謀な大型開発行政に突き進むことは許されず中止すること。

(4)福岡空港の問題について

  • 福岡空港の2012年の乗降客数1778万人は前年より若干回復したとはいえ2002年1968万人の9割に過ぎず、経済活動の低迷、九州新幹線の開通等での減少傾向は変わらず、小型化した便のラッシュ時の過密解消は誘導路の増設で十分である。国・市の財政状況から見ても空港問題は、既存ストックの有効活用や、近隣空港との連携等で解決すべきである。1800億円もの公金をつぎ込み不必要な滑走路増設を行うことは許されず、やめるよう国や県に要求するとともに、本市として、この計画から撤退すること。
  • 民間企業のもうけのために滑走路を含む空港施設を民間に委託することは、公的責任をあいまいにし、安全性や公共性を脅かすものであり、反対すること。

(5)際限のない巨額の市費投入となる「九州大学学術研究都市構想」の推進をやめるとともに、同「推進機構」から撤退すること。

(6)香椎駅周辺地区土地区画整理事業については、住民や商店街等との話し合いを促進し、商店街の活性化につながるまちづくり計画にむけて住民参加で見直すこと。

(7)六本松の九大跡地については、大型商業施設やマンション建設ではなく、緑と文化施設をという住民要望を反映し、地元住民の営業と暮らしを守り、地域の活性化に資する活用を行うこと。少年文化ホールの移転新設をおこなうとともに、「青少年科学館」の民間ビル賃借方式はやめること。

(8)箱崎の九大跡地については、首都圏のバックアップ機能招致などと称しての箱ものづくりではなく、市が責任を持って箱崎中学の移転、総合研究博物館、研究機能を備えた総合環境・防災ステーションなど4校区協議会提案にある地元住民の要望を反映した利用計画をたてること。

(9)西部市場跡地は地元住民の要望も強く、近隣公園が必要な地域であり設置すること。

(10)住民が切望している早良区の地域交流センターを早急に設置すること。

(11)学校統廃合による跡地などの公有地については、民間売却でなく保育園や特別養護老人ホーム、文化施設、公園など地域に必要な公的活用を行うこと。

(12)大山ダム完成に伴って2013年度から水道用水供給施設能力は、新たに日量13,200立方メートル増加したにも関らず、筑後川からの供給水量は逆に日量約5,000立方メートルも現状から減少している。従って、本市の供給増量計画の必要性はなく、水需給計画を抜本的に見直すとともに、五ヶ山ダム建設は、渇水や治水対策についても問題があり、県や国に中止を要求すること。

(13)脱原発、原子力事故から市民を守るために

安倍政権は国民的議論で決められた「原発ゼロ」目標を投げ捨て、原発を「基盤電源」と位置づけるエネルギー基本計画を年明けにも閣議決定しようとしている。そのもとで、九州電力は玄海原発3、4号機の新規制基準への適合性審査を申請し、全国の原発再稼働の突破口を開こうとしている。このような動きは「原発をなくせ」という国民世論への挑戦であり、福岡市長は、市民の命と生活を守る立場から「原発のない社会」をめざして行動する責務がある。

  • 市として「脱原発宣言」を行うこと。
  • 市として九電と国に対して、玄海原発の4基すべての再稼働中止と早急な廃炉を強く要請すること。
  • 原子炉破裂など最悪規模の事故も想定した地域防災計画・避難計画を策定するとともに、国まかせでなく市独自に避難指示が出せるよう専門機関を設置すること。
  • 九電と締結した原子力安全協定は、事故時に直接福岡市への連絡をさせるとともに、事故後対策だけでなく、立ち入り調査や施設の変更などに対する事前了解などの内容を盛り込むよう見直しをすること。

(14)再生可能エネルギーについて

  • 福岡市環境・エネルギー戦略有識者会議提言書の「福岡市環境・エネルギー戦略(仮称)の目標」は不十分であり、福岡市には太陽光・風力の市内利用可能量をすべて導入すれば市内全世帯の電力消費をまかなえる潜在能力があることをふまえ、2020年までに市内の一次エネルギーの2割、30年までに3割を再生可能エネルギーと省エネルギー技術でまかなう目標を定めること。
  • 市有施設・市有地で太陽光、風レンズ風車などの風力、小水力などの発電の活用を前項の目標にふさわしく抜本的に拡大すること。太陽光発電の「屋根貸し」を公共施設でもすすめるとともに、民間施設や個人住宅で普及するため市が積極的な支援をおこなうこと。
  • 九州大学と共同で開発している風レンズ風車および、九州大学が実証実験をしてきた浮体式洋上発電について、支援を強化すること。
  • 住宅用太陽光発電システム設置を飛躍的に増やしていくために補助金制度を抜本的に充実すること。

(15)原発事故子ども・被災者支援法の早期具体化とともに、同法の支援対象地域を狭めず、年1ミリシーベルト以下の被ばく量ですべての人が暮らせるよう国に求めること。国まかせにせず、市として避難者の就労支援や福祉・教育の負担軽減などの施策を充実すること。また、自主避難者を調査・把握し、支援をおこなうこと。

(16)耐震計画・対策の前倒しなどについて

高島市長は中央保育園移転について「東日本大震災の発生をうけ早期の安全確保をする」として、執行予算の凍結、新規の土地取得までおこなったが、同園移転以外の防災対策にはこうした緊急の手だてをとった様子は一切見られない。防災を口実にして市民の声や子どもの安全を踏みにじる移転強行に熱中するのではなく、東日本大震災の教訓をふまえて真に市民の安全確保をするため、緊急に以下の耐震計画の前倒しの手だてを講じるべきである。

  • 22棟2,837戸の市営住宅、庁舎・消防署や福祉施設など既存公共施設8施設、橋りょうや下水道施設など公共土木構造物25施設の耐震改修が残されている。災害時に被災者を受け入れる公共建築物の耐震化は喫緊の課題であり、耐震計画を前倒しして早急に取り組むこと。
  • 荒津の石油コンビナートや、西戸崎の石油タンク、東浜のガスタンク等の震災時の安全が懸念されているにもかかわらず、耐震化率は58%にすぎない。危険物貯蔵所施設の耐震化状況を早急に調査し、耐震対策と津波対策を徹底し、安全性を確保すること。
  • 民間建築物耐震化促進事業の耐震改修助成を抜本的に引き上げ、住宅の耐震化目標を前倒しして実現すること。あわせて、人命救済のための耐震ドア、耐震ベッド、窓や屋根の補強だけでも活用できるようにするなど、助成要件を緩和し、民間建築物の耐震強化の促進を行うこと。また制度の周知・広報も強めること。

(17)地震・津波対策について

  • 政府の地震調査委員会は今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を地図上で示す「全国地震動予測地図」の2013年版を発表したが、それによると福岡市の中心部などでは6〜26%の確率になっている。国の地震調査研究推進本部が行う警固断層帯の調査結果待ちにならず、震災・津波について、市として想定外を想定し、最悪の事態に備える見直しをただちに行うこと。
  • 最悪の津波を想定し、津波避難ビルの必要数の確保、避難ビルの認証シールやオートロック対策など実効性ある対策を早急にとること。
  • 地域での高齢者等の避難支援体制を市が責任を持ってつくり上げ、災害時に現実に機能するように地域との連携を日常不断に図ること。

(18)市内にある757箇所の急傾斜地崩壊危険箇所のうち、解消されたのは県が特に危険だと指定したわずか4%程度のみである。集中豪雨発生などによる危険は一層高まっており、地権者の協力も得ながら、県に指定区域の拡大を求めるとともに、市としても積極的な取り組みをすすめ、早急な解消につとめること。

(19)本市の消防力の整備状況は、国の指針に照らしてポンプ車は3台不足し、人員は68人も不足しており、特に予防要員の充足率は83.5%しかない。市民の命を守る上で重要な消防力であり、早急に増車・増員すること。また救急救命士も大幅に増員すること。

(20)安部整形外科火災事件を受けての対策について

10月11日に起きた安部整形外科(博多区)の火災で高齢患者など10人が犠牲となり、市民はもとより全国に大きな衝撃が走っている。こうした災害を二度と起こしてはならず、国の対策待ちにならず、市の責任で緊急に手だてをとるべきである。

  • 安部整形外科火災では通報の遅れが一因とされており、市が独自支援をおこなって市内のすべての有床診療所への火災の自動通報装置をただちに設置させること。
  • 設置費用への補助はもとより、維持管理費や更新費用もふくめて国と市の責任で、すべての市内の有床診療所に対し、初期消火に大きな効果を発揮するスプリンクラーを早急に設置させること。
  • すべての福祉・医療施設について、火災の自動通報装置やスプリンクラーの設置などの防災・消防体制の整備を、国と市の責任ですすめること。

(21)河川水害対策について

  • 市街地を流れる那珂川の水害対策等については、県が2010年度からおおむね5年間の事業として行っている「床上浸水対策特別事業」の事業期間の短縮と「広域基幹河川整備事業」を早期に完成させるよう、県と国に要求すること。また内水排除を進めていくためにも貯留池などの施設整備を行うこと。さらに、若久川については、護岸の嵩上げや河床掘削、バイパス雨水管、若久団地内に調整池の整備など浸水防止対策を具体化し、早期に事業化を図ること。
  • 樋井川の浸水対策については、「床上浸水対策特別事業」で行っている河床掘削や護岸整備事業の短縮を県に求めるとともに、当仁中学校跡地や小学校、公園などの公的施設を活用して、地下貯水施設等を早期に設置すること。また、浸水被害にあった田島、鳥飼、長尾地域での浚渫など改修を急ぐとともに、上流域での浸水対策については、公共施設などを活用した調整池やバイパス雨水管などの整備を早急に具体化させること。
  • 周船寺川の河川改修事業については、計画の前倒しで河床掘削や護岸整備を急ぐこと。
  • 須恵川流域の松島校区については、2012年度に完了したとされる浸水対策では不十分であり、河床掘削や川幅を拡大するなど抜本的な河川改修事業を改めて県に要求すること。
  • 今泉地区などで今夏、浸水被害が発生したことにみられるように、天神周辺地区の浸水対策は緊急性が求められている。雨水整備レインボープランとして進められている雨水幹線整備や貯留施設、浸透施設等の前倒し整備を早急に行うこと。また下水道の分流化についても年次計画を立て事業を推進すること。

(22)交通対策について

  • 西鉄などのバス運行事業者によるバス路線の休廃止が相次ぎ新たな公共交通空白地域を作り出すなど深刻な社会問題となっており、公共交通機関としての責任を果たさせるためにも西鉄などにこれ以上路線廃止を行わないよう強く要求すること。また、公共交通が不便な地域における対策の拡充を行うためのコミュニティバスなどの運行事業については、支援対象地域および基準等を拡大し、市が実施主体になるとともに、高齢者等の買い物や通院などの生活交通網の充実を図ることなど条例を抜本的に見直すこと。
  • 天神地区を中心にした都心部への交通流入量を抑制する対策の具体化が求められており、パークアンドライドなどの対策を推進していくとともに、公共交通機関への乗り換え促進など自動車交通の総量抑制など取り組むこと。
  • 西鉄貝塚線と地下鉄との乗り継ぎを解消し、区間を三苫駅まで延伸する相互直通運転のために、西鉄との協議を急ぎ、早期に事業化すること。
  • 高齢者や障害者が強く要望しているノンステップバスや低床バスの導入率は約8.9%と極めて低い水準にあり、年次計画を立てるなど導入促進を図ること。また、JR筑肥線や、西鉄大牟田線のホームドア設置については、新技術の活用を含めて直ちに行うよう関係事業者に申し入れること。あわせて、公共公営交通機関において、西鉄バス停や地下鉄駅での視覚障害者への音声案内について、視覚障害者団体など関係者の要望を踏まえ改善の取り組みを強化すること。
  • 近年、自転車は環境にやさしく、また手軽で健康によい交通手段として利用者が増えるなか、自転車事故が増加しており、その安全な利用環境が求められている。そのためにも道路の整備、自転車レーンや専用区分の確保、及び指導員の配置など積極的に進めること。
  • 行財政改革プランで志賀島航路など市営渡船事業の廃止が打ち出されているが、関係住民の生活交通手段をなくすことは許されず、渡船の廃止や減便方針は撤回すること。

(23)公営・公的住宅行政について

住宅は福祉であり、良好な住まいを確保し、安心して住み続けたいという多くの人々の共通の願いを、権利として保障することが、今や国際的な流れとなっており、深刻な不況、格差と貧困の広がりのなか、低廉で良質な公営住宅の必要性はこれまで以上に高まっている。

  • 市営住宅全体では、2012年度1万4657件もの応募に対し、募集戸数はわずか1017戸しかなく、特に単身高齢者住宅では1977件の切実な応募に対し78戸の募集しかなく、まさに何年待っても入居できない深刻な事態である。必要な市民が入居できるよう、建替中心の建設抑制政策を改め、大幅な新規市営住宅建設計画をたてるとともに、民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にするなど多様な供給方式の活用で公営住宅を大幅に増やすこと。
  • 従来特別随時募集制度等で救済されていた「家主の都合により突然の退去要求を受けた世帯」については、新たな随時募集制度では救済されない。高齢者等だけでなく一般の低所得世帯にとっても結局路頭に迷わざるを得ない深刻な問題である。住宅に真に困窮したこれらの世帯の救済策を早急に講じること。
  • 市営住宅における低所得の若年単身世帯枠を拡大するとともに、民間住宅入居に際しての家賃補助制度をつくること。
  • 市内で約3700戸にも及ぶUR賃貸住宅の用途廃止計画は、本市の住宅政策にとって深刻な影響を及ぼすものであり、廃止計画をやめるとともに、「民営化」を行わないよう国に求めること。また「家賃の4倍以上の収入」という入居要件は単身の生活保護世帯の排除につながっており、入居要件を緩和し、必要としている人が入居できるよう国に要求すること

(24)分譲マンションの集会所や通路は、一般の住宅街の町内会集会所や多数が使う私道にあたるものであり、本来公共がおこなう基本的サービスの居住者負担を軽減するため、通路、ごみ置き場や公園の固定資産税減免や維持管理費等の補助、防犯灯や受水槽の電気代等の補助などを行うこと。

(25)空き家の倒壊等による被害の防止のため、市の体制強化をはかるとともに、空き家を貴重な社会的資産にするため空き家情報の提供など必要な施策を早急に実施すること。

(26)中高層建築物等建設にかかる紛争について

  • 2012年度までの5年間で2245件の中高層建築の標識が設置され、苦情の申し立てがそのうちの24.3%からもあっている。特に近年、住民の努力で守られてきた良好な住環境を破壊する強引な中高層住宅建設の深刻な事例が後を絶たない。開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の周知と積極的適用に努めること。
  • 2009年に市が提案した「新高度地区の導入」について、実行を求める請願が2012年に市議会で採択されたにもかかわらず、いまだに実施されていないのは問題であり、建築物の高さによる圧迫感の軽減、周辺環境と調和した街並みの形成等のためにも早急に実施すること。
  • 「建築紛争の予防と調整に関する条例」について、他都市でも実施されているように標識設置期間の延長や、近隣説明会の義務付けと範囲の拡大等々の早急な改善を行い、さらに住民合意を前提にするなど実効性を持つ内容に抜本的に改訂すること。また市は住民の立場で建築業者に対し、条例を遵守した真摯な話合いを行い、住環境を守るよう強く指導すること。それでも市の指導に従わず、住民との話し合いに応じないなど誠意が見られず、また工事協定も結ばないまま一方的に工事強行を行う業者に対しては、市工事の入札時にペナルティを課すなどの罰則規定を盛り込むこと。また、そのためにも都市計画・まちづくりに関し、自治体独自の条例制定権を全面的に認めるよう、国に対して法改正を要求すること。

(27)緑地保全(保全林)の地区指定を促進するとともに、予算を大幅に増額し、都市緑地の保全・買取を積極的に推進すること。併せて緑の再生にも計画的に取り組むこと。保存樹事業については、所有者の負担軽減策を講じること。

(28)近隣公園等住区基幹公園が不足している地域へ、方針どおりの設置を急ぐこと。

(29)動植物園の運営と整備、再生計画については、市民とともに飼育担当職員の声も十分反映させるような体制をつくること。また既存の施設についてもより動物本来の自然生態を見せる展示方法の導入や飼育環境の改善などの工夫を行うとともに、計画を前倒しして推進すること。再生計画の見直しにあたっては計画的に予算を確保し、植物園エリアとの相互活用も含めてよりよい整備計画とすること。また必要な動物の確保を行うこと。あわせて動物園はレクリエーションの場だけでなく、博物館法にもとづく教育、種の保存、調査・研究などの重要な役割を担う施設であり、「受益者負担」はそぐわず、公平性などとして入場料の値上げを行わないこと。また高齢者から憩いの場を奪う入場料の減免制度は廃止しないこと。

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4 地球温暖化対策と環境問題について

(1)地球温暖化対策について

  • 安倍政権が打ち出した2020年度までの温室効果ガスの排出目標は、国際的基準となる1990年比では「3.1%増」となっている。これは世界第5位の大量排出国としての責任を投げ捨てるものである。従って市長は、国に対してこの目標の撤回を要求するとともに、意欲的な削減目標へ見直すよう国に求めること。
  • 本市における二酸化炭素の排出量は、全体として増加傾向にあり、業務・産業部門が42%、運輸部門が26%と依然として業務・産業部門の割合が高い。本市の「地球温暖化地域推進計画」では、業務部門は二酸化炭素の排出量を基準年度に対して14%削減する目標であるが達成するどころか逆に増加している。削減計画の達成のため大規模事業所に対して積極的な目標とするよう働きかけ、排出量の削減を推進すること。

(2)博多湾の水質は、2012年度のCOD75%値の経年変化において東部海域の環境基準点では2カ所とも3年ぶりに基準値を達成しているが、中部海域は環境基準点3カ所のうち2ヶ所、西部海域でも3ヶ所のうち1ヶ所が未達成である。未達成海域の原因究明及び必要な対策を取ること。また、港湾内部生産や下水排水の抑制など保全策の充実を図ること。

(3)和白干潟については、クロツラヘラサギ、ミヤコドリなど多様な希少種が飛来し、休息場や餌場となっている。国は、国際的にも重要な湿地であることを踏まえて今年鳥獣保護区の指定を2023年までの10年間延長した。市長は、和白干潟については、鳥獣保護区の「特別保護地区」指定を国に働きかけるとともに、2015年の第12回ラムサール条約締約国会議で和白干潟が登録地に選ばれるよう積極的な取り組みを行うこと。

(4)微小粒子状物質、いわゆるPM2.5は、粒径が非常に小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、肺がん、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響が懸念されている。2009年9月にPM2.5の環境基準が設定されて測定が行われているが、本市においてはすべての測定局で環境基準が達成されていない。従って、科学的な知見に基づく市民へのわかりやすい情報提供を行うとともに、発生源・影響への解明・研究を進めるなど、PM2.5対策を積極的に行うこと。

(5)光化学オキシダントについて、昨年に続き市内すべての測定局で環境基準値を達成していない。また、2012年5月7日に光化学オキシダントの緊急時の措置基準である0.12ppmを超える濃度が3局で観測され、市西部(早良区・西区)に光化学オキシダント注意報が発令されるなど、大気汚染は依然として深刻な状況が続いている。本市庁用車の低公害車等の導入は64.4%という状況でありいっそうの促進を図るとともに、民間業者への普及を促進すること。

(6)ごみ行政について

  • 本市のごみ処理量の状況は、これまで毎年減少傾向にあったにもかかわらず、2012年度は家庭ごみ処理量が前年度より1,328トン増加し、事業系ごみ処理量も526トンの増加で全体で56万2,899トンとなっている。「新循環のまち・ふくおか基本計画」では2025年度までにごみ処理量を11万トン削減し47万トン以下にする目標である。「拡大生産者責任」の立場で行政と市民、事業者が一体となったリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の推進などごみ減量を基本とする計画に改めること。また、過大な施設で大量生産、大量消費、大量焼却を前提にしたものであり抜本的に見直すこと。
  • 本市のごみリサイクル率は、2012年度では30.6%にとどまっており、「環境のまち・ふくおか基本計画」で定められている2025年度の目標値38%を達成していくためには、具体的な計画の策定とごみ減量に積極的な取組みを行うこと。またごみ分別収集は、家庭系及び事業系の可燃性ごみについて現在の4分別9区分で行っているが、再資源化、リサイクル化を一層促進するためにも分別収集を拡大すること。
  • 本市の2012年度における一般廃棄物の内事業系ごみ処理量は、前年度に比べて増加しており、事業系ごみの減量対策の充実が求められている。企業任せでなくオフィス紙ごみや食品廃棄物のリサイクル等の奨励、ごみ減量の指導や目標設定など積極的な取り組みを行うこと。また2015年度に廃止するとしている「ごみ処理手数料の減免制度」については、厳しい経済状況の下で中小企業や業者に新たな負担を押し付けることは許されず、存続すること。

(7)産業廃棄物の投棄によって引き起こされる環境汚染は深刻な社会問題となっている。本市においても、厳重な立ち入り監視・調査・指導を行い、「福岡市産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防及び調整に関する要綱」を条例化し、違反者への罰則規定を強化すること。

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5 中小企業の営業を守る総合的施策、農林水産業の再建を

(1)中小企業・業者対策および経済対策について

  • 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在であり、企業の99.7%を占め、働く人の3人に2人が働いており、雇用の担い手となっている。多国籍化した大企業が国内で大規模な首切りや生産拠点の閉鎖をすすめ、日本経済や国民生活への社会的責任を放棄しているとき、地域に根をおろし、モノづくりやサービスの需要にこたえ雇用を生み出している中小企業の役割はますます大きくなっている。ところが、長期不況に加え、安倍政権のアベノミクスにより原材料費や燃料費の価格が高騰し、中小企業の経営を圧迫している。また金融円滑化の打ち切りが中小企業の資金繰りをきびしくし、新たな困難をつくりだしている。そのようななか2013年1〜6月の本市倒産件数は103件、負債額約141億円となっており、中小企業の経営の存続と安定をはかることは市政の緊急の課題である。ところが2013年度、本市の中小企業予算は25億5800万円であり、一般会計の0.32%にすぎない。広範な中小企業の要求に応えられるよう、中小企業予算を大幅に増額すること。
  • 景気回復のための経済対策には公共事業だけでなく、民間需要の拡大が不可欠である。住宅リフォーム助成制度は中小業者の仕事おこし、地域経済の活性化とともに住宅の寿命をのばすなど環境対策としても効果が明らかとなっている。実施自治体は福岡県内で24市町村、全国では6県556市区町村と大きく広がっている。住宅リフォーム助成制度の創設を拒否し続ける異常な姿勢をやめ、本市でも対象工事を限定しない住宅リフォーム助成制度を創設すること。
  • 人工島をはじめとする大型公共事業に偏重した現状を見直し、生活密着・福祉型公共事業への本格的な転換をすすめること。競争入札資格のない未登録業者に、自治体が建設工事や修繕工事等を発注する際の小規模工事登録制度について、あれこれ理由をつけて先のばしせず、直ちに実施すること。
  • 建設業界では低賃金などの理由で若者の入職が減り、技術継承が危ぶまれる事態となっている。今年度、公共工事設計労務単価が平均で15.1%引き上げられたものの、現場には反映されていない。下請代金の未払いや大手ゼネコンによる低単価発注などをやめさせるためのルールが守られておらず、実態を把握し対策を講じること。「公契約に関する基本法の制定を求める意見書」が本市議会で採択されるなど公契約法(条例)の制定を求める運動と世論は大きく広がっている。政令市でも川崎市、相模原市で実施されており、また福岡県内でも直方市で公契約条例が制定された。自治体の仕事を受注する企業に人間らしく働ける賃金と労働条件を義務づける「公契約」条例の制定をすすめること。
  • 一般競争入札の運用にあたっては、地元中小企業・業者の仕事確保の観点から、一定額以下は大企業を排除する逆ランク制度を採用すること。また、総合評価方式については下請け企業への労賃や労働条件の確保を評価項目対象にし、地場企業への発注を増やすこと。国に対し全業種100%保証の「セーフティーネット融資」の復活を求めるとともに以前あった利息0.9%、保証料0.2%の「緊急景気対策特別資金」のような低利低保証料の融資を復活すること。
  • 本市ではこの10年間に商店数が4割減っているにも関わらず、市の商店街活力アップ支援事業、商店街空店舗等再生事業などの商店街支援策の活用は非常に少ないままである。地元商店街や商店を守るため、実態や要望を踏まえた十分な支援をおこなうとともに商店街対策予算の増額を図ること。また、地域の商店が減少する中で広がっている「買い物難民」対策について、島根県川本町では地元商店会と病院が協力して、病院の待ち時間に患者に商品を注文してもらう「ご用聞き」に取り組み、新しい利用者を増やしている。このような取り組みを本市でも広げるとともに、本市でも増えている「買い物難民」について実態を調査し、買い物難民対策をすすめている自治会や商店街などを支援すること。
  • 市内の全中小商工業事業所を対象にした対面・ヒヤリングによる経営実態調査を実施し、施策に反映させること。

(2)雇用の改善について

  • 過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにするブラック企業の根絶に向けて、専用の相談窓口を設置し、対策リーフレットを作成し、身近な所で入手できるように普及、啓発すること。
  • ブラック企業を合法化する解雇規制緩和特区の提案を撤回すること。
  • 大学生の就職内定率は、国の調査において 2014年度新規学卒者の就職内定率は2013年10月1日時点で64.3%、高校生では64.1%となっている。県においては大学生等の就職内定率は10月末時点で46.1%、高校生が61.1%と非常に厳しい状況が続いている。本市として学生の就職難打開の手だて、就活支援をいっそう強化すること。
  • 市長が直接地元財界や大企業に正規雇用の維持・拡大を強く要請すること。
  • 「働くあなたのガイドブック」について高校生や大学生、専門学校生に対して1人残らず行きわたるように抜本的に作成部数を増やすとともに、高校の授業での活用など効果的な活用を図ること。

(3)農林水産業の振興について

  • 自民党が、関税を撤廃しない「聖域」だと国民に公約してきたコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物の「重要5項目」見直しに踏み出した。TPP参加と農林漁業の再生との両立はせず、本市の農業、林業、水産業などに深刻な影響ができる事は明らかである。さらに TPPは、「食の安全」をまもる規制も交渉対象となり、残留農薬や添加物など基準がきびしすぎるなど、アメリカの勝手な要求がとおれば、食料の安全も大変なことになる。JAが広範な国民とともに反対しているTPPについて、市長は参加反対表明を行うとともに、政府に対して交渉からの撤退を求めること。
  • 食料自給率向上のためには農業の振興が不可欠であるが、農業所得については米価の低下傾向にあり、稲作の収益率が悪化する中、農産物価格保障対策や経営安定政策が不十分で農業従事者が安心して農業に励むことができない。米だけでなく、本市において生産量が多い花卉、野菜の価格安定対策や助成制度を改善・拡充することを国に要望するとともに地産地消の取り組みを強化し本市農業を守ること。
  • 燃油や飼料などの生産資材価格の高騰が経営に与える影響の大きい施設園芸や畜産などには直接補てん措置が不可欠であり、市独自の制度をつくること。
  • 耕作放棄地の増加で農地の荒廃が広がっており、これ以上増やさないことは、国土の保全のためにも重要な課題である。市民農園を拡大するとともに市民参加型の生産について市がイニシアチブをとること。
  • 市の農業就業人口の構成について70歳以上が40%を超え、60歳以上でいえば65%になっている。一方40歳以下が17%あまりとなっており、農業従事者は、高齢化の進行や新規就農者数の少なさから減り続けている。農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすことと同時に青年就農給付金制度を本市のような都市近郊農業にも充分に活用できるよう要件の緩和を国に要求すること。あわせて、ふくおか農業塾の定員の拡充を図ること。また株式会社への農地取得・利用を厳しく監視するよう国に求めること。
  • 有害鳥獣による農産物被害が深刻化・広域化している。該当する鳥獣の生態や繁殖条件の調査、増えすぎる鳥獣を適正な密度に減らす地域や自治体の取り組みを支援するよう国に申し入れること。また、鳥獣が里山に下りずに生息できる森林環境の整備をはじめ国が鳥獣被害対策交付金を大幅に増やし、農家や自治体の防護柵・電気柵・わなの設置、捕獲物の利用などへの支援を強めるよう申し入れること。また、長崎県平戸市は「有害鳥獣捕獲における狩猟免許を有しない従事者容認事業」いわゆる鳥獣被害特区制度を活用し捕獲隊を組織するなど地域ぐるみで鳥獣被害対策を行っている。本市としても特区制度を活用するなど地域ぐるみの対策の支援を強化すること。
  • 林業は地場産業であるとともに、森林は、木材資源の供給とともに、国土や環境の保全、水資源の涵養(かんよう)、生物多様性の保全など、国民生活にとって欠かせないものとなっている。また、低炭素社会にむけた大きな可能性を持っており育成していかなければならない。しかし、安い外材の影響で市内産木材の需要が伸びず、荒廃森林も増えている。市内産木材を使用した住宅建設や改修に対してインセンティブを与え、地元木材の利用・販売促進に努めること。公共施設・設備にも市内産木材を積極的に使用すること。
  • 燃油などの経費増と産地魚価の低迷が、漁業と漁民経営の存続を深刻に脅かしている。漁民の所得保障と価格安定対策を国に求めるとともに、漁場環境の保全、改善や後継者問題に取り組むために振興策の充実と予算を増やすこと。また、石油価格や漁船・漁具、養殖用飼料の価格高騰による経営困難を打開するため、現在、時限立法で措置されている燃油(軽油引取税など)の免税措置を恒久化し、資材価格の安定と省資源型漁船や漁法にたいする援助を強め、消費者価格の安定をはかるよう国に求める事。

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6 憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもの成長・発達を中心にすえた教育・文化行政の推進を

今日、いじめや体罰・暴力など、教育現場で起きている問題に多くの国民が心を痛めており、その背景にある教育体制の深刻な行き詰まりを打開することが求められている。子どもの成長を歪め、その異常さが国際機関から厳しく指摘されている過度の「競争」や「管理」教育の是正が極めて重要である。また家庭の経済状態による教育格差が広がる中、国の異常な教育予算抑制も大きな要因となり、教育を受ける権利が十分保障されない事態が広がるとともに、「グローバル人材育成」、侵略戦争を美化する歴史観に基づく教科書改悪、教育委員会の行政下請け機関化等、政治による教育への不当な介入も問題となっている。これらのゆがみを正し、憲法と子どもの権利条約の立場に立ち、全ての子どもの「人格の完成」を目指し平和と民主主義を土台とする教育の再建、一人一人が大切にされる社会の実現こそが急がれている。

(1)行革路線に基づく教育切り捨てについて

  • 行革プランにもとづく市立幼稚園の廃止計画の道理の無さは、説明会・パブリックコメント、72,000筆余の議会請願で既に明確になっており、早急に計画撤回を決断、発表すること。また、保育室、遊戯室へのエアコン設置等、施設設備の充実を図り、長年行っていない教諭の独自採用を復活させること。
  • 学校給食センター再整備基本計画はPFI手法を活用し、1箇所13000食という過大規模化、4箇所から3箇所への統廃合、学校給食公社の廃止・職員リストラを一体として進める重大問題である。食育における行政責任を投げ捨て労働者の権利を踏みにじり、給食を民間営利企業に投げ渡す本計画は撤回し、市民参加で見直すこと。
  • 小学校給食の民間委託試行の検証報告においては多くの問題点が指摘され、直営をやめる理由が無いことが明確になっており、僅かな経費削減のために調理員のリストラと引き換えに民間営利企業に給食を投げ渡すことは許されない。民間委託の全校への拡大方針は撤回し、現行の非常勤職員制度を改め、文部科学省基準以上の人員を市の正規職員で配置し、責任を持った調理を行うこと。また、財政状況を理由に、狭隘化や老朽化等、労働環境が劣悪となっている給食室・控室が多数放置されている状況は許されず、直ちに改善すること。
  • 行革プランに基づく特別支援学校送迎バス指導員の民間委託は「経費節減」を理由に子どもの安全・発達に背を向けるものであり関係者の反対の声は大きくひろがっている。計画を撤回し、直接雇用を継続、バスの増便を行うこと。
  • 重要な役割を果たしている市教育振興会高校奨学金について、行革プランで打ち出されている見直し計画は「民間活用」で滞納対策を強化し、適用資格を厳しくするものであり撤回し本市奨学金については入学支度金、奨学資金の増額・貸付時期の改善、所得要件等の基準緩和、定員増等改善を図ること。国、県の修学資金が適用できない世帯を救済できる市独自の「緊急貸付制度」を創設すること。
  • 学校用務員の業務が既に一部民間委託されているが、今後「退職不補充」を含め更なるリストラを一切行わないこと。

(2)「新しいふくおかの教育計画」について

本市の教育計画は、「世界に羽ばたく人材育成」などとして、財界要求に基づき英語教育をことさら強調し、義務教育においても一部の優秀な生徒を対象にした事業に公金を投入するなど、教育の機会均等にも反する内容となっている。全ての児童・生徒の人格の完成を図る教育の本旨に立った計画へと改めること。

(3)本市の教育予算は史上最低水準となっており、抜本的に増額すること。

(4)教育条件、体制の整備・充実について

  • 今や全学年での少人数学級実施が現場の切実な願いとなっており、独自の「ガイドライン」を理由に、小4までと中1への実施で固定化することは許されない。ガイドラインは破棄し当面本市独自の常勤講師の採用等必要な手立てをとり、全ての学年、学校に拡充するとともに正規職員を大幅に増やし30人以下学級を即時実現するよう国・県に強く要求すること。
  • 子どもと学校間の競争を激化し、教職員の困難を増大させている一斉学力テストは、やめること。
  • 貧困と格差の拡大の下、給食費さえ払えない低所得の保護者も増え、就学援助制度の充実は、さらに切実になっている。国が示しているクラブ活動費・生徒会費・PTA会費については直ちに項目に加え、国に対して財政措置を求めること。また、生活保護基準改悪による影響を回避する措置をとること。
  • 各学校で発生するいじめ問題に対応し解決を図る第三者機関を医師、心理士、弁護士、ケースワーカー等で構成し行政から独立した形で設置すること。
  • 相次ぐ体罰の根源にある要因を教育委員会として解明し、根絶のために取り組むこと。
  • 中学校部活動の相次ぐ廃止に歯止めをかけるために、抜本的な方策を検討し、当面補助指導員の更なる充実のための予算増額を図り、「全員顧問制」等、教職員への顧問強制は行わないこと。
  • 「学校規模適正化」については子どもを中心に考え、情報の公開と住民合意を基本に据え、一方的な押し付けを行わないこと。また、統合校の通学区域の拡大にともなう児童・生徒の安全対策については十分な手立てをとるとともに、一人あたりの校地面積の縮減による詰め込みにならないよう配慮すること。
  • 小中連携教育は、教職員の過度の負担につながらないよう人的配置を充実させるとともに、様々な問題が指摘されている「一貫教育」への移行は行わないこと。
  • 危険な通学路について専門家による実態調査を行い、住民要望を踏まえ関係局と共に改善に向けた年次計画を立て、早急に完了すること。

(5)教職員体制について

  • 教職員は休みたくても休めず慢性的な長時間過密労働を強いられ、精神疾患等による休職者は減らない等、健康破壊が深刻である。「事務の簡素化」等は抜本策にはなっておらず過重・超過勤務の実態是正のための人的加配など実効性ある措置を取るとともに、休暇を取りやすい環境を整え教職員の休憩室については法令通り適正に設置すること。教職員の「全体の奉仕者」としての責務や勤務実態を無視した給与等削減をやめるとともに非常勤講師等の賃上げを図ること。また、異常な非正規化に歯止めをかけ、必要な人員は正規で採用すること。
  • 過度な競争や管理教育ではなく一人一人の子どもの人権・命を大切にする教育を推進することは、いじめ・体罰根絶にとっても重要である。職員研修は同和偏重からこどもの権利条約等の関係法令や発達の観点などを学び生かす研修へと改め充実させること。
  • いじめや不登校をはじめとする諸問題を改善するために、専門のカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを全校配置し養護教諭の複数配置をひろげること。
  • 全ての学校図書室で新年度中に図書標準100%を超えるとともに、新聞配備を完了すること。また、図書教育充実のために専任の司書を正規で配置すること。司書教諭については市費加配の活用等による授業時数の軽減を図り、司書業務を行える条件をつくること。
  • 「指導力不足教員」政策と結びついた「新勤務評価制度」は、ILO・ユネスコから「教員の地位勧告」に抵触すると指摘され根本的見直しを直接勧告されている。本市においても「目標管理」による教職員評価制度が教師の自由を奪い現場を硬直化させており、やめること。
  • 教員採用試験については公正性を拡大するとともに、試験日程については現場で働いている講師にも配慮すること。また、教職員の採用は定数内講師ではなく正規を基本に拡充するよう県に強く求めること。教員免許更新制をやめるよう国に求めること。

(6)学校教育施設について

校舎・体育館の耐震、窓サッシの落下防止対策は終了したものの、外壁のコンクリート片等の落下等人命に関わる重大事故が頻発し、教室温度も「学校環境衛生基準」を大きく逸脱する等、安心・安全な教育環境を整える教育行政の責任が厳しく問われており、改善は急務であり先延ばしは許されない。

  • 築30年以上の大規模改造未実施校について全て来年度着手するとともに、危険なブロック塀の改修は直ちに完了すること。プールについては財政負担を理由に改築しない方針を撤回し必要な改修・改築は速やかに実施すること。また、施設・設備をはじめとする学校環境・安全点検は現場だけに押し付けず、予算を組んで専門家により少なくとも年1回は行い、必要な改善は速やかに実施すること。
  • 教室の温度について、夏期は30℃以下、冬期は10℃以上とされている国の環境衛生基準違反状態を続けることは許されず、全ての教室へのエアコン設置を直ちに行うこと。
  • 学校のいたる所にスレート板やPタイル等、アスベスト含有材が使用されており、破損時には飛散し危険であるにもかかわらず、対処方法等について学校への周知は不十分である。学校からアスベストを全て撤去する指針を策定し、当面の取り扱いについては緊急対策を図るとともに、対処後の報告を義務付けること。
  • フロアーにトイレが無い等、不足している学校については増設を行い、「臭い」「汚い」「暗い」等の問題を早急に解消すること。
  • 生徒数が1,000名を超えている実質過大規模校を放置し教室不足等の教育格差を拡げることは許されず、地域コミュニティーに混乱をもたらす校区調整ではなく、早急に分離・新設を行い、当面教室の増設等、緊急の対応を行うこと。

(7)特別支援教育について 

  • 通常学級で学ぶLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害児に対応する支援体制の遅れにより、困難が拡大している。関係局と連携し成人まで対応できる「発達障害支援センター」(仮称)を設置するとともに、「介助員」「支援員」を大幅に増員して必要な児童・生徒に行き届くようにすること。「支援員」については、2ヶ月という短期の臨時的任用という配置は問題であり、安定・継続できる雇用体系とすること。小中学校の特別支援学級については希望者のいる学校全てに直ちに設置すること。
  • 博多高等学園が移転拡充されたものの、入学希望者が増え選抜により入学できない生徒が生み出され、他の特別支援学校も児童・生徒数が増え、教室や職員室不足に陥っている。全員が希望する学校に入学でき、ゆとりをもって教育を受けられるよう施設、人員配置の充実を図ること。

(8)高校教育について

  • 政府が国際人権規約における無償化条項の留保を撤回したにもかかわらず、政府与党は「高校無償化廃止」法を強行成立させた。国民の願いに逆行する本法は施行せず撤廃するよう国に求めるとともに、専門学校、大学の無償化目標とプログラムを策定するよう国に求めること。本市独自の私学助成は拡充を図ること。
  • 実質教育委員会からの押し付けとなっている「市立高等学校活性化に向けた取組方針」は撤回し、特色ある教育の推進は現場での民主的な議論に基づく自主性に任せること。

(9)幼稚園教育について

私立幼稚園の運営は幼児の減少や人件費の負担増などで極めて厳しい状況にある一方、共働き家庭の子の預かり保育の実施による対応にも苦慮しており、教諭の待遇改善を図るためにも、運営費補助等を大幅に増額すること。

(10)人権・同和教育について

  • 同和枠から一般対策に移行された加配教員を、実質的には「同和」枠として配置していることにより、真に必要な学校に加配できず、教育格差を生む事態となっている。旧態依然の旧同和措置校偏重の人事を改めるとともに、必要性のない「市人権教育研究会」等への補助金の支出を直ちにやめること。
  • 本市の「人権教育・啓発基本計画」は、「同和問題の解決に向けた取り組みの手法・成果を生かす」などとして、実質同和問題のみに矮小化しており、このように人権を侵し、差別を温存する同和教育の延長となるニセ「人権教育」の押し付けはやめること。学校研修、連絡会等を通じての解放同盟の教育介入を排除し「全市一斉人権教育研修会」については廃止するとともに、学校やPTAへの「同和研修」の強要、解放同盟の運動や主張に加担する「研修」名目での職員の出張をやめること。

(11)図書館について

予算を増額し、総合図書館及び分館等の蔵書充実を図るとともに、地域による格差を是正するため、図書館を増設すること。また、司書は正規職員として増員すること。

(12)文化行政について

  • 少年科学文化会館ホールは音楽や演劇などの練習や発表の場として、また、文化クラブや教室などの体験活動の場としての役割を担ってきた。市内には演劇、ダンス等の専門性にも対応できる中ホールが特に不足している。そのような中少年科学文化会館ホールの廃止方針に対して5万筆を上回る「ホールを残してほしい」との請願署名が提出された。九大六本松跡地に少年文化ホールも移転新設すること。あわせて、小学校、中学校などの跡地に中規模ホールを建設すること。
  • 市民会館の建て替えに伴う拠点文化施設の基本計画策定にあたっては、ホールの設計やあり方等について文化団体、利用団体や幅広い市民の参画のもと具体化すること。
  • 2012年度の音楽・演劇練習場の稼働率は千代音楽・演劇練習場78.4%、祇園音楽・演劇練習場92.5%、大橋音楽・演劇練習場85.5%と非常に高く、なかなか利用できない状況となっている。施設のない西部地域に抜本的に施設を増やすこと。またぽんプラザホールは利用料金がやすく、舞台機構もすぐれており小劇場として多くの団体が利用している。同様の小劇場を増設すること。
  • 九州交響楽団は、創立60周年を超える老舗であると同時に九州では唯一のプロオーケストラである。福岡市を拠点に九州各地を中心に年間約130回の演奏活動を行なっている。高島市長は行財政改革プランで本市の文化芸術の振興に大きな役割を果たしている九州交響楽団への補助金を見直そうとしている。補助金の削減で演奏家の確保や演奏活動に影響を及ぼすのは明らかであり九州交響楽団の補助金について行革からはずすこと。

(13)文化行政について

  • 本市の埋蔵文化財センターには、甕棺や考古資料、登録遺物など歴史的にも研究資料としても貴重な文化財が多数収納されている。従った、適切な管理・保存や、市民への展示・公開を積極的に行うとともに、収納などの機能拡充、整備を計画的にすすめること。また、埋蔵文化財の発掘に当っては、文化財の保存を図る事が必要であり開発に係わる許可制などの検討を行うこと。併せて、埋蔵文化財行政の拡充を図るためにも関連予算の増額と専門職員の増員を含め体制強化を図ること。
  • 福岡城址の整備に当たっては、観光や集客目的で天守閣の復元を検討するなど史実に基づかないやり方は許されずやめること。

(14)社会教育施設及び青年センターについて

  • 今日、青年は自己責任論で苦しめられ、孤立化が進む一方、ボランティアや地域貢献に対する意識は高まり、交流や連帯の場はますます重要になっている。青年が、仕事帰りにも気軽に集える施設としての青年センターを老朽化等の理由で廃止することは許されず存続、施設の改善充実を図り、増設も検討すること。
  • 公民館に対し「自治協議会のセンター」などとして新たな仕事を押し付けることは、社会教育施設としての責任を後退させるものであり、やめること。また狭隘化、老朽化等が進んでいるにもかかわらず建て替え計画のない公民館について、早急に建て替え計画を策定し着手すること。

(15)スポーツ行政について

  • スポーツ基本法では「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と定め、本市のスポーツ振興計画においても、スポーツは都市政策上も重要な役割があるとしている。そのためにも各区体育館、市民プールなど老朽化しているスポーツ施設は増築・改善・充実をすること。また身近なところで野球・ソフトボール・テニス・サッカー・ラグビー・ダンス・スケートボード・フリークライミングなど気軽に使える運動場やスポーツ施設を新・増設すること。併せて今津運動公園の野球場の整備にあたっては、関係団体の意見も取り入れて整備すること。また「行革プラン」で示されている、各区体育館やプールなどスポーツ施設の駐車場料金の有料化をやめ、高齢者や障害者が利用する場合の減免制度を存続すること。併せて身近に利用できる学校施設開放の使用料の改定では、これまで以上に利用者負担を増やさないこと。
  • 市民体育館については、人工島の破たん救済のために移転することは許されず、当面は耐震改修をおこなって使用をすること。
  • 本市の体育館やプールなどのスポーツ施設の管理については、指定管理者制度の導入により民間管理会社などがおこなっているところがあるが、利用者から利便性が低下したと不満の声があがっている。利用者の立場にたった運営のために、指定管理者制度をやめ、直営にもどすこと。

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7 一人ひとりの子どもが大切にされ、安心して子育てできる市政に

(1)保育行政について

  • 2013年10月1日現在、待機児は1046人にのぼり全国一になり、「働きたいのに保育所に入れず働けない」という深刻な事態を生み出すなど、待機児童解消は喫緊の課題となっている。しかし高島市長は、適正規模をはるかに超え、平均定員142人という異常なマンモス化にある既存保育所へのいっそうの詰め込みを押し付け、現場と保護者に苦難を強いている。以前行っていた市有地の無償貸与を復活させるとともに、民有地の借り上げに対する市独自の補助制度をつくり、適正規模の保育所を必要数新設し、待機児童を解消すること。
  • 高島市長は、「待機児解消」と称して、来年度の入所申込みの締切りを例年より1カ月も前倒しした。しかしこのやり方では、保護者が短期間に集中して希望する保育所見学をおこなうため園にとっては負担が多く、また提出書類が不備であれば受け付けられないなど、現場や保護者たちに不安や混乱をもたらしている。このようなやり方は改め、希望する児童はすべて受け入れこと。
  • 高島市長は、国の新制度の先取りである「待機児解消加速化プラン」を活用するとして、審議会や議会にもはからず、また幼稚園に相談することもなく1・2歳児の長時間あずかり保育を押し付けようしている。このやり方に幼稚園では混乱が起き、保育園、保護者などから怒りの声があがっており、白紙にもどすこと。
  • 中央児童会館の建て替えにともなう中央保育園の移転計画は、移転先がラブホテルやパチンコ店に隣接し、前面道路が狭隘で交通量が多く、また災害時には避難経路がとれず避難計画も成り立たないなど最悪の周辺環境であることから、保護者や保育士が強く反対している。更に来年4月の開園時には、建設工事は終わらず、園児が工事中に通園せざるをえない状況となっている。危険で無謀な移転計画は即時中止し、現地建て替え計画に戻すこと。
  • 中央保育園移転用地の取得に関しては、従来方針に基づき決定された現地建て替え予算が凍結されて、移転先用地探しが始まったという不可解な方針転換の経緯や、不動産会社「福住」への元市幹部の天下り、また土地転がしによる1億3300万円もの転売益の疑惑などの問題は何一つ真相解明されていない。そのような中保護者たちにより公金返還請求住民訴訟や、高島市長に対する背任容疑の刑事告発がおこなわれ、福岡地検によって受理されるという極めて異常な事態となっている。市長は自らこれらの疑惑解明をおこない市民に明らかにすること。
  • 九州大学箱崎キャンパスの移転に伴い、敷地内にある認可保育所の「まつぼっくり保育園」が同地域に存続できるかどうかが大きな関心事になり、九大の跡地利用計画でも存続が保障されておらず、保護者は不安を抱え、現地での存続を求める請願署名が3500筆議会に提出されている。この地域は待機児童も多く、地域の重要な子育て支援の拠点としての役割も大きく、現地またはその周辺で存続できるよう九大に要請するなど市が責任を持って支援をおこなうこと。
  • 本市では、保育施設の基準の条例化に際し、面積基準は改善しなかった。戦後すぐに制定されたこの基準は、諸外国と比較しても低い水準であり、現場からは「かみつきも多く、ゆったりした環境であればトラブルも減る」などと抜本的な改善を求める声があがっている。児童福祉審議会の付帯意見の趣旨を踏まえて、保育所の面積基準を引きあげるとともに、財政措置を拡充すること。
  • 職員配置基準については、保育士対子どもの人数を0歳児は1対2、1歳児は1対3、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4歳児・5歳児は1対15へと改善をすること。また障害児を受け入れる保育所全てに保育士を加配すること。併せて病気の発症しやすい幼児のために看護師等を配置するなど財政的補助をおこなうこと。
  • 保育所での豊かな「食育」としての給食をめざすために、3歳以上児の主食を含めた完全給食を実施すること。あわせて、現在の「自園方式」での給食を継続し、外部委託については、やめること。
  • 公立保育所について、2013年度は1か所、来年度から毎年1か所ずつ民営化するとしており、最終的には7か所まで減らそうとしている。本市の民営化検証委員会でも、移行に伴うトラブルも絶えない事が報告され、職員の不当な首切りもおこなわれている。公立保育所の民営化による公的責任の放棄は許されず、民営化は中止すること。また公立保育所の改築、増築を利用して定員増をはかること。
  • 本市の保育料は3歳未満児で、均等割りのみの課税世帯で比べると、他政令市の2倍以上の高い保育料となっており、課税世帯でも収入の7〜9%を占め、低所得世帯には大きな負担となっている。今後も保育料の据え置き措置をおこない、また市費繰り入れを増やし、保育料を引き下げるとともに、第2子以降の減免は保育料の高いほうを適用すること。併せて「待機児童支援事業」として認可外保育所を利用する保護者への補助限度額を引き上げて負担軽減を図ること。
  • 本市では保育士不足が大変深刻化しているが、これは保育士の劣悪な労働条件に起因している。今年度、国の安心こども基金を活用した保育士等処遇改善をおこなったものの、多くは一時金の支給でとどまったのが実態であり、ベースアップにはつながっていない。少なくとも「福祉職俸給表」のもとで働く公務労働者と同水準の賃金、諸手当、一時金を実現するよう予算措置をすること。また非正規職員の賃金を時間額1200円以上にし、フルタイムで働く非正規職員を正規職員にするために、財政措置をおこなうこと。併せて保育協会補助金を大幅に増やすこと。
  • 認可外保育所は、24時間保育や、一時、休日、延長保育、障害児保育など、市民の多様な保育要求に応え、地域の子育て支援、家族支援に大きく貢献し、保育行政の補完的役割を果たしている。認可外保育所への運営費の補助を創設すること。併せて、認可化をめざしているところには、財政支援をさらに増やすこと。
  • 政令市のほとんどが実施している産休明け保育を、本市においても市の責任で早急に実施すること。また保育ニーズを踏まえて、休日保育、病児・病後児デイケア事業など特別保育事業を拡充させること。
  • 「子ども・子育て支援法」にもとづく新制度は、児童福祉法24条の公的責任の文言は残されたものの、保育への株式会社参入を広げる「保育の市場化」や保護者が保育所と直接契約する制度の導入が決められ、保育士や保護者から不安の声があがっている。保育の必要性の認定などで短時間の保育時間になること、直接契約のため保育料が払えなければ退所せざるを得ないこと、障害のある子は園が受け入れないなど、保育を必要とする子どもが保育を受けられない事態が生みだされることになる。このような「子ども・子育て支援法」にもとづく新制度の本格実施は中止をするように国に要求すること。

(2)子どもの医療費への助成は、20政令市のうち、通院で小学生以上を対象にしている市は15、入院では中学生以上を対象にしている市は16あり、福岡市でも通院・入院ともに中学卒業まで無料にすること。あわせて、子どものメガネ・コンタクトにかかる費用も助成対象とすること。

(3)留守家庭子ども会について

  • 厚生労働省の専門委員会が、学童保育のクラス定員を40人以内とし、各クラスに職員を2人以上おくことを原則とする基準をまとめた。本市の留守家庭子ども会について、全ての子ども会を40人以下に分割し、正規指導員をそれぞれに2人以上配置すること。また、トイレの増設を急ぐこと。
  • 留守家庭子ども会事業の対象学年拡大に伴い、施設の建て替えや増築を急ぐとともに、指導員や補助指導員も大幅に増やすこと。
  • 留守家庭子ども会の利用料と運営費の負担を軽減すること。
  • 障害児を受け入れる子ども会へは、まず正規指導員1名を加配し、その上で、障害児童数に合わせ指導員を加配すること。
  • 専門性が必要である指導員・補助指導員の賃金を引き上げること。また、指導員の超過勤務分や勤務日以外の行事参加分の手当てについては保障をすること。子どもの成長・発達のためにも経験豊かな指導員こそ必要であり、5年間の任期付き雇用を撤廃するとともに、希望する職員については、そのまま採用すること。また、補助指導員の待遇が不十分となっており、待遇改善を図るとともに、公務災害補償に準じる労働災害補償を行うこと。
  • 留守家庭子ども会について施設・運営に関する基準を条例で制定するにあたり、職員・保護者・子どもなどの現場の声を反映させること。
  • 民間の学童保育所への実態調査をおこない、役割を明確にし、支援を検討すること。

(4)児童館・若者の居場所づくりについて

  • 児童館は子どもたちが放課後や休日に安心してすごすことができる重要な施設であり、公有地を活用して小学校区ごとに専門職員のいる児童館の建設をめざし、まずは各区に早急に設置すること。
  • 児童館は、本市においては中央児童会館一つしかなく、建て替え工事期間中の閉鎖は許されず、市有地などを使って代替施設を確保すること。同会館の建て替えについては、PPPの手法で市有地を民間に貸す現行の計画は、コスト削減と西鉄など民間の利潤確保最優先であり、子どもと市民の声を反映して抜本的に見直し、直営で行うこと。
  • 中高生など若者の居場所づくりは、常設で専門職員を配置したものを各区につくること。

(5)児童虐待防止について

  • 親身な相談活動ができるように専門職である児童福祉司、児童心理司、弁護士資格をもつ職員を大幅に増員すること。児童家庭支援センターは設置されたものの、児童相談所自体は不足しており、一時保護所の不足解消をふくめ児童相談所を増設すること。職員の継続性と専門性を高めること。
  • 児童養護施設の職員配置基準を改善し、人員増をはかること。

(6)子どものアレルギー疾患について、常設の相談窓口を創設するともに、相談の機会を周知すること。また除去食の給食を行っている保育所に補助を行うこと。

(7)母子・寡婦福祉資金は、制限が多く必要なときに借りにくくなっており、借りやすいよう制限を緩和すること、および貸付額の増額を国に求めること。また、各種貸付制度は申し込みから2週間以内に貸与できるように借入れ手続きを簡素化すること。

(8)ひとり親家庭医療費助成の対象制限を緩和すること。

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8 女性の声を市政に生かし、真の男女平等社会実現へ

(1) 労働における男女差別撤廃について

  • 市職員の育児・介護休業取得状況は、男女ともに取りたくても取れない、とりわけ男性は1桁台というのが実態である。給与保障など経済的支援、人的支援、昇任昇格制度の改善などを行って育児・介護休業取得を推奨すること。
  • 2020年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%にするという政府目標があるにもかかわらず、本市の課長級以上の職員766名中、女性はわずか8.5%の65名のみと改善されておらず「雇用における平等」に反する事態が続いている。女性の採用、管理職への登用を積極的に進め、昇給、昇任などの差別を一掃すること。また、各種審議会の女性参画率は2010年までに35%にという市の目標にもかかわらず2013年度は28.9%と昨年の30.1%をも下回る状況となっている。政策、方針決定への女性の参画を促進するために早急に大幅な引き上げをはかること。
  • 自営業・農業において、妻など家族従業者への給与を経費として認めない所得税法56条は人権侵害であり、また後継者づくりも阻害しており廃止し、働きを正当に必要経費と認めるとともに、病気や出産のときも安心して休めるような支援制度をつくるよう国に要求すること。また市として自営業・農業にたずさわる女性の仕事と健康など総合的な実態調査をおこない、改善をはかること。

(2)セクハラは女性労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為であり、罰則などの強制力をもった「セクシャル・ハラスメント防止条例」をつくり、その一掃に努めるよう指導すること。当面、セクハラや女性労働者の様々な訴えに対し、被害者の保護、助言・指導・勧告が効果的に行えるよう、相談・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を各区に設置すること。

(3)DV被害の防止、被害者の保護と自立支援について

  • 本市へのDV相談は過去5年間で約2倍に増加し、2012年度は4465件にもなっており、早急な対策が必要である。各区の子育て支援課に臨床心理士を配置するとともに、アミカスを含めて、子連れの相談者のために保育士や学習援助者の体制をつくること。また相談支援体制の充実及び関係機関の連携強化を図り休日・夜間の相談体制を整え、切れ目のない支援に取り組むこと。
  • 自立に要する費用の補助、不足している母子寮の増設、民間シェルターへの補助金など支援の拡充、一時保護から自立に向う中間的施設(ステップハウス)の開設・運営への助成を図ること。
  • デートDV防止教育等若年層への教育啓発の実施対象校を拡大し、充実させること。また、更生と再発防止のために加害者へのカウンセリング、教育などを行うこと。

(4)貧困率が50~60%という母子世帯の中でも、非婚母子世帯はいっそう深刻な状況である。保育料や市営住宅の家賃等の算定にあたっては、札幌市や千葉市などのように非婚母子世帯にも、所得税法上の寡婦控除を適用する「みなし控除」制度を取り入れ、他の母子世帯と同等に算定すること。また非婚の母にも寡婦控除を適用するよう国に要求すること。

(5)女性の文化・教養・社会生活の向上のため重要な役割を果たしてきた婦人会館を行革の名で廃止することは許されず、より一層の充実こそ行うこと。男女共同参画センターはアミカスに限るのではなく、各区1ヵ所ずつ、低料金で気軽に利用できる便利な場所に建設すること。

(6)選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間の撤廃などの差別禁止規定を盛り込み、憲法と国連女性差別撤廃条約の精神にそって、早急に民法の改正を行うよう国に求めること。

(7)「慰安婦」問題は、日本がおこした侵略戦争のさなか、植民地にしていた台湾、朝鮮、軍事侵略していた中国などで女性たちを強制的に集め、性行為を強要した非人道的行為であり、当時の国際法規からみても明らかな違法行為である。歴史を改ざんし、歴史に逆らい、旧日本軍の関与と強制を認めた「河野談話」の見直しをはかるなどの異常な安倍政権の動きは許されない。被害者は高齢化し、解決は緊急の課題である。国連やILOなどの国際機関、海外の議会からも求められているように、日本政府に「慰安婦」問題の真の解決のため、国による謝罪・賠償、教科書への記載をおこなうよう強く要求すること。

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9 清潔、公正、平和、市民参加の市政を

(1)高島市長は、市民や保護者の声を無視して中央保育園移転を強行し、その結果公金返還請求住民訴訟が提訴され、さらに背任罪容疑で刑事告発され地検がこれを受理、市政史上初の市長リコール運動まで準備される事態となっている。市長の隠ぺい体質がこうした事態を生み出している。また職員に対しては、「禁酒令」や市長に都合の悪いインターネット情報の閲覧制限を頭ごなしに押し付けている。さらに市長の議会軽視の姿勢は、決算議会中に、高級フイットネスクラブに行き、運営理事会の総意で注意されたにもかかわらず無反省でいることにも現れている。市民の意見を聞かず、民主的な手続きを踏まないで、議会さえないがしろにするこのような姿勢は、市長としての資質が問われるものであり、抜本的に改めること。

(2)高島市長は、政治資金パーティを3年間で4回おこない、約4000万円の収益をあげている。このパーティの世話人に名を連ねているのが、オ―ントップバスで利益をあげさせ、中央児童会館建て替えを受注させている西鉄関係者など地元財界である。このように地元財界の利益を最優先する市政運営の見返りである実質企業献金にほかならない政治資金パーティはやめること。また高級フイットネスクラブの会員権の問題では、「入会手続きした」と回答したものの、金額やだれの名義なのか明らかにされていない。「福岡市長の政治倫理に関する条例」に基づいて、自ら疑惑の解明をおこなうこと。

(3)市長は「納得と共感」と言いつつ、直接対話を要望する運動団体とは会うことさえ拒否しており大問題である。また「有識者会議」などいわゆる「第3者委員会」を設置して市民意見を聞いたようによそおっているが、結局政策決定は市長の独断でおこなわれており、こうしたやりかたは市民を欺くものである。市民意見募集やパブリックコメントについては、形だけの意見募集とせず、市民からの要望を政策決定に取り入れること。併せて各種審議会など委員の市民公募枠を新設・拡大すること。

(4)特命随意契約やプロポーザル方式の在り方については、特定業者との癒着構造によって入札の公正・公平さが失われており、制度の総点検を行い抜本的な見直しをおこなうこと。あわせて、談合を防止するために、技術評価の見直しをすること。また入札については、一定数の入札参加業者の排除や予定価格の決定に抽選くじを導入すること。

(5)消費者生活センターにおいては、複雑・多様化する市民の消費相談に対応できるように、相談活動を委託業務ではなく、市職員でおこなうようにすること。また、「福岡市消費生活条例」に基づき、不当な取引行為事業者への是正勧告を強化すること。

(6)特定非営利活動(NPO)法人は、福祉や社会教育、文化、芸術、環境保全などの分野で社会貢献の重要な役割を果たしているものの、人材や資金の確保に苦労している。NPO法人への支援をさらに充実するとともに、NPO法人の優遇税制を法人市民税減税だけでなく拡充すること。

(7)北九州市でおこっている発砲事件は、市民の安全で平穏な生活を著しく脅かしているが、本市内においても2011年2件、2012年1件と発生し、この間まったく検挙されていない。「福岡市暴力団排除条例」の趣旨に鑑み、市民生活の安全確保のためにも県警に対し事件一掃の取り組みの強化を強く要請すること。

(8)本市において刑法犯認知件数はこの10年間で半減するなか高齢者犯罪については増えている。犯罪のない安全なまちづくりをおこなうためには、要因の科学的分析をおこなうとともに安全・防犯技術への投資を増やすこと、貧困をなくし居場所づくりを行うこと、また20年間で18か所も減らされた交番を増やすよう県警に申し入れること、併せて犯罪を自己責任として地域に防犯活動を押し付けることなく、市が責任をもって市民の安全を守ること。

(9)全国の同和事業終結にともない同和の特別扱いは必要なくなっており、本市においても、2012年度予算から同和対策事業を一般事業へと移行したが、部落解放同盟福岡市協議会へは、引き続き補助金2241万円が出されているなど異常な事態となっている。この補助金の約7割は人件費にあてられるなどまさに税金丸抱えとなっているのが実態で、直ちに全額打ち切ること。

(10)自治協議会発足から10年を迎える中、「地域コミュニティとの共同の在り方・最適化」について検討が行われている。この内容は、国の介護保険制度の見直しと連動し、まちづくり基本事業として「高齢者の見守りと日常生活支援」を自治協に押し付けようとするものであり、自治会関係者から反対や懸念の声が噴出している。このように「パートナー」と称して、本来行政がやるべき仕事を押し付けたり、介入したりするやり方は、自治会活動に支障を来たすなど、様々な矛盾を生んでおり、こうした住民自治組織の自主性を壊すやり方はやめること。

(11)市民の平和と安全を守るために

  • 国民の反対を押し切って沖縄に配備された米海兵隊の垂直離発着輸送機MV22オスプレイは、開発段階から墜落事故をくりかえしているが、これが沖縄上空だけでなく、全国各地で低空飛行訓練をおこなっており、このような危険な訓練はやめるように国に要求すること。
  • 米軍板付基地は、この間2011年62機、2012年69機と米軍機の飛来が続いており、市民に大きな不安を与えている。市長は、米軍板付基地の即時全面返還を国と米軍に対して強く要求するとともに、福岡空港の軍事利用に反対すること。また同時に米軍背振山通信施設の返還も要求すること。
  • 博多港への米軍及び自衛隊の入港をいかなる名目であれ拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。
  • 市長は、市民が求める非核自治体宣言を行うこと。また、平和事業予算を大幅に増やすとともに、福岡大空襲や原爆に関する常設平和資料館の設置、「はだしのゲン」の上映会、市役所ロビーでの原爆資料展、博多港引き揚げの資料収集や展示を積極的におこなうこと。

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