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政策と活動

2022年度予算要望

2022年度予算編成に関する申し入れ

2021年12月14日

福岡市長  髙島宗一郎 殿
福岡市教育長  星子明夫 殿

日本共産党福岡市議団
団 長 中山 郁美
幹事長 倉元 達朗
綿貫 英彦
堀内 徹夫
松尾りつ子
山口 湧人

新型コロナウイルス感染症をめぐる危機は依然として続いており、いつ収束するのかはまだまったく見通せません。コロナ危機は社会の脆弱さや矛盾を明るみに出し、これまでのような社会・経済のあり方を変えざるを得ないという課題を世界全体に突きつけています。本市もその例外ではありません。

また、気候危機は、「非常事態」ともいうべき状況に立ち至っており、世界の多くの自治体が「非常事態」を宣言して、社会のあらゆる仕組みの「前例のないシステム移行」(IPCC1.5℃報告書)が求められています。

貴職は常々有事は平時とは異なるリーダーシップが求められているとして、その想定をタブー視しないことを訴えておられますが、コロナ危機や気候危機はいわば有事であり、これまでの常識にとらわれない思い切った改革が求められています。

ジェンダー平等の流れも、ここ1〜2年で大きな高まりを見せ、今や自治体運営においてもあらゆる政策にジェンダーの視点をつらぬく「ジェンダー主流化」を避けて通ることはできません。

折しも来年度は新たな福岡市基本計画策定に向けて起動する年度であり、この3つの問題に対する戦略を市政運営の太い柱に据えることは、これまでの市政に対する立場の違いを超えて取り組めるものです。新年度予算編成においてそのことを貴職に真摯に求めます。

私たちは、こうした立場から2022年度予算編成にあたっての重点要望を作成し、貴職にその実現を申し入れるものであります。

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2022年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望

1、コロナ危機対応、気候危機打開、ジェンダー平等を市政運営の前提に

コロナ危機対応、気候危機打開、ジェンダー平等は、いずれも社会や政治のありようを根本から見直すことを迫っており、立場の違いを超えて市政運営の前提・戦略の中心に据えられなければならない課題である。来年度は「第9次福岡市基本計画」の目標年次にあたり、新たな計画の策定が行われることになる。その際に、以下の(1)〜(3)の観点を盛り込むよう要求する。同時に、計画策定以前にも市政運営方針をはじめ新年度の施策全体に以下の(1)〜(4)の観点を盛り込むよう求める。

(1)コロナ危機に対応した戦略

新型コロナウイルス感染症をめぐる危機は社会のさまざまな問題を浮き彫りにした。非正規雇用で働く人たちが真っ先に仕事を奪われ、まともな補償もせずに「自粛」を押しつける政治が、中小企業、個人事業主、文化・芸術、イベント関係者を追い詰めた。「小さな政府」の名で公的部門が縮小させられ、医療や保健所が弱体化し、医療崩壊が現実となった。自民党・公明党の政権が長年とってきた弱肉強食と自己責任おしつけの新自由主義の政治がもたらした人災にほかならない。

また、ビジネスのあり方も大きく変わり、「外から人・企業を呼び込む」という旧態依然の経済政策の前提が大きく揺らぎ、コロナ以前のやり方をそのまま推進することには多くの市民の間から疑問の声が上がっている。

欧州での感染拡大などコロナ危機はまだ収束の方向が見えず、今後も続くと考えられる。経済・社会活動を再開しながら再び感染爆発・医療崩壊を絶対に起こさないコロナ対策、医療・介護・障害者福祉・保育などケアを厚くする政治への改革、「呼び込み」型から地域にある産業や企業など今ある地域の力を支援し伸ばす「内発」型の経済政策への転換など、コロナ危機への対応を市政の中心戦略の一つに据え、本市のあらゆる計画・施策をただちにその立場で見直すこと。


(2)気候危機打開への戦略

本市は2040年度に温室効果ガス排出実質ゼロをめざす方針を打ち出している。もともと実質ゼロの達成には社会システムの「前例のない移行」(ICPP報告書)が必要であり、しかも、本市は政府よりも10年早く達成しなければならない。本市は「福岡市地球温暖化対策実行計画」を見直そうとしているが、一部局の計画変更で決して達成できる目標ではなく、開発や経済などのあり方を大もとから変えることが不可欠である。2040年度に本市で実質ゼロを達成することを市政の中心戦略の一つに据えるとともに、本市のあらゆる計画・施策をただちにその立場で見直すこと。


(3)ジェンダー平等の戦略

1990年代以降、世界は「ジェンダー主流化」を合言葉に、根強く残る男女格差の解消を進めてきた。「ジェンダー主流化」とは、あらゆる分野で、計画、法律、政策などをジェンダーの視点でとらえ直し、すべての人の人権を支える仕組みを根底からつくり直していくことである。そのためにも、市や企業の管理職はもちろん、各種団体・地域など、市政・市域のあらゆる場面で女性の参画を進めることが求められている。意思決定の場に女性を増やすことは、ジェンダー平等を進めるために欠かせないものである。2030年までに市の政策・意思決定の構成を男女半々にすることなど「ジェンダー平等」を市政の中心戦略の一つに据えるとともに、本市のあらゆる計画・施策をその立場でただちに見直すこと。


(4)国の悪政から市民を守る

「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本と」すると地方自治法第1条の二に定められているように、自治体本来の仕事は市民の暮らし・福祉をよくすることであり、国の悪政から市民を守ることでもある。岸田内閣が発足し来年度予算編成の作業が進められているが、安倍・菅政権の悪政を引き継ぎ、その影響が本市市民にも及ぼうとしている中で、この任務はますます重要である。

自民党が総選挙の公約に「自衛隊の明記」「緊急事態条項」など改憲4項目を掲げ、岸田首相が「憲法改正に向け、精力的に取り組んでいきます」と選挙後に述べるとともに、維新の会が「来年の参院選までに改正案を固めて(参院選の投票とともに)国民投票を実施すべきだ」と発言したことは重大である。憲法第9条の改定は、「緊急事態条項」の挿入とともに、日本を「海外で戦争する国」へと変えるものであり、本土防衛とは何の関係もない、米軍が海外で起こす無法な戦争の危険に本市市民をさらすことにつながる。市長として憲法改定への反対を表明し、国・国会に対して改定の動きを止めるよう求めること。

また、自民・公明政権の政策により格差と貧困が深刻化し、働く人の平均実質賃金は年22万円も減る中で、2度の消費税増税は本市市民の家計にも重くのしかかっている。国に対して、消費税を5%に減税するよう要求するとともに、法人税率(中小企業を除く)を安倍政権以前の28%に戻すなど、大企業と富裕層に応分の負担をさせる税制改革を求めること。

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2、医療・介護・障害福祉などケアを支える市政を

自公政権は社会保障費の自然増分を削減・抑制する路線を続けてきたが、岸田政権においてもそれを継承する構えである。新型コロナ対策の充実が引き続き重要課題となる中、新年度の社会保障関連予算は国民の命を守り「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するにふさわしい規模へと転換させなければならない。「住民の福祉の増進を図ることを基本」とする地方自治体としても、国への働きかけとともに独自の努力を行うことが求められている。したがって、以下の点について要請する。

(1)コロナ対策

  • 日本でも、世界でもワクチン接種後の「ブレークスルー感染」が起きており、新たな変異株による感染もひろがる等、引き続き予断を許さない状況にある。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが極めて重要である。ところが自公政権は、「ワクチン一本やり」で、大規模検査を軽視し続けてきており、日本の人口当たりのPCR検査数は、諸外国と比べ桁違いに少なくなっている。本市においても検査の対象を原則有症状者と濃厚接触者に限ってきたため市中感染を見逃してきた。一部、対象が拡大されたとはいえ医療・介護・障害者施設などの職員等へ限定しており、頻度も不十分である。第6波を起こさせないためにも「いつでも、誰でも、無料で」という立場で、大規模・頻回・無料のPCR検査を行うよう方針を改め具体的な手立てをとること。
  • 新型コロナとの闘いの中、医療現場はまさに崩壊の危機に直面してきた。今後の感染拡大への備えとしてコロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など、臨時の医療体制を整備することは急務である。「原則自宅療養」の方針を公式に撤回し、コロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など、感染拡大に備える体制を構築する手立てをとるよう国に強く求めること。県と連携し、臨時の医療施設の設置等、自治体独自で可能なあらゆる方策を打つこと。
  • この間、現場で必死にがんばっている医療従事者のボーナス・賃金のカットや、「コロナ倒産」が起きるような医療機関の経営悪化が生じてきた。国に対し、医療費抑制路線を中止し、医療機関の減収補てんと財政支援、医療従事者の待遇改善を行う手立てを取るよう強く求めること。
  • 新型コロナとの闘いによって、医療現場とともに保健所も逼迫状況に追い込まれ職員の平均残業時間は80時間の過労死ラインを大きく超え、中には225時間にも上る事例も生じた。感染者をつかむことも、必要なサポートをすることも困難になった教訓を踏まえ、保健所予算を2倍以上に増やし抜本的な人員増と体制強化を図ること。

(2)国民健康保険

  • 本市の国保世帯の平均所得は77万3000円と低水準で、所得200万円以下の低所得者はその86%を占めている。10%の消費税増税と昨年2月以降のコロナ禍は低所得層が多い被保険者の経済的負担を増大させており、元々重い負担となっている保険料の軽減が強く求められている。しかし市長は、都道府県単位化による県への納付金負担が増となったにもかかわらず、一般会計からの法定外繰入れを不十分な額にとどめ、「収入未済」や「減免」分等を保険料に上乗せする方式を改めないまま、2020年度保険料を10年越しで全所得階層に及ぶ大幅引上げを行った。更に2021年度は法定外繰入れを更に7億円も削減し介護分を926円も引き上げ、子育て・現役世代に経済的打撃を与えている。「上乗せ方式」をやめるとともに、国や県の圧力をはねのけ、一般会計からの法定外繰入れを抜本的に増やし、保険料の大幅引下げをはかること。
  • 子どもの均等割分については大きな請願運動を受け15歳以下の第二子を半額、第三子以降について全額免除という措置が実現したものの、対象年齢や減免割合に格差を設けることに道理はない。18歳までの全ての子どもを対象にし、全額免除とすること。併せて、国に対して全国知事会が要求している「公費1兆円の投入」で均等割、世帯割をなくし保険料の協会けんぽ並みへの引下げを可能にするよう求めること。
  • 現在本市においては3人家族で所得747万円という到底高額所得者とは言えない世帯が年99万円もの保険料上限額を強いられている。賦課限度額の引上げは止め、「応益割」偏重の是正など、逆進的な国保料を生み出している算定式の見直しこそ行うこと。
  • 「都道府県単位化」は、国保の構造問題を解決しないまま自治体の主体性を奪い、住民負担増や滞納制裁強化、一般会計繰入の抑制等を強制するやり方でありすでに大きな影響を生み出している。中止するよう国に求めること。
  • 治療費が窓口全額自己負担となる資格証明証交付世帯について本市においては6月末時点で7597世帯、短期証の発行は1万8080世帯に上り政令市最悪水準となっている。このことにより、加入者は受診を我慢して重症化・死亡するなど、手遅れ事例が本市内でも引き起こされている。「特別な事情」の確認は、丁寧な調査をすればできることであり、現に横浜市では、資格証明証や短期証の発行をしていない。面談できないことを理由に「特別な事情」を実質調査しないまま保険料滞納世帯に対し機械的に資格証・短期証を発行するやり方は許されず、他都市の例にならい、資格証・短期証への切り替えをやめること。
  • 本市の保険料減免世帯比率はわずか9.28%に過ぎず、極めて低い水準にある。新型コロナの影響を受けた世帯への保険料減免制度は「所得が前年に比べて30%以上減少」という条件になっているが、一般減免も含め「前年比20%以上」に改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して適用対象をひろげ、広報を充実させること。
  • 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用が9年連続0件という異常な事態となっている。「前年度比3割以上の減少」という収入要件によって、日常的に生活が厳しい人は適用されない等の矛盾が引き起こされ、制度の体をなしていない本減免制度について、要件を見直し、困窮者を救える制度へと改めること。
  • 本市における国保料滞納者に対する差し押さえは、わずかな預金344円を差し押さえる事例や公的手当が入る口座を狙い撃ちにしたものも含まれているなど、異常なやり方が横行している。公的手当をはじめ年金、子どもの学資保険さえも差し押さえる冷酷、異常、機械的なやり方はただちにやめること。
  • 国の制度として拡充するまでの間、市独自で国保に個人事業主を含めた傷病手当を創設すること。

(3)後期高齢者医療制度

  • 後期高齢者医療制度について、福岡県の保険料は全国的に見ても高い水準のまま推移してきた。加えて、2017年度から強行されてきた特例軽減の段階的廃止縮小並びに賦課限度額の引上げ強行によって、保険料が引上げとなった世帯は約6割となっている。コロナ禍による生活困難もひろがる中、低所得・低年金の高齢者世帯を狙い撃ちにした大負担増は許されず、剰余金や各種基金を活用し、次期保険料は大幅に引き下げるよう広域連合に求めること。また、保険料特例軽減を復活させるよう国に求めること。
  • 後期高齢者の医療費窓口負担を2割へと倍増させる「高齢者医療費2倍化法」が100万人以上の反対署名を無視し自民・公明等によって強行成立させられた。2022年秋から実施されれば経済的理由による受診抑制を引き起こし、命を脅かす事態を生じさせることは明らかである。当事者からは「受診回数を半分に減らさなければならない」との声、子どもの世代からも「親への援助で家計が圧迫される」との声が聞かれる等、全世代に及ぶ最悪の負担増は許されない。高齢者の医療費窓口負担2倍化の実施を中止するとともに、高齢者を年齢で区切り、果てしない負担増と差別医療を押し付けている後期高齢者医療制度そのものを廃止し元の老人保健制度へ戻すよう国に求めること。

(4)医療制度

  • 地域医療構想にもとづく、高度急性期・急性期病床の削減計画を中止するとともに感染症病床、救急・救命体制への国の予算並びにICUの病床数を2倍にするよう国に求めること。
  • 診療報酬改定において、看護師の配置基準と労働条件の改善、新感染症に対応した診療報酬体系など抜本的に充実させるよう国に求めること。
  • 住民の命と福祉を守る自治体を、医療切り捨ての先兵として使う「医療費適正化計画」は撤廃するよう国に求めること。
  • 無料低額診療は経済的困窮者にも医療を保障する重要な役割を果たしている。本市において実施する医療機関を増やすための取組みを県とも連携し強め、制度の広報を市ホームページだけにとどめず、ポスターやパンフレット等でも広く行うこと。また、国に対して薬剤費への制度適用を求め、他都市でも徐々に広がる独自助成にならい当面、本市独自でも実施すること。
  • 「福岡市健康先進都市戦略」(「福岡100」)については、「自助」「共助」を前提に、「国家戦略特区」を活用し、医療団体等からも問題が指摘されている「オンライン診療」や「オンライン服薬指導」などを活用にあたっての条件も付けず、市民合意もないまま進めている。ICTや製薬の関連大企業の利益最優先でつくられ、多くの問題をはらんでいる本戦略は、中止・撤回すること。

(5)こども病院、市民病院

  • こども病院においては、小児・周産期医療の拠点としての重要な役割を果たす一方、地方独立行政法人福岡市立病院機構の方針の下、採算性が優先されている。10年以上も継続しているリフレッシュ休暇等を試行のままにするのは許されず、速やかに正式運用する等、職員の勤務諸条件を改善し、職員の合意を大切にする民主的な病院運営へと転換するよう指導すること。また、バスのルートや便数を抜本的に増やすようバス事業者に強く要請するとともに、職員の駐車場利用枠を増やすこと。
  • こども病院、市民病院ともに医師、看護師等の不足が深刻となっている中で、新型コロナウイルス感染症により職員に大きな負担がかかっている。職員を正規で増員し、地域医療の拠点としての役割を果たせるようにすること。
  • 新型コロナウイス感染症の深夜帯ワクチン接種において、労務管理をしないアルバイト方式で医師や看護師等を出務させ、実質9日連続での勤務を月に3回も行わせるなど本来の業務に支障をきたすようなやり方は問題である。緊急を要する場合においても、市民病院に押し付ける安直な方法はやめること。
  • 唐人町の旧こども病院の跡地については市民の貴重な財産であり、開発業者や営利企業に売り渡すことは許されず、独立行政法人から取得し、医療・福祉の拠点、保育園や児童館など公共用地として活用すること。また、住民をなおざりにした企業いいなりの民間サウンディングはやめ、当該校区だけでなく隣接する校区の住民を含む跡地活用協議会などを設立し、市民の要望を反映させること。

(6)介護保険制度

  • 新型コロナ感染症の拡大を受け、訪問介護と通所介護では深刻な利用抑制が起こり、介護事業所が大幅な減収に見舞われている。政府は、コロナで経営難となっている事業所への「救済策」として、通所介護、ショートステイなどの報酬を加算したが、その結果、利用者が負担する1~3割の利用料も引き上がる事態となっている。市長は、国に対し、利用料・保険料に跳ね返らないよう公費を投入しながら、介護報酬の引上げを行うよう求めること。また、介護の基盤と、利用者・従業者の命と暮らしをコロナ危機から守るため、利用抑制や支出増に苦しむ介護事業所への減収補填を国に求めるとともに、市独自にも行うこと。そして、感染防護具の支給や施設の改修など、介護現場における感染拡大防止の取組みを支援し、介護施設の入居者に、PCR等の検査を実施すること。
  • 介護職員の低処遇・長時間労働・人手不足はもともと大問題となっていたが、コロナ危機のなかで職員の過重労働はいっそう苛酷になっており、介護従事者の「コロナ離職」も相次いでいる。全産業平均より「月10万円低い」とされる介護職員の低処遇を解決することこそ、介護人材を確保し、長時間過重労働を解決するために不可欠である。市長は、国に対し、介護報酬の引上げをはじめ、介護福祉士や調理員等介護現場で働く全ての労働者の抜本的なベースアップの対策をとるよう求めること。また、本市において介護施設職員の人件費の補助を行う独自制度を設けるなど介護人材確保のための方策を講じること。
  • 2021年8月に所得が低い施設利用者の食費・居住費を軽減する「補足給付」の資産要件を厳しくして対象を狭める改悪が行われた。これにより対象から漏れた利用者の負担が大幅に増えることになり、施設退所に追い込まれる利用者も出ることが懸念される。補足給付制度の改悪を撤回するよう国に求め、市として負担増の補填をおこなうこと。
  • 本市の介護保険料はコロナ禍であるにもかかわらず、第8期福岡市介護保険事業計画でもまた引上げが行われ、基準額で前期より年1766円値上げされた。一般会計からの繰入れを含め、あらゆる手立てをとって介護保険料の引下げを図るとともに、滞納者に対するサービス取り上げ等のペナルティをやめること。
  • 本市の特養ホーム待機者は、2019年12月時点で入所待ちが2607人であり、申込み者の数から「必要度の低い人」を除外する恣意的な判断によって実態より少ない人数に絞り込んだ上に、今期(2021年度~2023年度)における整備計画は240人分という極めて不十分なものになっている。このようなやり方は許されず、希望者全員が速やかに入所できる計画へと見直し、早急に待機者解消を図ること。併せて、小規模多機能施設やグループホーム、宅老所などの基盤整備と公的補助を強化すること。また、「要介護1・2」の特養ホーム入所からの締め出しをやめ、入所条件を緩和するよう国に求めること。
  • サービス付き高齢者向け住宅について、市として家賃の補助制度をつくり、不必要なサービスを受けることがないよう、入居者のくらしと権利をまもる仕組みづくりをすすめること。
  • いきいきセンター(地域包括支援センター)がおこなう総合相談支援においては、年々相談件数が増加傾向でかつ内容が複雑化しており、職員一人当たりの業務量が非常に多く、多忙化している。地域の高齢者の実態を把握し、親身な対応を行っていくためにも、市として、いきいきセンターの体制強化のために抜本的予算増を図ること。

(7)高齢者施策

  • 高齢者乗車券については周知および申請方法を市政だよりやオンラインにとどめたことで、「やり方が分からない」と申請をためらう人がいるため、全対象者に申請書を送付する方法に改めること。要望の強い所得要件及び利用上限額廃止や、ICカードとタクシー助成券などの併用を可能にし、高齢者の移動権を保障すること。
  • 加齢性難聴によって外出先で危険に遭いやすい、認知症を引き起こす、社会参加の妨げとなること等が指摘されているが、補聴器購入は高額なため費用の補助制度を求める要望が広がっている。他都市にならい補助制度をつくること。

(8)被爆者支援

「黒い雨」訴訟広島高裁判決が確定し相談事業がますます重要になる中、本市原爆被害者の相談事業や被爆証言活動が「原爆被害者の会」の会員減少や高齢化によって極めて困難になってきている。事業を維持・充実させるための運営費補助金を増額すること。また、被爆体験を継承するために、新しい世代の「語り部」を養成する事業等を広島市や長崎市のように会と連携しながら市の責任で実施すること。また、障害者と同様に被爆者のふくふくプラザ駐車場使用料を早急に全額免除するとともに被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付すること。


(9)アスベスト

  • 5月の「建設アスベスト訴訟」で最高裁は国と建材メーカーの責任を認める判決を出し、6月に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金の支給に関する法律」が成立した。しかし、判決は、屋外作業員や対象期間外に被害を受けた人は補償対象外である。また、給付金法で創設する補償基金には、建材メーカーが参加していない。そこで、これらの被害者も補償対象とすることや、メーカーによる基金への拠出を実現するよう国に要求すること。アスベスト曝露による健康被害を防ぐための規制強化、労働災害認定基準の大幅緩和、さらに建設アスベスト被害者の全面的、かつ早期解決に向け、裁判によらず簡易・迅速に救済する「被害者補償基金制度」の早急な創設などを市として積極的に国に要求すること。
  • アスベスト対策を抜本的に強化するために、アスベストアナライザーをすべての解体現場で活用し、含有調査を行うこと。大規模災害時の飛散対応等のため、アスベスト使用建築物のハザードマップを公開し積極的に市民に周知すること。また、市民へのアスベスト被害に対する啓発活動を強めること。アスベストを扱う建設労働者の防じんマスクの普及につとめ、市内業者への購入補助を行うこと。また国民健康保険の特定検診の問診において職種や経歴に応じてアスベスト被害を明らかにできるように対策をとること。あわせて、アスベスト専門の部署を設置し、市職員の中に、石綿調査の公的資格制度である「建築物石綿含有建材調査者」などの専門家を育成、職員も大幅に増やすなど総合的なアスベスト対策をすること。
  • アスベスト使用建物の解体、建築、補修工事における事前調査やアスベスト除去費用について、建物所有者の負担を軽減する補助金制度の対象拡充を国に求めるとともに、市として独自の補助制度をつくり、「ゼロ・アスベスト」のまちづくりを進めること。

(10)生活保護行政

  • コロナ禍で生活困窮者が急増し、国民の命と暮らしを守る最後のセーフティネットである生活保護がますます重要になる中、膨大な漏給、低すぎる補足率の解決が緊急に求められている。しかし、市は2020年5月に国が通知した生活保護についての弾力的な運用の通知をまともに周知せず、市のホームページの新型コロナ感染症に関する情報のなかで案内もしていない。その結果、コロナ禍のもとでの生活保護申請件数の伸びが、全国に比べて福岡市は3分の1以下になっている。札幌市が「生活保護の申請は国民の権利です」というポスターを作成し公共施設などに掲示しているが、このような取り組みにならって、本市として定期的な捕捉率の調査・公表、テレビやインターネットのCM活用、公共施設などへのポスター掲示、市政だよりへの1面への特集記事掲載などによる制度の周知徹底や相談の呼びかけ、誰もが手に取れるような場所に申請用紙を置くなど捕捉率向上策を講じること。また、申請権を保障するため「面接」「指導・助言」を口実に不当に生活保護を排除する「水際作戦」を根絶すること。このような改革をすすめるとともに、必要な人は誰でも受けられるよう生活保護法の「生活保障法」への改正を国に求めること。
  • 自公政権が強行した生活扶助の段階的な引下げと消費税の2回にわたる増税、長引くコロナで出費がかさむ中、保護利用者は1日3回の食事や毎日の入浴がかなわない等、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が奪われている状況にある。これまで切り下げた生活扶助費・住宅扶助費を元に戻し、基準引下げ路線を転換して、憲法に規定された生存権の保障にふさわしい水準に引き上げるよう国に求めること。
  • 新型コロナの感染防止対策としてのマスクや消毒用品等の購入による新たな出費は保護世帯に重くのしかかっており、下水道料金減免制度の復活、年末の福祉見舞金の支給など、市独自施策を行い、利用者の生活を支援すること。特に温暖化によって夏は災害並みの猛暑が続いており、暑さをしのぐための電気代がかさみ生活費を圧迫するため、市独自の夏季福祉見舞金を創設するとともに、必要な世帯全てがエアコンを購入できるよう、市独自に手立てをとること。
  • 全行政区の保護課面接室に1つ以上の監視カメラが設置されている。甚だしい人権侵害であり、トラブルのもととなっているだけでなく、申請・相談者に対して監視されているプレッシャーを与え、来所する人を減らす水際作戦の一種であり、直ちに撤去すること。
  • 2013年生活保護法改定と2015年実施要領改定を根拠に、利用者の「資産申告」を強要することは問題である。本市でもこれを根拠に預金通帳の提出強要や財布の中身まで確認するなど著しい人権侵害さえ起きている。改定法は、利用者と福祉事務所とが協力して金銭管理の適正化を図るとしているだけで「資産申告」強要の根拠とはなりえない。本市として、「資産申告」は一切やめること。また、国に対し、誤解を招くような実施要領は撤回するよう求めること。
  • 「生活保護のしおり」の記載には、「一日でも早く自分の力で生活できるよう」など殊更自立を強調したり、保護を利用していても、居住用不動産や少額の保険、自動車、バイク等の保有が認められる余地があることを記載していなかったりと問題がある。加えて、市ホームページでは保護利用者の居住用不動産や少額の保険、自動車、バイク等の保有について、あくまで「コロナ禍における弾力的な運用」であると強調し、コロナ禍でなくとも本来認められる余地があることを記載しておらず、問題である。誤った情報や誤解を招く内容がないよう精査して改善し、正確に周知すること。
  • 健康状態や年齢を無視した就労の強要は止めること。現場では、教育機関で学びたい利用者の願いにまったく耳を貸さず、就労指導をおこなったり、「何でもいいから急いで就職を」と機械的な指導をおこなったりする事例が起きており、このような指導は真の自立を遠ざけるものであるため止めること。
  • 入院日数や通院回数に対する不当な削減指導やジェネリック医薬品の使用強制を行わないこと。
  • 入院時、医療機関からの寝巻貸与代金については保護費に含まれず負担となっており、市独自に支給すること。おむつ代については医者の認定があるものだけに限定せず、必要額を市独自に補助すること。また、通院に必要な交通費の支給について説明をしていなかったケースが出てきている。通院移送費について周知徹底をすること。
  • ケースワーカーの平均担当世帯数を減らすことは利用者の生活に寄り添った援助を行うために重要だが、2021年度も102.1ケースで、国の標準世帯数を20以上も上回っている。そのためにトラブルや誤った情報を伝えるなどといった事例が多数見受けられる。日本弁護士連合会や多くの専門家も、職員を増やさないと寄り添ったケースワークはできないことを指摘しており、国の標準数を守れるように直ちに正規職員のケースワーカーを増員すること。
  • 本市のケースワーカーは大学を卒業して3年以内の職員が67%、経験年数4年以上はわずか2.2%と、依然として市職員としても、ケースワーカーとしても、経験が浅い職員が大半を占めるという現状である。日本弁護士連合会や学識者等から専門性の確保の必要性が指摘されており、社会福祉士や精神保健福祉士、弁護士など、国家資格を有する職員の採用や登用を行い、生活困窮者へのきめ細かな支援などノウハウが継承できる体制をつくること。
  • 本市では、就労支援等事業や適正受診指導などのケースワーカー業務について民間企業等への委託をすすめているが、このやり方は公的責任の放棄や、保護利用者への管理強化などの問題点がある。政府が検討しているケースワーカーそのものの民間委託も含め、これ以上の外部委託はやめること。
  • 大学、専修学校等への進学者を強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方は、進学をあきらめる子どもを生むと同時に新たな貧困を生み出すため、仕組みを改めるように国に要求すること。教育扶助費や高等学校就学費用は実態に照らせばまだ不足しており、増額を国にも求めること。

(11)貧困対策

  • 生活福祉資金貸付は、コロナ禍のもとで一部要件が緩和されたり、制度の拡充が図られている一方、生活自立支援センターによる伴走型支援を貸付の条件にしているなど、貸付に厳しい条件が課せられており、必要な人が受けられない仕組みになっている。しかも、理由が明らかにされずに却下となる事例が頻発している。制度を抜本的に見直して、必要な人が利用できるようにすること、および却下理由を開示することについて国と県に要望すること。また、窓口はふくふくプラザで一本化せず、元にもどし、各区の社会福祉協議会で受けられるようにすること。
  • 長引くコロナ危機によって、市民の暮らしはますます苦しくなっている。所得が低くなりがちな高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、貧困対策として有効な、ごみ処理手数料をはじめとする公共料金等の福祉減免を行うこと。特に、コロナ禍のもとで、使用量が増えている上下水道料金の減免は、他の政令市にならい、ただちに実施すること。
  • 厚生労働省の調査によれば、コロナ禍で解雇・雇止めが、非正規雇用で働く人を中心に12万人を超え、収入減など、生活に困窮する人が増加している。今こそ、市民全体の貧困実態・貧困率の調査を行い、本市独自の目標・指標を定めて総合的な貧困削減計画をつくること。また、子どもの貧困対策についても、他都市にならって子どもの貧困率を公表し、削減目標を立て具体的な施策に取り掛かること。生活保護申請や生活困窮者相談を役所で待つのではなく、出前相談会など必要な人に支援が届くようにアウトリーチを強化すること。
  • 水道料金・市営住宅家賃・住民税・国保料などの滞納は生活困窮のシグナルと捉え、ライフライン事業者の協力や局を越えた連携を行うこととなっているが、事業者には協力依頼を出しただけで、福岡市生活自立支援センターへの紹介人数さえも把握していないなど、実態は機能していない。少なくとも市の内部では局を越えた会議を定期的に開催し、積極的に実態を把握するなど、実効性ある仕組みを構築すること。
  • 福岡市食育推進会議でも小中学校の欠食率について「徐々に悪くなっている」と分析するなど、朝食を毎日食べていない子どもが増えており、行政の責任で朝食欠食対策を行うこと。「子どもの食と居場所づくり支援事業」の補助金は4年目以降も減額することなく支給を継続するとともに、1か所あたりの補助を増額すること。
  • 市内のホームレスは依然増加傾向にあるため、安心して年を越せるよう年末年始も対応できる窓口を開設するとともに、市内の巡回を強化して、相談に応じ、支援すること。ホームレスが施設への入所を求めた場合、感染症の検査などの理由からその日に入所できない仕組みを改めるために一時宿泊所を確保すること。民間ボランティアやNPO支援団体への委託費を大幅に増額すること。ホームレス患者は、受診する時にはすでにひどい疾患を患っていることが多いため、医療機関の負担は大変重くなっている。コロナ感染対策も負担となる中、現行の入院協力金3000円では不足しており、大幅に増額すること。

(12)民生委員

民生委員の過重負担について、活動費のわずかな増額や若干の定員増だけでは根本解決には程遠く、定員まで充足できない校区を多数生み出している。本来行政が行うべきことを押し付けていないか等、徹底した検証を行い業務量について抜本的に削減するとともに活動費の大幅増額を行うこと。また、欠員が生じている地区を他地区の委員がカバーするやり方には無理があり、行政の責任において臨時の代替措置をとること。


(13)障害者施策

  • 合理的配慮の提供を民間事業者に義務付ける改正障害者差別解消法が2021年5月に成立したことを受け、本市でも法的義務とするよう福岡市障がい者差別解消条例を早急に改正するとともに、差別的取り扱いを禁じる実態規定に「何人も」と挿入すること。障害当事者や関係団体から成る「福岡市障がい者差別解消推進会議」については、障害当事者の比率を高めるとともに、差別体験等の実態に基づいて本市の施策のあり方を具体的に検証し改善につなげること。
  • 福祉乗車券・福祉乗車証については、「持続可能な制度とするため」等として障害の程度や所得によって交付対象を狭める差別的取り扱いは許されない。関係者から要望の強い療育手帳Bおよび精神障害者手帳2級まで拡充するとともに、所得制限を廃止すること。交付方法については選択肢をひろげ利便性を高めること。精神障害者に対する交通運賃割引を頑なに拒否しているJR及び福岡北九州高速道路公社に対し、「合理的配慮」の趣旨を踏まえ早急に実施するよう強く申し入れること。
  • 障害者が65歳になるとそれまで受けてきた障害者サービスから介護保険サービスに半ば強制的に移行させられ、自己負担が増え、サービスが継承・継続されず利用者は肉体的にも精神的にも大きな負担を感じている。新高額障害福祉サービス等給付費が支給されるようになったものの、対象要件から外れる人も多い。介護保険の対象年齢でも障害者福祉制度と介護保険制度を選択できるなど、新たな自己負担なしでサービス水準が維持できるよう市独自の手立てをとること。法の根拠となっている障害者総合支援法の第7条(介護保険優先)の廃止を国に求めること。
  • 本市では、聴覚障害当事者や関係団体からの長年の要望を受け緊急事態宣言期間中に限り市長会見で手話通訳を導入したものの、日常的な導入については「研究」として実施しておらず合理的配慮の提供義務に反し続けている。すべての市長会見に手話通訳者を配置すること。市主催の行事の際にも手話通訳者をつけること。
  • 「手話言語条例」は31道府県を含む420自治体へと広がり、政令指定都市を含め大きな流れとなっている。これ以上の先送りは許されず、本市においても早急に制定作業に入ること。
  • 手話通訳者派遣事業の範囲を「社会生活上外出が必要不可欠なとき」等として狭めず、当事者の要望を踏まえひろげること。また、聴覚障害者用の情報提供施設について「春日市のクローバープラザで対応できている」とする冷たい姿勢は当事者の怒りを買っており、早急に福岡市内につくること。
  • 日本手話通訳士協会によれば、コロナ禍のもと、多くの手話通訳者の仕事が激減し、収入が途絶えているケースもある。担い手が不足している手話通訳者の養成を確実にすすめるためにも、報酬の引上げ、市による直接正規職員としての雇用など、専門職にふさわしい待遇に引き上げること。
  • 雁ノ巣幼稚園跡地に「さくら園」が開設され、南部には療育センターが計画されているが、児童発達支援センターのニーズからすると足りていないために、通園距離が長く利用者に大きな負担となっている。身近なところに通えるよう、今後も計画的に増設するとともに、通園施設の指定にあたってはエリアの機械的な判断ではなく当事者の意向を反映させること。
  • 強度行動障害者の短期入所施設を増設するとともに、「強度行動障がい者支援事業」はノウハウの蓄積、人材の育成、事業者への支援などを充実すること。
  • 障害者グループホームの低すぎる報酬単価の増額を国に求めること。あわせて、市の運営費補助を拡充するとともに、土地や建物の確保や新設時の改修費への補助を増額すること。また、利用者への家賃補助については、市が独自に上乗せ補助を行うこと。
  • 知的障害者の地域生活移行については、必要とする支援の質・量の確保、十分な所得保障や住宅手当の充実等、知的障害者の希望と選択を最大限尊重する仕組みを構築することなしに、進めることは許されない。入所施設も「終の住処」として利用できるようサービス提供や支援の実態について現場で適宜確認するとともに、設備や職員体制の充実を図り「親なきあと」の不安を取り除くこと。
  • 国において、処遇改善加算がされたものの、障害者支援施設等労働者の賃金は全産業労働者平均まで未だ月10万円近くの隔たりがある。加算分を基本報酬に組み込んだ上で抜本的な引上げを図るよう国に求めること。また、市独自に処遇改善のための補助や家賃補助を創設すること。
  • 障害者の一般就労は、収入を得るということだけではなく、就労によって本人が社会とのつながりを持ち、生活や人生を豊かにすることであり、重要な意味を持っており、障害者に対する継続した就労支援には就労支援事業所職員が安心して働ける雇用の安定性が不可欠である。NPOや社会福祉法人などA型事業所を営む法人が安心して就労支援事業を継続していくために、国に報酬単価の引上げを求めるとともに、職員の人件費の引上げや、専任で就職支援ができる担当者等の配置ができるよう市として独自に財政支援を行うこと。
  • 本市の障害者雇用は、法定雇用率を超えてはいるものの、その内訳は非正規雇用をあわせてのものであり、正規職員で達成できるよう採用枠を抜本的に増やすこと。民間企業に障害者の採用増を要請し促進するため、国任せにせず、本市独自の補助制度をつくること。
  • 障害者関連施設の指定管理者を社会福祉事業団から民間団体に移行する公募の動きや指定管理料の縮減は、事業団潰しを狙ったものであり、やめること。

(14)ヤングケアラー支援

ヤングケアラーとは、高齢、障害、病気などケアが必要な家族がいる場合に、大人が担っている責任を引き受け、あるいは代替し、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どものことである。適切な養育を受けられない、子どもらしい成長が阻害される、教育の機会を奪われるなど子どもたちにとって深刻な社会問題になっており、11月に専用相談窓口と専用相談ダイヤルが設置された。しかし、支援者や関係団体から相談事業だけでは不十分であり、「包括した家族支援が必要」と声があがっている。子どもたちの権利を守るために、ヤングケアラー専門の部署を早急につくり、有識者や支援者、関係団体とも密に連携し、相談後の対応を注視するなど情報の共有を図り、対策を練ること。あわせて当事者が体験を語る研修会の開催や市民への周知・啓発活動を行うこと。

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3、ムダな大型開発をあらため、市民の生活・安全優先のまちづくりを

(1)人工島事業

  • 土地処分については、立地交付金というプレゼントをつけた上に、原価割れで叩き売りをして最大421億円の大赤字を残す見込みになっている。基盤整備46億円、立地交付金45億円、自動車専用道路整備31億円など、この破綻した事業に2020年度も約152億円が投じられた。これ以上の税金投入はムダづかいであるとともに人工島だけを特別扱いする不適切な支出はやめること。
  • 立地交付金制度全体額47億円のうち人工島立地企業への交付が45億円であり、あまりにも偏重した運用となっている。売れない土地の穴埋めのための異常なやり方を改め、これ以上の人工島立地企業への交付はやめること。
  • 港湾計画で定める博多港の国際海上コンテナ取扱量目標値130万TEUは、現在のペースで目標達成は「厳しい」と当局も認めざるを得ない状況である。さらに、人工島への5万トン級以上のコンテナ船の入港は、昨年度はなく、直近の5年間でわずか13隻である。15メートル水深の人工島D岸壁の整備や大型コンテナ船対応のための東航路整備事業は必要性がなく税金のムダづかいでありやめること。
  • 民間住宅や道路・下水道などに助成する「住宅市街地総合整備事業」を使っての積水ハウスなど特定の大企業への露骨な税金投入はやめること。
  • 「中長期的な視点で検討」などとしていまだに現存している必要のない鉄軌道の導入計画はきっぱりとやめること。

(2)港湾再編

  • コロナ禍でインバウンドが破綻して、ウォーターフロントネクストも大幅な見直しが迫られたなか、「博多港港湾計画」の前提が大きく崩れたにも関わらず、現計画に固執しようとしている。中央ふ頭や須崎ふ頭の新たな埋立てはやめて、同計画を大幅に見直すとともに、必要もない箱崎ふ頭地区の水面貯木場及び海面処分場の埋立ては、埋立費用だけで700億円と莫大な費用がかかるため、検討をやめること。
  • 第3セクター・博多港開発株式会社はケヤキ・庭石事件を起こすとともに、人工島事業の土地処分ができず、経営危機に陥り、市から多額の増資を受け、会社2工区を市に399億円で譲渡するなど、巨額の税金が投入された会社である。そもそも市の外郭団体の見直しでは、廃止も含めて検討されてきたものであり、このような会社に今後の埋立事業などを担わせることは許されず、会社はただちに解散し清算すること。

(3)世界水泳

2022年5月に開催される世界水泳選手権・福岡大会の本市負担は、当初見込みの35億円から95億円に膨れ上がっている。寄附金、協賛金についても、募集から4年間経過した現在でも、いくら集まっているのかさえ、明らかにされていない。コロナ収束も見通せず、開催自体が不透明な巨大イベントに莫大な市費をつぎ込もうとすることは許されず、大会の中止を提起するとともに、大会運営から手を引くこと。

(4)国家戦略特区

  • 「グローバル創業・雇用創出特区」は、まち壊しにつながるビルの高さ制限の緩和や解雇指南など市民を守るルールを壊す規制緩和であり、本市の特区指定を返上すること。また市が提案した電動キックボードの規制緩和について、歩道で歩行者に背後から衝突し、首の骨を折る重症を負わせて逃亡するという事故が大阪で発生するなど、全国で深刻な事故が相次いでいる。また、無免許や信号無視といった違反を起こしている利用者が多いなど、周辺住民から危険性を指摘する声が出ており、市の提案を撤回すること。
  • 株式会社mobbyが新事業特例制度を活用し、国から認定をうけ、2021年4月から中央区全域や南区の一部で、ヘルメットを着用せずに電動キックボードが運転できる公道実証を行った。また、市は「Fukuoka Smart East」の取り組みの一環として、自動運転バスの試乗体験を松島校区や貝塚公園で行った。市はそれらを追認・支援している。国会での審議・法改正もせずに、安全性が確認されていない技術を、営利企業の利益追求のため、いわば脱法的に一般社会で実施することは問題がある。市としてこのようなやり方を認めないこと。

(5)天神ビッグバン、博多コネクティッド

「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」は、ビルについての規制緩和、「賑わい創出」と称して地下道など関連施設建設や道路延伸へ既に数十億円投入しており、多額の税金投入、特定企業への不当な優遇などを行うものである。今年度は天神通線延伸に伴う用地取得費として新たに約38億円の補正予算が組まれ、それを用地全体に換算すると約158億円の用地費がかかる計算になり、「60億円程度に縮減できる」とされていた事業費は、移転補償費などを含めると今後、何十億、何百億円に膨らむかわからない。地価の暴騰、住民や中小業者の追い出し、渋滞・ラッシュ・災害混乱などのインフラのパンクを引き起こし、市民や零細企業には何の恩恵もなく、コロナ禍に伴う業績悪化やテレワークの普及でオフィスを縮小する企業が増えている中での大型開発は無謀である。天神通線の延伸をやめるとともに不要不急の大型開発を進める「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」は中止すること。

(6)ウォーターフロント・MICE・観光行政・宿泊税

  • ウォーターフロントの再整備計画は、もともと莫大な税金を投入し、呼び込み頼みの危険な計画だったところ、市は「感染症の影響により、これまで通り、『MICE』『クルーズ』『賑わい』が融合した一体的なまちづくりを進めることは難しい状況にある」として、計画の大幅縮小を打ち出し、事実上、破綻した。しかしながら、この計画「見直し」は中央ふ頭北側について見直すだけで、それ以外については温存、もしくはさらなる拡大を目論んでいる。コロナを経験した世界は、たとえパンデミックが収束しても単純に元の状態に回復することはなく、観光のあり方や働き方をはじめ、すべてが大きく様変わりすることは明らかである。特に、「外需頼み」「インバウンド頼み」という呼び込み型経済政策の脆弱さが浮き彫りとなり、地域の中小企業や市民の家計を応援する経済政策に切り替える必要性がいよいよ鮮明になっている。したがって、ウォーターフロント開発計画そのものを完全に中止すること。
  • 宿泊税については二重課税や逆進性、不公正さに問題がある上にコロナ禍において、とりわけ零細な業者ほど税金を転嫁できず、身銭を切らざるを得ず、観光業は打撃を受け続けている。苦しい状況におかれ、重い負担が課せられている宿泊税は廃止すること。

(7)福岡空港

福岡空港は、コロナによる入国拒否や渡航制限を受け旅客数が激減し「東アジアトップクラスの国際空港」にすることを謳い文句にして、30年後に旅客数を現在の1.5倍にし、路線数を倍加させるなどといった見込みも破綻している。また、航空業が気候変動に与える影響は大きく、地球環境を保持する観点からも矛盾する。こうした無謀な計画を見直すように国・県に求めるとともに滑走路増設をやめるように要求すること。

(8)九州大学箱崎キャンパス跡地利用

  • 箱崎キャンパス跡地のまちづくりは、キャンパス周辺の4校区(東箱崎、箱崎、松島、筥松)が長年にわたって、住民の要望をまとめた「九大跡地利用4校区協議会」の提案の方向性や精神を踏まえることが必要である。今年2月の請願審査において、地元住民が求めている、元寇防塁跡のまちづくりへの保存・活用や防災拠点となる公園の整備、住民が集える集会所の設置は、グランドデザインの方向性と同じであり、住民要望を実現すること。九州大学総合研究博物館については、箱崎キャンパスの歴史的建造物を活かして保管・展示し、市民への公開、活用するなど、九州大学に住民要望の実現を求めること。
  • 貝塚公園について、住民は道路を通し分割することに反対であるにもかかわらず、こうした計画を盛り込んだ「貝塚駅周辺土地区画整理事業」により住民の声を無視した計画が進められようとしている。市は「地域の意見を聞く」と言いながら、いまだに、公園利用者や周辺4校区住民の意見をまともに聴取もしておらず、市民無視は許されない。現在の計画を撤回し、貝塚公園をそのまま残すこと。
  • 跡地を4つに分断する都市計画道路「堅粕箱崎線」「原田箱崎線」は、計画を見直すこと。
  • 土壌汚染問題について、九州大学は調査を終了し、調査エリアの15%で基準値を超える有害物質が検出されたことを明らかにした。土壌汚染や地下水などの状況について、住民説明会が開催されておらず、市が責任をもって、九州大学に住民説明会の開催など適正な対処を求めること。
  • 市長が九大箱崎跡地で推進しようとしている「FUKUOKA Smart EAST」(スマートイースト)は、AIやビッグデータ等の最先端技術を使って個人情報を勝手に利用する住民監視のまちづくりに他ならない。首相官邸主導の特例的な規制緩和で行うスーパーシティ構想につながるスマートイーストは、やめること。
  • 松浜厚生施設・職員会館跡地について、当初、九州大学と福岡市は住民に対して低層住宅用地だと説明していたにもかかわらず、8階建てのマンションが建設される予定となっている。マンション建設用地の隣には保育園もあり、子ども達への日影の影響が懸念されるなど、地元住民は、住環境が破壊されるのではないかと危惧している。市と地元住民との約束を反故することは許されず、マンションを建てさせない手立てをとること。

(9)住宅施策

  • 安倍・菅政治が進めた新自由主義による自己責任の押し付けが住宅困窮者を増やし、長期化するコロナ禍のもと、多くの市民が予期せずに住まいを奪われ、あるいはその維持確保が困難になりかねない事態に直面している。住まいは生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台である。高齢化・低所得・単身・非正規雇用などが広がる中で、コロナ危機により自助でなく公的な支えがより一層強く求められている。「福岡市住生活基本計画」「福岡市住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」は国に追随する「民間まかせ」「自己責任」「持ち家偏重」を基本とする住宅政策である。本市の借家戸数は6割を超えており、賃貸が多数である現実を踏まえ、市営住宅や家賃補助を抜本的に増やすなど「住まいは人権」との立場に立って、これらの計画の見直しをすること。
  • 公営住宅への入居可能な収入階層世帯を目安に、民間賃貸住宅に高齢者・低額所得者や子育て世帯などの入居を拒まないセーフティネット住宅は約3000戸あるにも関わらず、家賃低廉化補助制度の対象となる住宅は10戸、補助利用は2戸とわずかである。募集戸数を抜本的に増やすとともに事業者や市民に制度の周知を広げ、若者単身者も対象にすること。また、入居者自身に家賃を支給するよう制度を改め、セーフティネット住宅に限定せずに枠を広げることを国に求めることと合わせて、こうした制度を市独自で行うこと。
  • 市営住宅の応募状況は、一般枠で11.4倍、単身の高齢者・身体障害者は32.6倍など、いまだに深刻な状況は改善されていない。市民の居住権を守り、必要な市民が入居できるよう、「市営住宅ストック総合活用計画」を見直し、大幅な新規市営住宅建設計画を立てるとともに、髙島市長就任当初より400戸以上も減っている管理戸数を当面建替え時に計画的に増やすこと。またUR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて市営住宅にするなど多様な供給方式の具体化を早急に行うこと。
  • 若者の多くは非正規雇用で低賃金のため、高い家賃に悩まされ、ダブルワークをする人も少なくない。市営住宅の現行の入居基準を見直し、年齢の制限を設けず、国も認めている若者の単身世帯枠をつくること。
  • 困窮する低額所得者が市営住宅に入居できるよう、収入基準の引上げを国に求めること。
  • 住民による市営住宅の共益費徴収や、草取り、駐車場の管理、電灯交換などの設備管理、住民トラブルの解決等を管理組合に押し付けるのではなく、市および住宅供給公社が責任を持って行うこと。また、電灯は改修工事や故障時の交換を待たずに交換頻度が少ないLEDの利用を早急に進めること。
  • 市営住宅の建替えに伴う余剰地については、第一義的には市営住宅の増設を図ること。それ以外の場合でも、住生活基本計画に基づき民間売却ではなく住民要望を反映し、「高齢者福祉施設等の誘致」など公的に活用すること。また弥永住宅の余剰地には住民要望にそって、高齢者福祉施設や地域交流施設等を設置すること。
  • 市営住宅の指定管理化は、住宅の保守管理や緊急・小口の修繕において、実態を丁寧に調べ迅速に対応するなど住民要望が反映されない問題があり、市が委託した「市営住宅管理の施行に関する調査結果」においても、公募指定管理者の業務範囲が拡大することに対して「不安や懸念がある」とする意見が半数を上回っている。したがって、指定管理業者に関する管理を市住宅供給公社に戻すこと。
  • 市営住宅の入居者の訪問介護や訪問看護およびデイサービスの送迎等の際に利用できる無料の来訪者用駐車場を確保すること。
  • 高齢化によりエレベーターのない市営住宅の高層階から低層階への住替え希望が高まっている。エレベーター新設など対策を講じること。

(10)中高層建築紛争

  • 「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」は現在、住環境を守りたいという住民の願いを実現する力となっておらず、「住民が合意しないものは建てられない」という姿勢に改めないと今後も紛争は続く。住民合意・罰則規定の導入など条例をより実効性のある内容に抜本的に改定すること。あわせて、現在の条例には解体については何の定めもなく、「知らないうちに解体が始まった」と騒音や振動に悩まされることがないよう、近隣住民への事前説明と周知の義務付けなど解体についての規制規定を盛り込むこと。
  • 前項の抜本的改正が実現されるまで当面、当事者となる「住民」の範囲拡大、住民から要求があった場合の説明会開催の義務化、原則として説明会出席者全員が署名した議事録の提出、市の指導の義務化などを盛り込んだ条例改正を緊急に行うこと。
  • 開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の積極的な周知と適用に努めること。

(11)公共交通・生活交通

  • 「JR筑肥線と市営地下鉄の乗り継ぎ割引料金と割引区域の拡大を求める請願」が全会一致で採択されたにも関わらず、2年近くも「協議している」として実質、何も改善されておらず、市の姿勢が問われている。市営地下鉄とJR筑肥線の乗継割引を現在の20円から東部の西鉄との乗継同様すみやかに60円へ拡大するようJR九州に強く申し入れること。公共交通事業者として、同じ市内の利用者に対し、割引額に差を付けることは許されず、JR九州が割引を実施しない場合でも、本市が先行して割引額を10円から30円に引き上げること。加えて連続割引区間について、2区から3区に拡大すること。
  • 市営地下鉄やJR筑肥線の運行トラブルが起きた際に、折り返し運転や代替輸送を速やかに行うなど市の責任で市民の交通手段を確保すること。特に姪浜以西は、トラブルがあると姪浜駅に足止めされることが度々あるため、並行する路線バスへの乗り換えにとどめない対策を取ること。
  • 市民の切実な願いである「生活交通の充実、整備について」の請願が採択され、公共交通空白地等における生活交通対策としてアンケート調査が実施されたが、交通不便地以外の市民も対象にしたものであり、実態に即した内容になっておらず、まともな対策が取られていない。市が責任を持つコミュニティバスの運行を早急に行うこと。また、西鉄は市内各地でバスの減便を強行し、住民は通院や買い物等の日常生活に大きな支障をきたしており、早急に増便を図るよう西鉄に強く要請すること。また、生活交通の確保を公共交通事業者の努力義務ではなく義務として明記するよう生活交通条例を改正すること。
  • 毎年のように視覚障害者が駅ホームから転落する死亡事故が後を絶たない。JR博多駅をはじめ、市内のJRおよび西鉄大牟田線各駅にホームドアを早急に設置するよう関係事業者に強く申し入れるとともに、国まかせではなく、市としても推進のための協議会を設置すること。また、ホームドアが設置されるまでの間、乗客の安全対策要員をホームに配置するとともにホーム中央に視覚障害者の道しるべとなる線状誘導ブロックを敷設するよう事業者に申し入れること。
  • JR九州が駅を無人化したことについて、車いすを利用する大分市内の3人が移動の自由を制限されて苦痛を受けたなどとして損害賠償を求めた訴訟で、原告側弁護団は同社について“鉄道網を維持するため、多額の税金が投入されてきた事業体であり、一民間企業と全く同等にとらえるべきではない”と同社の社会的責任を追及している。また、本市でもJR香椎線の無人駅で「線路に子どもが降りていると通報しても何もしてくれない」など批判の声があがっている。全駅を有人に戻すよう、JR九州に求めること。
  • 早良南地域交流センター「ともてらす早良」への交通アクセスが不十分であり、とりわけ早良区南部から「行きたい時に行けない」という声があがり、住民よりさらなるバス増便などの要求が出ている。交通事業者との交渉を早急に進めるとともに、市がコミュニティバス・シャトルバスを運行することも含め、交通の利便性を図ること。

(12)道路・交通安全

  • 生活関連経路のバリアフリー化は、前計画「道路整備アクションプラン2020」では目標を達成できなかったため、課題を明確にするとともに、新計画に基づき速やかに推進すること。また、重点整備地区以外の箇所についても、緊急性や必要性を踏まえて、全市的に生活関連経路のバリアフリー化を推進すること。あわせて、横断歩道等における歩車道境界部について、中央区天神の中央郵便局前のような段差がないものとし、視覚障害者の歩行の安全にも配慮した縁石を導入すること。
  • 滋賀県大津市の保育園児死傷事故の現場と類似した153か所の横断歩道部のうち、今年度末までに90か所の車止め等の完了が見込まれているが、来年度予算で残る63か所についても、速やかに設置をすること。また、通学路に加え、学童保育や園児等の移動経路など、子どもの通行路を総点検し、危険箇所の安全対策を緊急に講じること。
  • 市内では消えかかった横断歩道が増え、それが元で子どもや高齢者の事故も増えており、県に対し横断歩道や停止線の路面標示の改善と交通安全施策関連予算の増額を求めること。また、市として、消えかかっている路側帯などの路面標示について、道路維持費を増額し、早急に塗り直すこと。
  • 橋梁の長寿命化修繕計画に基づく橋梁修繕数は、2020年度までの目標289橋に対して175橋しか終了していない。「道路整備アクションプラン2024」では、今後4年間で対策が求められる49橋と、線路や道路の上にある11橋について、修繕をすることにしているが、抜本的な予算増額が必要である。国に補助金の抜本的増額を求めるとともに、市独自の予算化もして橋梁の修繕を急ぐこと。
  • バス停留所の安全確保対策について、事業者や県警などを含む検討会が開かれたものの、いわゆる「危険なバス停」は7割が検討中のままになっている。事業者任せにせず、市がイニシアチブを取って、実態調査を行い、早急に対策を講じること。
  • 道路陥没を未然に防ぐために、日常パトロールや路面下空洞調査等の頻度を増やし、原因と劣化・優先度の分析をおこない、道路改修・維持対策を講じること。
  • 自転車関連事故のうち対歩行者事故の割合は3倍化しており、その約6割が歩道上で発生していることから、自転車と歩行者との衝突事故をいかに減少させるかが課題である。本市は「自転車活用推進計画」で、自転車通行空間の2024年度までの整備目標を160kmとしているが、現時点での整備では物理的な分離をしている自転車道は中央区大手門地区など25.6%しかなく、36.3%が歩道に自転車道を記した歩行者との混在形態であり、43%が車道に矢羽根型路面表示等を記しただけの自動車との混在形態となっている。これでは、自転車の事故を減らすことは期待できない。したがって、歩道、車道と分離された自転車通行空間を整備するために、関連予算を抜本的に増額し整備を急ぎ、自転車対歩行者事故を減らす対策を行うこと。また、指導員を大幅に増員し、都心部以外の自転車事故発生件数の多い幹線道路などにも配置して、安全対策を抜本的に強化すること。あわせて飲食宅配代行サービスの配達員による自転車走行中の事故や交通トラブルは各地で相次いでおり、指導や啓発とともに、事業者と共同した交通安全教室の実施などをおこなうこと。

(13)水道

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、市民生活、中小企業の業況等は、なお厳しい状況にある中、水道を使う量が家庭でも商店でも増え、水道料金に連動する下水道料金とともに、市民に負担が重くのしかかっている。福岡都市圏では、志免町、久山町、太宰府市、篠栗町、宇美町で減免が実施されており、本市でも市民生活と中小企業の営業を守る立場から、低所得者世帯、社会福祉施設などについて、特別の減免措置を講じること。
  • 2018年、国は水道法「改正」を強行し、国民の公衆衛生向上が目的である水道事業を変質させ、公共の財産である水を「商品化」する民営化への道を開いたが、大阪市、奈良市、浜松市などで民営化を住民が阻止し、世界でも民営化された水道が再公営化されるなどの動きの中、「水は人権」という声と運動が広がっている。水道事業は、安全・安心・安定的な水供給によって、憲法の生存権を保障するものであり、地方公共団体主体で健全な運営がなされるよう現行のまま直営を堅持し、民営化や広域化は行わないこと。
  • 水道配水管の耐震化率は2020年度末で59.8%であり、残されている配水管の耐震改修について、現行の年間45kmの更新ペースでは完了まであと40年間もかかるため、さらに早めるよう計画を見直すこと。また、災害時などに水を供給しなければならない重要給水施設として414か所を指定し耐震ネットワーク工事を進めているが、未だ冷泉公園や小笹中央公園など18か所が未整備であり、工事を急ぐこと。さらに、この耐震ネットワークの対象となっていない避難所も多くあり、対象施設を抜本的に増やすこと。あわせて、本市の下水道管も67%が未耐震であり、早急に改善すること。
  • 本市の1日最大給水量44万3539㎥に対し施設能力は78万900㎥あり、すでに過剰である。一方、1日の生産水量5万㎥の福岡地区水道企業団の海水淡水化施設は、年間約25億円の維持管理費等の経費をかけながら、実際の生産水量は、2018年以降、日量2万㎥程度に激減しており、稼働する必要はない。それにもかかわらず、地区水道企業団の「長期財政収支見通し2018」では、2025年から2027年にかけてさらに153億円をかけて設備更新をしようとしており、これはムダづかいにほかならない。したがって、海淡施設は廃止するよう福岡地区水道企業団に強く求めること。

(14)防災対策

  • 地域防災計画
    同計画について以下の2点を見直すこと。
    • 市民の生命、身体及び財産を災害から守ることは、災害対策基本法第1条で「国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にする」と規定されている。しかしながら、本市「地域防災計画」の基本理念には、「共創による防災先進都市・福岡をめざして」として、「市民、企業、NPOとの共創」による取組とし、「自助、共助」をことさら強調し公的責任を明記していない。市民に防災の対策義務を押しつけるのではなく、市の責任で、地域防災力の向上に取り組むよう改めること。
    • 政府は、新型コロナの感染拡大をうけ、避難所の過密抑制など感染症対策の観点を踏まえた防災の推進が必要であるとし、防災計画を修正した。本市「地域防災計画」の感染症対策についても、避難者のソーシャルディスタンス確保をはかるために過密抑制をすることとや避難所の抜本的な増設という観点を盛り込んだものに見直すこと。
  • 国土強靭化法にもとづいて策定された「福岡市地域強靭化計画」には、被災後の都市のイメージの回復、福岡市のブランド力の確保・向上策として、平時から都市のブランド力向上を行うことやMICE誘致、開催支援策を推進していくなど、災害対策とは関係のない事業も入っており、見直すこと。
  • 避難対策
    • 2021年8月の大雨で、7万9025世帯、14万4992人に対し、土砂災害や浸水被害のおそれがあるとして避難指示を出した。しかしながら、実際に避難した住民は105人であり、避難すべき住民の0.07%程度しか避難していない。市民に避難に関する情報が速やかに伝わり、実際の避難行動に結びつくよう調査・研究すること。
    • 市の指定避難所数は一次避難所と収容避難所を合わせても434か所しかなく、コロナ禍を踏まえ、1人当たりの面積を4㎡確保すれば、最大で避難者は10万1000人しか収容できない状況であり、大規模災害が発生すれば避難してきた市民を収容することができない事態となることは明らかである。抜本的に避難所の増設をはかるとともに、不足分を公共施設や地域の集会所などで補足する計画を立てること。
    • 九州で最も地震発生確率が高い警固断層が活動しても、避難者数を2万5000人としか想定しておらず、都心部の人口・勤労者・来街者は増加しており、考えられる最大規模の災害にともなう数に見直すこと。
    • 避難所における人権やプライバシーを守るために必要な間仕切りは1校区あたり10セット、避難所用テントは20台しか備蓄していない。また、避難者の健康維持のための段ボールベッドの備蓄はしておらず、民間まかせとなっている。国からの支援や民間企業との協定だけでは、いつ必要な物資が届くのかわからず、避難直後から避難者のプライバシーや健康を守るために、市として必要数を備蓄すること。また、食料や水の備蓄は3日分しかなく、公的備蓄を抜本的に増やすこと。
    • 土砂災害、浸水、津波のハザードマップや、揺れやすさマップについて、パソコンやスマートフォン等を活用することができない高齢者などにも、災害時に自分のいる地域でどういう被害が起きるのか、避難経路や避難場所はどこかなどが理解できるよう、地域まかせではなく、市の責任で校区ごとのマップを作成し、全世帯に配布すること。
    • 情報が入手できるよう避難所にテレビやラジオを設置し、快適に過ごすことができるよう畳などを設置すること。収容避難所には、冷暖房を付けるとともに、トイレは主として洋式に改修すること。また、避難直後から使用できるように、いすやベッドなどの備品をそろえるとともに、衣類やあたたかい食料・弁当が避難者にいきわたるようにすること。給水車の配置、通信の確保ができるよう、関係機関との事前協定を行うこと。
    • 福祉避難所については障害者や高齢者などの避難所としての機能を発揮できるよう万全を期すことが求められている。現在115か所を指定しているが、施設が被災し使用できない場合も想定し、指定箇所も抜本的に増やすこと。また、障害者や高齢者などの要配慮者が避難所をたらいまわしにされないように、直接、福祉避難所に避難できるように検討すること。福祉避難所の備蓄については市の責任で進めること。停電に備え、高齢者施設などに非常用自家発電設備をすすめるために、国に対する補助制度の継続、拡充を求めるとともに、市独自の補助制度をつくること。また、発電機等に必要な燃料の確保を市の責任で進めること。「避難行動要支援者名簿」に登録されている人のうち、避難計画が立てられているのは5%に過ぎないのは大問題である。名簿登録から漏れている方も含めて、避難誘導、具体的な移動の手段の手配などについて、通常時からきめ細かい個別計画を市の責任で策定するなどして対策を強化すること。被災時に施設運営で一番の課題となる職員不足については、協定を結んでいる他都市などとの協議を進め、福祉避難所に対する受け入れ体制を事前に確立すること。
    • 津波ハザードマップについて、避難の方向の記載はあるものの、区域内で避難できる高いビルなどが記載されていない。必要な津波避難ビルを確保し、ハザードマップに記載すること。また、避難ビルの認証シールやオートロック対策など実効性ある対策を早急にとること。
    • 年々集中豪雨の発生などによる危険が高まっているもとで、県が指定する市内の土石流災害にかかる特別警戒区域と警戒区域380件のうちハード事業が実施されているのは、わずか5件、1.3%、急傾斜地崩壊における特別警戒区域と警戒区域1398件 のうち、わずか4件、0.2%となっている。県に対して、ハード事業の大幅な前倒しを実施するよう求めるとともに、市としても安全確保の対策をおこなうこと。
  • 木造戸建住宅の耐震化の助成制度については、対象外とされている1981年以後の住宅も対象とすること。市内の共同住宅の耐震診断と耐震改修助成の制度については、適用もほとんどされておらず、助成要件も緩和して抜本的に金額を引き上げ、制度の周知・広報も強めること。また、人命確保のための耐震ドア、窓や屋根の補強だけでも活用できるようにすること。
  • 自然災害で住宅が壊れた人に支援金を支給する被災者生活再建支援法について、最大でも300万円と少ない上に、「一部損壊」は対象外にされている。緊急に500万円に引き上げるとともに、被災の実情に応じた支援ができるように、額も対象も拡充することを国に求めること。また、本市の災害見舞金は、住家の全壊でも最高で6万円となっており、抜本的に引き上げること。
  • 県が管理する市内の二級河川13水系のうち、改修計画がある河川はわずか5水系しかなく、現在改修を実施しているのは3水系となっている。2009年の水害で2級河川では、8河川、21か所において溢水が生じており、河床掘削、老朽化した護岸のかさ上げ・改修などの氾濫防止対策を急ぐよう県に要請するとともに、必要な河川には農業用ため池を治水池へ転用し雨水流出抑制を強化し、市有地や公園などの公的施設を活用して地下貯水施設等を設置すること。さらに、急激な浸水を避けるため、越水してもすぐに破壊しない耐越水堤防を整備し、避難する時間が確保できる対策を強めること。あわせて、バックウォーターや内水氾濫対策、浸水が予測される箇所のかさ上げ、バイパス雨水管などの整備、河床掘削や護岸整備を行うこと。
  • 人的被害を与える可能性のある防災重点ため池は市内で257か所あり、2021年度から防災工事のための調査が開始された。2020年度、82か所の市街化区域にある、ため池について調査を行った結果、7割について対応能力が不足していることが明らかとなった。災害を伴う大雨は毎年のように発生しており、調査や防災工事を早急に完了させるための財政措置を国に求めるとともに、市独自でも調査、工事をすすめること。また、防災重点以外のため池についても、耐震性や豪雨による洪水の危険性などの調査点検を行い、ハザードマップの策定や暫定的な避難方法の住民周知をすること。
  • 福岡市は玄海原発から約35~60km圏内に位置しており、「福岡市地域防災計画」(原子力災害対策編)では実効性のある避難計画の策定が求められるが、屋内避難を基本としているため地震などの複合的な原子力災害に対応できていない。全市民の放射能被害を想定し、福岡市から他の都市への避難を含めた計画を立てること。

(15)消防

  • コロナ感染の拡大における救急活動は、消防職員に感染リスクの不安や発熱患者への対応など、さらなる負担を強いており、現場は疲弊しているのが実態である。本市の消防本部職員1人当たりの管轄人口は1464人であり、京都市や大阪市のほぼ2倍という状況は異常である。また、一般会計の歳出に占める消防費の予算の構成比は1.3%で政令市最低レベルとなっている。これらのことにより、本市の消防の体制は、国の指針に照らして、ポンプ車2台、救急車3台が足りず、人員は70人も不足しており、特に査察を行う予防要員は86.9%、救急要員は90.7%と依然として充足率が低いのは問題である。抜本的に予算を増額し、早急に「消防力の整備指針」に基づき、消防機材も人員も100%充足すること。
  • 消防出張所内で起きた暴力事件が、市の指針では「懲戒処分」相当であるにも関わらず、加害職員は文書訓戒という軽い注意で終わっていることが議会質疑で明らかになったように、署内での人権侵害、パワハラ等は根絶されていない。また、「失敗ノート」に「電話は全て出ろ」「馬鹿がまた何かやっとる」といった言葉をメモさせられたあげく、大勢の前で読み上げさせられて「無能」「ゴミ」などと罵られた件については、消防局人事課による聞き取りで証言が得られないとして事実認定されなかったが、極めて不十分な聴取に終わっている可能性がある。さらに、被害職員の人権を侵す件についても聞き取りで証言が得られない等として事実認定をしなかった。これらは、本市の懲戒指針やパワハラ指針が機能していないことのあらわれである。市長が暴力・パワハラ根絶を宣言するとともに、指針を実効あるものに見直すこと。また消防職場での暴力・パワハラ・セクハラに対応するために、弁護士など第三者が参加する機関を設置すること。管理職を含む全職員を対象に、パワハラ・セクハラ・暴力の根絶、ジェンダー平等の推進をはかる研修を実施すること。

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4、気候危機打開へ、地域と地球の環境守る先頭に

(1)気候危機

  • 気候危機とよぶべき非常事態が起こっている。世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題となり、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では世界の気温上昇を産業革命前と比べて「1.5度に抑える努力を追求する」と明記し、石炭火力発電は「段階的削減」となった。そういう中、地球温暖化に対する危機感を共有しようと、自治体などが「気候危機」や「気候非常事態」を宣言する例が相次いでいる。世界では1900以上の宣言があり、国内でも昨年11月の衆参両院を始め、100を超える自治体や地方議会、団体などで「気候非常事態宣言」が行われている。本市にも九州大学の学生等から宣言を行うよう求める請願が出されている。したがって、本市でも「気候非常事態宣言」をおこなうこと。
  • 政府は2050年までに温室効果ガス排出ゼロを宣言したが、2030年度の削減目標は「2013年度比で46%削減」で、これは2010年比にすると42%減であり、国連が示した「2030年までに2010年比45%減」という全世界平均よりも低い。政府の宣言実現のために、2030年までに、CO²を50~60%削減することを本市として国に求めること。また、排出ゼロと言いながら、石炭火力発電にしがみつく「第6次エネルギー基本計画」の見直しを国に求めること。
  • 本市の温室効果ガス排出量の2030年度削減目標は2010年比に換算すると42%減にしかならず、これでは政府より10年早く2040年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると宣言していることの実効性がない。抜本的に削減目標を見直すこと。
  • エネルギー消費を減らす省エネルギーは、CO²排出を減らすうえで決定的である。2030年までに2013年比で市域のエネルギー消費量40%削減をめざすこと。
  • 「ジャパン・クライメイト・イニシアチブ」は、“政府に対して2030年度までに電力全体の4割から5割を再生可能エネルギーでまかなえ”との全国紙全面広告を出し、参加団体である本市も名を連ねているが、本市の再生可能エネルギーによる2030年の発電規模目標は市内電力量のわずか8%という計画である。本市が2040年までに温室効果ガス排出の実質ゼロ宣言をしたことに見合うよう、本市の2030年の電力は50%を再生可能エネルギーによるものにする目標を持ち推進すること。
  • 本市の建築物等への太陽光発電は、環境省によれば各種再生可能エネルギー発電可能性量の中で最も多く年間4億7000万kWhとされている。市内では年間新築戸建て住宅では概ね3件に1件が太陽光発電を設置している水準で推移しており、引き続き積極的な導入を促進すること。
  • 福岡市には風力発電の利用可能なエネルギー量が約90万世帯分の年間約4600GWhもある。同じ北部九州では唐津市や北九州市で風力発電が積極的に取り組まれており、福岡市は風況に恵まれないと決めつけていることには何の道理もない。風力発電に対する位置づけを抜本的に据え直し、他都市の実践に倣い、自然環境に配慮する仕組みを盛り込んだ上で、風速7m/s以上の海上などで積極的に取り組むこと。
  • 九州電力の再生可能エネルギーの出力抑制は2018年10月以来常態化しており、2021年度は95回となる見込みであり、これは“原発優先給電”の仕組みが再生可能エネルギー普及の最大の障害となっている。本市の西区大原と東区蒲田等の6か所のメガソーラー発電も大きな影響を受けており、再生可能エネルギー施策とも大きく矛盾する。したがって、市はこれを電力バランスの需給による仕方がないものとせず、九電と国に対して原発優先の「給電ルール」を見直し再生可能エネルギーを優先するよう強く要求すること。
  • 「2040年ゼロ」をめざすためには、広範な市民やあらゆる分野の民間団体、大企業から中小企業までが参加して、計画を策定することが必要である。中高校生や大学生など若者をはじめ、広く市民や企業・団体が参加する計画を策定すること。また、本市においても再生可能エネルギー事業に、幅広い事業者や市民、学生らが参加できるよう、予算規模と各種支援制度などを抜本的に拡充し、市民共同発電を真剣に育成していくこと。
  • 市役所本庁舎をはじめすべての公共施設で使用する電力を2040年に100%再生可能エネルギーに転換すること。また、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2013年比)すること。さらに、市有施設・市有地で太陽光や風力、小水力などの発電の活用を抜本的に拡大すること。その際は、環境保全や住民の健康に配慮すること。あわせて、本市の公用車948台中電気自動車はこの10年間ずっとわずか10台であり、ガソリン車などを電気自動車に更新していけば、2040年に100%電気自動車化は可能であることから、率先垂範すること。
  • 脱炭素化、省エネルギーと再エネルギーの推進は、新しい雇用を創出し、福岡の経済を活性化し、新たな技術の開発など持続可能な成長の大きな可能性を持っている。本気で2040年にCO²排出実質ゼロをめざすならコロナ前に戻る従来型の「経済対策」ではなく、省エネ・再エネの推進を軸にした雇用創出とグリーン・リカバリー(緑の復興)を福岡市地球温暖化対策実行計画などに据えること。
  • 政府は、「第6次エネルギー基本計画案」で、原発を唯一の「重要なベースロード電源」と位置づけ、2050年を展望して「必要な規模を持続的に活用していく」とし、2030年度の発電量(9340億kWh)の20~22%を原発で賄うとした。これは、規制基準審査未申請9基を除く27基(建設中2基含む)すべてを、2030年時点で運転期間40年を超える12基も含めて、フル稼働させる計画である。原発はひとたび事故を起こせば、極めて広範な地域に、長期にわたって深刻な被害を及ぼす異質の危険がある。温暖化対策を口実に原発の再稼働、新増設に固執する岸田政権の姿勢は許されず、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現するよう、国に求めること。
  • 九州電力玄海原発3、4号機は原子力規制委員会の「新基準」の審査で合格し再稼働されているが、2020年12月の大阪地裁判決は、想定される地震の揺れ(基準値振動)が過少評価されているとし、原子力規制委員会の設置変更許可を取り消す判断をおこなっており、規制委員会の審査が安全を保障するものではないことが明らかになっている。したがって、市長は九電と国に対して、玄海原発の3・4号機の即時停止と早急な廃炉を強く要請すること。
  • 原発の再稼働に対する同意権や事前了承権を、30キロ圏内の周辺市町村に広げる取り組みが、東海第二原発や静岡県浜岡原発で始まり、全国的にも広がっている。一方、本市が九電と締結した「原子力安全協定」は、2次給水系事故などの報告義務が除外されているなど全く不十分である。また、玄海原発で起きた火災事故について九電から本市への第一報があったのは、2021年8月7日の事故では1時間12分後、11月16日の事故では1時間22分後である。この対応は、放射能が漏れるような事故が発生した時に、仮に風速6m/秒の西風の下ではすでに放射能が市内に到達している時間であり、あまりに遅すぎる。したがって、どんな微細な事故であってもすべてを直接福岡市へただちに連絡させるとともに、事故後対策だけでなく、再稼働にあたっての本市への事前説明と事前了解権、立ち入り調査権を認める内容を盛り込むよう「原子力安全協定」の見直しをすること。

(2)大気汚染・騒音

  • 国の騒音規制法に基づいて行われている「道路に面する地域における環境基準の達成状況」では市内の4418戸が昼夜ともに騒音レベルの環境値を超過している。また、市が独自に行っている自動車による騒音の定点観測地点11か所の測定では、昼間は4か所、夜間は6か所が環境基準を超えている。さらに、光化学オキシダントの昼間の1時間値が環境基準を超えた日数が香椎測定局では年間80日に達している。したがって、自動車による騒音、大気汚染などの原因を抑制するためにも、「自動車交通公害防止計画」を再び策定し、自動車交通の総量規制をおこなうこと。また、現在の交通量などから、騒音、振動、大気汚染の観測地点の選定についての見直しを行うこと。
  • JR福岡貨物ターミナル駅では、貨車の連結やブレーキの音、リフトの作業音などが、深夜2時まで鳴りやまず、周辺住民の受忍限度を超えている。市は、日本貨物鉄道株式会社に対し、貨車の運行時間を夜12時までとし、深夜の騒音を伴う作業をやめるよう、国土交通省や環境省とも連携を図って同社に実行させるとともに、防音壁を設置させ騒音被害を軽減させること。

(3)干潟保全

今日、世界で、干潟は水の浄化など自然の恵みをもたらすものであり、温室効果ガスである二酸化炭素の吸収にも重要な役割を果たしていると再認識されるようになり、保全が重視されてきている。11月18日、鹿児島県出水市の干拓地一帯が、例年1万羽を超えるツルが飛来する国内最大の渡来地としてラムサール条約に登録され注目されている。本市の和白干潟も、絶滅が心配されているクロツラヘラサギ・ズグロカモメ・ツクシガモなどが、餌となる貝、カニ、ゴカイなどの豊富な底生動物を求めてやってくる日本海側で最大規模の干潟である。33年にわたる和白干潟を守る保全活動は日本ユネスコ協会連盟から「未来遺産」に登録(2013年)され、2016年4月の環境省の「重要湿地」として発表された「ラムサール条約潜在候補地リスト」でも登録基準をクリアしている。本市として条約登録を「将来的な課題」とせず、登録に向けた地域住民の理解を速やかに得る手立てをとること。和白干潟の「特別保護地区」指定を国に申請し、ラムサール条約登録地にされるよう積極的な取組みを推進すること。

(4)ごみ

  • 本市は2011年に策定した「第5次福岡市一般廃棄物処理基本計画」において、2030年度のごみ処理量を53万tとするとしており、これは前計画(第4次計画)よりも削減幅を下げる目標となっている。市はこの状況を、「人口が前計画の想定を上回って増加」したためなどと言い訳しているが、「福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」第3条には、「市は、あらゆる施策を通じて、廃棄物の減量を推進する」と責務が謳われていることからも許されない。したがって、市は、ごみ処理量の抜本的な削減を明確にした目標とするよう「第5次基本計画」を見直すこと。
  • 海洋プラスチックごみをはじめプラごみ対策は、地球の将来がかかった大問題である。本市では、年間11万2000tのプラスチック類が焼却処理され、再生利用されているのは瓶と合わせて1万1000t程度である。そもそもプラスチックの焼却は化石燃料を燃やすことと同じであり、二酸化炭素排出により温暖化への深刻な影響を与えるものである。本市の家庭系プラスチックごみの焼却量を2030年度までにわずか3000tだけ減らす「第5次基本計画」は、2040年カーボンニュートラルとの整合性がない。したがって、2030年に使い捨てプラスチックは医療用など必要不可欠なものを除き排出をゼロにする計画を持つこと。また、国のプラスチック資源循環促進法の国会審議では、廃プラスチックの総量削減に後ろ向きの政府の姿勢が露呈しており、プラスチック製品の大量製造、大量消費という経済社会の在り方を見直し、生産から廃棄までメーカーが責任を負う拡大生産者責任を明確にして、プラごみ回収のコストを製造者側が負担するよう国に強く求めること。
  • 家庭ごみの収集運搬労働者は、コロナ禍の下でエッセンシャルワーカーとして不安を抱きながら業務をしているが、人口も処理量も増え仕事も増えているにもかかわらず、その賃金は低水準に据え置かれており、委託企業の多くで定期昇給がない。夜間戸別収集を維持・継続するためには、委託労働者の雇用の安定と労働条件の改善は不可欠である。したがって、市が危険手当として特別給付金を出すとともに、全職員がPCR検査等を定期的に受けられる予算を確保すること。また委託料の算定にあたっては、委託労働者の基本給や各種手当を増額し、労働条件の改善を図るよう市が責任を持って委託企業を指導すること。
  • 高齢者や障害者などを対象にした粗大ごみの持ち出しサービスは無料にすること。

(5)盛り土

今年7月に発生した静岡県熱海市の大規模土石流では、大量の土砂が市街地をのみ込み、大きな犠牲と被害を出したが、土石流の要因が「盛り土」だった疑いが濃厚になっている。本市でも、危険な盛り土の総点検と情報開示をおこない、緊急な安全対策を急ぐこと。また、土砂災害特別警戒区域には盛り土をさせないことを「福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例」に盛り込み、違法な盛り土造成への規制を強化すること。さらに、西区今宿青木字油坂におけるソーラーパネル設置のための盛り土造成については、本市のこれまで指導・監督が極めて杜撰であったことが明らかとなっている。許可を取り消し、災害防止措置を直ちに講じるよう市が責任を持って対応すること。

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5、コロナ危機に苦しむ中小企業、農林水産業を支援し、地域経済の立て直し

(1)中小企業・小規模企業者支援および地域経済振興

  • コロナ禍における本市の経済対策は、制度から漏れる業種・業者がまだまだ少なくないとともに、支給金額も不十分である。コロナで苦境に喘ぐ中小零細業者の事業継続、経営回復のためにきめ細やかな支援策を早急に作るとともに基本計画にも短期的・集中的ではなく時間をかけてしっかりと支援していくことを反映させること。
  • 中小企業政策を創業、急成長型のベンチャー支援など特定の業種に重点化せず、現存する企業、雇用を守ることに改めること。本市の経済と雇用を支えている中小企業・小規模企業者向けの振興予算を抜本的に増やすこと。
  • 「中小企業者の実態の把握」(中小企業振興条例第4条)の一環として、小規模企業者に特化した実態調査を実施すること。中小企業者や小規模企業者の意見を反映させるために、中小企業振興審議会の回数を増やし、部会を作るなどして、より専門的な活動ができるようにすること。審議委員に小規模企業者の代表を参加させること。
  • 地場中小企業・小規模企業の仕事づくりにつながる用途の制限がない住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム支援制度を創設すること。
  • 中小企業にとっても、脱炭素の取り組みは光熱費・燃料費削減などのコスト面だけでなく売り上げの拡大、融資獲得といった事業の成長につながる。「省エネ投資」のための融資制度の創設など脱炭素の取り組みを支援すること。
  • 競争入札資格のない未登録業者に対して、自治体が建設工事や修繕工事等を発注する小規模工事登録制度を実施すること。
  • 1億円以上の発注をした公共工事施工業者に対して行っている「令和3年度官公需に関するアンケート調査結果」によると発注金額のうち地場中小企業の割合は約6%、地場小規模企業者にいたっては約1%に過ぎない。実態調査を行い現状を正確に把握するとともに公共事業を地元中小企業、特に小規模企業者へ優先して発注すること。
  • 官公需契約実績によれば中小企業者向け実績は金額でも件数でも5年前と比較して割合が減少している。地場中小企業者・地場小規模企業者向けの発注割合を増やすこと。
  • 市発注の公共事業の下請け、孫請けの賃金について、国から依頼された調査結果を準用して設計労務単価が支払われているかを調査するとともに抜き打ちでの調査も行うこと。あわせて、事業主が負担すべき必要経費(法定福利費、安全管理費)が適切に支払われていることも調べること。また、調査に基づいて指導すること。
  • 国が公契約に関する法整備を怠っている状態を放置することは許されず、本市の仕事を受注する企業に人間らしく働ける賃金と労働条件を義務づける公契約条例の制定をすすめること。
  • 2023年10月からインボイス(適格請求書等保存)制度を導入するために、この10月から発行事業者登録が開始された。小規模企業者、個人事業主やフリーランスを取引から排除し、淘汰を推し進めるものであり、国に中止を求めること。
  • 自営業・農業において、妻など家族従業者への給与を必要経費として認めない所得税法第56条は国連女性差別撤廃委員会からも見直し・検討を求められている。廃止するよう国に求めること。

(2)雇用・労働条件

  • 過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにする働かせ方を強いる企業が少なくない。労働問題を県や国に任せるだけでなく、専門職員を配置した労働相談窓口を各区につくり、街頭相談や電話やSNSを使った相談を実施すること。調査、相談、啓発を網羅した、違法・脱法的な働き方をなくすための条例をつくること。
  • 「働くあなたのガイドブック」は、抜本的に作成部数を増やすとともに、どのように配布し活用されているのかを把握すること。また、「働くあなたのリーフレット」を市内の高校、専門学校生、大学生全員に渡せるように作成部数を増やすとともに、労働者向けリーフレットを作成すること。

(3)農林水産

  • コロナ禍のもとで、主食米の需要量見込みが大きく下がる可能性があるが、減反を押し付けないように国に要望すること。価格や需要安定、貧困対策のために政府備蓄米の買い上げを増やすなど抜本的な対策を要求すること。日本の経済主権・食料主権を守るために日米貿易協定やTPP、EPA、FFRはやめるよう国に求めること。
  • コロナ禍での減収対策としても野菜、花卉の価格安定制度の改善・拡充は大切であり、国に要望するとともに、市の「野菜花き生産安定事業」は品目を拡充すること。
  • 本市の農家の経営主の平均年齢が72.6歳となっている。農家戸数及び農業従事者数についても、2016年度と2020年度を比較すると、431戸(19%)、963人(27%)も減少している。農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすこと。
  • これ以上耕作放棄地を増やさない手立てをとるとともに、活用については市民農園や体験農業、学校農園、農業ボランティアなどさまざまなチャンネルで市民の多くが農業・農村にふれ、生産にかかわる取り組みができるようにすること。
  • 有害鳥獣による農作物への被害額は3921万円となっており影響は依然大きい。被害の多くを占めるイノシシ対策のためワイヤーメッシュ、電気柵の設置など予算を増やすこと。
  • コロナ禍のもと、漁価の下落、販売量の低迷などで漁業従事者の暮らしと経営が悪化しているため支援は引き続き必要である。漁船保険料の助成制度を再度つくること。
  • 生物の生息・生育に適した水質・底質環境を成立させ、多様な生物が保全される博多湾になるように漁協が行っている漁場保全・環境改善活動への支援を拡充すること。離島漁業再生活動促進事業での支援を継続すること。
  • 市内産木材を使用した住宅建設や改修に対してインセンティブを与え、地元木材の利用・販売促進に努めること。また、市公共施設における木材使用量を増やすために利用促進を義務付ける条例を制定すること。
  • 原油高騰の影響を受けている農業者、漁業者を支える施策を緊急に講ずること。
  • 貨物船が防波堤に乗り上げ博多湾広域に油を流出させた事故で、漁業関係者は休漁を余儀なくされたり、風評被害を被ったりするなど大きな打撃を受けている。補償について保険会社と関係者任せにせずに、適切な関与を行うとともに公的責任を果たし、被害を最小に止めること。

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6、すべての子どもの権利、個人の尊厳を大切にする教育・学校に

(1)学校におけるコロナ対策

新型コロナのデルタ株は感染力が強く、感染しにくいとされてきた子どもたちへの感染が広がった。感染者数が落ち着いてきた10月以降も、10代未満及び10代の感染者が確認され、2学期以降の学級閉鎖を実施した学校数は99校となった。今後の感染再拡大は予断を許さず、学校における感染対策の抜本的強化が求められている。

  • 文科省の「学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン」に基づき、学級で感染者が1人でも確認された場合、PCR検査を濃厚接触者に留めず、学級全体あるいは学年全体などを対象に検査すること。
  • 学校での感染拡大防止のため、教育委員会の責任で、週2回程度の頻回検査を実施できる体制を整備すること。
  • 感染不安などで登校を見合わせている子どもの学びを保障するためにも、希望する児童生徒全員がオンライン授業を受けられる体制とネット環境の整備を教育委員会の責任で行うこと。
  • 全国一斉休校や授業時間の確保を優先した詰め込み教育、一方的な行事の削減と夏休みなどの短縮は、子どもたちに新たなストレスを与えた。コロナ危機の下で、学習指導要領どおりのカリキュラムを押しつけず、子どもの実態に応じて教育内容の精選を柔軟に行うよう各学校に助言すること。

(2)少人数学級

教育委員会は、2021年度、コロナ対策として、教室内での身体的距離を確保するために、小中学校全学年で35人以下学級を実施した。しかし、学級数が増えるにも関わらず教員を増やさず、担任外教員を担任に振替えて対応したために、「コロナ感染にともなう保健所や保護者との対応が管理職に集中している」「毎日の消毒や検温、対面とオンラインの併用授業、子どもの心のケアなど業務は増える一方で、担任外教員と協力してやっていたことを全て担任1人でやらなければならない」など負担は限界に達している。ところが、政府は35人以下学級を段階的に拡大する一方で、来年度の教員定数を削減しようとしている。コロナ禍の子どもたち一人ひとりの学びと成長を支える手厚い教育を実現するためにも、市独自に必要な予算を確保し、教員を抜本的に増員して、来年度も引き続き35人以下学級を実施すること。あわせて、将来的に20~30人程度の少人数学級を実現するための法改正や予算の増額を国に求めること。

(3)ICT教育

  • 教育におけるICTの活用は必要なことであるが、子ども1人に1台のタブレット端末を整備するGIGAスクール構想は、その教育効果や子どもの健康への影響などについての真剣な検討もないままに、当初の予定よりも大幅に前倒しで実施された。文科省は、「個別最適化された学び」とともにICTを活用して双方向型の「協同的な学び」を実現するなどとしているが、現場で行われようとしているのは、クラウド上の学習動画の視聴やAIドリルの活用という教育の孤立、画一化である。また、ICT活用の研修など教員の負担は増大している。ICTを使いさえすれば、子どものモチベーションが上がり、授業がよくなるわけではない。教員の深い教材研究による、子どもの実態に合わせた主体的な授業づくりこそ奨励し、タブレット端末の使用は強制とせず、個々の教員の判断に委ねること。
  • タブレットを家庭に持ち帰り、AIドリルを活用した家庭学習が実施されている。そのAIドリルの結果や家庭学習の時間などが「学習ログ」としてクラウド上に蓄積される。こうした個人情報が教育産業に流出することは許されず、「学習ログ」の流出を防ぐ有効な手立てを講じること。
  • 教員のICT技術取得のための研修は、コロナ対策など業務過多となる中で、大きな負担となっている。教育委員会が責任をもって、ICT支援員を各学校1人ずつ配置すること。
  • 修学旅行出発前の2週間は登校せずにオンライン授業とする措置をとった学校がある。1日5時間の授業をすべてオンラインで2週間実施することは、子どもの健康に照らして問題があるのではないかという声があがっている。オンラインの適切な活用について、子どもの健康上の配慮すべき留意事項などを教育委員会として整理し、各学校に示すこと。

(4)福岡市教育振興基本計画

第2次福岡市教育振興基本計画は、少人数学級の拡大や特別支援教育の教員の加配、教育環境の整備などが抜け落ちており、低学年からの英語教育を押しつけ、財界要求のグローバル人材育成を強調するゆがんだものとなっている。よって、同計画は、コロナ禍で新たな不安とストレスをため込んだ目の前の子どもたちの実態から出発した手厚く、柔軟な教育の実現をめざし、憲法と子どもの権利条約の立場に立ち、一人ひとりの子どもの発達と人格の完成を土台に据えたものへと抜本的に見直すこと。

(5)教職員の働き方

  • 2020年度、過労死ラインを超える時間外在校等時間「月80時間以上」の教員の割合は、小学校が平均4.7%、中学校が平均7.7%であり、教育委員会が定める上限の目安である「月45時間以内」の教員の割合も小学校が平均64.5%、中学校が平均58.7%にとどまっている。2021年度は、小中学校全学年で35人以下学級実施に伴い、担任外教員が減らされたため、教員の負担は大きくなる一方であり、マンパワーが圧倒的に足りないと現場から悲鳴があがっている。さらに、新型コロナ対応も加わり、管理職をはじめとして対外的な業務も激増している。教員定数を抜本的に増やすよう国に求めるとともに、市独自に教員とスタッフを増やし、業務の削減を図るなど、長時間労働是正のためにあらゆる手立てをとること。1日の労働時間を10時間まで可能とする「1年単位の変形労働時間制」は、現在の長時間労働にお墨付きを与え、固定化させてしまうものであり導入しないこと。
  • 新学習指導要領の全面実施により、年間の標準授業時間数は小学3年生が980時間、4~6年生は1015時間となり、ほぼ毎日6時間授業となっている。標準授業時間数はあくまで目安の数字であり、必ずしもその時間数を実施する必要はなく、子どもの実態に合わせて、柔軟に教育課程を編成するよう指導すること。また、教員の持ち時間の上限は、もともと所定の勤務時間で仕事が終わるように国が設定した「教員一人で1日4コマ(小学校で週20コマ、中学校で週18コマ)」に定め、教員定数を増やし、全体の授業時間数を減らすこと。
  • 2020年度の文科省の「教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」によると、年間の学校閉庁日の設定期間について、政令市の半数以上が「5日~10日未満」とするなど、全国的にとりくみが広がっている。本市は昨年度、土曜授業の代休の確保などのために短縮された夏休み中に12日間設定したが、今年度は4日間しか設定していない。教員は、夏季休業期間中に教室のワックスがけや壁塗り、会議や校内研修などに忙殺されており、年次有給休暇の平均取得状況は13.9日にとどまっている。教員が気兼ねなく休暇を取得できるように、夏休み中の業務を減らし、学校閉庁日を増やすこと。
  • 文科省が今年4月に公表した調査によると、精神疾患による病気休職者数は過去最多となった。新型コロナ対応だけでなく、業務は増え続け、肉体的にも精神的にも追い詰められている教員の実態がある。文科省は教員免許更新制の廃止の代わりに、教員の研修の全面的な記録を行政が管理するなどの研修への新たな統制を行おうとしている。そのような統制は許されず、教員の自主性が保障された研究・研修を奨励することこそ求められている。とりわけ新人教員をはじめとする若い教員が心を病むことのないように、学校で行われる研修で人権無視の理不尽な指導が行われているケースがないか実態を調査し是正を図ること。また、教員と子どもたちの関わりを妨げることになりかねない行政研修を大幅に削減し、権利としての教員の自主的な研究・研修のための時間を保障すること。
  • 市立高校の専科の非常勤講師が会計年度任用職員に移行され、年収は増額となったが、授業準備のための出勤が求められ、受け持ちコマ数あたりの時間額は約2000円減少している。勤務時間が2倍となったにも関わらず、移行前と比べて時間額が半分に減額され納得がいかないと不満の声が上がっている。このような給与のあり方は元に戻し、制度を見直すこと。また、正規採用を大幅に増やし、講師頼みではない人事政策へと転換するとともに、常勤講師の給与や休暇制度など、処遇を改善すること。
  • 中学校教諭の時間外在校等時間を占める最も多い業務が「部活動指導」となっており、依然として、大きな負担となっている。学習指導要領に教育課程と部活動の関係性が明記されたが、部活動は本来生徒の自主的な活動であり、部活動への強制は行わないとともに、「顧問=教員」とする基本的な指導のあり方の見直しを検討すること。部活動の「休養日は週2日以上、土日のどちらか休み」と定めた部活動ガイドラインを徹底するとともに、教員の負担を減らすため、部活動支援員や部活動指導員などのさらなる増員を図ること。
  • この間、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどが増員されているが、拠点校配置になっていたり、週2日の配置にとどまっていたりと不十分である。子どもと保護者が気軽に相談でき、必要な支援を行う体制を整えることが求められており、これらの専門職員を会計年度任用職員ではなく正規職員として採用し、すべての学校に少なくとも1人配置すること。同様に、専門職である学校司書も1人が4~5校担当する体制ではなく、1校に1人配置すること。また、学校司書が会計年度任用職員に移行され、4年ごとに採用試験を受けることになっているが、専門性や継続性が求められる職種であることを考慮し制度を改めること。あわせて、養護教諭の複数配置をひろげること。

(6)教育のあり方

  • 下着の色の指定や「ツーブロック、ポニーテールの禁止」など、合理的な理由なく子どもの表現の自由を規制し、人権侵害である校則が問題となっている。「社会規範意識をもつため」などと“決まりだから守れ”と客観的な基準を示さずに理不尽な校則を押しつけている。そのような中で、校則の見直しを求める声と運動が高まり、教育委員会は、弁護士など有識者による検討協議会を立ち上げた。その協議会の意見を参考に中学校長会は、今年8月、生徒が主体となり保護者とも一緒になって校則を考える「校則検討委員会」を各学校に設置するなどして、人権侵害の校則を見直すよう促している。教育委員会として各学校の校則見直しの実態をつかみ、指導するとともに、早急に人権侵害の校則を一掃すること。
  • 教育委員会は、「髪が染めてある状態では教室にあげない」、眉毛を加工したら「太く大きく描く」「眉毛が生えそろうまで休み時間はトイレ以外は教室から出さない」などと子どもの尊厳や教育を受ける権利を侵害する生徒指導を「教育的指導の範囲」と容認している。県弁護士会によると、8割以上の中学校で下着検査が行われており、ある学校では「カッターシャツの下に着る下着の色は白」「柄シャツは脱がせて預かる」などと校則に明記されている。子どもを管理・規制する対象にし、教育上の合理的な目的もない生徒指導を容認する教育委員会の姿勢は断じて許されない。このような姿勢を深く反省し改めるとともに、明らかなハラスメントである下着検査や子どもの尊厳を傷つける生徒指導はやめること。
  • ジェンダーフリーの観点から新標準服を導入したが、依然として頭髪や服装などの校則に男女別の記述が残っている学校もある。校則で男女を区別して規制することはやめること。
  • コロナ禍の下、全国一斉休校など誤った政策もあり、子どもたちに強いストレスが広がり、不登校も増えるなど、深刻な問題となっている。文科省によると、2020年度の児童生徒の自殺者数は499人と過去最多となった。本市でも、少なくとも過去5年間ゼロであったが、20年度は複数人の報告がされている。コロナ以前から増え続ける学習内容の詰め込みによるストレスに加え、コロナ感染という新しい不安とストレス、給食も黙って食べないといけないなどの窮屈な生活と我慢が押しつけられている。教育委員会として、ひとりの自殺者も出さないという毅然とした構えで、従来の取組みの延長ではなく、個人情報保護に配慮しながらも踏み込んだ実態調査を行うこと。また、授業時間の削減、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門職の各校配置などをはじめ、教員が子どもに余裕をもって接することができるようにして、子どものSOSに早期に対応する体制を整えること。
  • 本市で2020年度に把握されたいじめは、小学校で1819件、中学校で319件となり、一斉休校などの影響からそれぞれ前年度より減少しているが、ネットやSNSを使った誹謗中傷、からかいや悪口が増える傾向にある。いじめは、どんな形であろうと人権侵害である。学校及び教育委員会が、決していじめ対応を後回しにせずに、子どもに対する安全配慮義務、集団的に対応する学校の責務、被害者の「知る権利」を保障することなどを原則とし、いじめ問題にとりくむこと。さらに、いじめが命に関わったり、長期欠席の原因になったりする「重大事態」については、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」などに基づき、第三者委員会を設置して調査にあたるが、被害者側の訴えが無視されたり、あとになって事実関係が隠蔽されたりなど、被害者側が不信感を募らせ、二重三重に傷つくケースがある。「被害者側にも問題がある」という誤った姿勢を見直し、被害者側に心を寄せて、再発させないための措置を講じ、子どもが安全に生きる権利を保障する方向で「いじめ対策法」を運用すること。
  • 教育委員会会議は、原則としてすべての会議を完全に公開とするとともに、市長の意向に付き従ってトップダウンで教育委員会の決定事項を現場に下ろして従わせるようなあり方は見直し、その都度現場にフィードバックをすること。
  • 全国一斉学力テストや福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査は、子どもと学校に管理と競争を押し付け、ドリルやテストを繰り返し、いかに前年度平均点を上回れるかを追求することが目的になっている。これは、教員の負担を増大させ、子どもの精神的なストレスともなっている。全国一斉学力テストは中止するよう国に求めるとともに、福岡市生活習慣・学習定着度調査は、やめること。
  • 道徳の教科化は、上から目線で「いい子になれ」「ルールに従え」と子どもに教え込むもので、基本的人権や個人の尊厳、多様性にもとづく市民道徳のあり方に反している。道徳の教科化はやめるよう国に求めるとともに、学校教育全体の中で憲法に基づき、子ども一人ひとりが自分らしい価値観形成を図れるような市民道徳を育む教育にきりかえること。また、特定の価値観を押しつけたり、数値化したりして、評価を強制しないこと。
  • 「二分の一成人式」は様々な家庭事情を抱えた子どもに親への感謝を強要し、個人的な心情を発表させる例が少なくなく、問題である。キャリア教育の一環の「二分の一成人式」はやめること。あわせて、特定の立場だけを美化するゆがんだ起業家教育である「アントレプレナーシップ教育」はやめること。
  • 中学校の職場体験先に自衛隊が含まれている。安保法制が成立して以降、自衛隊と米軍の一体的な運用が加速している。憲法違反の集団的自衛権が付与された自衛隊は、一般の職業とは同列視できないものであり、一職場として、自衛隊を選定しないよう各学校を指導すること。
  • 算数の授業中、指示したにも関わらず、途中の式を記入していないという理由で、複数の児童に対し頭をたたいたり、授業中にポケットに手を入れていた生徒に対し、従わなかったので当該生徒の額を拳で叩いたりなど、今年も体罰事案が発生している。「指導」の名のもとに暴力や暴言で子どもを追い詰め服従させることは、子どもの身体だけでなく心に複雑で深い傷を残すことになる。体罰は明らかな暴力であり、絶対に許されるものではない。毎年、発生する体罰については厳正に対処し、その根絶にとりくむこと。
  • 子ども、教員、保護者に対して、日の丸掲揚・君が代斉唱を実質強制するやり方を改めること。
  • 教科書採択方法については、児童生徒をよく知る教師自らがその役割を自覚し、教科書を吟味し、教育現場の意見が十分尊重されたうえで選定されるように、より民主的な方法へと改善すること。また、デジタル教科書は、「学習効果が上がる科学的根拠がない」「視力や睡眠、脳への影響が懸念される」など導入に慎重な声が出されており、その導入については拙速に進めるのではなく、慎重に検討すること。

(7)教育予算

一般会計の約6.7%にとどまっている本市の教育予算(権限委譲分は除く)は、抜本的に増額すること。

(8)教育を受ける権利

  • 自公政権が2018年10月から段階的に生活保護基準の引下げを行い、それに連動する就学援助基準について、教育委員会は従来の生活保護基準の1.25倍という低い水準を独自に引き上げるなどの手立てをなにもとっていない。そのような中、コロナ禍で経済的困窮が広がり、就学援助の重要性は一層高まっている。就学援助基準を生活保護基準の1.5倍に引き上げ、支給額を増額すること。また、国が認めているクラブ活動費・生徒会費・PTA会費について項目に加え、国に対して財政措置を求めること。入学準備金を必要実態に合わせさらに引き上げること。
  • 不登校児童生徒数は年々増加し、2020年度は2719人と過去最高となっている。コロナ感染への不安や心に傷を抱えて不登校となっている児童生徒も多い。子どもの権利条約にある教育を受ける権利、安心して休む権利、子どもの意見表明権などを保障する立場から、学校復帰を前提としない適応指導教室の増設など、不登校児童生徒を支える多様な場への公的支援を拡充する方向での強化が求められている。よって、まつかぜ学級、はまかぜ学級、すまいる学級と同様の施設を増設すること。また、フリースクールなど学校以外のさまざまな学びの場をきちんと認め、公的支援を強め、学校と同等の支援を行うこと。出席扱いについて校長の裁量や、教育内容によって選別することは許されず、「民間施設についてのガイドライン」を見直して、すべてのフリースクールに通う子どもを学校の出席扱いとすること。
  • 2022年4月に公立夜間中学が開校することになった。不登校などにより十分に学ぶことができないまま中学を卒業した「形式卒業者」や外国籍を有する人口の増加などニーズは明確であり、関係者の長年の運動の賜物である。教育委員会が行ったニーズ調査では、「公立夜間中学が開校したら入学したい」という意思を示している人が196人いることが明らかになった。教育委員会は、初年度の入学人数の想定を40人としているが、それを上回る応募があった場合も全員の入学を保障すること。また、開校後の様々な課題や困難に対応するためにも、関係団体との協議会などを設置し、公立夜間中学のあり方について、随時意見を聴きながら進めるようにすること。
  • 千代中学校で行われている自主夜間中学「読み書き教室」が、緊急事態宣言中は休校となった。一般の中学校については、感染が急速に拡大していた9月などは「学びを止めない」という理由で休校の措置を取らなかったにもかかわらず、「読み書き教室」に学校施設を使わせないことは、同教室を学校教育の場として扱わない差別的な対応である。今後、感染再拡大による緊急事態宣言が発令されても、教育を受ける権利を保障するために、「読み書き教室」が開校できるようにすること。

(9)教育環境

  • 過大規模校が年々増加している。学校教育法施行規則によると、小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準としており、文科省は31学級以上の過大規模校について、速やかにその解消を図るよう促している。本市は過大規模校の状態が一定期間継続すれば適正化の手立てをとるとしているが、子どもの学校生活は一度きりであり、放置し続けることは許されない。「福岡市小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針」を見直し、早急に過大規模校の解消のために、用地の取得を行い、分離・新設すること。
  • 東区の千早小学校は、2021年度35学級となり、校区内に大型のファミリーマンション建設計画があるなど、27年度には42学級の規模となる見込みである。このような過大規模校が増加している原因は、市長が「都市の成長」などと、無秩序な開発による人口流入を推し進めているためである。都市部での学校用地の確保は困難で、プレハブや校舎増築の対応を繰り返し、運動場面積の縮小など教育環境の悪化を招いている。これ以上、過大規模校を生み出すことは許されず、市長は無秩序な開発行為をやめるとともに、他都市の事例に倣って、教育環境を守る立場から、教育委員会の責任で開発行為を抑制する仕組みを明記した条例制定などを早急に行うこと。
  • 小中学校の理科室や音楽室などの特別教室へのエアコン設置については、PFI方式ではなく、分離分割発注で行い、早期の設置をめざすこと。その際、エアコンが設置されていない相談室やPTA会議室などにも設置すること。
  • 猛暑による熱中症予防のために、体育の授業や学校行事で体育館を使えず、教育活動に支障が生じている。また、体育館は災害時の避難所としても活用されることから、25年度まで延長された緊急防災・減災事業債を活用するなどして、早急に体育館への断熱構造の整備とともに、エアコンを設置すること。
  • 現在、肢体不自由学級がある学校と、福岡市福祉のまちづくり条例制定後に新設された学校には、エレベーターが設置されている。文科省は、学校施設のバリアフリー化に関する整備目標を示し、2025年度までの5年間に緊急かつ集中的に整備を行うとしている。特に、エレベーター設置については、車椅子を常時使用するなどの要配慮児童生徒等が在籍するすべての学校に整備することが求められている。現在、要配慮児童生徒が通う5校でエレベーターが設置されていない。そのため、階段の上り下りを保護者や学校生活支援員などが抱きかかえて移動しており、転倒して重傷を負う事故も発生している。児童生徒の安全確保と教員などの負担軽減、学校のバリアフリー化を促進するためにも、早急にすべての小中学校へエレベーターを設置する計画を立てるとともに、要配慮児童生徒が在籍する学校には、直ちに設置すること。
  • 学校のリフォームである大規模改造は築30年以上が対象となっているが、まだ着手されていない学校が45校も残されていることが明らかになった。築37年の早良小学校では、窓サッシの隙間から振り込んだ雨水で教室に水たまりができ、床の張り替えが必要となった。このような状況は他の学校でも発生している。毎年15校程度の改修ペースを抜本的に引上げ、大規模改造の未実施校については、早急に大規模改造を行うこと。また、大規模改造が終わった学校でも様々な問題が生じており、2度目の実施が必要なことが浮き彫りとなっている。金武中学校では、大雨の時に職員室前廊下に雨水が流れ込んでいる。ただちに必要な緊急対応を行うとともに、大規模改造終了後の経年劣化を改善するための再度の大規模改造など、方針策定を行うこと。
  • 公共施設を考える会の学校ウォッチングでは、トイレ不足問題が浮き彫りになった。金武中学校は、3階北校舎に6クラスあるのに、このフロアにはトイレがひとつも無く、姪浜小学校では、足の不自由な児童がいるフロアにトイレがなく対応に苦労しているという状況が報告されている。教育委員会は、段差のない廊下を通って他の棟の便所が使用できる場合は「不備便所」としないとしているが、これは現場の実態に合わない勝手な解釈を押しつけ、トイレ増設をしない言い訳となっている。「不備便所」の定義を改め、あらゆる手立てを駆使して必要なトイレを増設すること。また、トイレの洋式化について、20年度末時点で小学校約54%、中学校約53%の進捗状況であるが、洋式化計画を大幅に前倒しすること。
  • 学校施設ブロック塀改修事業として、高さ1.2mを越える危険なブロック塀約3万mを特に優先して改修するとしている。しかし、今年度の改修計画が予定通り終わっても約1.7万mが残されている。予算を増額して、速やかに改修すること。また、通学路の危険なブロック塀の撤去も急がれる。抜本的に対象を広げ、補助額を増額して、通学路の危険なブロック塀をゼロにすること。
  • 学校プールの必要な改修を速やかに実施すること。また、猛暑のため授業を中止したところもあり、熱中症対策やプライバシー対策として全体を覆う日除けなどを設置すること。
  • 学校用務員の配置が拠点校方式となっているため、用務員のいない学校では、施設及び設備の維持管理に不十分な点が目立ち、修繕の対応に時間がかかるようになっている。現場では、用務員の配置を求める声が強く、児童生徒の安全で快適な環境を整えるために、拠点校方式をやめて各校1人ずつ用務員を配置すること。
  • 公共施設を考える会が行ったアスベストアナライザーによる調査では、体育館に落ちていた天井材からアスベストが検出された。また、調査では、アスベスト含有が疑われる波形スレートやPタイルの劣化が目立つという報告もある。アスベスト含有建材に破損などがないか点検し、破損している箇所は飛散防止対策を徹底するとともに、ある程度の劣化が認められる箇所については破損を待たずに補修を行うこと。さらに、大規模改造にあわせて計画的に学校施設の「ゼロ・アスベスト」を進めること。

(10)学校給食

  • 子どもの健全な成長を保障し、栄養をしっかり取れる学校給食は教育の一環であり、全ての子どもにとって重要である。2017年度の文科省調査によると、1740自治体中82自治体で無償化、424自治体で一部補助が行われるなど、学校給食の無償化に向けた流れが強まっている。2020年4月から中核市である兵庫県明石市が中学給食の無償化を実施し、政令市では大阪市がコロナの経済対策として小中学校の給食の無償化に踏み出した。本市においても、コロナ禍の下、子育て世帯の経済的困窮は広がっており、学校給食の無償化を行うこと。
  • 2021年7月1日時点で、学校給食公社の調理業務廃止に伴う退職者のうち再就職を希望する嘱託職員と非常勤職員あわせて10名の再就職が未定となっている。教育委員会は「再就職について責任をもつ」と何度も答弁してきたにも関わらず、その約束が果たされていないのは重大な問題である。早急に再就職先が決まるよう責任をもって支援すること。
  • 第3給食センターの求人広告によれば、調理員はパートで時給870円などと、公社よりも待遇が大幅に悪化していることは明らかである。他の給食センターでも頻繁に求人広告が出されている。調理員などが不足していれば、深刻な過重労働となり、給食にも影響が出ることが懸念される。よって、安心安全な給食を保障するためにも、調理員の待遇改善を行うよう指導徹底すること。
  • 小学校給食の民間委託は中止し、現行の非常勤嘱託員制度を改め、文部科学省基準以上の人員を市の正規職員で配置し、直営で行うこと。
  • 小学校の給食室のエアコン設置は33校にとどまっている。猛暑が続く中で、適切な温度を超えての調理業務は深刻である。各学校の給食室の温度の実態を把握するとともに、大規模改造を待たず、給食室へのエアコン等を計画的に設置すること。

(11)特別支援教育

  • 市立特別支援学校は8校しかなく、国の標準をこえて1クラスに8人詰め込んでいる。児童・生徒が安心して通学できるよう、抜本的に学校を増設すること。また、2021年9月文部科学省は、初めて特別支援学校の設置基準を策定し都道府県に通知した。既存校における基準の適用について、設置基準では「当分の間、なお従前の例によることができる」と猶予されながらも、「通知」には「可能な限り速やかに設置基準を満たすこととなるよう努めること」とされている。設置基準をふまえて、既存校の面積基準未充足の解消や図書室の設置など速やかな整備をすること。
  • 市内小中学校213校のうち、自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置している学校は9.8%しかなく、当該障害を持つ児童生徒が、地元の小中学校に安心して通うことができない状況となっている。本市以外の政令市における当該支援学級の平均設置率は小学校88%、中学校で93%となっており、横浜市、川崎市ではすべての小中学校に設置されている。本市すべての小中学校に自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置すること。また、LD・ADHD等指導教室を増設すること。
  • 特別支援学級には、年度途中に通常学級から移る児童生徒が少なからず存在し、8人の定員以上となることもある。それを担任1人で受け持つという基準では不十分であり、緊急加配を行うとともに、国に対しては学級編制基準を現在の8人から6人に改善するよう求めること。また、市独自に小中学校の特別支援学級の教員を1クラス2人以上にするよう加配すること。
  • 専門性の高い正規の教員を大幅に増やすこと。当面、学校生活支援員を大幅に増員し、支援が必要な児童生徒すべてに行き届くようにすること。また、肢体不自由児が通う学校には、肢体不自由学級の有無に関わらず、介助員を必要数配置すること。
  • 2020年度の発達教育センターへの就学相談件数は約1800件となり、年々増加している。そのうち8割以上が地域の学校への就学を希望している。療育センターや児童発達支援センターなどと連携し、子どもや保護者のニーズを積極的に把握するとともに、寄り添った就学相談を行い、意向を尊重し、就学を断念することがないように、必要な援助・配慮の体制を整えること。

(12)高校、大学の教育

  • 新型コロナ危機は、多くの学生に深刻な影響をもたらしている。アルバイト収入が激減し、「米が買えない」「一日一食しか食べていない」「オンライン授業になり、自宅にいる機会が増えて電気代が昨年に比べて増えた」など経済的困窮状態に追い詰められている。市が実施した「学生支援特別給付金」は、学生と保護者がどちらも非課税世帯であることなどと対象を限定したために、想定の半分以下しか支給できず、制度設計の失敗が明らかになった。日本民主青年同盟が実施した食糧支援に参加した学生から寄せられたアンケートには「もう一度給付金を支給してほしい」という声が圧倒的である。国は、困窮する学生に1人10万円の「緊急給付金」を支給するとしているが、その対象は狭く、全学生の2割以下である。要件を狭めず、困窮する全ての学生に給付金を支給するよう国に求めるとともに、市独自の「学生支援特別給付金」の対象を広げ、再度支給すること。
  • 学生の2人に1人が奨学金を借り、その返済のために生活が困難に陥り、自己破産する事例も少なくない。奨学金という名の「学生ローン」で借金させるのではなく、給付奨学金のさらなる拡充を国に求めるとともに、市独自の給付奨学金を創設すること。また、重要な役割を果たしている市教育振興会高校奨学金は希望者全員が借りられるよう改善すること。
  • 文科省の調査では、コロナの影響により、今年4~8月にかけて中退・休学に追い込まれた学生が前年度よりもそれぞれ増加していることが明らかになった。学生からは「オンライン授業で大学の施設を使っていないのに、高い学費を満額払うのは理不尽だ」「学費を引き下げるために抜本的に教育予算を増やしてほしい」など学費の値下げを求める声が多数寄せられている。誰もがお金の心配なく学ぶことができるように、教育予算を抜本的に拡充し、大学への補助金を増やすなどして、入学金を廃止し、大学の学費をただちに半分に減額するよう国に求めること。
  • 「市立高等学校活性化に向けた取組方針(第2次)」には、国公立大学への進学率やキャリア教育の推進、部活動の活性化、大会やコンテスト出場など競争と特定の成果を生徒に求める指標が定められている。過度な競争に駆り立てる「方針」は撤回すること。
  • 本市独自の私学助成は、1校平均約180万円でこの3年間変わっていない。コロナ禍の中での保護者の負担軽減のためにも拡充を図ること。

(13)幼稚園類似施設

幼保無償化の対象になっていない「幼稚園類似施設」について、2021年度より、国の定める要件を満たす施設であれば満3歳以上の児童の保護者に対し、利用料の一部を助成しているが、対象も狭く、補助額は不十分で保護者の負担は大きい。本市として、幼稚園類似施設の実態を調査し、子どもの発達や成長を補償する一定の質をもった施設としての役割を認め、補助対象を広げること。また、市独自に補助を行い、保育料を実質無償とすること。

(14)図書館

  • 今年度の総合図書館の資料収集経費の予算は2019年度から約2分の1となっている。貸出冊数も年々減少しており、公立図書館の本質的な役割である資料の収集と提供が弱まっている。市民のニーズを的確に把握し、予算を増額し総合図書館及び分館などの蔵書充実を図ること。また、図書館司書はほとんどが会計年度任用職員となっている。専門職にふさわしい待遇へ改善し、正規職員として増員を図ること。
  • 日本図書館協会は、公立図書館について住民の生活・職業・生存と精神的自由に深く関わる機関であり、図書館を設置し、図書館サービスを実施することは、地方公共団体の責務であると述べている。しかし、本市は「福岡市総合図書館新ビジョン」に基づき、図書館サービスの向上を図るなどとして指定管理者制度を導入した。公立図書館は地方公共団体が直接経営すべきものであり、営利追求の場に変質させる指定管理者制度はやめて、直営に戻すとともに、運営への民間営利企業の参入を進めないこと。

(15)社会教育施設

  • 公民館は「自治協議会のセンター」の役割が強調され、社会教育施設としての機能の側面が弱まっている。社会教育を支援する本来の役割を果たすため、館長や主事を補助する人員確保のための予算を増額すること。
  • 公民館の市民の利用にあたって、「目的内使用」で利用していたところが急に「目的外使用」となるなど、活動への行き過ぎた干渉や誤った対応が行われているケースが散見されており、幅広い市民の利用が保障されるよう、館長や主事等に対し、適切な対応のあり方について徹底すること。
  • 議員の「市政報告会」は、市民の市政参画を推進する上で重要なものである。会場使用料は政務活動費を充てることが認められた公共的なものであり、議会改革調査特別委員会においても、各議員が積極的に行うべきなどと意見が出されている。したがって、公民館を市政報告会の会場として利用する場合、「目的外使用」とする扱いはやめ、「目的内使用」とすること。
  • 南区における地域交流センターの整備については検討だけにとどめず、建設計画を早急につくること。

(16)文化行政

  • 本市の文化予算の約4割は博多座の運営費で占められており、それを除けば市民1人当たり約560円と貧弱である。文化予算の抜本的な増額を行うこと。
  • 民間の劇場やミニシアター、ライブハウスは現状では商業施設や遊興施設として扱われ、何の支援もない。年間100日以上事業を行っている施設は劇場とみなして固定資産税の減免をはかるなど、積極的な支援を行うこと。
  • すべての小中学生が1年に1度は文化芸術に触れる機会をつくるために、全校が取り組める予算を確保すること。
  • 18歳未満の使用が半数を超えた場合、すべての市民センターで使用料減免を行うこと。
  • 市民センターのホールで子どもが舞台を見えやすくするための子ども用クッションの貸出しを行えるように指定管理者まかせにせずに市が備品として購入すること。拠点文化施設にも備えること。
  • 文化芸術振興財団が行っている「ステップアップ助成プログラム」の助成事業数をさらに増やし、それに見合う補助を行うこと。
  • 拠点文化施設は、社会包摂の場として役割を果たすよう検討を行うとともに、洗練された舞台芸術を「観る」ことだけではなく、舞台の創造、舞台芸術をささえる人材育成など本市における文化の拠点になるよう方針を明確化すること。
  • 拠点文化施設内に整備予定の800席の劇場型ホールができたとしても、慢性的なホール不足は解消できない。演劇等の専門性に対応できる中規模ホール建設をさらに計画すること。
  • 音楽・演劇練習場の4施設は高い稼動率のため利用しづらい。新設について「検討」を理由に先延ばしすることは許されず、すべての行政区に設置する計画をつくること。また、ぽんプラザホール同様の小劇場を増設すること。

(17)スポーツ行政

  • 市内スポーツ施設の土日祝日の応募倍率は野球場が57.8倍、テニスコートが14.4倍、体育館が7.2倍など高く、スポーツ基本法に定められた、国民のスポーツをする権利が保障されていない。身近なスポーツ施設を新・増設し、推進すること。老朽化しているスポーツ施設は改善し、スポーツ用具については適宜、更新すること。また、オリンピック競技に採用され、競技人口が増えているボルダリングやスケートボードができる公的な施設を設置すること。
  • 障害の種類や程度にかかわらず、スポーツを行うことができる環境を作ることは、市の責任である。市内体育館をはじめ、運動施設のバリアフリーを進めるなど利便性の向上を図ること。また、拠点施設である「障がい者スポーツセンター」について、以前からの改修要望である、トイレの洋式化と駐車場屋根の設置をすみやかに実施すること。多くの障害者が、スポーツやレクリエーションに親しむことができるためには、「障がい者スポーツセンター」が市内1か所では足りず、市有地を使って増設すること。
  • 中学校のグランドは校庭開放によって地域のスポーツ振興に寄与しており、その必要な施設整備が求められている。堤小学校をはじめ、要求が出ている防球フェンスの設置を行うこと。早良区にソフトボールのできる運動公園をつくること。
  • 住民のスポーツ参加を増進するための施策をすすめる専門職員の確保、指導者の配置を行うこと。担い手としての活動を支えるために、スポーツ推進委員の位置づけを高め、研修費や必要経費への補助金を充実させ、地域でのスポーツ振興への支援や奨励をおこなうこと。地域団体などに、福岡マラソンや大規模スポーツ大会への動員・割り当てを強要しないこと。
  • 「受益者負担」の名のもとに、福岡市総合体育館をはじめ各区の市立体育館の駐車料金が有料化されている。スポーツに親しむことは、生きがいのある生活を営むうえで欠かすことができないことであり、利用者の減少につながる駐車料金の有料化はやめ、無料にすること。
  • 福岡市の体育館やプールの利用料金について、65歳から69歳が半額、70歳以上は無料になっている。福岡市内にある民間のスポーツ施設についても、市民が利用する際、利用料金の補助制度を作ること。
  • 本市の体育館やプールなど、スポーツ施設の管理・運営に指定管理者制度が導入される中、コスト削減のために照明を間引く施設があるなど問題となっている。利用者の立場にたった運営のために、直営にもどすこと。
  • 2022年3月に、長年、市民に親しまれてきたボウリング場「西新パレスボウル」が閉鎖されようとしている。住民要求を把握し、存続のために必要な措置を取るよう、西日本鉄道株式会社に申し入れること。

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7、子どもの権利が守られ、安心して子育てできる福岡市に

(1)保育行政

  • 新型コロナは、感染しにくいと言われていた子どもたちに拡大し、2021年9月25日時点、市内で休園した認可保育所は今年度累計で90園に上り、昨年度累計の43園の2倍を超えている。感染者が5人以上確認されるクラスターも今年度はすでに9件認定されている。これまでも保育現場では、感染対策と子どもの発達の保障を両立させるための様々な努力が行われてきたが、「これ以上どんな努力をすればいいのか」と疲労感が増している。マスクの着用が難しい子どもたちも多く、密を回避できない保育現場と保護者の、「第6波」への不安が増大しており、感染対策の強化が求められている。
    • 保育所等で感染者が確認されたら、迅速にすべての子どもと職員を対象にしてPCR検査を行うとともに、定期的な検査を全額公費負担で行うこと。
    • 保育所等を通じて家庭に簡易検査キットを配布し、子どもの体調不良時にすぐに検査が行えるようにすること。在所中での体調不良時の対応として、保育所等にも簡易検査キットを配布すること。
    • 感染不安で登園を自粛する子どもの保育料や副食費などの自己負担を返還・免除すること。
    • 保護者が新型コロナに感染した際、必要な場合は児童相談所で子どもを預かる支援を実施しているものの、実際にはそのような施策を利用できず、子どもの世話のために、治療に専念できない実態が存在している。保護者が身近なところで利用しやすい体制を確保すること。
    • 感染の拡大に伴い保育園が臨時休園となり、保護者が医療従事者などで、休暇取得が困難な場合などに、今年度は訪問型保育サービスを利用した場合の利用費の一部補助が行われているが、全額補助するとともに、公立保育所の活用など代替保育の整備を市の責任で行うこと。
    • マスクや消毒液、衛生資材の購入など感染対策に必要な経費の補助を増額すること。
    • 保育士の家族が感染したことによって、保育士自身が濃厚接触者となり勤務できない事態が発生している。一方で感染対策などの業務負担は増大している。人員確保を現場の対応に任せるのではなく、市が責任をもって臨時の保育士派遣等を行うこと。
    • 現在の面積基準や保育士配置基準では密が避けられず、感染症対策の観点から、直ちに見直すことが求められている。市独自に実施している充実保育士の配置も70日のみで到底足りないというのが実態である。配置基準の改善を国に強く要請するとともに、市独自に、保育士対子どもの人数を、0歳児は1対2、1歳児は1対4、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4・5歳児は1対15へと改善すること。あわせて、1947年以来変わっていない面積基準の改善に踏み出すよう国に求めるとともに、本市独自にも改善を図ること。
  • 2021年7月1日時点で、未入所児童は822人、待機児童は24人と、依然として希望する保育所に入れない子どもたちが多数残されている。大規模化をもたらす増築や企業主導型保育事業を推進するやり方ではなく、こども病院跡地をはじめ公共用地を活用して、適正規模の認可保育所を抜本的に増やすこと。また、現在、7園となっている公立保育所を増やして、せめて各行政区に設置すること。
  • いわゆる幼保無償化は対象年齢が3~5歳児に限定され、副食費が保護者の実費負担となるなど、真の無償化には程遠いものである。よって、対象年齢をすべてに広げるよう国に要請するとともに、0~2歳時の保育料をさらに引下げること。また、制服、遠足、文房具代等、「隠れ保育料」と呼ばれる実費徴収費が、保護者の重い負担となっている。子育て世代の負担軽減のために、これらの費用について無料とするよう国に求めるとともに、市独自の補助制度をつくること。
  • 保育士の給与は、全産業平均より月7〜8万円近く低いと言われており、本市の保育士から「せめて月5万円あげてほしい」などと賃上げを求める強い要望が毎年寄せられている。岸田政権は、「保育士などの収入の引上げは最優先の課題」とし、月額9000円引き上げるとしたが、要望からは程遠く、まともな賃金が保障されていない状況は改善されない。また、専門性を高めるとともに、賃上げにつながるとして導入されたキャリアアップ研修は、一部の保育士に限られ、それに見合った賃金上昇にならず、現場からは休日を潰して研修を受けることや平日となると仲間の保育士の負担を増やしてまで研修を受けることに拒否感・罪悪感があるなどの声が強くあがっている。保育士がやりがいをもって働き続けたいと思えるように、賃金全体の底上げこそ求められており、公定価格を抜本的に見直し、直ちに月5万円引き上げるよう国に求めること。すくなくとも「福祉職俸給表」にもとづく賃金となるよう市独自の財政措置を行うこと。あわせて、処遇改善等加算Ⅰや処遇改善等加算Ⅱなどの加算が適切に利用されているか実態を把握するとともに、勤続年数に応じて、賃金が上昇するよう「福岡市保育士勤続手当」を増額すること。
  • 保育士不足が深刻である。慢性的な人手不足で、残業が多く、有給休暇を希望通り取得できず、新たにコロナ対策の業務が増え、精神的なストレスも増している。求人を出しても応募がなく、人材派遣会社に依頼する保育所が増加している。厚労省の「保育分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」によると、保育士の紹介料は一人につき平均76万円であり、それが経営を圧迫していると答えた割合が約7割となっている。また、非正規保育士が増えることで、正規保育士に負担が集中しているため、それを敬遠してあえて非正規を希望する保育士が増えている。保育士確保を現場の努力だけに押しつけず、配置基準を見直し、市の責任で保育士を確保すること。フルタイムで働く非正規職員の正規化を促すためにも、財政措置を行うこと。
  • 保育士の離職防止のため、市独自の施策である家賃の一部助成や奨学金の返済支援が行われているものの、対象範囲と額は不十分である。家賃助成は、少なくとも毎月3万円に引き上げ、非正規職員や給食調理員にも適用することとし、奨学金の返済支援の補助を拡充すること。
  • 給食調理員の給与は、保育士と比べて賞与を含めて年間で約40万円の差がある。アレルギー食や宗教食への対応、0歳児一人ひとりの発達にあった離乳食づくりなどの専門性とともに、体調不良の子どもへの個別対応など、保育の一環である給食を担う調理員の役割と責任は大きい。保育士と同等の給与水準に改善するよう国に求めるとともに、調理業務の特殊性と専門性に見合う「特別手当」を創設するなど、格差是正のために市独自の手だてをとること。また、日常的に調理員が不足しており、家族がコロナの濃厚接触者となり、調理員自身も2週間の自宅待機を余儀なくされ、代わりの人員が確保できないまま給食業務を行った現場もある。給食調理員の配置基準を市独自に引き上げて財政措置を講じるとともに、臨時の調理員の派遣や代替職員確保の補助など手立てをとること。
  • 産休・病休代替職員が確保できずに、「子どもを産めない」「精神疾患を発症しても休むことができない」などの実態が広がっている。「産休等代替職員設置費補助」をつくるよう国に求めるとともに、産休・病休等の代替職員の雇用のための市独自の助成を増額すること。また、早朝や延長の保育で交代の保育士を実際に増やして対応するためには現在の公定価格では不十分であり、実態に見合うよう公定価格の管理費の引上げを国に求めること。
  • 保育士の業務過多のひとつに日常的な記録などの書類作成がある。公的に提出する必要がある記録の作成が時間内に終わらず、休憩時間や自宅に持ち帰って書くことも日常茶飯事である。現場からは、「休憩も十分に取れない」「職員どうして子どもの姿やかかわり方を話し合える時間がない」という声が寄せられている。提出すべき書類の精査を行い、ICT導入などの小手先のやり方ではなく、保育士の抜本的な業務の削減を図るとともに、どうしても必要な業務については労働時間であることを明確にし、残業手当を支給すること。
  • 家庭的保育事業や小規模保育事業などは、保育基準が条例で定められているものの、園庭の設置義務がなく、職員全員が保育士の有資格者でなくても良いなどと認可保育所より基準が低いため、保育の質の低下と保育所間での格差につながるなど問題になっている。すべての子どもの最善の利益と発達の権利を保障するため、条例を見直すとともに、必要な支援を強めながら規制緩和路線を改めること。
  • 本市の認可外保育施設は、2021年4月1日現在310施設となっているが、1施設あたりの補助は、職員の健診費用など約1100万円にとどまっている。24時間保育や、一時・休日・延長保育、障害児保育など、市民の多様な保育要求に応え、地域の子育て支援、家庭支援に大きく貢献し、保育行政の補完的役割を果たしている認可外保育所の職員給与・修繕費・管理への補助を創設すること。あわせて、認可化をめざしている施設への財政支援を強化し、認可化を進めること。
  • サポート保育(障害児保育)の支援区分Ⅰ~Ⅲの補助単価では保育士を1人雇用することは難しい。支援が必要な子どもが複数人いて、補助を合算して保育士を1人雇えるのがやっとであり、子ども一人ひとりに応じた適切な援助ができない事態となっている。発達障害やグレーゾーンの子どもが増える中で、補助単価を抜本的に増額し、必要な保育士を確保すること。障害の程度が重い児童を受け入れられるように、1対1で個別対応が可能な保育所を抜本的に増やすこと。

(2)医療的ケア児、療育

  • 今年6月に「医療的ケア児と家族の支援法」が成立した。基本理念に「医療的ケア児の日常生活を社会全体で支える」ことを掲げ、保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアその他の支援を受けられるようにするため、保育所や学校への看護師等の配置を求めている。医療的ケア児を身近な保育園で受け入れてほしいという声が高まっているが、今年度は公立と私立合わせて10か所13名の受け入れにとどまっている。すべての保育所で家族の付添いなしで通園できるように、必要な保育士や看護師を配置する費用助成の予算を抜本的に増額すること。また、不測の事態に対応できるよう、常に医療機関等と連携できる体制を市の責任で整えること。
  • 医療的ケア児を受入れている幼稚園等に看護師を派遣する幼稚園等看護師派遣事業は、1回あたりの看護師の派遣時間が60分という制度設計になっている。これでは十分な支援を行えず、利用したくても利用できないという声があがっている。訪問看護1回あたりの時間を増やし、抜本的に補助額を増額すること。
  • 2024年度に「南部療育センター(仮称)」が設置される予定であるが、発達障害児の増加に伴い、現在の市内3箇所の療育センター等における相談数は年々増加しており、相談から診断を受けるまで約3ヶ月を要する状況は改善されず、療育施設はまだまだ不足している。また、現在の療育センター等それぞれの通園エリアで機械的な線引きが行われ、自宅から近い施設に通えなくなるなど困難が生じているケースもある。障害が確定していない子どもたちを含めて、必要なときに身近な地域で相談・診断、療育が速やかに受けられるよう、療育センター等をさらに増設し、通園エリアの機械的な線引きは行わず、柔軟に対応すること。あわせて保護者が付き添わなくても単独通園ができるような体制を整備するとともに、子どもの発達を保障する療育が行えるよう、専門性と職員の確保を行うこと。

(3)子どもの医療費助成

子どもの医療費助成について、2021年7月から、通院の助成対象を中学生まで拡大し、1医療機関につき、ひと月あたりの自己負担額を500円とした。コロナ禍で、とりわけ子育て世代には経済的困難が広がっており、決して自己負担は軽いものではない。名古屋市では2022年1月より入院に続いて通院についても政令市で初めて自己負担や所得制限を設けず高校卒業まで無料とするなど、助成対象の拡大や完全無料化の流れが強まるなかで本市の制度は遅れている。したがって、本市でも、入院・通院ともに助成対象を高校卒業まで拡大して通院時の自己負担をゼロにし、早急に子どもの医療費は完全無料とすること。

(4)留守家庭子ども会

  • 2021年4月20日時点の登録児童数1万7084人に対して、児童が使用する専用面積は3月末で約2万8000㎡であり、子ども1人あたりの面積基準1.65㎡を確保できていない。実際の利用児童数で判断する姿勢を改め、子ども1人あたり1.65㎡を確実に保障するよう計画的に整備すること。また、各施設に、8㎡以上を確保した「静養するための機能を備えた区画」や、職員室、調理室、ホール(集会室)を備えるようにすること。さらに、安全、衛生上必要なトイレ、手洗い場を国の設置基準に沿って増設すること。
  • コロナ対策として「3密」を避けながら、子どもの発達・成長を保障するためにも、支援単位については「1クラス30人程度」とすること。ひとつの大部屋で支援単位以上の子どもが過ごす状況もあり、密を避けられない場合は、学校と連携して、特別教室や余裕教室などを活用すること。
  • 新型コロナのデルタ株により家庭内感染が増大し、学校や留守家庭子ども会でも感染が広がった。そのような中で、留守家庭子ども会で感染者が確認された場合の濃厚接触者の特定は、職員の自己申告に委ねられ、検査がまともに行われていない実態があり、職員と保護者から不安の声が寄せられている。感染対策の抜本的強化として、子どもや職員すべてを検査できる体制を整えることが必要である。1人でも感染者が確認された場合は、原則として子どもと職員全員を検査すること。
  • 留守家庭子ども会の感染症対策費は、運営委託費とは別に、2021年度は約5000万円が計上されているが、2020年度よりも減額されており、消毒液やマスクなどの購入に運営費から補填するところもある。国に対し補助金の増額を求めるとともに、市独自に感染症対策費を増額すること。あわせて、社会福祉法人が運営する民間学童保育施設の役割を明確にし、コロナ対策のための補助金を交付し、恒久的な独自の財政支援を行うこと。
  • 留守家庭子ども会の支援員の配置状況は、支援員の人数が少なく、約2000人の補助支援員が支援単位ごとに、基本的に1人ずつ配置されている。補助支援員は、時給950円の有償ボランティアで雇用保険もない。そのため、新型コロナの影響で自宅待機を要請されても報酬すら出ない状況である。労働時間に応じて報酬を受け取り、指揮命令に従って支援員を補助しながら子どもの安全と成長を保障する重要な役割を果たしているにもかかわらず、労働者として雇用しないという脱法行為は許されない。補助支援員は有償ボランティアという扱いを改め、雇用関係を結び、正規化を図ること。
  • コロナ感染対策を万全にしながら子どもの成長・発達を保障するためにも、支援員増員とともに、正規化を図り、専門職にふさわしい待遇改善を行うこと。特に、支援単位ごとに放課後児童支援員の資格をもつ職員を複数配置すること。また、経験豊富な支援員であっても、4年ごとに採用試験を受けなければならないことになっており、希望すれば継続して雇用するよう制度を改めること。

(5)児童館

児童館の利用者数はコロナ禍によりいったん減少したものの、依然として中高生の居場所としてニーズは高い。本市では中央区に1つしかなく、都心部から遠いところに住む市民は利用しづらいという不利益を被っている。また、市内に1館の体制では、国の児童館ガイドラインが定める児童館としての拠点性や地域性は発揮できないことは明らかである。地域に根ざし、専門職員が常駐する児童館は、公民館など他の施設や出前児童館などで肩代わりすることは不可能であり、早急に児童館を全ての行政区に設置するとともに、幼稚園・学校・こども病院・ゆめアール大橋の跡地など公有地を活用して計画的に増やすこと。

(6)児童虐待

  • 本市の児童虐待の相談対応件数はこの5年間全国の倍以上のペースで増え続け、2637件(2020年度)と過去最多を更新した。全国状況よりも深刻な現状にかんがみ、国が作成している児童相談所設置基準案である「管轄人口50万人に1か所」に準拠し、児童相談所を増やすこと。専門職である児童福祉司・児童心理司についても、児童虐待防止対策総合体制強化プラン(2018年12月策定)で示された2022年度目標の職員配置基準を達成することはもとより、それ以上の手厚い配置を進めること。また、その半数が経験年数3年未満という状況をあらためて継続性を強め、専門性を高めること。弁護士資格をもつ職員を複数名配置すること。
  • 児童相談所内への児童心理治療施設の設置により、児童相談所の一時保護所の定員が40から10へと減らされたが、平均で14人、多い時で26人の子どもを受け入れたこともあった。不足する児童相談所の一時保護所の定員を増やすこと。
  • 児童養護施設については、現行の本市の制度である、産休代替雇用や共済掛金への助成だけでは職員確保にはとうてい及ばず、処遇が改善され進路として希望が持てるように本市独自の支援をさらに拡充するとともに、国に対しても措置単価の引上げを要求すること。また、福岡育児院での違法残業など、職員が劣悪な労働環境に置かれないよう、労基署まかせや形骸化した「調査」ではなく、市として実効性のある監督を強化すること。

(7)ひとり親家庭

ひとり親家庭の貧困率は50.4%と断トツの高さとなっている。すべてのひとり親家庭が「健康で文化的な最低限度の生活」ができる「福岡支援モデル」を策定するよう、以下の支援を求める。

  • 「福岡市ひとり親家庭実態調査結果」(2016年度、最新)において、「行政機関に対する要望」のトップは「年金・手当などの充実」であり、回答数の5〜6割に達するほど強い要望になっている。児童扶養手当について、支給開始5~7年後に半減させるという「一部支給停止措置」の廃止、所得制限の見直し、全体の6割を占める第1子のみ世帯への支援拡充、毎月支給への変更、支給年齢の20歳までの延長を国に求めること。あわせて、市独自の加算手当を創設すること。
  • 前掲調査で2番目に回答数の多い項目は「医療保障を充実する」である。ひとり親家庭の医療費助成の所得制限をやめ、18歳まで完全に無料にすること。
  • 前掲調査で3番目に回答数の多い項目は、「県営住宅や市営住宅を増やす」である。福岡市の母子家庭で公営住宅に入居できているのは、17%しかなく、半分は民間借家やアパートなどで生活している。ひとり親家庭が入居できる市営住宅を抜本的に増やすとともに、ひとり親家庭への独自の家賃補助を行うこと。

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8、憲法の平和・民主主義の理念を福岡市のすみずみに

(1)市長の政治倫理、政治姿勢

  • 市長の政治資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」の2020年報告内容によれば、政治資金パーティーで約2918万円の売上、1806万円の収益を上げており、利益率61%にも及ぶパーティー券の購入は対価的意義の乏しい事実上の寄附である。財界関係者や市の受注業者から巨額の政治資金を受け取ることは市政をゆがめるものとなる。市長政治倫理条例第3条には「道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しない」等の規定があり、「政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑をもたれ」(同条2)ているにも関わらず、市長は、利害関係者による購入の公開など「自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当た」(同前)ろうとしていない。このような疑惑をもたれる、市長の政治資金パーティーをやめること。
  • 市政における最高責任者である高島市長の日程についてホームページで公表しているというが、詳細については市長室も把握することなく、事実上どこで何をしているのかわからない状況となっている。このような状況は異常であり、市長の日程を公開すること。また、登退庁盤については、「防犯上の理由」で表示しないというのは問題であり、表示すること。

(2)住民参加

  • 国際金融機能やG7サミットの誘致など、市長が独断専行で物事をすすめるやり方に、市民や議会から大きな批判の声が出されている。また、さまざまな住民団体や要求団体との直接の対話を拒否する市長の姿勢は許されず、市政の進め方については市議会と市民の意見をよく聞き、住民投票・住民意向調査・住民討論会などを活用して、住民参画の上での政策決定を基本とすること。
  • 2020年度、本市が実施したパブリックコメントは7事案であるが、意見提出件数は多いもので133件、中には0件という事案もあり、市民の意見を広く聴取できていないのが実態である。パブリックコメントの周知方法や期間の延長など進め方を改善し、多くの市民意見を集めること。また、市の施策への反対意見を無視するなど、実質切り捨てることが行われており、少数意見を排除しないこと。あわせて、市民の意見を市政に反映させるために、説明会や懇談会など行政が出かけて行き意見を聞くこと。また、各種審議会など委員の市民公募枠を新設・拡大すること。
  • 市有地の活用などにおける民間サウンディングは、大企業に意見を求め、その結論を市民や議会に押し付ける手法である。住民の声を聞かないこのような手法はやめること。

(3)「行革」、民間参入

  • 市長が2021年度から2024年度まで推進しようとしている政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランは、人工島事業やウォーターフロント再整備構想、「天神ビッグバン」、「博多コネクティッド」などの大型開発は聖域にする一方、「持続可能な個人給付施策の構築」として第三子優遇事業、福祉乗車券、就学援助など、97事業1858億円の事業を見直し、縮小・廃止することは許されず、3つのプランは抜本的に見直すこと。また、この間、切り捨てられてきた市民サービスをもとに戻すとともに、行財政改革と称して、これ以上の市民生活サービス削減は行わないこと。
  • 市が「特別定額給付金事業」や「生活困窮者自立相談支援事業」を約10億円で「株式会社パソナ」に業務委託したものの、その業務の「手伝い」に市職員が7局からのべ約1700人も動員されていた。これは、公務員の営利企業への従事禁止などを定めた地方公務員法に違反するものであり許されない。契約どおりに業務を遂行できなかったパソナに委託費の返還を求めること。また、コロナ禍の給付事業の多くが大企業に業務を丸投げされており、再委託や労働者賃金の中抜きが行われている。不当なもうけを保証する委託業務のあり方について、抜本的に見直すこと。
  • PFI事業は大企業の参入を促進し、地元企業を排除する仕組みであり、住民サービスの後退につながるなど大きな問題となっている。市は、この間、給食センターや福岡市総合体育館など、市民の貴重な財産である公共施設の整備・管理運営にPFI方式を導入したが、労働者の賃金などの労働条件を把握しておらず、経費削減の実態もわかっていない。また、市が公共施設などの所有権をもったまま、運営権を民間企業に売却するコンセッション方式の導入が港湾施設で計画され、新たな大企業の儲けの場にされようとしている。PFI方式やコンセッション方式はやめること。
  • 市が責任を持つべき公的施設の管理・運営に指定管理者制度が導入され、人件費などの労働条件さえも市が把握できない事態が生じている。また、市民サービスの低下につながる不適切な管理・運営、行政の責任放棄も顕著となっている。営利企業参入を抜本的に見直して、原則直営に戻すこと。併せて、制度が導入されている施設にはモニタリングの基準を強化するとともに、抜き打ち点検や専門家による現場点検、現場労働者から直接、聞き取り調査をおこなうこと。
  • 株式会社クリーンエナジーの操業に伴う、九州電力への配当金は13億7200万円にもなっており、市財政を食い物にしている同社を廃止し、直営に戻すこと。また、市政を財界いいなりに誘導する役割を果たしている、「福岡アジア都市研究所」は廃止すること。

(4)市職員の配置と労働条件等

  • 本市の人口1万人当たりの職員数は107人となっており、政令市最下位である。このような中、大型台風や集中豪雨などの災害対応や、コロナ感染への対応も充分にできない状況が明らかとなっている。市は職員を増やすことなく、「最小の経費で最大の効果」と称して、窓口業務などを民間委託している。公務職場の民間委託化によって、職員が継続的に従事することで蓄積される公務に必要な専門性やノウハウ、経験が失われている。また、住民からの苦情や発生した問題が、市政運営に反映されず、信頼を損なっている。よって、これ以上の民間委託化はやめ、職員定数を増やすこと。
  • 残業時間を「年360時間以内」と定めている厚生労働大臣告示を超えて時間外勤務をさせられている職員が2020年度は748名となり、改善されるどころか悪化している。また、過労死ラインとされる月80時間を超える時間外勤務を行っている職員が2020年度は937人となっている。2021年度はコロナ禍のもとで職員をふやさず、長時間・過密労働は、過労死をうみだしかねない状況となっている。職員を抜本的に増やし、直ちに改善すること。
  • 市職員給与については、20年間で平均100万円近く引き下げられてきた。このような中、2021年人事委員会勧告に基づいて、市長が、コロナ禍で市民の命や健康を守るために奮闘している市職員の期末手当を0.15か月分引き下げ、年間平均給与を5万7000円引き下げたことは許されない。このことが公務員としてのモチベーションを低下させ、生活設計や地域の景気にも深刻な影響を与えている。臨時・非常勤職員を含む市職員給与の大幅賃上げを行なうこと。
  • 処遇を改善するという目的で導入された会計年度任用職員制度は、月収の大幅な減収によって悲鳴があがっている。法の趣旨に従って待遇改善を行うとともに、更新回数の上限を撤廃すること。

(5)市有地

2021年に策定された財政運営プランでは、今後4年間に「民間事業者のノウハウも活用しながら」「市有財産の有効活用に取り組」むとしている。市は、脇山北公園やゆめアール大橋跡地、内野幼稚園跡地などを売却予定地としているが、そもそも市有地は市民の財産であり、営利企業のもうけのために売却するのは許されない。売却方針はあらため、不足している保育所や特別養護老人ホームなど、市民の生活を守るために活用すること。

(6)名義後援

  • 市は、「平和のための戦争展」の名義後援拒否に続いて、2019年までは「労働者の賃上げ、働くルールの確立、長時間労働の是正等、労働施策の推進に寄与する」ものであるとして名義後援を承諾してきた福岡中央統一メーデーを、2021年は「政治的な立場等、特定の主義主張に立脚しており」「行政の中立性を損なうおそれがあると判断される」として不承諾とした。これは前代未聞のことであり、言論や表現の自由に挑戦する断じて許しがたい態度である。不承諾の根拠となった「名義後援の承諾に関する取扱い要項」を抜本的に見直し、この間に同じ理由で不当に行ってきた名義後援の不承諾を撤回し、関係団体に謝罪すること。
  • なみきスクエアの「ひまわり広場・会議室」は、市民に広く貸し出されているスペースであり、事実上「公の施設」として扱われている。しかしながら、市民団体などが利用する際には名義後援がなければ認めないとしており、これは「住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」とする地方自治法第244条の精神に反するものであり、運用を改めること。

(7)消費者行政

本市の消費生活センターは、相談業務が営利企業に委託され、啓発や事業者指導をおこなう行政担当職員との円滑なコミュニケーションができず、消費者安全法が求める消費生活センターとは大きくかけ離れている。2020年度の相談件数は1万2555件とここ数年横ばいである。相談体制について、そもそも市が作った仕様書によると100%対応する体制になっておらず、十分な相談活動ができていないのは明らかである。仕様書の見直しを行うとともに、本来の消費生活センターの趣旨に立ち返り、市直営に戻すこと。

(8)デジタル化

  • 本市が進めている行政手続きの急速なデジタル化は、対面での窓口サービスや紙による手続きの縮小・廃止が懸念され、デジタル機器を所持していない人や使いこなせない人が行政手続きから排除されるおそれがある。加えて、デジタルを使いこなせない人への市の支援はあまりにも貧弱である。デジタルデバイド対策をさらに強めると同時に、市民の多様なニーズに応えるために、デジタル手続きとともに、紙による手続きを含めた対面での窓口サービスの拡充をはかること。
  • デジタル関連法の成立にともなう個人情報保護条例の改定にあたっては、「地域の特性等に照らし、地方公共団体は法律の範囲内で条例により必要最小限の独自の保護措置を講じることは当然可能である」とする国の答弁をふまえ、本人の知らないうちに個人情報が利用されることがないよう、個人情報の自己コントロール権を保障するための市独自の措置を講じるようにすること。

(9)ジェンダー平等

日本は、各国の男女平等の達成度を示す「ジェンダーギャップ指数2021」(世界経済フォーラム)で、156カ国中120位と、先進国として異常な低位を続けている。コロナ危機を経て、ジェンダー平等を求める国民の声は劇的に高まり、口先だけの「男女共同参画」や「多様性の尊重」でなく、ジェンダー格差を打開するために経済的・社会的差別をなくし、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会をめざすことが強く求められている。

  • 「福岡市特定事業主行動計画」においては2025年度までに課長級以上全体に占める女性の割合を20%程度とすることを目標にしているが、政府の目標40%程度と比べても低いものとなっており、大幅に引き上げること。管理職への登用を抜本的に強め、昇任などの差別を一掃する手立てをとること。また、政策方針決定への女性の参画を高め、現在35.3%である各種審議会への女性の参画率については、目標を50%に改め、「男女半々」の実現に向け、ジェンダー平等を推進すること。
  • ジェンダー不平等の大きな要因となっている男女間の賃金格差の解消に向け、市として市内事業所が男女別の賃金を調査・公表し、その是正計画策定を義務付ける条例をつくること。
  • 選択的夫婦別姓について、世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけであり、国連の女性差別撤廃委員会も、日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだと勧告している。国民世論も、すでに7割以上が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成しており、夫婦別姓を可能にする法改正は待ったなしである。民法を改正し、選択的夫婦別姓を法制化するよう国に求めること。また、女性のみに課せられた再婚禁止期間、「世帯主」規定の廃止など、いまだ民法・戸籍法などに残る時代遅れの差別的な条項をなくすよう国に求めること。
  • 刑法の性犯罪規定について、フラワーデモなどで多くの当事者や支援者から性被害の実態に見合った改正を求める声があがり、本市議会においても、「性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書」が採択されている。暴行脅迫要件の撤廃、同意要件の新設、地位関係利用型の犯罪化、公訴時効の廃止、性交同意年齢の引上げなどの改正を国に求めること。また、現在の性暴力被害者支援センター・ふくおかでSNSを使って気軽に相談ができる体制や、精神科受診の公費負担の拡充など抜本的に充実するとともに、本市独自のワンストップ支援センターや病院拠点型のセンターを創設すること。
  • 女性や子どもにとって、最も身近な性暴力である痴漢や盗撮について、本市における実態調査および相談窓口の設置、加害根絶のための啓発や加害者更生などの対策を講じること。
  • コロナ禍でDV被害が増え、困難も多様化、複合化する中で、ニーズに沿った切れ目ない支援を行うことが必要であり、DVの相談支援体制の充実は急務である。各区の子育て支援課やアミカスに保育士や学習援助者を配置し、子連れの相談者が相談しやすい体制をつくること。民間シェルターへの補助金など支援の拡充、中長期滞在できる中間的施設(ステップハウス)の開設・運営へ助成するとともに、自立に要する費用の補助を拡充すること。男性DV被害者が気軽に相談できる体制の強化をはかること。また、国に対して保護命令の対象や期間の拡大、緊急保護命令の導入などDV防止法を改正するよう求めること。
  • ハラスメントは女性をはじめとする労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為である。国に対し、ILO条約を批准できる水準のハラスメントの禁止を明確にした法整備を行うよう求めること。本市としてハラスメントが違法であることを明確にした「ハラスメント禁止条例」を制定すること。市職員のハラスメントの相談・調査・判断をすべて同じ部署で行うことは問題であり、啓発・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を設置すること。
  • 同性婚を認める国・地域は約30にのぼり、日本でも同性婚を「認めるべき」が86%(18~29歳)(2021年3月、朝日新聞世論調査)と同性婚を認める世論が広がっている。また、「結婚の自由をすべての人に」と同性婚訴訟が全国で行われ、「男女と同じ権利を」という切実な訴えがされており、同性婚を認める民法改正を国に求めること。性的マイノリティ及び関係者の専門相談窓口を抜本的に増やすなど、相談事業を拡充すること。リーフレットの増刷やTVCMの活用など性的マイノリティの人権に関する宣伝啓発活動を拡充すること。性的少数者の約25%が、性的指向や性自認を本人の許可なく暴露する行為「アウティング」をされた経験をもっており、性的指向・性自認等を理由とした差別を禁じ、多様性を尊重する立場を市長が明確にするとともに、企業に対し勧告や指導が行えるなど性的多様性を尊重する包括的な条例を制定すること。また、性の多様性を認め合い、誰もが「個人の尊厳」を尊重される社会をつくるために、LGBT平等法を制定するよう国に求めるとともに、国の動きを待たずして、本市においても条例をつくること。
  • リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決める基本的人権である。性と生殖に関する健康や、それについての情報を最大限享受できることも、大事な権利の一環である。ところが日本では、性教育がきわめて不十分であり、子どもたちは、人間の生理や生殖、避妊についての科学的な知識も、互いを尊重し合う人間関係を築く方法も、自分の心や体を傷つけるものから身を守るすべも十分に学べないまま、成長している。子どもの年齢・発達に即した、科学的な「包括的性教育」を導入すること。
  • コロナ禍で顕著になった「生理の貧困」対策として、アミカス等の相談窓口で災害備蓄用の生理用品を無償配布しているが、一時的な対策にとどめず、女性の健康や尊厳に関わる重要な課題として、公民館など公的な窓口での恒久的な無償配布、学校や地下鉄の駅など公的施設のトイレへの常備設置を実施すること。

(10)人権教育、同和

2004年に策定された「福岡市人権教育・啓発基本計画」は、実質同和問題や差別の問題に偏重しており、憲法で保障された幅広い人権を取り扱うものに改善すること。また、部落差別を理由にした団体や個人への特別扱いを一切やめ、一般行政に徹するとともに、行政の主導による市民と企業への「人権啓発」名目での「同和」研修の押しつけはしないこと。あわせて、「部落差別解消推進法」の運用において、参議院の付帯決議を厳守し、「同和」の特別対策に類するものの復活や、人権侵害を生み出しかねない特別な教育啓発や実態調査を実施しないこと。

(11)ヘイトスピーチ、外国人

  • 民族差別をあおるヘイトスピーチを放置することは許されず、高島市長が毅然として根絶宣言を行うとともに、その立場に立った条例を制定すること。
  • 福岡市の外国人居住者は2021年10月で3万5895人となっている。労働法令違反の働き方を強いられるなど、過酷な労働環境に加え、コロナ禍で解雇され苦しんでいる外国人居住者が急増する中、相談窓口がわからず、必要なサービスを受けることができない状況も生まれている。在留外国人が容易に相談窓口にアクセスできるよう公共施設・駅・商店街・スーパーマーケット・コンビニに協力依頼し、多言語でのポスターなどで周知するとともに外国人コミュニティなどのキーパーソンと連携して相談窓口の周知徹底を図ること。また、市独自の専用相談窓口を各区役所に設置すること。さらに、外国人居住者の人権保障をすすめていくために、市として総合的な多文化共生推進計画をつくること。
  • 日本には111万人の永住外国人が生活しており、地方参政権を付与すべきだという世論が高まっている。外国籍であっても、わが国の地方自治体で住民として生活し、納税を始めとする一定の義務を負っている人びとが住民自治の担い手となることは、憲法の保障する地方自治の根本精神とも合致する。永住外国人の地方参政権を保障するよう国に求めること。

(12)地域コミュニティ

自治協議会会長の平均年齢は2019年1月の調査時点で72.8歳、自治会・町内会長は68.9歳と、後継者不足が深刻になっている。根本的な問題は自治会・町内会の過重負担であり、市から地域への協力依頼の多さはその大きな要因となっている。市の調査によると、2020年度の協力依頼事項数は年間129件にもなっており、市の下請けにするこのようなやり方を抜本的に見直すとともに、本市のまちづくりの基本点として、「公助」を明確に打ち出すこと。また、自治協議会共創補助金交付要綱の第4条第2項の「その全てを実施しなければならない」という箇所を削除し、自治協議会が主体的に決定できるようにすること。また、住民の自治会加入を義務付ける条例化は問題であり、やめること。

(13)投票・若者の政治参加の促進

  • 投票区について、距離や地形などを総合的に判断して分割し、投票所を抜本的に増やすとともに、すべての投票所のバリアフリー化をさらにすすめること。また、在宅投票制度、郵便投票、学生に対する不在者投票、在外投票、洋上投票など、制度を周知徹底し、投票機会の保障をはかること。
  • 期日前投票は導入以降、期日前投票所の増設なども行われ、国政・地方選挙問わず定着が進んできた。選挙実施のたびに利用割合が増加し、衆議院では40%程度、参議院では30%程度にまで上昇している。さらに投票率を高めるために、市内各地に「共通投票所の設置」「大学や高等学校、商業施設等への期日前投票所の設置」をすること。また、現在唯一の「共通投票所」である市役所1階と区役所は投票日当日も投票所として利用できるようにすること。さらに、病院や高齢者福祉施設への入院患者、入所者が施設内において不在者投票ができるよう、未指定施設等への働きかけを強めること。そのうえで、外出が困難な有権者の投票行動を保障するために、選挙管理委員会が立会人と一緒に、投票箱を持って車でまわり、施設や自宅など要望がある場所に行く「巡回投票」を行うこと。
  • 選挙公報は有権者に候補者情報を届ける最も重要な公的媒体であるにもかかわらず、全市的に配布日が投票日直前だとの苦情も多い。少なくとも投票日の1週間前に有権者に届くよう手立てをとること。また、不在者投票の指定施設ではない、病院や高齢者施設にも、選挙公報を配布するようにすること。
  • 18歳選挙権によって高校生にも選挙権が広がり、主権者として政治に向き合い、投票する高校生が生まれている。しかし、政府は高校生だけ政治活動を禁止・制限する通知をだしており、政治活動の自由を侵害している。高校生にも政治活動の自由があることを明確にし、「通知」を撤回するよう国に求めること。

(14)平和、基地

  • 高島市長は、2021年度も市民の反対を押し切って自衛隊に対して、本人の同意もなく、若者の名簿2万9536人分の提供を強行し、青年をはじめ市民の中に怒りが広がっている。全国の6割の自治体が個人情報やプライバシーを保護する観点から本人の同意なしの情報提供を拒否している中で、断じて許されない。また、自衛隊は憲法が禁じる集団的自衛権の行使を容認され、海外で「殺し殺される関係」に投げ込まれる危険があり、本市の青年をそのような場に送り出すことは認められず、自衛隊への対象名簿の提供はしないこと。
  • 福岡空港の滑走路増設工事に伴い、同空港内にある米軍板付基地の施設(倉庫等)が移転され、福岡市はそのための経費をこれまでに2億7000万円負担している。さらに1972年に返還された米軍基地の跡地に残存していた燃料輸送管(パイプライン)に沿ってベンゼンなどの土壌汚染が確認され、汚染土の除去費用を約1億600万円支払っている。市は基地の返還を求めておきながら、米軍施設の移転費用や米軍基地が原因の土壌汚染対策費用を市が負担することは異常であり、米軍基地の移転費用や原状回復費の返還を求めるとともに、市は、米軍基地の固定・強化につながる税金の支出をやめること。米軍板付基地の即時全面返還と福岡空港の軍事利用の中止を、国と米国に対して強く要求すること。
  • 福岡市の「平和都市宣言に関する決議」にも、「博多港港湾施設管理条例」にも反する、博多港への米艦船及び自衛隊艦船の入港を拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。
  • 高島市長の就任以来、核兵器廃絶や非核三原則の遵守などをうたう「非核平和都市宣言」を求める議会請願が、被爆者団体や高校生など幅広い市民から、11年間に7回も出されている。高島市長は、「アジア太平洋都市宣言」や議会決議を理由に、頑なに拒否する異常な態度を改めて、市民の切実な願いを真正面から受け止め、ただちに宣言すること。
  • 国連の軍縮大使や各国政府代表などが参加している原水爆禁止世界大会や、広島・長崎市の原爆資料館に、高校生をはじめ若者や親子を派遣するなどの事業について、北九州市等を見習って予算化すること。また、市として、原爆資料展をおこなうこと。
  • 福岡市は広島市、長崎市に次いで被爆者が多く、また日本最大の引揚げ港を持ち、犠牲者1000人を超える大空襲を受けている。2021年9月、「福岡市に平和資料館の設置を求める会」が2万8千筆の請願署名を提出した。現在、戦争の史実を学ぶ公的な場は、市民福祉プラザの一角にある引き揚げ常設展示施設や、空襲で大きな被害が出た地区にある博多小の平和祈念室などに限られている。北九州市では2022年の開館を目指し、「平和資料館(仮称)」の準備を進めており、本市も常設の平和資料館を設置すること。
  • 市は引揚げ関係資料の展示の在り方について検討しているが、定期的に入れ替えを行うことは当初からの約束であり、市はその約束を反故にしてきた。あれこれ理由をつけて、入れ替えを先延ばしすることは許されず、毎年入れ替えを行うこと。また、資料について説明する学芸員も配置し、博多港引揚げの史実を学校教育の課題に位置付け、子どもたちに戦争の悲惨さと平和の大切さを教える教材として使うこと。引揚げ記念碑「那の津往還」は記念樹とともに、ウォーターフロントの再整備の中で移転することなく、維持すること。
  • 2021年1月22日に核兵器禁止条約が発効したことで、核兵器は国際法上、史上初めて違法となり、廃絶への新たな展望が開かれた。日本世論調査会が今年6~7月に実施した調査で、日本が「参加するべきだ」とした人が71%、2022年3月に開催が予定される第1回締約国会議にオブザーバーとして「参加するべきだ」とした人は85%となっている。福岡市議会でも「核兵器禁止条約を速やかに締結するよう政府や国会に求める意見書」を決議しており、平和首長会議に加盟する市長として、市長自ら首相に対して同条約の批准を強力に働きかけること。
  • 2022年3月、核兵器禁止条約の今後の運用を話し合う第1回締約国会議がオーストリアで開催される。今年10月には福岡市議会で「核兵器禁止条約第1回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を求める意見書」が決議されるとともに、アメリカの「核の傘」のもとにあるドイツの次期政権が、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加をめざすことを決めており、第1回締約国会議へのオブザーバー出席を政府に求めること。

以上

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