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政策と活動

2023年度予算要望

2023年度予算編成に関する申し入れ

2022年12月12日

福岡市長  髙島 宗一郎 殿
福岡市教育長 石橋 正信 殿

日本共産党福岡市議団
団 長 中山 郁美
幹事長 倉元 達朗
綿貫 英彦
堀内 徹夫
松尾りつ子
山口 湧人

物価高騰と国民生活の悪化が深刻になっています。しかし、岸田政権は、物価高騰と異常円安をもたらしているアベノミクス・「異次元の金融緩和」に固執し、対応不能に陥っています。

日本がこのような「賃金が上がらず、成長が止まった国」という、先進国の中でも特異な国になったのは、新自由主義によるリストラと非正規雇用の拡大で賃下げ構造をつくり、そのために産業の空洞化、技術力の流出もすすんだこと、大企業・富裕層への減税の一方で消費税を2度も大増税し、社会保障の連続改悪を強行したことなど「脆くて弱い経済」になったことが主な原因です。

その結果、大企業の内部留保はこの10年間で1.5倍となり、500兆円を超えて過去最高となる一方で、労働者の実質賃金は年24万円も減りました。打開のためには、国民生活を守りながら、同時にそれが賃上げを軸に実体経済を立て直し「やさしく強い経済」への転換をする手立てとなる改革が必要であり、そこに踏み出してこそマイナス金利という異常な金融を正常に戻すこともできます。

こうした中で自治体が市民の暮らしを守る「防波堤」となることが不可欠です。ところが、髙島市政は国に追随し、大企業応援の開発・規制緩和優先の政策をとり、市民生活をないがしろにしてきました。その結果、市内大企業の内部留保は髙島市政誕生以来1.4倍に膨れ上がったものの、市民の家計の可処分所得は1割も減ってしまいました。

福岡市政も国同様に、市民生活への当面の影響を緩和しながら、同時に実体経済を立て直す改革が必要です。とりわけ地方自治体である本市が取れる手立てとして社会保障・教育の公的負担の軽減や給付の増額などを実施し、家計の可処分所得を増やすことが緊急に求められています。私たちはこうした立場から2023年度予算編成にあたっての重点要望を貴職に申し入れます。

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2023年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望

1、物価高騰から暮らしを守り、市政の大もとから見直しを

(1)国政転換

岸田政権は、物価高騰に対してごく一部しか手当てせずに、消費税の減税は拒み続け、他方で、憲法違反と先制攻撃戦争に加担する「敵基地攻撃能力」の保有を決め、社会保障の大幅削減と国民への大増税を前提とした「軍事費の2倍化」へと踏み込もうとしている。アベノミクスで増えた大企業の内部留保に5年間の時限的課税によって10兆円の財源をつくり、中小企業の賃上げ支援を行うとともに、最低賃金を時給1500円に引き上げるよう国に求めること。物価高騰から家計を守り、消費をあたため景気を回復させるため、消費税を緊急に5%へ減税するとともに、中小業者やフリーランスへの過重な負担をかけるインボイス制度の導入をやめるよう国に求めること。GDP2%への大軍拡、その財源づくりとしての社会保障の削減・国民への増税路線をやめるよう国に求めること。


(2)市政転換

アベノミクスと新自由主義の路線につきしたがって、市民の家計の可処分所得を減らしてきた髙島市政の路線を反省し、地下鉄の福岡空港国際線ターミナルへの延伸・「天神ビッグバン」・ウォーターフロント再整備などの大型開発優先、外からの呼び込み頼みの政治を大もとから改め、市民の暮らしや中小業者の営業を応援する政治、地域循環型経済へ転換すること。


(3)福岡市基本計画

本市は国よりも10年早く温室効果ガス排出実質ゼロの達成を掲げており、そのためには政治・経済など社会全体にわたる見直しが必要である。また、ジェンダー平等を一部門の問題にせずあらゆる施策の中心に位置づける「ジェンダー主流化」が求められている。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックも収束しておらず、コロナから命を守るための最優先の体制を構築しなければならない。気候危機打開、ジェンダー平等、コロナ対応の視点で市のあらゆる計画・施策を見直すとともに、その立場で新しい「福岡市基本計画」を作成すること。

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2、医療・介護・障害福祉などケアを支える市政を

自公政権は社会保障費の自然増分を削減・抑制する路線を続けてきたが、岸田政権においては社会保障における露骨な住民負担増に乗り出した。新型コロナ対策の充実が引き続き重要課題となる中、新年度の社会保障関連予算は国民の命を守り「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するにふさわしい規模へと転換させなければならない。「住民の福祉の増進を図ることを基本」とする地方自治体として、本市は国への働きかけとともにこれまでの国任せの姿勢を転換することが求められている。したがって、以下の点について要請する。


(1)コロナ対策

  • 日本においては、政府による「なりゆきまかせ」の対応により、7波に上る感染拡大を繰り返し、現在も8波に突入し引き続き予断を許さない状況にある。感染抑止のためには、ワクチン接種を安全かつ迅速にすすめるとともに、大規模な検査を行うことが極めて重要である。ところが感染や再感染した場合のリスクや新種株に対するワクチンの効果等に対する広報不足により接種率や接種のスピードが鈍りワクチンを大量に廃棄する事態も生じている。ワクチン接種に対する広報を充実させ、引き続きワクチン接種体制を十分に確保するとともに、一部自己負担の導入の検討はやめるよう国に求めること。また、PCR検査については「いつでも、誰でも、無料で」という立場で、県と連携し無料のPCR検査場を継続させ、箇所数も状況に応じて増やし、周知を図ること。介護・障害者施設等で希望するところには移動検査場を派遣できる体制を整えること。
  • 新型コロナとの闘いの中、医療現場は長期間にわたりまさに崩壊の危機に直面しており、今後の感染拡大への備えとしてコロナ病床の拡充、往診・訪問看護の体制強化などに対する政治の責任が問われている。県と連携し人員や必要経費を確保できるよう医療現場への支援策を強化すること。臨時の大規模発熱外来施設を設置する手立てをとるよう国に強く求めるとともに、県と連携し、自治体独自で可能なあらゆる方策を打つこと。
  • この間、現場で必死にがんばっている医療従事者のボーナス・賃金のカットや、「コロナ倒産」が起きるような医療機関の経営悪化が生じてきた。国に対し、医療費抑制路線を中止し、医療機関の減収補てんと財政支援、医療従事者の待遇改善を行う手立てを取るよう強く求めること。
  • 新型コロナとの闘いによって、医療現場とともに保健所も逼迫状況に追い込まれ職員の平均残業時間は月80時間の過労死ラインを大きく超え、感染拡大の波ごとに200時間を超える事例も生じてきた。他の部署からの応援や派遣会社活用では抜本的な改善には程遠く、保健所予算を2倍以上に増やし大幅な人員増と体制強化を図ること。

(2)国民健康保険

  • 本市の国保世帯の平均所得は年74万円と政令市中14番目という低水準で、所得200万円以下の低所得者がその86%を占めている。2年半にわたるコロナ禍に加えた異常な物価高は低所得層が多い被保険者の経済的負担を増大させており、もともと重い負担となっている保険料の軽減が強く求められている。しかし市は、「収入未済」や「減免」分等を保険料に上乗せする方式を改めないまま、一般会計からの法定外繰入を2年連続で削減し2年前の大幅引上げによって史上最高水準となった保険料のまま押し付けている。「上乗せ方式」をやめるとともに、国や県の圧力をはねのけ、一般会計からの法定外繰入を抜本的に増やし、保険料の大幅引下げをはかること。
  • 子どもの均等割分については15歳以下の第2子を半額、第3子以降について全額免除しているものの、対象年齢や減免割合に格差を設けることに道理はない。18歳までの全てのこどもを対象にし、全額免除とすること。併せて、国に対して全国知事会が要求している「公費1兆円の投入」で均等割、世帯割をなくし保険料の協会けんぽ並みへの引下げを可能にするよう求めること。
  • 現在本市においては3人家族で年所得778万円という到底高額所得者とは言えない世帯が年102万円もの保険料上限額を強いられている。賦課限度額の引上げは止め、「応益割」偏重の是正など、逆進的な国保料を生み出している算定式の見直しこそ行うこと。
  • 「都道府県単位化」は、国保の構造問題を解決しないまま自治体の主体性を奪い、住民負担増や滞納制裁強化、一般会計繰入の抑制等を強制するやり方であり、すでに大きな影響を生み出している。見直すよう国に求めること。
  • 治療費が窓口全額自己負担となる資格証明証交付世帯について本市においては6月末時点で7187世帯、短期証の発行は1万6999世帯に上り政令市最悪水準となっている。このことにより、加入者は受診を我慢して重症化・死亡するなど、手遅れ事例が本市内でも後を絶たない事態となっている。「特別な事情」の確認は、丁寧な調査をすればできることであり、現に横浜市では、資格証明証や短期証の発行をしていない。面談できないことを理由に「特別な事情」を実質調査しないまま保険料滞納世帯に対し機械的に資格証・短期証を発行するやり方は許されず、他都市の例にならい、資格証・短期証への切替えをやめること。
  • 本市の保険料減免世帯比率はわずか8.26%に過ぎず、極めて低い水準にある。新型コロナの影響を受けた世帯への保険料減免制度は「所得が前年に比べて30%以上減少」という条件になっているが、物価高騰の今こそ一般減免も含め「前年比20%以上」に改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して適用対象をひろげ、広報を充実させること。
  • 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用が10年連続0件という異常な事態となっている。「前年度比3割以上の減少」という収入要件によって、日常的に生活が厳しい人は適用されない等の矛盾が引き起こされ、制度の体をなしていない本減免制度について、要件を見直し、困窮者を救える制度へと改めること。
  • 本市における国保料滞納者に対する差押さえは、わずかな預金654円を差し押さえる事例や公的手当が入る口座を狙い撃ちにしたものも含まれているなど、異常なやり方が横行している。公的手当をはじめ年金、子どもの学資保険さえも差し押さえる冷酷、異常、機械的なやり方はただちにやめること。
  • 国の制度として拡充するまでの間、市独自で国保に個人事業主を含めた傷病手当を創設すること。

(3)後期高齢者医療制度等

  • 福岡県の保険料は全国的に見ても高い水準のまま推移し2017年度から強行されてきた特例軽減の段階的廃止縮小並びに賦課限度額の引上げ強行によって、2022・2023年度の保険料は史上最高額となっている。現在、長引くコロナ禍に加え、異常な物価高騰と年金引下げによる生活困難もひろがっており、剰余金や各種基金を活用し、保険料の緊急減免等を実施するよう広域連合に求めること。また、保険料特例軽減を復活させるよう国に求めること。
  • 後期高齢者の医療費窓口負担の2倍化が2022年10月1日から強行実施され、該当する被保険者やその子どもの世代からは怒りの声や「そんなに払えない」という困惑の声がひろがり、医療機関の窓口では混乱が続いている。このままでは経済的理由による受診抑制や命を脅かす事態が生じることは明らかである。窓口負担2倍化を中止するとともに、高齢者を年齢で区切り、果てしない負担増と差別医療を押し付けている後期高齢者医療制度そのものを廃止し元の老人保健制度へ戻すよう国に求めること。
  • 無料低額診療事業は経済的困窮者にも医療を保障する重要な役割を果たしている。本市において実施する医療機関を増やすための取り組みを県とも連携し強め、制度の広報を市ホームページだけにとどめず、ポスターやパンフレット等でも広く行うこと。また、国に対して薬剤費への制度適用を求め、他都市でも徐々に広がる独自助成にならい当面、本市独自でも実施すること。

(4)こども病院・市民病院

  • こども病院・市民病院ともに医師、看護師等の不足が深刻となっている中で、コロナにより職員に大きな負担がかかり、新型コロナウイルス感染拡大のたびに退職者が増えている。さらに追い打ちをかけるように一時金がカットされ、疲弊した職員のモチベーションが下がっている。新たな感染の波に対応できるよう処遇改善をするとともに職員を正規で増員し、地域医療の拠点としての役割を果たせるようにすること。
  • こども病院においては、小児・周産期医療の拠点としての重要な役割を果たす一方、地方独立行政法人福岡市立病院機構の方針の下、採算性が優先されている。10年以上も継続しているリフレッシュ休暇等を試行のままにするのは許されず、速やかに正式運用する等、職員の勤務諸条件を改善し、職員の合意を大切にする民主的な病院運営へと転換するよう指導すること。また、バスのルートや便数を抜本的に増やすようバス事業者に強く要請するとともに、職員の駐車場利用枠を増やすこと。台風など強風時にタクシーを呼んでも断られるため、夜勤明けの職員が帰宅できなくなることがないように対策を取ること。
  • 市民病院においては、老朽化による壁のヒビ割れ、水漏れが多発しているため、早急に修繕等の対策を取ること。
  • 唐人町の旧こども病院の跡地は市民の貴重な財産であり、開発業者や営利企業に売り渡すことは許されず、独立行政法人から取得し、医療・福祉の拠点、保育園や児童館など公共用地として活用すること。また、企業いいなりの民間サウンディングはやめ、当該校区だけでなく隣接する校区の住民を含む跡地活用協議会などを設立し、市民の要望を反映させること。

(5)介護保険

  • 本市の介護保険料はコロナ禍であるにもかかわらず、第8期福岡市介護保険事業計画でもまた引上げが行われ、基準額で前期より年1766円値上げされた。改定のたびに介護保険料は引き上げられ、制度開始時から約2倍以上になっており、史上最高額となっている。高齢者の生活は、物価高騰に加え、国が進める年金支給額の削減や医療費窓口負担の2倍化によって深刻な状況に追い込まれており、「収入は年金のみで、保険料の支払いが非常に厳しい」「他県から引っ越してきたが、福岡市の介護保険料は高いと思う」などの悲鳴があがっている。一般会計からの繰入れを含め、あらゆる手立てをとって介護保険料の引下げを図るとともに、滞納者に対するサービス取り上げ等のペナルティをやめること。
  • 2024年の3年に1度の介護保険制度改定に向け、国は具体的項目として「サービス利用料の2割負担と3割負担の対象拡大」「要介護1、2の訪問・通所介護の保険外し」「ケアプラン作成の有料化」「老健施設などの多床室(相部屋)の室料有料化」などをあげている。しかし、これらが実施されれば、コロナ禍で疲弊し、物価高騰に苦しむ高齢者や家族はさらに負担を強いられ、必要な介護を受けられなくなる人が続発しかねない。全国老人福祉施設協議会など多くの介護関係団体が反対を表明し、「史上最悪の介護保険改定」だとの声も上がっている。このような介護保険制度の改悪は行わないよう国に求めること。
  • 新型コロナ感染症の拡大に加え、物価高騰による食材費や光熱費の値上げが介護事業所の経営を大きく圧迫している。政府は、コロナで経営難となっている事業所への「救済策」として、通所介護、ショートステイなどの報酬を加算したが、その結果、利用者が負担する1~3割の利用料も引き上がる事態となっている。国に対し、利用料・保険料に跳ね返らないよう公費を投入しながら、介護報酬の引上げを行うよう求めること。また、介護の基盤と、利用者・従事者の命と暮らしをコロナ危機から守るため、利用抑制や支出増に苦しむ介護事業所への減収補填を国に求めるとともに、市独自にも行うこと。そして、感染防護具の支給や施設の改修など、介護現場における感染拡大防止の取組みを支援すること。
  • 介護職員の低処遇・長時間労働・人手不足はもともと大問題となっていたが、コロナ危機のなかで職員の過重労働はいっそう苛酷になっており、介護従事者の「コロナ離職」も相次いでいる。全産業平均より「月7~8万円低い」とされる介護職員の低処遇を解決することこそ、介護人材を確保し、長時間過重労働を解決するために不可欠である。国に対し、介護報酬の引上げをはじめ、介護福祉士や調理員等介護現場で働く全ての労働者の抜本的なベースアップの対策をとるよう求めること。また、本市において介護施設職員の人件費の補助を行う独自制度を設けるなど介護人材確保のための方策を講じること。
  • 本市の特養ホーム待機者は、申込み者の数から「必要度の低い人」を除外する恣意的な判断によって実態より少ない人数に絞り込んだ上に、今期(2021年度~2023年度)における整備計画は240人分という極めて不十分なものになっている。このようなやり方は許されず、希望者全員が速やかに入所できる計画へと見直し、早急に待機者解消を図ること。併せて、小規模多機能施設やグループホーム、宅老所などの基盤整備と公的補助を強化すること。また、「要介護1・2」の特養ホーム入所からの締め出しをやめ、入所条件を緩和するよう国に求めること。
  • いきいきセンター(地域包括支援センター)がおこなう総合相談支援においては、年々相談件数が増加傾向でかつ内容が複雑化しており、職員一人当たりの業務量が非常に多く、多忙化している。地域の高齢者の実態を把握し、親身な対応を行っていくためにも、市として、いきいきセンターの体制強化のために抜本的予算増を図ること。
  • 介護保険の訪問調査や各種相談等をおこなう介護保険認定調査員について、2019年度より庁用車の使用が制限されており、自転車や公共交通機関を利用した訪問では、遠方に訪問する場合や夏の猛暑時などに支障がでている。必要な場合は庁用車を使用できるよう改善すること。

(6)高齢者

  • 高齢者乗車券については区役所での直接発行を再開すること。要望の強い所得要件及び利用上限額廃止や、ICカードとタクシー助成券などの併用を可能にし、高齢者の移動権を保障すること。タクシー助成券については、1回500円という上限を撤廃するとともに、有効期限をなくすこと。
  • 加齢性難聴は高齢者の引きこもり、孤立、事故、そして認知症の大きな原因になり、その対策として補聴器は有効であると専門家も指摘している。しかし、その購入費用は数十万円におよび負担が非常に重く、補助を求める声が広がっている。市は「国や他市の動向を見守る」としてきたが、福岡市が手をこまねいている間にも実施自治体は広がり、東京都港区では4月から上限13万7000円、所得制限もなく、60歳以上が対象となる補助制度が始まるなど先進的な取組みが進んでいる。本市でも購入費補助制度を創設すること。

(7)原爆被害者

「黒い雨」訴訟広島高裁判決が確定し相談事業がますます重要になる中、本市原爆被害者の相談事業や被爆証言活動が「原爆被害者の会」の会員減少や高齢化によって極めて困難になってきている。事業を維持・充実させることは団体の努力だけでは立ち行かない状況となっており、運営費補助金を増額するとともに必要な支援を行うこと。また、被爆体験を継承するために、新しい世代の「語り部」を養成する事業等を広島市や長崎市のように会と連携しながら市の責任で実施すること。また、同じ施設利用団体なのに差別的取り扱いをすることは許されず、障害者と同様に被爆者のふくふくプラザ駐車場使用料を早急に全額免除すること。また、被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付すること。



(8)アスベスト

  • 1月に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金の支給に関する法律」が施行されたが、屋外作業員や対象期間外に被害を受けた人は補償対象外である。また、給付金法による補償基金には、建材メーカーが参加していない。これらの被害者も補償対象とすることや、メーカーによる基金への拠出を実現するよう国に要求すること。アスベスト曝露による健康被害を防ぐための規制強化、労働災害認定基準の大幅緩和、さらに建設アスベスト被害者の全面的、かつ早期解決に向け、裁判によらず簡易・迅速に救済する「被害者補償基金制度」の早急な創設などを市として積極的に国に要求すること。
  • アスベスト対策を抜本的に強化するために、アスベストアナライザーをすべての解体現場で活用し、含有調査を行うこと。大規模災害時の飛散対応等のため、アスベスト使用建築物のハザードマップを公開し積極的に市民に周知すること。また、市民へのアスベスト被害に対する啓発活動を強めること。アスベストを扱う建設労働者の防じんマスクの普及につとめ、市内業者への購入補助を行うこと。また国民健康保険の特定検診において、職種や経歴に応じてアスベストの影響・被害が明らかになるような問診・検査を行うこと。石綿調査の公的資格制度である「建築物石綿含有建材調査者」などの専門家を育成、職員も大幅に増やすなど総合的なアスベスト対策をすること。
  • アスベスト使用建物の解体、建築、補修工事における事前調査やアスベスト除去費用の補助対象を本市は「解体を予定していない建物」に限定している。解体も補助対象とし、建物所有者の負担を軽減する補助金制度の対象拡充を国に求めるとともに、市として独自の補助制度をつくり、「ゼロ・アスベスト」のまちづくりを進めること。

(9)生活保護

  • 新型コロナの感染対策としてのマスクや消毒用品等の購入による新たな出費に加え、食料品や燃油代などの値上げが保護世帯に重くのしかかっている。下水道料金減免制度の復活、年末手当の支給など、市独自施策を行い、利用者の生活を支援すること。特に温暖化によって夏は災害並みの猛暑が続いており、暑さをしのぐための電気代がかさみ生活費を圧迫するため、市独自の夏季手当を創設すること。
  • 急激な物価高が国民の暮らしを直撃し、所得の低い人ほど深刻な影響を受けている。とりわけ生活保護利用者は2013年からの保護基準引下げなどによって苦しい生活を強いられており、1日3回の食事や毎日の入浴がかなわない等、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が奪われている状況にある。司法でも、この基準引下げの政府決定を違法とする判決が熊本、横浜地裁などで相次いで出されている。これまで切り下げた生活扶助費・住宅扶助費を元に戻し、基準引下げ路線を転換して、憲法に規定された生存権にふさわしい水準に引き上げるよう国に求めること。
  • 生活保護利用中にエアコンが故障し買い替える場合、生活扶助費をやりくりするか、生活福祉資金の貸付を受けるしかなく、買い替えが非常に困難となっている。生活保護利用者の命と暮らしを守るため、必要な世帯全てがエアコンを購入できるよう、購入費用の全額支給を国に求めるとともに、市独自にエアコン購入費用の助成制度をつくること。
  • 膨大な漏給、低すぎる捕捉率の早期解決が求められている。定期的な捕捉率の調査・公表、テレビやインターネットのCMの活用、公共施設などへのポスター掲示、市政だよりの1面への特集記事掲載などによる制度の周知徹底や相談の呼びかけ、誰もが手に取れるような場所に申請用紙を置くなど捕捉率向上策を講じること。また、申請権を保障するため「面接」「指導・助言」を口実に不当に生活保護を排除する「水際作戦」を根絶すること。このような改革をすすめるとともに、必要な人は誰でも受けられるよう生活保護法の「生活保障法」への改正を国に求めること。
  • 全行政区の保護課面接室に1つ以上の監視カメラが設置されている。甚だしい人権侵害であり、トラブルのもととなっているだけでなく、申請・相談者に対して監視されているプレッシャーを与え、来所する人を減らす水際作戦の一種であり、直ちに撤去すること。
  • 2013年生活保護法改定と2015年実施要領改定を根拠に、利用者の「資産申告」を強要することは問題である。本市でもこれを根拠に預金通帳の提出強要や財布の中身まで確認するなど著しい人権侵害さえ起きている。改定法は、利用者と福祉事務所とが協力して金銭管理の適正化を図るとしているだけで「資産申告」強要の根拠とはなりえない。本市として、「資産申告」は一切やめること。また、国に対し、誤解を招くような実施要領は撤回するよう求めること。
  • 「生活保護のしおり」の記載には「一日でも早く自分の力で生活できるよう」など殊更自立を強調したり、保護を利用していても、居住用不動産や少額の保険、自動車、バイク等の保有が認められる余地があることを記載していなかったりと問題がある。加えて、市ホームページでは保護利用者の居住用不動産や少額の保険、自動車、バイク等の保有について、あくまで「コロナ禍における弾力的な運用」であると強調し、コロナ禍でなくとも本来認められる余地があることを記載しておらず、問題である。誤った情報や誤解を招く内容がないよう精査して改善し、正確に周知すること。
  • 健康状態や年齢を無視した就労の強要は止めること。現場では、教育機関で学びたい利用者の願いにまったく耳を貸さず、就労指導をおこなったり、「何でもいいから急いで就職を」と機械的な指導をおこなったりする事例が起きており、このような指導は真の自立を遠ざけるものであるため止めること。
  • 適正受診指導などと称して入院日数や通院回数に対する不当な削減指導やジェネリック医薬品使用の強制を行わないこと。
  • 入院時、医療機関からの寝巻貸与代金については保護費に含まれず負担となっており、市独自に支給すること。おむつ代については医者の認定があるものだけに限定せず、必要額を市独自に補助すること。
  • ケースワーカーの平均担当世帯数を減らすことは利用者の生活に寄り添った援助を行うために重要だが、2022年度も102.5ケースで、国の標準世帯数を20以上も上回っている。そのためにトラブルや誤った情報を伝えるなどといった事例が多数見受けられる。日本弁護士連合会や多くの専門家も、職員を増やさないと寄り添ったケースワークはできないことを指摘しており、国の標準数を守れるように直ちに正規職員のケースワーカーを増員すること。
  • 本市のケースワーカーは大学を卒業して3年以内の職員が66%、経験年数4年以上はわずか6.7%と、依然として市職員としても、ケースワーカーとして、経験が浅い職員が大半を占めるという現状である。日本弁護士連合会や学識者等から専門性の確保の必要性が指摘されており、社会福祉士や精神保健福祉士、弁護士など国家資格を有する職員の採用や登用を行い、生活困窮者へのきめ細かな支援などノウハウが継承できる体制をつくること。
  • 本市では、就労支援等事業などのケースワーク業務について民間企業等への委託をすすめているが、このやり方は公的責任の放棄や、保護利用者への管理強化などの問題点がある。政府が検討しているケースワーカーそのものの民間委託も含め、これ以上の外部委託はやめること。
  • 困窮に陥った単身の大学生などの生活保護受給権を認めないやり方や、大学、専修学校等への進学者を強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方は、進学をあきらめる子どもを生むと同時に新たな貧困を生み出すため、仕組みを改めるように国に要求すること。教育扶助費や高等学校就学費用は実態に照らせばまだ不足しており、増額を国に求めること。

(10)貧困

  • 生活福祉資金貸付は、生活自立支援センターによる伴走型支援を条件にしているなど、貸付に厳しい条件が課せられており、必要な人が受けられない仕組みになっている。制度を抜本的に見直して、必要な人が受けられるよう国と県に要望すること。また、窓口はふくふくプラザで一本化せず、元にもどし、各区の社会福祉協議会で受けられるようにすること。コロナの影響で収入が減った人への「特例貸し付け」の返済が負担となり、生活再建が困難となる事態が起こっている。返済免除・猶予の拡充、相談体制の強化をすすめること、および「特例貸し付け」や「住居確保給付金」などの支援策の再開・拡大を行うよう国に求めること。
  • 長引くコロナ危機と物価高騰によって、市民の暮らしはますます苦しくなっている。所得が低くなりがちな高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、貧困対策として有効な公共料金等の福祉減免を行うこと。特に、コロナ禍のもとで使用料が増えている下水道料金の減免を継続し、他の政令市にならい、上水道料金の減免をただちに実施すること。
  • 市民全体の貧困実態・貧困率の調査を行い、本市独自の目標・指標を定めて総合的な貧困削減計画をつくること。また、子どもの貧困対策についても、他都市にならって子どもの貧困率を公表し、削減目標を立て、その達成に必要な具体的な施策に取り掛かること。生活保護申請や生活困窮者相談を役所で待つのではなく、出前相談会など必要な人に支援が届くようにアウトリーチを強化すること。
  • 水道料金・市営住宅家賃・住民税・国保料などの滞納は生活困窮のシグナルと捉え、ライフライン事業者の協力や局を越えた連携を行うこととなっているが、事業者には協力依頼を出しただけで、福岡市生活自立支援センターへの紹介人数さえも把握していないなど、機能していない。市の内部で局を越えた会議を定期的に開催し、積極的に実態を把握するなど、実効性のある仕組みを構築すること。
  • 福岡市食育推進会議でも小中学校の朝食欠食率について「徐々に悪くなっている」と分析するなど、朝食を毎日食べていない子どもが増えており、行政の責任で朝食欠食対策を行うこと。「子どもの食と居場所づくり支援事業」の補助金は4年目以降も減額することなく支給を継続するとともに、1か所あたりの補助を増額すること。
  • 市内のホームレスは依然として多く、安心して年を越せるよう年末年始も対応できる窓口を開設するとともに、市内の巡回を強化して、相談に応じ、支援すること。ホームレスが施設への入所を求めた場合、感染症の検査などの理由からその日に入所できない仕組みを改めるために一時宿泊所を確保すること。民間ボランティアやNPO支援団体への委託費を大幅に増額すること。ホームレス患者は、受診する時にはすでにひどい疾患を患っていることが多いため、医療機関の負担は大変重くなっている。コロナ感染対策も負担となる中、現行の入院協力金3000円では不足しており、大幅に増額すること。

(11)民生委員

民生委員の過重負担について、活動費のわずかな増額や若干の定員増だけでは根本解決には程遠く、定員充足率は91.7%にまで低下している。本来行政が行うべきことを押し付けていないか等、徹底した検証を行い業務量について抜本的に削減するとともに活動費の大幅増額を行うこと。また、欠員が生じている地区を他地区の委員がカバーするやり方には無理があり、行政の責任において臨時の代替措置をとること。



(12)障害者

  • 障害者差別解消法は合理的配慮の提供を民間事業者に義務付けたが、福岡市障がい者差別解消条例の見直しは未だに行われていない。早急に改正するとともに、差別的取り扱いを禁じる実体規定に「何人も」と挿入すること。障害当事者や関係団体から成る「福岡市障がい者差別解消推進会議」については、障害当事者の比率を高めるとともに、差別体験等の実態に基づいて本市の施策のあり方を具体的に検証し抜本的改善につなげること。
  • 福祉乗車券・福祉乗車証については、「持続可能な制度とするため」等として障害の程度や所得によって交付対象を狭める差別的取り扱いは許されない。関係者から要望の強い療育手帳Bおよび精神障害者手帳2級まで拡充するとともに、所得制限を廃止すること。精神障害者に対する交通運賃割引を頑なに拒否しているJR及び福岡北九州高速道路公社に対し「合理的配慮」の趣旨を踏まえ早急に実施するよう強く申し入れること。実施されるまでの間、市として自己負担分を補填する手立てをとること。
  • 障害者が65歳になるとそれまで受けてきた障害者サービスから介護保険サービスに半ば強制的に移行させられ、自己負担が増え、サービスが継承・継続されず利用者は肉体的にも精神的にも大きな負担を感じている。新高額障害福祉サービス等給付費が支給されるとはいえ、対象要件から外れる人も多い。介護保険の対象年齢でも障害者福祉制度と介護保険制度を選択できるなど、新たな自己負担なしでサービス水準が維持できるよう市独自の手立てをとること。問題の大元にある障害者総合支援法の第7条(介護保険優先)の廃止を国に求めること。
  • 本市では、聴覚障害当事者や関係団体からの長年の要望である市長会見における手話通訳について頑なに拒否し合理的配慮の提供義務に反し続けている。全ての市長会見に手話通訳者を配置するとともに、市主催の行事の際にも手話通訳者をつけること。
  • 「手話言語条例」は34道府県を含む459自治体へと広がり、政令指定都市を含め大きな流れとなっている。これ以上の先送りは許されず、本市においても早急に制定作業に入ること。
  • 手話通訳者派遣事業の範囲は「社会生活上外出が必要不可欠なとき」等として未だに狭められており、当事者の要望を踏まえひろげること。また、聴覚障害者用の情報提供施設について市民プラザ内の「情報センター」では極めて不十分な機能となっており、春日市のクローバープラザ並みの機能を持たせること。
  • 日本手話通訳士協会によれば、コロナ禍のもと、多くの手話通訳者の仕事が激減し、収入が途絶えるケースも生じている。行政として支援するとともに、担い手が不足している手話通訳者の養成を確実にすすめるためにも、報酬の引上げ、市が直接正規職員として雇用するなど、専門職にふさわしい待遇に引き上げること。
  • 強度行動障害者の短期入所施設は絶対的に不足しており、市の責任で増設するとともに、民間事業者の参入がひろがるよう職員加算や施設の改造費補助を創設すること。「強度行動障がい者支援事業」はノウハウの蓄積、人材の育成、事業者への支援などを充実すること。
  • 障害者グループホームの低すぎる報酬単価の増額を国に求めること。あわせて、市の運営費補助を更に拡充するとともに、土地や建物の確保や新設時の改修費への補助を増額すること。また、利用者への家賃補助については、市が独自に上乗せ補助を行うこと。
  • 知的障害者等の地域生活移行については、必要とする支援の質・量の確保、十分な所得保障や住宅手当の充実等、知的障害者の希望と選択を最大限尊重する仕組みを構築することなしに、進めることは許されない。入所施設も「終の住処」として利用できるようサービス提供や支援の実態について現場で適宜確認するとともに、設備や職員体制の充実を図り「親なきあと」の不安を取り除くこと。
  • 国において、処遇改善加算がされたものの、障害者支援施設等労働者の賃金は全産業労働者平均まで未だ月6万円近くの隔たりがある。加算分を基本報酬に組み込んだ上で抜本的な引き上げを図るよう国に求めること。また、市独自に処遇改善のための補助や家賃補助を創設すること。
  • 障害者の一般就労は、収入を得るということだけではなく、就労によって本人が社会とのつながりを持ち、生活や人生を豊かにすることであり、重要な意味を持っており障害者に対する継続した就労支援には就労支援事業所職員が安心して働ける雇用の安定性が不可欠である。NPOや社会福祉法人などA型事業所を営む法人が安心して就労支援事業を継続していくために、国に報酬単価の引上げを求めるとともに、職員の人件費の引上げや、専任で就職支援ができる担当者等の配置ができるよう市として独自に財政支援を行うこと。また、B型事業所・生活介護事業所においても工賃の増額が図れるよう市としても支援策を充実させること。
  • 本市の障害者雇用は、法定雇用率を超えてはいるものの、その内訳は非正規雇用が多くなっており、正規職員で達成できるよう採用枠を抜本的に増やすこと。民間企業に障害者の採用増を要請し促進するため、国任せにせず、本市独自の補助制度をつくること。
  • 障害者関連施設の指定管理者を社会福祉事業団から民間団体に移行する公募の動きや指定管理料の縮減はサービスの低下を引き起こすものでありやめること。

(13)ヤングケアラー

ヤングケアラーは、本来、大人が担うような家事や家族の世話などを日常的に行っていることで負担を抱え、子どもの権利が侵害される深刻な社会問題になっている。昨年、専用相談窓口と専用相談ダイヤルが設置されたが、当事者からの相談はわずかである。支援者や関係団体から相談事業だけでは不十分であり、「包括した家族支援が必要」と声があがる中で国は多機関・多職種連携による支援マニュアルを作成している。子どもたちの権利を守るために、ヤングケアラー専門の部署を早急につくり、有識者や支援者、関係団体とも密に連携し、相談後の対応を注視するなど情報の共有を図り、対策を練ること。あわせて当事者の体験を聞く場を設け、研修会の開催など広く市民への周知・啓発活動を行うこと。

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3、ムダな大型開発をあらため、市民の生活・安全優先のまちづくりを

(1)地下鉄七隈線の延伸

市長選直後、地下鉄七隈線を博多駅から空港の国際線ターミナルまで約3km延伸する構想が報道された。事業費は数百億円から1000億円以上かかると考えられ、市民の多くが利用するものではなく、圧倒的多数が外国から来る観光客のためのものであり、不要不急の国際線への地下鉄延伸計画はやめること。



(2)天神ビッグバン・博多コネクティッド

「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」については、コロナによるリモートの浸透などでオフィス需要が減り、空室率が危険水域の5%を超え、供給過剰の懸念が高まっている。その破綻を取り繕うために、市長は「固定資産税が3倍になるから」などと理由をつけて、「税金を使わない」という自身の約束を投げ捨てて立地交付金を倍増させ、空室を埋めようとすることは許されない。建替えと地価高騰によって昔からの住民や零細な中小業者が追い出され、天神は「若い人の買い物・流行発信の場」「雑多で活気のある街」から、どこにでもある味気のないオフィス街へと急速に変貌しつつある。また、大型ビルの乱立は、オフィスからのCO2排出量を増やし温暖化対策とも逆行する。大企業だけが潤い、市民には何の恩恵もない「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」は中止すること。



(3)人工島・港湾再編

  • 市は人工島の土地処分について「完売! 黒字150億円」としているが青果市場・こども病院・総合体育館などの公共施設を移転させることにより土地分譲全体の約36.9%を市が税金で買い支えて、進出企業に立地交付金をばら撒き、本来開発業者が負担すべきインフラ整備の肩代わりといった特別待遇をするなど、あの手この手で巨額の税金投入をしてきた結果にすぎない。今後の事業も含めて人工島では3940億円もの税金が投入されることが見込まれ、2021年度も基盤整備63億円、立地交付金29億円など、この破綻した事業に約122億円が投じられた。これ以上の税金投入はムダづかいであるとともに人工島だけを特別扱いする不適切な支出はやめること。
  • 立地交付金の交付額の人工島進出企業への割合は2021年度96%、制度開始から見ても84%を占めている。このような交付金のあり方は極めて異常であり、人工島の破綻救済に交付金制度を悪用することはやめること。
  • 港湾計画で定める博多港の国際海上コンテナ取扱量目標値130万TEUは、現在のペースで目標達成は「厳しい」と当局も認めざるを得ない状況である。さらに、人工島への5万トン級以上のコンテナ船の入港は、直近の5年間でわずか12隻である。15メートル水深の人工島D岸壁の整備や大型コンテナ船対応のための東航路整備事業は必要性がなく税金のムダづかいでありやめること。
  • 民間住宅や道路・下水道などに助成する「住宅市街地総合整備事業」による積水ハウスなど特定の大企業への露骨な税金投入はやめること。
  • 「中長期的な視点で検討」などとしていまだに現存している必要のない鉄軌道の導入計画はきっぱりとやめること。
  • コロナ禍でインバウンドが破綻して、ウォーターフロントネクストも大幅な見直しが迫られたなか、「博多港港湾計画」の前提が大きく崩れたにも関わらず、現計画に固執しようとしている。中央ふ頭や須崎ふ頭の新たな埋立てはやめて、同計画を大幅に見直すとともに、必要もない箱崎ふ頭地区の水面貯木場及び海面処分場の埋立ては、埋立費用だけで700億円と莫大な費用がかかるため、検討をやめること。
  • 第3セクター・博多港開発株式会社はケヤキ・庭石事件を起こすとともに、人工島事業の土地処分ができず、経営危機に陥り、市から多額の増資を受け、会社2工区を市に399億円で譲渡するなど、巨額の税金が投入された会社である。そもそも市の外郭団体の見直しでは、廃止も含めて検討されてきたものであり、このような会社に今後の埋立事業などを担わせることは許されず、会社はただちに解散し清算すること。

(4)世界水泳

  • 2023年7月に開催される世界水泳選手権・福岡大会の本市負担は当初計画の35億円から95億円に膨れ上がっている。同大会によって468億円の経済効果が見込めるという試算についても40万〜50万人が来場するという、コロナ前の人出を当て込んだ試算にすぎない。コロナ収束も見通せず、開催自体が不透明な巨大イベントに莫大な市費をつぎ込もうとすることは許されず、大会の中止を提起するとともに、大会運営から手を引くこと。
  • 東京オリンピック・パラリンピック大会をめぐる各社のスポンサー契約などに関係する、汚職事件が次々に明らかになっている。世界水泳選手権・福岡大会のスポンサーとの契約が適切に実施されているのか検証するために、スポンサーごとの契約金額を開示するとともに、契約経緯についても明らかにすること。

(5)ウォーターフロント・MICE・観光

ウォーターフロントの再整備計画は、もともと莫大な税金を投入し、呼び込み頼みの危険な計画だったところ、市は「感染症の影響により、これまで通り、『MICE』『クルーズ』『賑わい』が融合した一体的なまちづくりを進めることは難しい状況にある」として、計画の大幅縮小を打ち出し、事実上、破綻した。しかしながら、この計画「見直し」は中央ふ頭北側について見直すだけで、それ以外については温存、もしくはさらなる拡大を目論んでいる。コロナを経験した世界は、たとえパンデミックが収束しても「密」を嫌う観光客は減らず、「数を追及する観光」から「質の観光」へのシフト、「インバウンド重視」から「国内客・地元客重視」へのシフトが必要だとされている。「外需頼み」「インバウンド頼み」という呼び込み型経済政策は時代遅れであり、ウォーターフロント開発計画そのものを完全に中止すること。



(6)国家戦略特区など規制緩和

  • 市が2019年に国家戦略特区制度を活用して提案した、電動キックボードの規制緩和は、全国で交通ルールを無視した危険な運転を増加させるとともに、事故件数も2020年10件から2021年度は110件と急増させた。このように国家戦略特区は、農業、医療、教育、労働などの分野の国民生活や安全にかかわる規制について、財界の要求に応じて緩和し、市民を守るルールを壊す仕組みとなっている。本市の「グローバル創業・雇用創出特区」指定を返上すること。
  • 市は「Fukuoka Smart East」の取組みの一環として、松島校区や貝塚公園で実施してきた自動運転バスの試乗体験を、2022年度もJR箱崎駅周辺の公道で一般市民を乗車させ実施し、それらを追認・支援している。国会での審議・法改正もせずに、安全性が確認されていない技術を、営利企業の利益追求のため、いわば脱法的に一般社会で実施することは問題がある。市としてこのようなやり方を認めないこと。

(7)福岡空港

福岡空港は、コロナによる入国拒否や渡航制限を受け旅客数が激減し「東アジアトップクラスの国際空港」にすることを謳い文句にして、30年後に旅客数を現在の1.5倍にし、路線数を倍加させるなどといった見込みも破綻している。また、航空業が気候変動に与える影響は大きく、地球環境を保持する観点からも矛盾する。こうした無謀な計画を見直すように国・県に求めるとともに滑走路増設をやめるように要求すること。



(8)九州大学箱崎キャンパス跡地

  • 箱崎キャンパス跡地のまちづくりは、キャンパス周辺の4校区(東箱崎、箱崎、松島、筥松)が長年にわたって、住民の要望をまとめた「九大跡地利用4校区協議会」の提案の方向性や精神を踏まえることが必要である。地元住民が求めている元寇防塁跡の可視化保存・活用や防災機能を備えた広い公園の整備、住民が集えるコミュニティセンターの設置は、グランドデザインの方向性と同じであり、住民要望を実現すること。九州大学総合研究博物館については、箱崎キャンパスの歴史的建造物を活かして保管・展示し、市民への公開、活用するなど、九州大学に住民要望の実現を求めること。
  • マンション開発の結果、人口が急増し、開校後わずかな期間で過大規模校となった西都小学校や東区の照葉地区の小中学校を教訓に、こうした地域での無秩序なマンション建設の規制を行うこと。また、小学校用地を確保すること。
  • 貝塚公園について、住民は道路を通し分割することに反対であるにもかかわらず、こうした計画を盛り込んだ「貝塚駅周辺土地区画整理事業」が住民の声を無視して進められようとしている。市は、住民に対して「地域の意見を聞く」と言いながら、いまだに、公園利用者や周辺4校区住民の意見をまともに聴取もしておらず、市民無視は許されない。現在の計画を撤回し、貝塚公園をそのまま残すこと。
  • 跡地を4つに分断する都市計画道路「堅粕箱崎線」「原田箱崎線」は、計画を見直すこと。
  • 市長が九大箱崎跡地で推進しようとしている「FUKUOKA Smart EAST」(スマートイースト)は、AIやビッグデータ等の最先端技術を使って個人情報を勝手に利用する住民監視のまちづくりに他ならない。首相官邸主導の特例的な規制緩和で行うスーパーシティ構想につながるスマートイーストは、やめること。

(9)住宅

  • 新自由主義による自己責任の押し付けが住宅困窮者を増やし、長期化するコロナ禍、物価高騰のもと、多くの市民が予期せずに住まいを奪われ、あるいはその維持確保が困難になりかねない事態に直面している。住まいは生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台である。高齢化・低所得・単身・非正規雇用などが広がる中で、コロナ危機、物価高騰により自助でなく公的な支えがより一層強く求められている。「福岡市住生活基本計画」「福岡市住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」は国に追随する「民間まかせ」「自己責任」「持ち家偏重」を基本とする住宅政策である。本市の借家戸数は6割を超えており、賃貸が多数である現実を踏まえ、市営住宅や家賃補助を抜本的に増やすなど「住まいは人権」との立場に立って、これらの計画の見直しをすること。
  • 公営住宅への入居可能な収入階層世帯を目安に、民間賃貸住宅に高齢者・低額所得者や子育て世帯などの入居を拒まないセーフティネット住宅は約4000戸あるにも関わらず、家賃低廉化補助制度の対象となる住宅は10戸、補助利用は22年度が2戸とわずかである。募集戸数を抜本的に増やすとともに事業者や市民に制度の周知を広げ、若者単身者も対象にすること。また、入居者自身に家賃を支給するよう制度を改め、セーフティネット住宅に限定せずに枠を広げることを国に求めることと合わせて、こうした制度を市独自で行うこと。
  • 市営住宅の応募状況は、一般枠で8.9倍、単身の高齢者・身体障害者は25.4倍など、いまだに深刻な状況は改善されていない。市民の居住権を守り、必要な市民が入居できるよう、「市営住宅ストック総合活用計画」を見直し、大幅な新規市営住宅建設計画を立てるとともに、髙島市長就任当初より400戸以上も減っている管理戸数を当面建替え時に計画的に増やすこと。またUR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて市営住宅にするなど多様な供給方式の具体化を早急に行うこと。
  • 若者の多くは非正規雇用で低賃金のため、高い家賃に悩まされ、ダブルワークをする人も少なくない。熊本市では若年の単身者でも入居可能な市営住宅の募集が行われており、本市でも市営住宅の現行の入居基準を見直し、年齢の制限を設けず、国も認めている若者の単身世帯枠をつくること。
  • 住民による市営住宅の共益費徴収や、草取り、駐車場の管理、電灯交換などの設備管理、住民トラブルの解決等を管理組合に押し付けるのではなく、市および住宅供給公社が責任を持って行うこと。また、電灯は改修工事や故障時の交換を待たずに交換頻度が少ないLEDの利用を早急に進めること。
  • 市営住宅の建替えに伴う余剰地については、第一義的には市営住宅の増設を図ること。それ以外の場合でも、住生活基本計画に基づき民間売却ではなく住民要望を反映し、「高齢者福祉施設等の誘致」など公的に活用すること。また、弥永住宅の余剰地には住民要望にそって、高齢者福祉施設や児童館、図書館等を設置すること。
  • 市営住宅の管理について、本市では民間企業を指定管理者に指定している住宅があるが、保守管理や緊急・小口の修繕において、実態を丁寧に調べず、対応の遅れが生じている問題がある。市住宅供給公社による管理へ戻すこと。
  • 市営住宅の入居者の訪問介護や訪問看護およびデイサービスの送迎等の際に利用できる無料の来訪者用駐車場を確保すること。また、こうした駐車場に近隣の工事車両などが長時間駐車して、市営住宅の住民への来訪者が利用できない事態も生じている。住民関係者が優先して使えるように必要な手立てを取ること。
  • エレベーターのない市営住宅はバリアフリーの観点から重大な問題である。建替えなどで対応する現在の市の整備計画ではあまりにも遅く、市営住宅などについて「市は…高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするために…必要な措置を講じるよう努めなければならない」と定めた福祉のまちづくり条例にも反する。すべての市営住宅にエレベーターをすみやかに設置し、バリアフリーにすること。

(10)中高層建築紛争

  • 市内の中高層マンション建築の直近5年間における苦情相談件数は年平均69件で、年平均の建築数(標識設置件数)の12%にも及ぶ。「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」は現在、住環境を守りたいという住民の願いを実現する力となっておらず、「住民が合意しないものは建てられない」という姿勢に改めないと今後も紛争は続く。住民合意・罰則規定の導入など条例をより実効性のある内容に抜本的に改定すること。また、解体についても近隣住民への事前説明と周知の義務付けなどの規制を盛り込むこと。
  • 住民説明会が開かれても不誠実な説明・対応に終始して打ち切るケースや建築主等が一方的にまとめた、事実上虚偽の報告ともいえる「議事要旨」をつけて市に報告していた事例など、建築主側の悪質な言動が後を絶たない。前項の抜本的改正が実現されるまで当面、当事者となる「住民」の範囲拡大、住民から要求があった場合の説明会開催の義務化、原則として説明会出席者全員が署名した議事録の提出、市の指導の義務化などを盛り込んだ、紛争予防条例の改正を緊急に行うこと。
  • 紛争予防条例の周知が形式的なものにとどまっており、建築主側は説明会などの現場で条例や解説書の中身を「知らない」「よくわからない」と公然と答えるケースも少なくない。建築主側への条例の周知のあり方を見直し、条例や解説書の精神が実際に生きるように徹底すること。
  • 唐人町商店街におけるマンション建築問題では、建築主側が、資料配布をしたことで説明が終わったとして建築確認申請を提出し、住民が求める説明会を4か月も開催しなかった。ようやく説明会を開催しても、「工事着手のお知らせ」として説明が始まり、住民の不安と怒りをあおった。しかも、その1か月後に開催された仕切り直しの説明会では事前に住民から出された疑問に全く答えられず、意味のないものであった。このような建築主の姿勢は「周辺の居住環境に十分に配慮するとともに、市民の良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない」とする紛争予防条例に定められた建築主等の責務を放棄するものであり、建築する資格はない。建築を中止するよう建築主に指導すること。
  • 開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の積極的な周知と適用に努めること。

(11)公共交通・生活交通

  • 市営地下鉄とJR筑肥線の乗継割引についてJR九州は割引を拒みポイント付与程度でお茶を濁している。「JR筑肥線と市営地下鉄の乗り継ぎ割引料金と割引区域の拡大を求める請願」が全会一致で採択されており、JRには公共交通事業者としての責任があること、莫大な内部留保もあること、公共交通事業者として、同じ市内の利用者に対し、割引額に差を付けることは許されないことなどを市としてJRに協議の場で明確に伝え、現在の20円から東部の西鉄との乗継同様すみやかに60円へ拡大するようJRに強く申し入れること。また、JRが割引を実施しない場合でも、物価高騰対策および公共交通利用促進による脱炭素施策としても、本市が先行して割引額を10円から30円に引き上げること。加えて連続割引区間について、2区から3区に拡大すること。
  • 市営地下鉄やJR筑肥線の運行トラブルが起きた際に、折り返し運転は行われるようになったものの、特に姪浜以西はトラブルがあると姪浜駅に足止めされることが度々ある。JRは過去にタクシーによる輸送を行った実績もあり、姪浜以西などにおいて、市としてJRに代替輸送を速やかに行うよう市長自ら強く申し入れること。JRが実施しない現状では市の責任で市民の交通手段を確保すること。
  • 早良南地域交流センター「ともてらす早良」への交通アクセスが悪く、とりわけ早良区南部からは不便である状態が解消されていない。一定のバス増便がされたが、全く不十分である。同区選出の超党派の議員が要求しているように、野芥方面からのアクセス向上、さらなる増便を交通事業者に求めるとともに、市がコミュニティバス・シャトルバスを運行することも含め、交通の利便性を図ること。
  • 西区の姪浜北団地および小戸1丁目の生活交通について、昭和バスのバス停をマリナ通り沿い、ファミリーマートマリノアシティ店付近に増設するか、もしくは市が責任をもったコミュニティバスを運行するなどして公共交通不便地を解消する手だてをとること。
  • 東区蒲田団地の「蒲田団地」バス停では、東区の箱崎駅前を通って博多駅まで行く都心部行きのバスは、平日が8時台に2本しかなく、帰りは15時台に1本、16時台に1本のみで、土日や祝日には1本のバスもない。抜本的な増便の手だてをとるよう事業者に市として強く要求すること。増便が実現しない状況のもとでは市が責任を持ったコミュニティバスや、蒲田団地から歩いて通学すれば40分はかかる多々良小学校や多々良中学の子どもたちのために市の責任でスクールバスを運行すること。
  • 南区の長住・花畑・柏原方面からは、平日に走っている大橋・区役所方面行きの西鉄バスが土日・祝日にはない。区役所は選挙時の期日前投票所であり、また、南市民センターは土日祝日は特に利用が多い公共施設である。こうした場所へのアクセスが脆弱な現状は交通権・移動権が阻害されている状況に等しい。市として西鉄に土日祝日の便の運行を強く要求するとともに、市が責任を持ったコミュニティバスの運行を検討すること。
  • 西鉄は市内各地でバスの減便・路線廃止を強行し続けている。通院や買い物など住民の日常生活に大きな支障をきたしており、生活交通確保への最大限の配慮を定めた公共交通条例を無視している。西鉄の横暴を許さず、早急に増便を図るよう西鉄に強く要請すること。生活交通の確保を交通事業者の努力義務ではなく義務として明記することや、「自助」「共助」を住民に責任を押し付けるやり方を改めるなど、条例を改正すること。また、市が近年推進しているオンデマンド交通は現状では料金が高く、採算が見込めない地域には進出せず、採算が見込める地域でも不採算化すれば撤退する危険があるなど、公共交通事業としてあまりにも不十分であり、あり方を抜本的に見直すこと。公共交通不便地を解消するため、市が責任をもってコミュニティバスを運行すること。
  • 毎年のように視覚障害者が駅ホームから転落する死亡事故が後を絶たない。西鉄福岡駅は2025年度末までに福岡(天神)駅にホームドアを設置する予定だが市内の他の西鉄大牟田線各駅およびJR博多駅をはじめ、市内のJRに9ホームドアを早急に設置するよう関係事業者に強く申し入れるとともに、国まかせではなく、市としても推進のための協議会を設置すること。また、ホームドアが設置されるまでの間、乗客の安全対策要員をホームに配置するとともにホーム中央に視覚障害者の道しるべとなる線状誘導ブロックを敷設するよう事業者に申し入れること。
  • JR九州は駅の完全・一部無人化を進めている。市内でも香椎線に加え筑肥線でも一部無人化が進んでいる。そのため車椅子利用者は介助員が来るまでに長い時間がかかったり、前日までの予約ができなければ移動に著しい制約を受けたりしている。同社に対して移動の自由を制限されて苦痛を受けたなどとして損害賠償を求めた訴訟が起きている。同社の進める完全・一部の無人化は本市の障害者差別解消条例が規定する合理的配慮に欠けるものであり、全駅を有人に戻すよう、JR九州に求めること。

(12)生活道路・交通安全

  • 「道路整備アクションプラン2024」の「生活関連経路のバリアフリー化された割合」は、年間整備延長が少なく、このままの水準では目標を達成できないため、抜本的に予算を増額すること。また、バリアフリー化の対象を重点整備地区に限らず、緊急性や必要性を踏まえて、全ての鉄道駅周辺とその周辺道路等のバリアフリー化を推進すること。あわせて、横断歩道等における歩車道境界部について、「福岡市移動等円滑化のために必要な道路の基準を定める条例」の段差標準2cm規定の運用を改善することで、国体道路の春吉橋のような段差がないものを積極的に導入し、車いすユーザーや視覚障害者の歩行の安全にも配慮した縁石を導入すること。
  • 通学路および学童保育や園児等の移動経路など、子どもの通行路を総点検し、危険箇所の安全対策を緊急に講じること。また、保育園周辺の交通安全対策を強化し、県と協力して、信号機や横断歩道の設置をすること。さらに、「小学校周辺の歩車分離率」を引き上げること。
  • 消えかかった横断歩道が増え、それがもとで子どもや高齢者の事故も起きている。市内でも消えかかったものが増えており、県に対し横断歩道や停止線の路面標示の改善と交通安全施策関連予算の増額を求めること。また、ドライバーへの注意喚起並びに横断歩道手前での速度低下を促すことを目的とした安全対策として、横断歩道の視認性向上に向けたカラー化をすること。さらに市として、消えかかっている路側帯などの路面標示について、道路維持費を増額し、早急に塗り直すこと。
  • いわゆる「危険なバス停」については、南区清水バス停(上り)が改善されていない。事業者任せにせず、市がイニシアチブを発揮して、実態調査を行い、早急に対策を講じること。
  • 道路陥没は市内で年200件前後発生している。道路陥没を未然に防ぐために、日常パトロールや路面下空洞調査等の頻度を増やし、原因と劣化・優先度の分析をおこない、道路改修・維持対策を講じること。
  • 市内の自転車関連事故のうち対歩行者事故の割合は10年前から3倍化しており、その約6割が歩道上で発生していることから、自転車と歩行者との衝突事故をいかに減少させるかが課題である。本市は「自転車活用推進計画」で、自転車通行空間の2024年度までの整備目標を160kmとしているが、現時点での整備では物理的な分離をしている自転車道は中央区大手門地区など25.6%しかなく、36.3%が歩道に自転車道を記した歩行者との混在形態であり、43%が車道に矢羽根型路面表示等を記しただけの自動車との混在形態となっている。これでは、自転車の事故を減らすことは期待できない。したがって、自転車通行帯は「1mまで縮小できる」という条例の整備規定を安易に適用せず、歩道、車道と分離された自転車通行空間を整備するために、関連予算を抜本的に増額し整備を急ぎ、自転車対歩行者事故を減らす対策を行うこと。
  • 自転車安全利用指導員を大幅に増員し、都心部以外の自転車事故発生件数の多い幹線道路などにも配置して、安全対策を抜本的に強化すること。また、小中学生・高校生への学校における自転車安全利用の啓発活動を強めること。あわせて飲食宅配代行サービスの配達員による自転車走行中の事故や交通トラブルは各地で相次いでおり、指導や啓発とともに、引き続き事業者と共同した交通安全教室の実施などをおこなうこと。

(13)水道・下水道

  • 新型コロナ危機の下、景気の低迷と生活の困難が長期に及んでいるところに急激な物価高騰が襲いかかっており、市民生活、中小企業の業況等は、なお厳しい状況にある中、水道料金は市民に重い負担となってのしかかっている。本市は、水道料金の減免を求める市民の声に対し、企業債残高の増大を招くなどと言い訳をしてきているが、2021年度は企業債残高を計画以上に約15億円も縮減しており、問題は市民生活を守る立場に立つかどうかである。現に多額の負債を抱えていながら、減免に踏み出した自治体は、福岡都市圏では5市町、政令指定都市では6市ある。本市でも、特別の減免措置を講じること。
  • 本市は、水道料金と下水道料金に減免制度がそもそもない。他都市に倣ってつくること。また、生活保護利用世帯への下水道使用料の減免制度を復活させること。
  • 水道事業は、安全・安心・安定的な水供給によって、憲法の生存権を保障するものであり、地方公共団体主体で健全な運営がなされるよう現行のまま直営を堅持し、民営化や広域化は行わないこと。
  • 水道配水管の耐震化率は2021年度末で60.6%であり、残されている配水管の耐震改修について、現行の年間45kmの更新ペースでは完了まであと35年間もかかるため、さらに早めるよう計画を見直すこと。また、災害時などに水を供給しなければならない重要給水施設として414か所を指定し耐震ネットワーク工事を進めているが、いまだ救急告示病院である今津日赤病院など13か所が未整備であり、工事を急ぐこと。さらに、この耐震ネットワークの対象となっていない避難所も多くあり、対象施設を抜本的に増やすこと。あわせて、本市の下水道管も67%が未耐震であり、早急に改善すること。
  • 本市の1日最大給水量45万4833㎥に対し施設能力は78万987㎥あり、すでに過剰である。一方、1日の生産水量5万㎥の福岡地区水道企業団の海水淡水化施設は、年間約25億円の維持管理費等の経費をかけながら、実際の生産水量は、2013年以降、1日平均生産水量が施設能力の半分の2.5万㎥を超えた年がなく、日量1万㎥の五ケ山ダムからの用水供給開始で稼働する必要はない。それにもかかわらず、地区水道企業団の計画では、2022年から2027年にさらに155億円をかけて設備更新をしようとしており、これはムダづかいにほかならない。したがって、海淡施設は廃止するよう企業団に強く求めること。
  • 猛毒のダイオキシンを生成する2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(除草剤)が、1971年に林野庁によって五ケ山ダムの上流域の佐賀県吉野ヶ里町に945㎏が埋められたままになっている問題で、国は、埋設された除草剤の撤去へ方針転換した。国に対し、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸の安全かつ速やかな撤去を強く要望すること。

(14)防災

  • 本市「地域防災計画」の基本理念には「市民、企業、NPOとの共創」などとして「自助、共助」をことさら強調し公的責任を明記していない。市民に防災の対策義務を押しつけるのではなく、市の責任で、地域防災力の向上に取り組むよう改めること。
  • 「福岡市地域強靭化計画」には、被災後の都市のイメージの回復、福岡市のブランド力の確保・向上策として、平時から都市のブランド力向上を行うことやMICE誘致、開催支援策を推進していくなど、災害対策とは関係のない事業も入っており、見直すこと。
  • 避難
    • 2022年9月の台風14号の接近に、14万792世帯、29万5237人に土砂災害や河川氾濫、高潮のおそれがあるとして避難指示を出した。しかしながら、実際に避難した住民は1206人であり、避難すべき住民の0.4%程度しか避難していない。市民に避難に関する情報が速やかに伝わり、実際の避難行動に結びつくよう調査・研究すること。
    • 市の指定避難所数は一次避難所と収容避難所を合わせても435か所しかなく、コロナ禍を踏まえ、1人当たりの面積を4㎡確保すれば、最大で避難者は10万1000人しか収容できない状況であり、大規模災害が発生すれば避難してきた市民を収容することができない事態となることは明らかである。抜本的に避難所の増設をはかるとともに、不足分を公共施設や地域の集会所などで補足する計画を立てること。
    • 九州で最も地震発生確率が高い警固断層が活動しても、避難者数を2万5000人としか想定しておらず、都心部の人口・勤労者・来街者は増加しており、考えられる最大規模の災害にともなう数に見直すこと。
    • 避難所における人権やプライバシーを守るために必要な間仕切りは1校区あたり10セット、避難所用テントは20台しか備蓄していない。また、避難者の健康維持のための段ボールベッドの備蓄はしておらず、民間まかせとなっている。国からの支援や民間企業との協定だけでは、いつ必要な物資が届くのかわからず、避難直後から避難者のプライバシーや健康を守るために、市として必要数を備蓄すること。また、食料や水の備蓄は3日分しかなく、公的備蓄は抜本的に増やすこと。
    • 避難所における性的少数者(LGBT)に対する対応が進んでいない。災害時に性的少数者が直面する課題に対応するため、更衣室や入浴施設は、ひとりずつ使える時間帯を設定や下着、生理用品、ヒゲソリなど、男女別の物資は、個別に届けられるような仕組みを作るなどの対応策を検討すること。
    • パソコンやスマートフォン等を活用することができない高齢者などには、災害時に自分のいる地域でどういう被害が起きるのか、精確に知ることができない。ハザードマップや揺れやすさマップについて、全区1本のものが配布されているが、具体的な危険箇所は、きわめてわかりにくい。避難経路や避難場所はどこかなどが誰にでも理解できるようにすることが求められている。地域まかせではなく、市の責任で校区ごとのマップを作成し、全世帯に配布すること。また、浸水については、二級河川地域のマップしかなく、準用河川である地域も法律で周知する対象であり、ハザードマップに明記すること。
    • 避難所によっては、情報が入手できないところもあり、テレビやラジオを設置し、改善すること。また、快適に過ごすことができるよう畳などを設置すること。収容避難所には、冷暖房を付けるとともに、トイレは主として洋式に改修すること。また、避難直後から使用できるように、いすやベッドなどの備品をそろえるとともに、衣類やあたたかい食料・弁当が避難者にいきわたるようにすること。
    • 福祉避難所については障害者や高齢者などの避難所としての機能を発揮できるよう万全を期すことが求められている。現在147か所を指定しているが、施設が被災し使用できない場合も想定し、指定箇所を抜本的に増やすこと。また、障害者や高齢者などの要配慮者が避難所をたらいまわしにされないように、直接、福祉避難所への避難も検討すること。停電に備え、高齢者施設などに非常用自家発電設備の設置をすすめるために市独自の補助制度をつくること。また、発電機等に必要な燃料の確保を市の責任で進めること。「避難行動要支援者名簿」に登録されている人のうち、避難計画が立てられているのは6.6%に過ぎないのは大問題である。名簿登録から漏れている方も含めて、避難誘導、具体的な移動の手段の手配などについて、通常時からきめ細かい個別計画を市の責任で策定するなどして対策を強化すること。被災時に施設運営で一番の課題となる職員不足については、協定を結んでいる他都市などとの協議を進め、福祉避難所に対する受け入れ体制を事前に確立すること。
    • 災害時の被災者とペットが一緒に避難行動をとる「同行避難」について、現場で混乱が起きないように、環境省が策定している「人とペットの災害対策ガイドライン」を、市民や避難所を運営する人、市の職員に周知徹底すること。
    • 津波ハザードマップについて、避難の方向の記載はあるものの、区域内で避難できる高いビルなどが記載されていない。必要な津波避難ビルを確保し、ハザードマップに記載すること。また、避難ビルの認証シールやオートロック対策など実効性ある対策を早急にとること。
    • 年々集中豪雨の発生などによる危険が高まっているもとで、県が指定する市内の土石流災害にかかる特別警戒区域を含む警戒区域380件のうちハード事業が実施されているのは、わずか5件、1.3%、急傾斜地崩壊における特別警戒区域を含む警戒区域1397件 のうち、わずか4件、0.2%となっている。県に対して、ハード事業の大幅な前倒しを実施するよう求めるとともに、市としても安全確保の対策をおこなうこと。
  • 木造戸建住宅の耐震化の助成制度については、対象外とされている1981年以後の住宅も対象とすること。市内の共同住宅の耐震診断と耐震改修助成の制度については、適用もほとんどされておらず、助成要件も緩和して抜本的に金額を引き上げ、制度の周知・広報も強めること。また、人命確保のための耐震ドア、窓や屋根の補強だけでも助成を活用できるようにすること。
  • 自然災害で住宅が壊れた人に支援金を支給する被災者生活再建支援法について、最大でも300万円と少ない上に、「一部損壊」は対象外にされている。緊急に500万円に引き上げるとともに、被災の実情に応じた支援ができるように、額も対象も拡充することを国に求めること。また、本市の災害見舞金は、住家の全壊でも最高で6万円となっており、抜本的に引き上げること。
  • 県が管理する市内の二級河川13水系のうち、整備計画がある河川はわずか6水系しかなく、すべての2級河川の整備計画の策定を求めること。2009年の水害で市内の二級河川は、8河川、21か所において溢水が生じた。河床掘削、老朽化した護岸のかさ上げ・改修などの氾濫防止対策を急ぐよう県に要請すること。また、1999年6月の豪雨で周辺地域に大きな被害をもたらした七隈川の未整備部分の整備を早急に行うこと。必要な河川には農業用ため池を治水池へ転用し雨水流出抑制を強化し、市有地や公園などの公的施設を活用して地下貯水施設等を設置すること。さらに、急激な浸水を避けるため、越水してもすぐに破壊しない耐越水堤防を整備し、避難する時間が確保できる対策を強めること。あわせて、バックウォーターや内水氾濫対策、浸水が予測される箇所のかさ上げ、バイパス雨水管などの整備、河床掘削や護岸整備を行うこと。
  • 人的被害を与える可能性のある防災重点ため池は市内で250か所あり、2021年度から防災工事のための調査が開始された。2020年度、82か所の市街化区域にある、ため池について調査を行った結果、7割について対応能力が不足していることが明らかとなった。災害を伴う大雨は毎年のように発生しており、調査や防災工事を早急に完了させるための財政措置を国に求めるとともに、市独自でも調査、工事をすすめること。また、防災重点以外のため池についても、耐震性や豪雨による洪水の危険性などの調査点検を行い、ハザードマップの策定や暫定的な避難方法の住民周知をすること。
  • 福岡市は玄海原発から約35~60km圏内に位置しており、「福岡市地域防災計画」(原子力災害対策編)では実効性のある避難計画の策定が求められるが、屋内避難を基本としているため地震などの複合的な原子力災害に対応できていない。全市民の放射能被害を想定し、福岡市から他の都市への避難を含めた計画を立てること。

(15)消防

  • コロナ感染の拡大における救急活動は、救急隊員が防護服を脱げないまま休息を取ったり、搬送先が見つからず時間がかかったりするなど、さらなる負担を強いており、現場は疲弊しているのが実態である。本市の救急要員は、国の指針に照らして90.7%と依然として充足率が低い。抜本的に予算を増額して、救急隊員を増やすこと。
  • 2021年度の一般会計の歳出に占める消防費の予算の構成比は1.2%しかなく、4年連続で政令市最低となっている。また、本市の消防本部職員1人当たりの管轄人口は1458人であり、京都市や大阪市のほぼ2倍という状況は異常である。これらのことにより、本市の消防の体制は、国の指針に照らして、ポンプ車2台が足りず、人員は71人も不足しており、特に査察を行う予防要員は86.9%と充足率があまりにも低すぎる。抜本的に予算を増額し、早急に「消防力の整備指針」に基づき、消防機材も人員も100%充足すること。
  • 2021年度の消防局におけるハラスメント事例はゼロだとしているが、この問題は表に出にくく泣き寝入りしている例がありうるとして、対応するべきである。日頃からの署内での人権侵害、パワハラ等の根絶に向けた取り組みをさらに強めること。また消防職場での暴力・パワハラ・セクハラに対応するために、弁護士など第三者が参加する機関を設置すること。
  • 消防組織に女性消防吏員を増加させることは、子どもや高齢者、災害時の要支援者など、様々な状況にある多様な住民への対応力が向上するとともに、多様な視点でものごとを捉える組織風土、育児・介護などそれぞれ異なる事情を持っていることを組織や同僚が理解し支援する組織風土が醸成されることにより、組織の活性化、組織力の強化、士気の向上が図られるとして、消防庁は2026年までに全国で女性消防吏員比率を5%に引き上げる目標をしめしている。しかし本市の女性消防吏員の割合は3.3%に過ぎず、現状のままでは達成を見込めない。したがって、女性が安心して働ける職場環境づくりに努め、女性の活躍の場が広がることによる新たな課題や問題点にも柔軟に対応するなどして、女性消防吏員を目標に照らして計画的に増やすこと。

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4、気候危機打開へ、地域と地球の環境守る先頭に

(1)気候危機打開・エネルギー

地球温暖化の影響で、毎年のように世界で、また日本でも、命がおびやかされる酷暑、豪雨や巨大台風による甚大な災害が起こる非常事態となっている。気候危機への抜本的対策はもはや一刻の猶予もないほど深刻さを増している。

  • 政府は2050年までに温室効果ガス排出ゼロを宣言したが、2030年度の削減目標は「2013年度比で46%削減」で、これは2010年比にすると42%減であり、国連が示した「2030年までに2010年比45%減」という全世界平均よりも低い。2050年実質ゼロを目指すには2030年までにCO²を50~60%削減することが必要であり、この立場で本市として計画の見直しを国に求めること。また、温室効果ガスを大量に排出する石炭火力依存をやめ、国連が提起しているとおり2030年にゼロとするよう国に求めること。さらに、エネルギー自給率の向上を国に求めること。
  • 本市は、2022年に「第5次福岡市地球温暖化対策実行計画」を策定し、政府よりも10年早い2040年度温室効果ガス実質ゼロを掲げ、あわせて市民の運動に押される中で「気候非常事態宣言」も行った。しかし実行計画は、エネルギー消費量の削減目標を持たない計画となっており、再生可能エネルギーの2030年度の導入目標も40万㎾のまま18年前の計画と1ミリも変わらない。このままでは2040ゼロは画餅に終わる恐れが強く、実行計画の抜本的な見直しが求められる。実行計画の「2030年50%削減」という目標を大幅に引き上げること。エネルギー消費量の削減目標について全体目標と分野ごとの目標を明確に持つこと。また、再エネ導入の新たな野心的な2030年度目標を持つこと。さらに市民の意欲、知恵、協力が反映できるようにするため、中高校生や大学生など若者をはじめ、広く市民や企業・団体が参加する推進協議会議などをつくり、計画の見直しと推進を図ること。
  • 「第5次福岡市地球温暖化対策実行計画」を、「福岡市基本計画」と並ぶ本市の上位計画と位置付け、全局横断型の体制で推進を図ること。
  • 本市の建築物等への太陽光発電は、環境省によれば各種再生可能エネルギー発電可能性量の中で最も多く年間4億7000万kWhとされている。市内建築物等への太陽光発電の積極的な導入を促進すること。
  • 福岡市には風力発電の利用可能なエネルギー量が約90万世帯分の年間約4600GWhもある。風力発電に対する位置づけを抜本的に据え直し、他都市の実践に倣い、自然環境に配慮する仕組みを盛り込んだ上で、風速7m/秒以上の海上などで積極的に取り組むこと。
  • 九州電力の再生可能エネルギーの出力抑制は2018年10月以来常態化しており、2021年度は82日にのぼった。このことにより“原発優先給電”の仕組みが再生可能エネルギー普及の最大の障害となっていることを示している。本市の西区大原と東区蒲田等の6か所のメガソーラー発電も大きな影響を受けており、再生可能エネルギー施策とも大きく矛盾する。したがって市はこれを電力の安定供給による仕方がないものとせず、九電と国に対して原発優先の「給電ルール」を見直し再生可能エネルギーを優先するよう強く要求すること。
  • 市役所本庁舎をはじめすべての公共施設で使用する電力を2030年までに100%再生可能エネルギーに転換すること。また、市有施設・市有地で太陽光や風力、小水力などの発電の活用を環境保全や住民の健康に配慮した上で抜本的に拡大すること。あわせて、本市の公用車については電気自動車化をすすめ、高速充電設備の野心的導入を図ること。
  • 政府は原子力政策について、昨年決定した「第6次エネルギー基本計画」から「可能な限り原発依存度を低減する」という文言を消し、代わりに原発再稼働の加速と運転期間延長や新増設を盛り込んでいる。原発はひとたび事故を起こせば、極めて広範な地域に、長期にわたって深刻な被害を及ぼす異質の危険がある。温暖化対策を口実に原発の再稼働、新増設に固執する岸田政権の方針に反対し、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現するよう、国に求めること。
  • 九州電力玄海原発3、4号機は原子力規制委員会の「新基準」の審査で合格し再稼働されているが、2020年12月の大阪地裁判決は、想定される地震の揺れ(基準値振動)が過少評価されているとし、原子力規制委員会の設置変更許可を取り消す判断をおこなっており、規制委員会の審査が安全を保障するものではないことが明らかになっている。したがって、市長は九電と国に対して、玄海原発の3、4号機の即時停止と早急な廃炉を強く要請すること。
  • 原発の再稼働に対する同意権や事前了承権を、30キロ圏内の周辺市町村に広げる取り組みが、東海第二原発や静岡県浜岡原発で始まり、全国的にも広がっている。一方、本市が九電と締結した「原子力安全協定」は、2次給水系事故などの報告義務が除外されているなど全く不十分である。また、玄海原発で起きた火災事故について九電から本市への第一報があったのは、2021年8月7日の事故では1時間12分後、11月16日の事故では1時間22分後である。この対応は、放射能が漏れるような事故が発生した時に、仮に風速6m/秒の西風の下ではすでに放射能が市内に到達している時間であり、あまりに遅すぎる。したがって、どんな微細な事故であってもすべてを直接福岡市へただちに連絡させるとともに、事故後対策だけでなく、再稼働にあたっての本市への事前説明と事前了解権、立ち入り調査権を認める内容を盛り込むよう「原子力安全協定」の見直しをすること。

(2)JR騒音

  • JR福岡貨物ターミナル駅では、貨車の連結やブレーキの音、リフトの作業音などが、深夜2時まで鳴りやまず、周辺住民の受忍限度を超えている。市は、日本貨物鉄道株式会社に対し、貨車の運行時間を夜12時までとし、深夜の騒音を伴う作業をやめるよう、国土交通省や環境省とも連携を図って同社に実行させるとともに、防音壁を設置させ騒音被害を軽減させること。
  • JR西日本の新幹線車両基地とJR九州新幹線とが分岐する南区弥永5丁目地域の騒音被害については、深夜2時近くまで騒音で周辺住民から苦情が寄せられている。弥永4丁目で止まっている防音壁を延長するなど、騒音防止の手立てを市としてJRに要請すること。

(3)干潟

今日、世界で、干潟は水の浄化など自然の恵みをもたらすものであり、温室効果ガスである二酸化炭素の吸収にも重要な役割を果たしており、保全が重視されてきている。昨年11月18日、鹿児島県出水市の干拓地一帯が、例年1万羽を超えるツルが飛来する国内最大の渡来地としてラムサール条約に登録され注目された。本市の和白干潟も、絶滅が心配されているクロツラヘラサギ・ズグロカモメ・ツクシガモなどが、餌となる貝、カニ、ゴカイなどの豊富な底生動物を求めてやってくる日本海側で最大規模の干潟である。永年にわたる和白干潟を守る保全活動は日本ユネスコ協会連盟から「未来遺産」に登録(2013年)され、2016年4月の環境省の「重要湿地」として発表された「ラムサール条約潜在候補地リスト」でも登録基準をクリアしている。本市として条約登録を「将来的な課題」とせず、登録に向けた地域住民の理解を速やかに得る手立てをとること。和白干潟の「特別保護地区」指定を国に申請し、ラムサール条約登録地にされるよう積極的な取組みを推進すること。



(4)ごみ

  • 家庭用ごみ袋は、最小が15Lであり、他市のような小さなサイズのごみ袋がない。ごみ袋の値段は、全国の市町村では1リットル当たり0.8円程度なのに福岡市では1円と全国平均よりも高い。また、国の有料化手引きでは「住民の受容性」も勘案し負担額の住民意向調査をするよう定められているにもかかわらず、物価高騰以後、本市は調査すら行っていない。したがって、家庭用ごみ袋については、他市のように小さなサイズのごみ袋を作り、レジ袋の代わりに1枚でも購入できるようにすること。また、ごみ袋代の値下げを行うこと。さらに、高齢者や障害者などを対象にした粗大ごみの持ち出しサービスは無料にすること。
  • 本市は「第5次福岡市一般廃棄物処理基本計画」において、2030年度のごみ処理量を53万tとするとしているが、これは全く現在の処理量と変わらないもので、減量する目標となっていない。「福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」第3条には、「市は、あらゆる施策を通じて、廃棄物の減量を推進する」と責務が謳われていることからも許されない。したがって、市は、ごみ処理量の抜本的な削減を明確にした目標とするよう「第5次基本計画」を見直すこと。
  • 海洋プラスチックごみをはじめプラごみ対策は、地球の将来がかかった大問題である。本市では、年間10万6000tのプラスチック類が焼却処理され、再生利用されているのは瓶と合わせて1万1000t程度である。そもそもプラスチックの焼却は化石燃料を燃やすことと同じであり、二酸化炭素排出により温暖化への深刻な影響を与えるものである。本市の家庭系プラスチックごみの焼却量を2030年度までにわずか3000tだけ減らす「第5次基本計画」は、2040年カーボンニュートラルとの整合性がない。したがって、本市の廃プラスチック対策を抜本的に強化し、“焼却中心主義”から脱却し、プラスチックごみを出さないシステムの確立をめざすこと。
  • 家庭ごみの収集運搬労働者は、コロナ禍の下でエッセンシャルワーカーとしてコロナ感染の不安を抱きながら業務をしているが、人口も処理量も増え仕事も増えているにもかかわらず、その賃金は低水準に据え置かれており、委託企業の多くで定期昇給がない。夜間戸別収集を維持・継続するためには、委託労働者の雇用の安定と労働条件の改善は不可欠である。したがって、市が危険手当として特別給付金を出すとともに、全職員がPCR検査等を定期的に受けられる予算を確保すること。また委託料の算定にあたっては、委託労働者の基本給や各種手当を増額し、労働条件の改善を図るよう市が責任を持って委託企業を指導すること。

(5)盛土

昨年7月に発生した静岡県熱海市の大規模土石流では、盛土を造成した事業者を管理し、工事を停止させることができなかった過失が熱海市にあるとして、裁判等で行政上の責任が問われている。さらに、西区今宿青木字油坂におけるソーラーパネル設置のための盛土造成については、本市のこれまで指導・監督が極めて杜撰であったことが明らかとなっている。したがって、本市でも、危険な盛土の総点検と情報開示をおこない、緊急な安全対策を急ぐこと。また、土砂災害特別警戒区域には盛土をさせないことを「福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例」に盛り込み、違法な盛土造成への規制を強化すること。


(6)緑・樹木

  • 須崎公園から雁の巣レクリエーションセンターに移植された樹木の保全を求める住民請願が出されている。ところが、市の「都市緑化マニュアル」では「海岸より500m以内では、潮風の影響をかなり受けるので、潮風に耐えられる樹種を選定します」と定めてあるにも関わらず、雁の巣レクリエーションセンターで海岸から500m以内に移植された161本のうち3割近くが耐潮性の弱いものであったことが請願審査で判明し、市のずさんな管理が浮き彫りになった。「都市緑化マニュアル」に沿ったものへと公園行政の見直しを行い、樹木の適切な管理・保全を徹底すること。
  • 「新・緑の基本計画」は目標年次が2020年であり、新しい計画を求める声が上がっているにも関わらず、計画改定の予定は未定である。市民の意見を反映させた、政府よりも10年早く温室効果ガス排出実質ゼロにするという本市の脱炭素目標に見合った形で、樹木の保全及び緑化の推進をする計画への改定を速やかに行うこと。

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5、コロナ危機に苦しむ中小企業、農林水産業を支援し、地域経済の立て直しを

(1)中小企業・小規模事業者・地域経済

  • コロナの第7波によって、戻りかけていた客が戻ってこない、建設資材や半導体などの海外からの部品の調達が滞っているなど、市内の中小業者は苦しい経営を余儀なくされている。福岡市中小企業振興審議会に提出された「中小企業振興に関するアンケート」では、2021年度とコロナ前の19年度との売り上げ比較について、7割強の業者が「コロナ前水準に至らず」となっている。コロナで苦境に喘ぐ中小零細業者の事業継続、経営回復のために支援策を充実させること。
  • 本市の「中小企業振興に関するアンケート」では、物価高騰について「影響が出ている」との回答が約7割に上っている。全国商工団体連合会のアンケートでは、原材料や仕入れ値の上昇分を76%の業者が価格に転嫁できていないとの結果が出ている。「燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援」制度は要件が実態とかけ離れており使えない。物価高騰で影響受けている中小業者の経営を守るために、市独自の支援をさらに行うこと。
  • 「ゼロゼロ融資」の返済が本格的に始まるが、コロナ危機が継続しているうえに、物価高騰が襲いかかってきており、返済に窮し、倒産・廃業に追い込まれる中小業者が急増することが危惧される。返済が困難な業者には返済計画の変更など柔軟に対応するように金融機関等に求めること。また国に対して「ゼロゼロ融資」の返済を免除するよう求めること。
  • インボイス制度が導入されれば、煩雑な事務作業の発生、免税業者から課税業者になることによる経営悪化を招き、多くの中小業者、フリーランスなどの倒産・廃業を引き起こす。またインボイス登録業者でないと公共事業の入札に参加できなくする自治体が出るなど問題点は山積している。国にインボイス制度の中止を求めること。
  • 中小企業政策を創業、急成長型のベンチャー支援など特定の業種に重点化せず、現存する企業、雇用を守ることに改めること。本市の経済と雇用を支えている中小企業・小規模企業者向けの振興予算を抜本的に増やすこと。
  • 「中小企業者の実態の把握」(中小企業振興条例第4条)の一環として、小規模企業者に特化した実態調査を実施すること。中小企業者や小規模企業者の意見を反映させるために、中小企業振興審議会の回数を増やし、部会を作るなどして、より専門的な活動ができるようにすること。審議委員に小規模企業者の代表を参加させること。
  • 地場中小企業・小規模企業の仕事づくりにつながる用途の制限がない住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム支援制度を創設すること。
  • 中小企業にとっても、脱炭素の取り組みは光熱費・燃料費削減などのコスト面だけでなく売り上げの拡大、融資獲得といった事業の成長につながる。「省エネ投資」のための脱炭素の取り組みを支援すること。省エネ効果の高い、断熱のための住宅リフォーム助成制度は地元の中小業者の仕事づくりにもなる。国・県の制度に横出し・上乗せするなど市独自の制度をつくること。
  • 競争入札資格のない未登録業者に対して、自治体が建設工事や修繕工事等を発注する小規模工事登録制度を実施すること。
  • 1億円以上の発注をした公共工事施工業者に対して行っている「令和4年度官公需に関するアンケート調査結果」によると発注金額のうち地場中小企業の割合は約8%、地場小規模企業者にいたっては約1%に過ぎない。実態調査を行い現状を正確に把握するとともに公共事業を地元中小企業、特に小規模企業者へ優先して発注すること。
  • 人工島へ延伸した都市高速道路建設の受注は中小企業がわずか18%、一方、南区の学校改修工事の場合は100%の例に見られるように、大型公共事業よりも生活密着型の公共事業の方が中小企業に仕事が回るのは明らかである。公共事業の在り方を生活密着型に改めて中小企業の仕事を増やし、地場中小企業者・地場小規模企業者向けの発注割合を増やすこと。
  • 市発注の公共事業の下請け、孫請けの賃金について、国から依頼された調査結果を準用して設計労務単価が支払われているかを調査するとともに抜き打ちでの調査も行うこと。あわせて、事業主が負担すべき必要経費(法定福利費、安全管理費)が適切に支払われていることも調べること。また、調査に基づいて指導すること。
  • 国が公契約に関する法整備を怠っている状態を放置することは許されず、本市の仕事を受注する企業に人間らしく働ける賃金と労働条件を義務づける公契約条例の制定をすすめること。
  • 自営業・農業において、妻など家族従業者への給与を必要経費として認めない所得税法第56条は国連女性差別撤廃委員会からも見直し・検討を求められている。廃止するよう国に求めること。

(2)雇用・労働

  • 過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにする働かせ方を強いる企業が少なくない。労働問題を県や国に任せるだけでなく、専門職員を配置した労働相談窓口を各区につくり、街頭相談や電話やSNSを使った相談を実施すること。調査、相談、啓発を網羅した、違法・脱法的な働き方をなくすための条例をつくること。
  • 「働くあなたのガイドブック」は、抜本的に作成部数を増やすとともに、どのように配布し活用されているのかを把握すること。また、「働くあなたのリーフレット」を市内の高校、専門学校生、大学生全員に渡せるように作成部数を増やすとともに、労働者向けリーフレットを作成すること。

(3)農林水産

  • 原油高騰の影響を受けている農業者、漁業者を支える市独自の施策を緊急に講ずること。
  • 本市の農家の経営主の平均年齢が72.9歳となっている。農家戸数及び農業従事者数についても、依然として減少傾向が続いている。農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすこと。
  • これ以上耕作放棄地を増やさない手立てをとるとともに、活用については市民農園や体験農業、学校農園、農業ボランティアなどさまざまなチャンネルで市民の多くが農業・農村にふれ、生産にかかわる取り組みができるようにすること。
  • 肥料原料の輸入価格の高騰を受けてJA全農が秋の肥料価格について最大94%の値上げを発表して農家に衝撃を広げている。農家の営農を支えるため、肥料価格の高騰分を農家に直接補てんする緊急対策を実施すること。
  • 有機農業の拡大のために、安定した販路の確保が必要である。そのために、学校・保育園・幼稚園の給食の食材に地元の有機農産物が採用されるように、有機にふさわしい価格で買い取り、その際の掛かり増しの経費を市が補助すること。
  • 有害鳥獣による農作物への被害額は3723万円となっており影響は依然大きい。被害の多くを占めるイノシシ対策のためワイヤーメッシュ、電気柵の設置など予算を増やすこと。
  • コロナ禍のもと、漁価の下落、販売量の低迷などで漁業従事者の暮らしと経営が悪化しているため支援を充実すること。
  • 生物の生息・生育に適した水質・底質環境を成立させ、多様な生物が保全される博多湾になるように漁協が行っている漁場保全・環境改善活動への支援を拡充すること。離島漁業再生活動促進事業での支援を継続・拡充すること。
  • 市内産木材を使用した住宅建設や改修に対してインセンティブを与え、地元木材の利用・販売促進に努めること。また、市公共施設における木材使用量を増やすために利用促進を義務付ける条例を制定すること。

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6、すべての子どもの権利、個人の尊厳を大切にする教育・学校に

(1)過大規模校などの教育環境

  • 2022年度は小学校20校、中学校6校が31学級以上の過大規模校になっている。子どもたちはプレハブでの学校生活を余儀なくされ、運動場で思いきり遊ぶこともできず、全員が参加する学校行事さえも難しくなっている。また、特別教室が足りず理科室で美術の授業が行われたり、床面積が基準以下である部屋を特別支援教室として使用せざるを得なかったりと教育環境の悪化は深刻である。文部科学省は過大規模校の状態は速やかに解消することとしているが、「福岡市小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針」では、過大規模の状態が一定期間継続しない限り、適正化の手だてを講じないことになっており問題である。この方針を改定し、学校用地を確保して分離・新設をするなど、早急に過大規模校を解消するためのあらゆる手立てを尽くすこと。
  • 東区の人工島では照葉北小学校が開設年度に教室が不足する見込みとなり、新設小学校の設置が決まり、中央区では六本松九大跡地に大型マンションが建設されて草ヶ江小学校が過大規模校になるなど、特定の地域における極端な人口流入とマンション開発を野放しにして抑制する手立てをとってこなかった教育委員会の責任は重大である。このような人口急増を見越した学校用地の確保すら行わないという無計画なまちづくりによって、子どもたちの教育環境が犠牲にされており許されない。これ以上、過大規模校を生み出さないために、無秩序な開発行為を中止し、他都市の事例に倣って、良好な教育環境を守る立場から、教育委員会の責任で開発行為を規制するしくみを策定すること。
  • 多くの市民と教育関係者等による長年の運動によって普通教室に続き、特別教室にもエアコンの設置が実現した。一方で、毎日使用する印刷室や給食の受所、相談室やPTA会議室などの諸室には整備されていないところが残されている。PTAが設置費用を出すところもあるとのことだが、これは教育委員会の怠慢である。このような諸室についてもただちにエアコンを設置すること。
  • 猛暑による熱中症予防のために、体育の授業や学校行事が体育館で行えず、教育活動に支障を来している。また、体育館は災害時の避難所としても活用されることからエアコン設置を求める声が強くなっている。文科省は、2025年度まで延長されている「緊急防災・減災事業債」などを活用して体育館へのエアコン設置を促している。教育委員会は、断熱構造の問題と多額の経費を言い訳にして頑なに設置を拒否する姿勢を改めて、今後新設される学校の体育館にはエアコンを設置する計画とするとともに、既存校にも順次設置する計画を策定すること。
  • 2022年度、車いすを常時使用するなどの要配慮児童生徒が在籍する学校にエレベーターを設置するための調査経費が計上された。児童生徒の安全確保、教員等の負担軽減、学校のバリアフリー化を促進するためにも、全ての小中学校へエレベーターを設置する計画を策定するとともに、要配慮児童生徒が在籍する学校への設置を急ぐこと。
  • 学校のリフォームである大規模改造は、築30年以上が対象となっているが、未だに一度も実施されていない学校が50校も残されている。博多区の千代小学校などでは、教室の入口に大きな段差があり、廊下の洗面所の奥行きが狭いため非接触型水洗に取り換えられて以降、水が斜めに強く出るので子どもの服にかかり、廊下は水浸しになるときもある。大規模改造の改修ペースを引き上げ、未実施校については必要な予算を確保して早急に大規模改造を行うこと。
  • 公共施設を考える会の学校ウォッチングにおいて、学校のトイレ不足問題が毎年指摘されている。中央区の警固中学校では、普通教室が8クラスある3階フロアにトイレがひとつもない。しかし、この状態は教育委員会が定める「不備便所」の定義には該当しない。「不備便所」の定義を改めるとともに、あらゆる手立てを駆使して必要なトイレをただちに増設すること。また、トイレの洋式化について22年度末までに約70%の進捗状況であるが、2030年までに完了させるという計画を大幅に前倒して整備すること。あわせてトイレの乾式化を進め、外から丸見えにならないよう扉やカーテン等を設置すること。
  • 学校施設ブロック塀改修事業として、道路に面した危険なブロック塀を優先的に改修しているが、昨年度末までに11kmが完了し、依然として19kmの改修が残されている。予算を増額して速やかに改修すること。学校ウォッチングでは、学校内に危険なブロック塀があることも報告されている。速やかに調査、改修すること。また、通学路における危険なブロック塀については、補助事業の対象を抜本的に広げ、補助額を増額して、積極的に周知するとともに、危険なブロック塀の除去を早急に進めること。
  • 学校プールについて、日除けはあるが破れている、プールサイドが熱すぎて危険、周りの住宅や高層マンションから丸見えなど改善すべき点が毎年のように寄せられている。学校教育における水泳授業の意義は大きく、必要な予算を確保して、速やかに改修すること。
  • 公共施設を考える会の調査では、各学校において日常的に施設管理や維持に努めていればすぐに修繕できる軽微なものも多数報告されている。よって、学校用務員の配置を拠点校方式とせず、各校1人ずつ配置すること。
  • 公共施設を考える会の調査では、アスベスト含有が疑われる波形スレートやPタイルの剥がれや劣化が指摘されている。アスベストの飛散が生じていないか点検し、ある程度の劣化が認められる箇所については破損等を待たずに速やかに補修を行うとともに、「ゼロ・アスベスト」の早急な実施計画を策定すること。

(2)学校給食

  • 子どもの健全な成長を保障し、栄養をしっかり取れる学校給食は教育の一環として、すべての子どもにとって重要である。2022年10月から青森市で、来春から東京都葛飾区が小中学校の給食費無償化に踏み出す。政令市でも大阪市がコロナ禍の経済対策として無償化を実施してきたが、恒久化する方針である。日本国憲法第26条は義務教育の無償を定め、岸田首相は国会で、学校給食法は自治体が給食費の一部補助や無償化を行うことを妨げるものではないと答弁しているように、学校給食費を無償とすることは行政の責務である。コロナ禍が続くなかで深刻な物価高騰が直撃しており、子育て世帯の負担軽減のためにも学校給食費の無償化を実施すること。
  • 2021年度の中学校の給食時間が平均で34分、喫食時間が平均で21分である。しかし、現場では授業が長引いたり、準備に手間取ったりして喫食時間が10分以下になる場合も少なくない。時間が短いために精神的に追い詰められ、摂食障害になるなど個別の配慮が十分になされていないケースもある。教職員からも給食時間は短すぎるという声があがっている。生徒が実情を訴えやすいように喫食時間についての特別なアンケートをとるなど実態を把握し、十分な個別的配慮を講じるとともに、学校が必要と判断すれば、給食・喫食時間を長くすること。
  • 小学校の給食室へのエアコン設置は、2022年度末で55校に過ぎない。猛暑の中で、適切な温度を超える環境での調理業務は深刻である。学校給食室にも準用される「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、調理場の温度は25℃以下に保つことが望ましいとされている。引き続き、給食室の温度の実態把握に努めるとともに、大規模改造を待たずに、速やかにすべての給食室へエアコンを設置すること。
  • 今年5月に第3給食センターで「包丁の破片」が混入した疑いでスープを全廃棄する事態となった。給食センターにおける異物混入の件数は年々増加しており、特に第3給食センターが最も多く、昨年度は22件となっている。大量調理による深刻な過重労働は安心安全の給食に影響が出ることが懸念され、調理員の待遇は学校給食公社よりも悪化している。異物混入をゼロにするために安全管理を徹底するとともに、調理員の待遇改善を行うようPFI事業者を指導すること。
  • 小学校給食の民間委託は中止し、現行の非常勤嘱託員制度を改め、文科省の基準以上の人員を市の正規職員として配置し、直営で行うこと。
  • 安全で豊かな学校給食のため、給食の地産地消をすすめるとともに、有機野菜を活用すること。栄養教諭をすべての学校に1人配置すること。

(3)学校におけるコロナ対策

新型コロナウイルスは、オミクロン株などへの変異を繰り返し、これまでにない感染爆発となった第7波では、ほとんどの学校で学級閉鎖が相次いだ。そして今冬は、第8波でのさらなる感染拡大と季節性インフルエンザの同時流行の懸念も高まっており、学校におけるコロナ感染対策の抜本的強化が求められている。学校での感染拡大を未然に防ぐために、教育委員会の責任で教職員や子どもへの週2回程度のスクリーニング検査を実施するとともに、抗原検査キット等を子どもを通じて配布し、家庭でも必要な時に検査ができる体制を整備すること。さらに、陽性者が1人でも確認された場合は、学級全体あるいは学年全体など対象を広く、PCR検査等を実施すること。



(4)少人数学級

教育委員会は、2022年度から小中学校全学年で35人以下学級を本格実施した。しかし、学級増に見合う教員の増員が行われず、担任外教員を担任に振り替えて対応しているため、少人数学級の教育的効果が発揮されていない。膨大な業務に加え、長引くコロナ対策にも追われ、マンパワーが圧倒的に足りないと現場から悲鳴があがっている。コロナ禍の中で不安とストレスを抱えた子ども一人ひとりに寄り添いながらゆとりある手厚い教育を実現し、少人数学級の効果をさらに高めるために、非常勤講師ではなく正規教員を抜本的に増やすための市独自の必要な予算を確保すること。あわせて、将来的に20~30人程度の少人数学級を実現するための法改正や予算の増額を国に求めること。



(5)教育予算

一般会計の約7%にとどまっている本市の教育予算(権限委譲分は除く)は、抜本的に増額すること。



(6)福岡市教育振興基本計画

第2次福岡市教育振興基本計画は、抜本的な教員増や特別支援教育の教員の加配、遅れている大規模改造や体育館へのエアコン設置等の教育環境の整備などが抜け落ちており、低学年からの英語教育の押しつけや財界要求のグローバル人材育成を強調する歪んだものとなっている。昨年度に次期計画策定の参考にする「教育意識調査」が実施されたが、グローバル人材育成のための英語教育の推進について、教員の回答では優先順位が低く、コロナ禍のなかで、子ども一人ひとりの人権や尊厳を尊重した教育が優先順位のトップである。よって、コロナ禍でストレスをため込んだ子どもに寄り添い、憲法や子どもの権利条約に基づいて、子どもの人権と尊厳が尊重され、教育の目的である人格の完成が土台に据えられた計画へと抜本的に見直すこと。



(7)ICT教育

  • 教育におけるICTの活用は必要なことであるが、現場では「AIドリルをつかったゲーム感覚での学びは学びといえるのか」「タブレットの使用時間が授業や教員の評価につながるのでは」などの懸念の声が出されている。ICTは、授業の中で、子ども同士や子どもたちと教員の生きたやりとりを補助する道具のひとつであり、どのように活用するかは教員の判断に委ねられるべきである。子どもの実態に応じた自由で主体的な教員の授業づくりこそ奨励し、事実上のICT活用の強制を見直すこと。
  • タブレットをほぼ毎日家庭に持ち帰っている学校が小学校69校、中学校49校となっている。AIドリルを活用しての家庭学習が進められ、その練習問題の結果や家庭学習の時間等が「学習ログ」として蓄積される。今年度に教育ビッグデータ活用調査検討業務委託がなされ、子どもの学習履歴に加え、健康状況や家庭の経済状況などを集約し分析・利活用することが検討されている。子どもの個人情報を民間の教育産業に安易に提供することは問題であり、中止すること。
  • タブレット端末の家庭への持ち帰り頻度が増え、充電保管庫が使われていない実態がある。早良区のある中学校では、「充電保管庫」の設置により、給食の配膳台を廊下に置かざるを得なくなり、教育活動や緊急時の避難などに支障を来している。そのような状況は把握していないとする無責任な姿勢は許されず、実態を調査するとともに、必要な手立てを講じること。
  • デジタル教科書の導入が進められている。デジタル教科書は、思考力を阻害したり、健康被害が生じたりという懸念がある。海外では、いったん導入しても健康被害と教育効果の観点から紙の教科書に戻すケースも生まれている。視力障害のある子どもにとって見やすくなるという利点はあるが、全面的な導入については科学的な知見を踏まえて慎重に検討すること。
  • 教員にとってICTの技術取得のための研修が、コロナ対策などの業務過多の中で大きな負担となっている。ICT支援員については月2回の配置ではなく、各校に1人ずつ配置すること。
  • タブレット学習やオンライン授業などが頻繁に行われることにより、子どもの視力の低下やネット依存などの健康被害が懸念されている。子どもの健康上配慮すべき留意事項を整理して各学校に示すとともに、健康を損なわない適切な活用を徹底すること。

(8)教職員の働き方

文部科学省が行った教師不足に関する実態調査によると、昨年4月1日時点で、全国の小中高特別支援学校で2558人の教員が未配置という深刻な実態が明らかとなった。本市でも小学校が7人、中学校が38人、高等学校が1人、特別支援学校が4人未配置となっており、担任が決まらないなど教育行政として最低限の条件整備すら果たせていない重大な事態である。過労死寸前まで追い込む異常な長時間労働の解消と過大な業務の削減のためにも、教職員を抜本的に増やすことが求められている。

  • 2021年度、教育委員会が定める教員の時間外在校等時間の上限の目安である「月45時間以下」の割合は小学校67.0%、中学校62.1%にとどまり、過労死ラインを超える「月80時間以上」の割合は、小学校3.1%、中学校5.4%であり、最長は223時間となるなど依然として深刻な長時間労働である。また、本市の2021年度の病気休職者数は過去最多となり、精神疾患での休職も最多の146人となった。新型コロナ対応だけでなく、業務は増え続け、肉体的にも精神的にも追い詰められている実態がある。代替教員の配置が遅れ、現場にさらなる負担が生じている。教員定数を抜本的に増やすよう国に求めるとともに、市独自に正規教員とスタッフの採用を大幅に増やし、業務の削減を図るなど、長時間労働是正のためにあらゆる手立てをとること。1日の労働時間を10時間まで可能とする「1年単位の変形労働時間制」は、現在の長時間労働にお墨付きを与え、固定化させてしまうものであり導入しないこと。
  • 学習指導要領に定められた年間の標準授業時間数は、あくまで目安の数字であり、必ずしもその時間数を実施する必要はない。子どもの実態を踏まえた教育内容を精選するよう指導・助言し、学校が授業時間数を減らすことは可能である。また、教員の持ち時間の上限は、もともと所定の勤務時間で仕事が終わるように国が設定した「教員一人で1日4コマ(小学校で週20コマ、中学校で週18コマ)」に定め、必要な体制を確立して、全体の授業時間数を減らすこと。
  • 2019年10月の勤務実態調査によると、1日に5時間以上の時間外活動を行った中学校教員の活動内容のトップは「部活動関係」となっており、全員顧問制を採っている中学校が46校に上っている。自分自身が経験したことのない部活の指導を任されることは、教員にとって大きな負担である。顧問を引き受けるかどうかが評価につながるなどと管理職から半ば強制的に押しつけられたり、まわりの同僚からの同調圧力で断りづらい状況に追い込まれたりなどの実態が報告されている。部活動の顧問を事実上強制する「全員顧問制」はやめること。教員の負担を減らすため、部活動支援員や部活動指導員などのさらなる増員を図ること。
  • 教員は、夏季休業期間中であっても教室のワックスがけや壁塗り、会議や校内研修などに忙殺されている。夏季休業期間中の業務を減らし、教員が気兼ねなく休暇を取得できるようにすること。2022年度の学校閉庁日は、夏季休業期間中の5日間しか設定されていない。他都市に倣ってさらに学校閉庁日を増やすこと。
  • スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門職が増員されてきているが、中学校ブロックごとの拠点校配置となっており、学校には週2日程度の配置と不十分である。コロナ禍におけるこころのケアや、学校生活での悩みなどを気軽に相談でき、必要な支援を行う体制を整えることが求められている。このような中でこれらの専門職が正規ではなく会計年度任用職員として雇用され、重要な役割に見合う処遇となっていないことは問題である。専門職に見合う処遇に改善すると共に、正規職員として採用し、すべての学校に少なくとも1人配置すること。あわせて、養護教諭の複数配置を広げ、学校看護師も各校1人配置すること。
  • 子どもたちに豊かな読書、調べる楽しみや知る喜びを保障し、情報や資料を提供する学校司書は専門性が高く、役割は重要になっている。専門職である学校司書について、会計年度任用職員ではなく正規で採用し、1人が4~5校担当する体制ではなく、各校1人ずつ配置すること。また、専門性や継続性が求められる職種であることを考慮し、4年ごとに採用試験を受ける必要があるという制度を改めること。
  • 文科省は教員免許更新制の廃止の代わりに、教員の研修の全面的な記録を行政が管理するなどの研修への新たな統制を行おうとしている。そのような統制は許されず、教員の自主性が保障された研究・研修を奨励すること。また、教員と子どもたちの関わりを妨げることになりかねない行政研修を大幅に削減し、権利としての教員の自主的な研究・研修のための時間を保障すること。
  • 市立高校の専科の非常勤講師が会計年度任用職員に移行され、年収は増額となったが、授業準備のための出勤が求められ、受け持ちコマ数あたりの時間額は約2000円減少している。勤務時間が2倍となったにも関わらず、移行前と比べて時間額が半分に減額され納得がいかないと不満の声が上がっている。このような給与のあり方は元に戻し、制度を見直すこと。また、講師頼みではない人事政策へと転換するとともに、常勤講師の給与や休暇制度など、処遇を改善すること。

(9)教育のあり方

  • 下着の色の指定や特定の髪型の禁止など、合理的な理由なく子どもの表現の自由を規制し、人権侵害となっている校則が社会問題になり、見直しを求める声と運動におされて、教育委員会は有識者による検討協議会を立ち上げ、昨年7月に中学校校長会名で「よりよい校則を目指して」を通知した。これを受けて各学校で「校則検討委員会」が設置され、生徒の意見を取り入れながら校則の見直しに着手している。その結果、64校で「ツーブロックの禁止」の記載がなくなり、下着や肌着の色の指定も全ての学校で記載をなくしている。しかし、文言自体は消えても、「奇抜な髪型の禁止」「ハーフアップの禁止」など事実上特定の髪型を禁止していたり、カッターシャツの下に着るアンダーウェアの色の指定はそのままであったりなど見直しは不十分である。また、頭髪や服装等の事細かな規制の多くが残されたままである。文科省は生徒指導に関する基本文書である「生徒指導提要」の改訂で、校則について「理由を説明できない校則は本当に必要か、絶えず見直す」「校則で悪影響を受けている子どもがいないかなどの検証」などを規定している。教育委員会は、子どもの自主性や意見を尊重し、表現の自由を保障するために、合理的な理由を説明できない校則は一掃すること。
  • 眉毛を身だしなみ程度にそろえただけで別室指導となり教室に入れてもらえないという子どもの尊厳や教育を受ける権利を侵害する生徒指導が依然として行われている。アンダーウェアの色の指定がなされているため目視でのチェックにより、色物や柄付のシャツであれば脱がせるという指導がハラスメントにあたると県弁護士会から指摘されている。改訂された「生徒指導提要」では初めて子どもの権利条約に触れ、生徒指導の留意点の第一に「児童生徒の権利の理解」を明記した。明らかなハラスメントであるアンダーウェアの検査や子どもの尊厳を傷つける生徒指導はやめること。
  • 髪型や服装についての校則に男女別の記述をしている学校が残されており、ジェンダーフリーの観点から是正されるべきである。校則で男女を区別して規制することはやめること。
  • 部活動は本来生徒の自主的、自発的な活動である。2018年に定められた「部活動ガイドライン」では部活動の活動時間を平日は2時間程度、休日は3時間程度としているが、昨年度に文科省が実施した「全国体力・運動能力、運動週間等調査」によると、本市の1週間の部活動の活動時間は男子で802.69分、女子は807.8分とガイドラインの上限を大きく上回っている。部活動の本来の意義から逸脱した過熱化が生徒や保護者および教員の負担になっている。「勝つことだけが目的にならないように」と定めたガイドラインの指導の留意点についても形骸化が懸念される。部活動本来の意義に立ち返り、生徒の部活動への強制加入は行わないとともに、活動時間や指導上の留意点などのガイドラインの順守を徹底すること。
  • 文科省は来年度から2025年度末までの3年間を「改革集中期間」と定め、休日の運動部活動から地域に移行することを求めている。これにより部活動に係る家庭の経済的な負担増が懸念され、民間スポーツ業界が部活動に参入してくることで、学校教育の側面が失われ、さらなる過熱化やガイドラインの形骸化が深刻になることはあってはならない。部活動本来の教育的意義を据え直し、地域移行は拙速に行わないこと。
  • 文科省の調査によると、小中学生の自殺者数は増加傾向にあることが分かった。教育委員会は、保護者の意向を理由に本市の小中学生の自殺者数を公表していない。これは事態を覆い隠すものであり、小中学生の自殺が増えているという極めて憂慮すべき事態に正面から向き合っているとは言えない。教育委員会として、ひとりの自殺者も出さないという毅然とした構えで、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門職の各校配置などをはじめ、教員が子どもに余裕をもって接することができるようにして、子どものSOSに早期に対応する体制を整えること。
  • 本市で2021年度に把握されたいじめは、小学校で2328件、中学校で408件となり過去最多である。タブレットやパソコン、スマートフォンによる誹ぼう・中傷等の認知件数は全国的に増加傾向にある。いじめは、どんな形であろうと人権侵害である。学校及び教育委員会が、決していじめ対応を後回しにせずに、子どもに対する安全配慮義務、集団的に対応する学校の責務、被害者の「知る権利」を保障することなどを原則とし、いじめ問題にとりくむこと。さらに、いじめが命に関わったり、長期欠席の原因になったりする「重大事態」については、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」などに基づき、第三者委員会を設置して調査にあたるが、被害者側の訴えが無視されたり、あとになって事実関係が隠蔽されたりなど、被害者側が不信感を募らせ、二重三重に傷つくケースがある。「被害者側にも問題がある」という誤った姿勢を見直し、被害者側に心を寄せて、再発させないための措置を講じ、子どもが安全に生きる権利を保障する方向で「いじめ対策法」を運用すること。
  • 包括的性教育とは、性器や生殖、性行動といった性の生物学・生理学的な面に加え、人間の心理的、社会・文化的な面も含めて、性を広くとらえる教育を行うことであり、国際的にも本流とされている。いま子どもたちは、ネットやスマホを通じて、科学的知識や人権意識を身につけられないまま、ゆがんだ情報に触れ、予期せぬ妊娠に直面したり、性暴力・性犯罪の被害者・加害者になってしまったりする危険が高まっている。学習指導要領において、人の受精や妊娠の過程は取り扱わないとする「はどめ規定」があるが、文科省は「各学校が必要と判断すれば、指導できる」としている。学校教育の中で、性暴力や性被害から子どもたちを守り、多様化した性や人権についての教育を進めるために、性交や避妊・中絶およびLGBTQ+などを含んだ包括的性教育を行うこと。また、市が15年前に作成した「性教育の手引き」には、身体の性と心の性が一致しないトランスジェンダーや性自認や性的指向が定まっていないクエスチョニング等の性的マイノリティいわゆるLGBTQ+についての記載が一切なく時代遅れとなっている。早急に「性教育の手引き」を全面的に改訂すること。
  • 教育委員会会議は、原則としてすべての会議を完全に公開するとともに、市長の意向に付き従ってトップダウンで教育委員会の決定事項を現場に下ろして従わせるようなあり方は見直し、その都度現場にフィードバックすること。
  • 全国一斉学力テストや本市独自の生活習慣・学習定着度調査は、子どもと学校に管理と競争を押しつけ、いかに前年度平均点を一点でも上回ることを追求するものとなっている。これは教員と子どもを疲弊させ、精神的ストレスを増大させている。全国一斉学力テストは中止するよう国に求めるとともに、福岡市生活習慣・学習定着度調査はやめること。また、年に複数回、フクトなどの業者の実力テストが行われているが、そのあり方についても見直しを検討すること。
  • 道徳の教科化は、上から目線で「いい子になれ」「ルールに従え」と子どもに教え込むもので、基本的人権や個人の尊厳、多様性にもとづく市民道徳のあり方に反している。道徳の教科化はやめるよう国に求めるとともに、学校教育全体の中で憲法や子どもの権利条約にもとづき、子ども一人ひとりが自分らしい価値観形成を図れるような市民道徳を育む教育にきりかえること。また、特定の価値観を押しつけたり、数値化したりして評価を強制しないこと。
  • 「二分の一成人式」は様々な家庭事情を抱えた子どもに親への感謝を強要し、個人的な心情を発表させる例が少なくなく問題である。キャリア教育の一環の「二分の一成人式」はやめること。あわせて、グローバル人材の育成など特定の立場だけを美化するゆがんだ起業家教育である「アントレプレナーシップ教育」はやめること。
  • 中学校の職場体験先に自衛隊が含まれている。安保法制の下で、自衛隊と米軍の一体的な運用が加速化し、敵基地攻撃能力の保有など自衛隊が戦争に巻き込まれる危険性が高まっている。憲法違反の集団的自衛権が付与された自衛隊は、一般の職業とは同列視できないものであり、一職場として自衛隊を選定しないように各学校を指導すること。
  • 「指導」の名の下に暴力や暴言で子どもを追い詰め服従させることは、子どもの身体だけでなく、心に複雑で深い傷を残すことになる。体罰は明らかな暴力であり、絶対に許されるものではないという姿勢で厳正に対処し、その根絶にとりくむこと。
  • 教員が本人の意思に反して日の丸・君が代への起立・斉唱を強制されている問題で、ILO・ユネスコに続き、国連自由権規約委員会が11月に是正勧告を出した。子ども・教員・保護者に対して、日の丸掲揚・君が代斉唱を実質強制するやり方は改めること。
  • 教科書採択方法については、児童生徒をよく知る教師自らがその役割を自覚し、教科書を吟味し、その意見が十分尊重されたうえで選定されるように、より民主的な方法へと改善すること。

(10)教育を受ける権利

  • 第2次安倍政権以降の史上最大の生活保護基準引下げは憲法違反だと断罪する判決が熊本、横浜地裁等で相次いで出されている。就学援助は保護基準に連動するものであり、それが引き下げられたことで就学援助の対象から外れる世帯が発生する事態となっている。そのような中で、教育委員会は従来の生活保護基準の1.25倍という就学援助の水準を独自に引き上げるなどの手立てを講じていない。コロナ禍と物価高騰が襲いかかり、子育て世帯の経済的困窮が広がり、就学援助の重要性は一層高まっていることから、就学援助基準を生活保護基準の1.5倍に引き上げ、支給額を増額すること。
  • 学校徴収金や修学旅行費などは後払い制度となっており、保護者が一時的に負担をする必要があるが、とても払えないという声が多数寄せられている。義務教育を無償とすると定めた憲法に従い、これらの経費を無償とするよう国に求めるとともに、後払い制度はやめて、額を抜本的に拡充すること。また、国が認めているクラブ活動費・生徒会費・PTA会費についても項目に加え、国に対して財政措置を求めること。入学準備金については、必要実態に合わせさらに引き上げること。
  • 不登校児童生徒数は年々増加し、2021年度は3535人と過去最高となっている。これは学校が子どもにとっていかに息苦しい場となっているかを示している。子ども本人や家庭にその責任を押しつけることは許されない。子どもの権利条約にある教育を受ける権利、安心して休む権利、子どもの意見表明権などを保障する立場から、学校復帰を前提としない適応指導教室の増設など、不登校児童生徒を支える多様な場への公的支援を拡充する方向での強化が求められている。まつかぜ学級、はまかぜ学級、すまいる学級と同様の施設を増設すること。また、フリースクールなど学校以外のさまざまな学びの場をきちんと認めて公的支援を強め、保護者負担を軽減させるなど学校と同等の支援を行うこと。出席扱いについては校長の裁量や、教育内容によって選別することは許されず、「民間施設についてのガイドライン」を見直して、フリースクール等に通うすべての子どもを学校の出席扱いとすること。
  • 2022年4月、市民や関係者の長年の運動の成果として、公立夜間中学「福岡きぼう中学校」が開校した。入学を希望する全員の生徒の入学を保障すること。さまざまな背景をもつ生徒へのきめ細かい配慮を行うとともに、今後のあり方についての課題や困難に対応するためにも、関係団体との協議会などを設置して、随時意見を聴きながら進めるようにすること。

(11)特別支援教育

  • 市立特別支援学校は8校しかなく、小中学部については、国の標準をこえて1クラスに8人詰め込んでいる。児童・生徒が安心して通学できるよう、小中学部を含めた特別支援学校を増設して標準を守ること。また、2021年9月に策定された特別支援学校の設置基準を既存校に適用しないのは、「可能な限り速やかに設置基準を満たすこととなるよう努めること」としている文部科学省「通知」にも反している。既存校の面積基準未充足の解消や図書室の設置など速やかな整備をすること。
  • 市内小中学校214校のうち、自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置している学校は12.1%しかなく、当該障害を持つ児童生徒が、地元の小中学校に安心して通うことができない状況となっている。本市以外の政令市における当該支援学級の平均設置率は小学校86.5%、中学校で86%となっており、横浜市、川崎市ではすべての小中学校に設置されている。本市すべての小中学校に自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置すること。また、LD・ADHD等指導教室を増設すること。
  • 特別支援学級には、年度途中に通常学級から移る児童生徒が少なからず存在し、8人の定員以上となることもある。それを担任1人で受け持つという基準では不十分であり、緊急加配を行うとともに、国に対しては学級編制基準を現在の8人から6人に改善するよう求めること。また、市独自に小中学校の特別支援学級の教員を1クラス2人以上にするよう加配すること。
  • 専門性の高い正規の教員を大幅に増やすこと。当面、学校生活支援員を大幅に増員し、支援が必要な児童生徒すべてに行き届くようにすること。また、肢体不自由児が通う学校には、肢体不自由学級の有無に関わらず、介助員を必要数配置すること。
  • 2021年度の発達教育センターへの就学相談件数は約2100件となり急増している。そのうち8割以上が地域の学校への就学を希望している。療育センターや児童発達支援センターなどと連携し、子どもや保護者のニーズを積極的に把握するとともに、寄り添った就学相談を行い、意向を尊重し、適切な就学を断念することがないように、必要な援助・配慮の体制を整えること。

(12)高校・大学の教育

  • 新型コロナ危機に加えて、物価高騰が襲いかかり、学生の経済的困窮が広がっている。日本民主青年同盟が実施した食料支援には多くの学生が参加し、「お米がもらえて助かる」「もう一度給付金を支給してほしい」という声が圧倒的である。コロナと物価高騰で経済的困窮に苦しむ学生を直接支援する市独自の「学生支援特別給付金」を、対象を拡充し、再度支給すること。
  • 学生の2人に1人が奨学金を借り、卒業後はその返済のために生活が困難に陥り、自己破産する事例も少なくない。奨学金という名の「学生ローン」で借金させるのではなく、給付奨学金のさらなる拡充を国に求めるとともに、市独自の給付奨学金を創設すること。また、重要な役割を果たしている市教育振興会高校奨学金は希望者全員が借りられるようにすること。
  • 長引くコロナ禍と物価高騰の下で、高すぎる学費の引下げを求める声が強くなっている。誰もがお金の心配なく学ぶことができるように、入学金制度を廃止し、大学の学費をただちに半分に減額するよう国に求めること。
  • 「市立高等学校活性化に向けた取組方針(第2次)」は、魅力ある高校教育の推進として、国公立大学への進学率やキャリア教育の推進、部活動の活性化、大会やコンテスト出場など特定の成果を生徒に求める指標が定められている。過度な競争に駆り立てる「方針」は撤回すること。
  • 本市独自の私学助成は、1校平均約180万円で近年全く変わっていない。コロナ禍に加えて急激な物価高騰にある中で、保護者の負担軽減のためにも私学助成の拡充を図ること。

(13)図書館

  • 資料の収集と貸出という公立図書館の役割を果たすため、図書館予算を抜本的に増額し、総合図書館及び分館の蔵書充実を図ること。図書館司書は資料の調査や相談に携わる専門職であるにも関わらず、ほとんどが会計年度任用職員となっている。専門職にふさわしい待遇へ改善し、正規職員として増員を図ること。
  • 日本図書館協会は、公立図書館について住民の生活・職業・生存と精神的自由に深く関わる機関であり、図書館を設置し、図書館サービスを実施することは、地方公共団体の責務であると述べている。しかし、本市は「福岡市総合図書館新ビジョン」に基づき、サービスの向上を図るなどと指定管理者制度を導入した。公立図書館は地方公共団体が直接経営すべきものであり、営利追求の場に変質させる指定管理者制度はやめて、直営に戻すこと。

(14)社会教育施設

  • 公民館は「自治協議会のセンター」の役割が強調され、社会教育施設としての機能の側面が弱まっている。社会教育を支援する本来の役割を果たすため、館長や主事を補助する人員確保のための予算を増額するとともに、公民館主事の大幅な待遇改善を行うこと。また、公民館の幅広い市民の利用が保障されるよう、館長や主事等に対し、適切な対応のあり方について徹底すること。
  • 各議員および会派等が開催する市政報告会は、市民の市政参画を推進し、開かれた議会を実現するうえで重要なものである。その会場使用料は政務活動費を充てることが認められており、公民館の利用目的である市民の公共的利用に供するものである。公民館を市政報告会の会場として利用する場合、「目的外使用」とする扱いはやめ、「目的内使用」とすること。
  • 南区における地域交流センターの整備について、いつまでも地域特性の調査・分析をするのではなく、設置する方針を決めて、建設計画を早急につくること。

(15)文化

  • 本市の文化振興費は2021年度の当初予算で27億円、一般会計の0.3%にすぎない。すべての市民の文化的に生きる権利、もっと自由に文化・芸術をつくり楽しむことを保障するために文化予算の抜本的な増額を行うこと。
  • 民間の劇場やミニシアター、ライブハウスは現状では商業施設や遊興施設として扱われ、何の支援もない。年間100日以上事業を行っている施設は劇場とみなして固定資産税の減免をはかるなど、積極的な支援を行うこと。
  • すべての小中学生が1年に1度は文化芸術に触れる機会をつくるために、全校が取り組める予算を確保し推奨すること。義務教育の期間だけでなく、就学前の子どもや、高校生、大学生に対する芸術鑑賞などの支援を強めること。
  • 18歳未満の使用が半数を超えた場合、すべての市民センターで使用料減免を行うこと。
  • 南市民センターだけでなくすべての市民センターのホールで子どもが舞台を見えやすくするための子ども用クッションの貸出しを行えるよう、指定管理者まかせにせず、市が備品として購入すること。拠点文化施設にも備えること。
  • 文化芸術振興財団が行っている「ステップアップ助成プログラム」の助成事業数をさらに増やし、それに見合う補助を行うこと。
  • 拠点文化施設は、社会包摂の場として役割を果たすよう検討を行うとともに、洗練された舞台芸術を「観る」ことだけではなく、舞台の創造、舞台芸術をささえる人材育成など本市における文化の拠点になるよう方針を明確化すること。
  • 拠点文化施設内に整備予定の800席の劇場型ホールができたとしても、慢性的なホール不足は解消できない。演劇等の専門性に対応できる中規模ホール建設をさらに計画すること。
  • 音楽・演劇練習場の4施設は高い稼動率のため希望者の多くが利用できない状況となっている。新設について「検討」を理由に先延ばしすることは許されず、すべての行政区に設置する計画をつくること。また、ぽんプラザホール同様の小劇場を増設すること。

(16)スポーツ

  • 市内スポーツ施設の土日祝日の応募倍率は野球場、ソフトボール場が63.3倍、テニスコートが17.1倍、体育館、運動室が8.8倍など高く、スポーツ基本法に定められた、国民のスポーツをする権利が保障されていない。身近なスポーツ施設を新・増設し、推進すること。老朽化しているスポーツ施設は改善し、スポーツ用具については適宜、更新すること。また、競技人口が増えているボルダリングやスケートボートなどができる公的な施設を設置すること。
  • 1年に1度もスポーツをしない障害者は4割に及んでいる。障害の種類や程度にかかわらず、スポーツを行うことができる環境を作ることは、市の責任であり、市内体育館をはじめ、運動施設のバリアフリーを進めるなど利便性の向上を図ること。また、拠点施設である「障がい者スポーツセンター」について、以前からの改修要望である、トイレの洋式化と駐車場屋根の設置をすみやかに実施すること。多くの障害者が、スポーツやレクリエーションに親しむことができるためには、「障がい者スポーツセンター」が市内1か所では足りず、市有地を使って増設すること。
  • 学校の施設は地域スポーツ活動の重要な拠点の一つであり、中学校のグランドは校庭開放によって地域のスポーツ振興に寄与しており、その必要な施設整備が求められている。その一方、防球フェンスが低すぎる学校が数十校になり、地域の要望に応えられておらず、改善を行うこと。早良区にソフトボールのできる運動公園をつくること。
  • 住民のスポーツ参加を増進するための施策をすすめる専門職員の確保、指導者の配置を行うこと。担い手としての活動を支えるために、スポーツ推進委員の位置づけを高め、研修費や必要経費への補助金を充実させ、地域でのスポーツ振興への支援や奨励をおこなうこと。地域団体などに、福岡マラソンや大規模スポーツ大会への動員・割り当てを強要しないこと。
  • 「受益者負担」の名のもとに、福岡市総合体育館をはじめ各区の市立体育館の駐車料金が有料化されている。市民負担を増やす駐車料金の有料化はやめ、無料にすること。
  • 福岡市の体育館やプールの利用料金について65歳以上は無料にすること。あわせて、福岡市内にある民間のスポーツ施設についても、市民が利用する際、利用料金の補助制度を作ること。
  • 本市の体育館やプールなど、スポーツ施設の管理・運営に指定管理者制度が導入される中、コスト削減のために照明を間引く施設があるなど問題となっている。利用者の立場にたった運営のために、直営にもどすこと。

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7、子どもの権利が守られ、安心して子育てできる福岡市に

(1)保育

  • 2022年10月1日時点で、未入所児童は1565人、待機児童は10人と依然として希望する保育所には入れない子どもたちが多く残されている。市長は保育の受皿確保のために企業主導型保育や定員増の大規模化などを推進してきたが、定員を上回って受け入れている保育所がある一方で、10人以上定員割れしている保育所もある。地域の保育ニーズを把握するとともに、企業主導型保育事業の拡大や定員増の増改築を推進するのではなく、公共用地を活用して適正規模の認可保育所を増設すること。また、現在7園である公立保育所を増やし、せめて各行政区に設置すること。
  • 新型コロナの感染拡大の予断は許されず、引き続き保育現場での感染対策の強化が求められている。保育所等で感染者が確認された場合は、迅速にすべての子どもと職員を対象にして検査を行うこと。また、保育所等を通じて家庭に抗原検査キットを配布して、子どもの体調不良時にすぐに検査が行えるようにすること。
  • 保護者が新型コロナに感染した際、必要な場合は児童相談所で子どもを預かる支援を実施しているが、実際に利用したのは2件である。また、保育園が臨時休園になるなどして訪問型保育サービスを利用した場合の利用料を一部補助する事業を行っているが、実績はゼロ件である。コロナ感染拡大の予断を許さないなかで、もっと市民が身近で利用しやすい形での子どもを保護する体制を確保することは重要であり、市の責任でさらに代替保育の制度を充実させること。
  • 保育士等やその家族が感染したり、濃厚接触者になったりなどして出勤できない場合に、人手が足りなくなり現場は大変な苦労を強いられている。緊急の人員確保を現場任せとせずに、市が責任をもって保育士等を臨時で派遣すること。また、コロナ感染や濃厚接触等により出勤できない場合は、有給休暇の取得を強制するのではなく、公休扱いとすること。
  • 現在の保育士配置基準や面積基準ではコロナ対策として密を避けることは難しく、現場からは「保育士が足りていない。子どもの安全と成長が保障されていない」との声が多数寄せられている。保育士がゆとりをもってより良い保育を行うためにも、基準の改善が緊急に求められている。配置基準の改善を国に強く要請するとともに、市独自に行っている充実保育士の雇用経費を増額し、0歳児は1対2、1歳児は1対4、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4・5歳児は1対15へと改善すること。あわせて、1947年以来変わっていない面積基準については国に改善を求めるとともに、市独自にも乳児室の改善にとどまらずさらに改善を図ること。
  • いわゆる幼保無償化は対象年齢が3~5歳児に限定され、副食費が保護者の実費負担となるなど真の無償化には程遠いものである。対象年齢をすべてに広げるよう国に要請するとともに、子育て世帯の負担軽減のために市独自に0~2歳児の保育料をさらに引き下げ、無償とすること。副食費の実費負担は物価高騰の中で保護者の大きな負担となっており、無償とするよう国に求めるとともに、本市として第3子以降に限らず、助成対象を広げて副食費無償化の手立てをとること。また、制服、遠足、文房具代など「隠れ保育料」と呼ばれる実費徴収費が重い負担となっている。物価高騰の影響が特に子育て世帯にのしかかる中で、これらの費用についても無料とするよう国に求め、市独自の補助制度をつくること。
  • 保育士の賃金は、全産業平均より月5万円低いと言われており、現場の保育士からも「賃金に不満」「せめて月5万円あげてほしい」などと賃上げを求める強い要望が毎年寄せられている。コロナ禍の中で社会の土台を支える保育士の役割が一層重視されているが、まともな賃金アップは図られていない。また、専門性を高め、賃上げにもつながるとして導入されたキャリアアップ研修は一部の保育士に限られ、現場からは休日を潰して研修を受けることや仲間の保育士の負担を増やしてまで研修を受けることへの拒否感や罪悪感があるなどの声が強くあがっている。保育士がやりがいをもって長く働き続けられるように、賃金全体の底上げこそが求められており、公定価格を抜本的に見直して、ただちに月5万円の賃金引上げを行うよう国に求めること。加えて「福祉職俸給表」に基づく賃金となるよう市独自の財政措置を行い、「福岡市保育士勤続手当」は増額すること。
  • 保育士不足は依然として深刻である。慢性的な人手不足の中で、残業が多く、希望通りの休暇を取得できず、長引くコロナ禍で精神的ストレスは増している。求人を出しても応募がなく、派遣に頼らざるを得ない状況が続いている。保育士の確保を現場の努力だけに押しつけず、市の責任で保育士を確保すること。フルタイムで働く正規保育士の雇用を増やすための市独自の財政措置を行うこと。
  • 保育士の離職防止のために市独自の施策である家賃の一部助成や奨学金の返済支援が行われているものの、その対象範囲と額は不十分である。非正規職員や給食調理員などにも適用することとし、家賃助成額は少なくとも月3万円に引き上げるとともに、奨学金返済支援の補助も拡充すること。
  • 保育の一環である給食を担う給食調理員の給与は、保育士と比べて賞与を含めて年間で約40万円の差がある。アレルギー食や宗教食への対応、0歳児の1人ひとりの発達に応じた離乳食づくりなどの専門性とともに、保育士とともに子どもたちの安全と成長を見守るチームとしての調理員の役割と責任は大きい。保育士と同等の給与水準とするよう国に求めるとともに、市独自に調理業務の特殊性と専門性に見合う「特別手当」を創設するなど格差是正のための手立てを講じること。また、調理員がコロナに感染し、代わりの人員を確保できずに2週間1人で給食業務を行った現場もある。国の配置基準では調理員も到底足りておらず、基準の改善を国に求めるとともに、市独自にも配置基準を引き上げて財政措置を講じること。
  • 早朝や夕方などの時間帯は特に忙しく、様々なトラブルが起きやすいが、保育士の人数がそろっていない時間である。どの保育時間でも配置基準が満たされている必要があり、朝夕の保育士を実際に増やして対応するためには現在の公定価格では不十分である。実態に見合うように公定価格の管理費の引上げを国に求めるとともに、市独自に補助制度を設け、どの時間帯でも配置基準が満たされるようにすること。
  • 保育業務の負担軽減としてICT化が進められているが、公的に提出する必要がある記録の作成等は、労働時間内には終わらず、休憩時間や自宅に持ち帰って書くことが常態化しており、保育士の大きな負担となっている。ICT導入という小手先のやり方ではなく、抜本的な業務の削減を図るとともに、提出すべき書類の精査を行い、必要な書類作成については労働時間であることを明確にし、残業手当を支給すること。
  • 家庭的保育事業や小規模保育事業などは、保育基準が条例で定められているものの、園庭の設置義務がなく、職員全員が保育士の有資格者でなくても良いなど認可保育所より基準が低いため、保育士の質の低下や保育所間での格差につながるなど問題である。すべての子どもの最善の利益と発達の権利を保障するため、条例を見直すとともに、必要な支援を強めて規制緩和路線を改めること。
  • 本市の認可外保育施設は、2022年4月1日時点で324施設となっているが、職員の健診費用など助成額の合計は約1300万円にとどまっている。24時間保育や一時・休日・延長保育、障害児保育など、市民の多様な保育要求にこたえ、地域の子育て支援に貢献し、保育行政を保管する役割を果たしている認可外保育施設への職員給与・修繕費・管理への補助を創設すること。あわせて、認可化をめざしている施設への財政支援を強化し、認可化をすすめること。
  • サポート保育(障害児保育)の支援区分Ⅰ~Ⅲの補助単価は増額されてきているが、その額では保育士1人を雇用するのは難しい。支援が必要な子どもに保育士がつくことになれば、別の保育士がクラスをまたいで他の子どもたちを見守るなど、保育士を1人でも多く雇用できる補助単価の増額が現場から求められている。発達障害やグレーゾーンの子どもは年々増加しており、補助単価を抜本的に増額し、必要な保育士を確保すること。障害の程度が重い子どもを受け入れられるように、1対1での個別対応が可能な保育所を抜本的に増やすこと。また、コロナ感染対策の面からも、医療的ケア児や障害の程度が重い子どもを受け入れる面からも看護師の配置が求められている。看護師配置を現場任せにせず、市として保育所ごとに1人配置する基準を設け、雇用費の助成を抜本的に増やすこと。

(2)医療的ケア児、療育

  • 「医療的ケア児と家族の支援法」が成立し、医療的ケア児の日常生活を家族任せにせず社会全体で支えていくために保育所等への看護師の配置が求められている。しかしながら、22年度における医療的ケア児の保育所での受入れは公立と私立あわせて11か所15人にとどまっている。すべての保育所で医療的ケア児を受け入れることができるように看護師を配置するとともに、必要な保育士を確保するための雇用費助成の予算を抜本的に増額し、医療的ケア児の受入れを増やすこと。また、たとえ看護師を配置できたとしても、不測の事態に対応するためには医療機関との連携は不可欠である。常に保育所と医療機関等とが連携できる体制を市の責任で整えること。
  • 医療的ケア児を受け入れている幼稚園や保育所に看護師を派遣する幼稚園等看護師派遣事業は、1回あたりの看護師の派遣時間が60分、最大120分までという制度設計になっている。これでは保育時間の一部にとどまり、十分な支援とはいえず、21年度の利用人数はわずか3人である。訪問看護1回あたりの時間を増やすために、抜本的に予算を増額すること。
  • 2024年に「南部療育センター(仮称)」が設置される予定であるが、発達障害児等の増加に伴い、現在の市内3か所の療育センター等における相談数は年々増加しており、単独通園施設の待機児童数も毎年発生している。相談から診断まで約3ヶ月を要する状況も改善されておらず、療育施設はまだまだ不足している。相談・診断・療育が速やかに受けられるように、療育センターや単独通園施設など療育施設をさらに増設すること。
  • 療育センター等に通う肢体不自由児が5歳になると単独通園になるが、自力での歩行ができないために保護者の付添いが求められている。療育時間も15時までと短く、保護者のフルタイムでの就労と両立できない。医療的ケア児支援法は、保護者の就労を後押しするために療育支援の充実が自治体の責務として明記されている。自力歩行ができずとも、保護者が付き添わずに単独通園を受入れられる体制を整備するとともに、放課後デイサービス事業所並みに療育時間の延長を行うこと。
  • 療育センター等の通園エリアについて機械的な線引きが行われ、自宅から近い施設があるにも関わらず、行政区をまたいで通っているなどのケースもある。通園エリアの機械的な線引きは行わず、柔軟に対応すること。

(3)子どもの医療費

2021年7月から、子どもの通院時の医療費助成対象を中学生まで拡大し、1医療機関につき、ひと月あたりの自己負担額を500円とした。長期化するコロナ禍と物価高騰の中で、とりわけ子育て世代の経済的困難は深刻となっており、自己負担は決して軽いものではない。厚生労働省の調査によると、高校卒業まで通院の助成・無料化を広げている自治体が、全国1741自治体のうち約47%となるなど助成対象の拡大や完全無料化の流れが強まるなかで本市の制度は遅れている。したがって、本市でも、入院・通院ともに助成対象を高校卒業まで拡大して通院時の自己負担をゼロにし、早急に子どもの医療費は完全無料とすること。



(4)留守家庭子ども会

  • 2022年4月20日時点で子ども1人あたりの面積基準1.65㎡を確保できていない施設が18か所あり、今年度に増改築等で8か所整備し、その他は学校施設を活用するなどとしているが、最低限の面積基準を満たしていない施設が残されているのは問題である。子ども1人あたり1.65㎡を確実に保障するよう計画的に整備すること。また、各施設に、8㎡以上を確保した「静養するための機能を備えた区画」や、職員室、調理室、ホール(集会室)を備えるようにすること。さらに、安全、衛生上必要なトイレ、手洗い場を国の設置基準に沿って増設すること。
  • コロナ対策として「3密」を避けながら、子どもの発達・成長を保障するためにも、支援単位については「1クラス30人程度」とすること。ひとつの大部屋で支援単位以上の子どもが過ごす状況もあり、密を避けられない場合は、学校と連携して、特別教室や余裕教室などを活用すること。
  • コロナ感染対策を万全にしながら子どもの成長・発達を保障するためにも、支援員増員は待ったなしの課題である。支援員は会計年度任用職員であることを理由に賃上げを行わない姿勢を改め、正規職員として大幅に増員するとともに、専門職にふさわしい処遇改善を行うこと。特に、支援単位ごとに放課後児童支援員の資格をもつ職員を複数配置すること。また、経験豊富な支援員であっても、4年ごとに採用試験を受けなければならないことになっており、希望すれば継続して雇用するよう制度を改めること。
  • 留守家庭子ども会の支援員の配置状況は支援員の人数が少ないため、有償ボランティアである約2000人の補助支援員が配置されている。労働時間に応じて報酬を受け取り、指揮命令に従って支援員を補助しながら子どもの安全と成長を保障する重要な役割を果たしているにもかかわらず、労働者として雇用しないという脱法行為は許されない。補助支援員は有償ボランティアという扱いを改め、雇用関係を結び、正規化を図ること。
  • 新型コロナの終息は未だ見通せず、引き続き感染対策の強化が必要である。感染者が1人でも確認された場合は、原則としてすべての子どもと支援員の検査を実施すること。また、抗原検査キットを施設に随時配布して、支援員の定期的なスクリーニング検査を実施すること。さらに、慢性的な人手不足の中で、支援員が陽性となり出勤できないなど運営に支障を来している。臨時の支援員の手配を現場任せにせず、緊急の場合は市から臨時の支援員を派遣すること。
  • 社会福祉法人が運営する民間学童保育施設の役割を明確にし、コロナ対策のための補助金を交付し、恒久的な独自の財政支援を行うこと。

(5)児童館

児童館の利用者数はコロナ禍によりいったん減少したものの、依然として中高生の居場所としてニーズは高い。本市では中央区に1つしかなく、都心部から遠いところに住む市民は利用しづらいという不利益を被っている。また、市内に1館の体制では、国の児童館ガイドラインが定める児童館としての拠点性や地域性は発揮できないことは明らかである。地域に根ざし、専門職員が常駐する児童館は、公民館など他の施設や出前児童館などで肩代わりすることは不可能であり、早急に児童館を全ての行政区に設置するとともに、幼稚園・学校・こども病院の跡地など公有地を活用して計画的に増やすこと。



(6)児童虐待

  • 本市の児童虐待の相談対応件数はこの5年間全国の倍以上のペースで増え続け、2685件(2021年度)と過去最多を更新した。全国状況よりも深刻な現状にかんがみ、2022年3月30日に定められた国の新たな「児童相談所運営指針」において管轄区域内の人口は「基本としておおむね50万人以下」であることとされたことをふまえ、児童相談所を増やすこと。児童相談所内への児童心理治療施設の設置により、児童相談所の一時保護所の定員が40から10へと減らされたが、平均で15人、多い時で29人の子どもを受け入れたこともあった。不足する児童相談所の一時保護所の定員を増やし、環境整備を行うこと。
  • 専門職である児童福祉司・児童心理司について、児童虐待防止対策総合体制強化プランで示された2022年度目標の職員配置基準にもとづき児童虐待相談対応件数等を勘案すると同年度の児童福祉司は82人、児童心理司は40人必要であるが、本市の児童福祉司は69人、児童心理司は34人にしかならない。早急に基準を達成し、さらに手厚い配置を進めること。また、その半数が経験年数3年未満という状況をあらためて継続性を強め、専門性を高めること。弁護士資格をもつ職員を複数名配置すること。
  • 児童養護施設を退所し遠方に進学した若者についても必要な場合は措置を継続すること。こうした若者をふくめ、私立大学を含め授業料・入学金の減免を全額カバーするよう本市独自の施策を行うこと。また、施設職員について現行の本市の制度である、産休代替雇用や共済掛金への助成だけでは職員確保にはとうてい及ばず、処遇が改善され進路として希望が持てるように本市独自の支援をさらに拡充するとともに、国に対しても措置単価の引上げを要求すること。「福岡市社会的養育推進計画」はホームページや情報プラザなどで誰でも見られるようにすること。

(7)ひとり親家庭

ひとり親家庭の貧困率は48.1%と断トツの高さとなっている。すべてのひとり親家庭が「健康で文化的な最低限度の生活」ができる「福岡支援モデル」を策定するよう、以下の支援を求める。

  • 「福岡市ひとり親家庭実態調査結果」(2021年度)において、「行政機関に対する要望」のトップは「年金・手当などの充実」であり、回答数の6割という強い要望になっている。児童扶養手当について、所得制限の緩和による第1子の拡充、第2・3子以降への加算額の大幅引上げ、毎月支給化、18歳から20歳未満までの支給延長を国に求めること。あわせて、市独自の加算手当を創設すること。
  • 前掲調査で2番目に回答数の多い項目は「医療保障を充実する」である。ひとり親家庭等医療費助成制度の所得制限をやめ、18歳まで完全に無料にすること。
  • 前掲調査で3番目に回答数の多い項目は、「県営住宅や市営住宅を増やす」である。福岡市の母子家庭で公営住宅に入居できているのは、14%しかなく、半分は民間借家やアパートなどで生活している。市営住宅におけるひとり親世帯への収入基準緩和・抽選倍率優遇や子育て世帯一般の別枠募集では十分ではなく、市営住宅そのものを大幅に増やすこととあわせて、ひとり親家庭が入居できる枠を抜本的に増やすとともに、ひとり親家庭への独自の家賃補助を行うこと。

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8、あらゆる分野でジェンダー平等を進める

1990年代以降、世界は「ジェンダー主流化」を合言葉に、根強く残る男女格差の解消を進めてきたが、日本は各国の男女平等の達成度を示す「ジェンダーギャップ指数2022」(世界経済フォーラム)は146カ国中116位と、先進国の中で最低レベルである。口先だけの「男女共同参画」や「多様性の尊重」ではなく、ジェンダー格差を打開するために経済的・社会的差別をなくし、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会をめざすことが強く求められている。


(1)福岡市男女共同参画基本計画

「福岡市男女共同参画基本計画(第4次)」においては2025年度までに企業における女性管理職比率を15%、市役所における女性管理職比率を20%にすることを目標にしているが、政府の目標40%程度と比べても低いものとなっており、大幅に引き上げること。あらゆる意思決定の場に女性を増やし「男女半々」の実現に向け、ジェンダー平等を推進すること。



(2)福岡市特定事業主行動計画

市役所における男女別賃金を明らかにし、賃金格差をなくすこと。留守家庭子ども会支援員や学校図書館司書などの女性が多い会計年度職員の待遇を改善することでジェンダー格差をなくしていくよう「福岡市特定事業主行動計画」に盛り込むこと。



(3)男女賃金格差

ジェンダー不平等の大きな要因となっている男女間の賃金格差の解消に向け、市として市内事業所が男女別の賃金を調査・公表し、その是正計画策定を義務付ける条例をつくること。



(4)性暴力・痴漢

  • 女性や子どもにとって、最も身近な性暴力である痴漢や盗撮について、市内の被害件数さえ把握していないのは問題であり、市独自の実態調査や相談・支援センターの増設、加害根絶のための啓発や加害者更生などの対策を講じ、政治の責任で痴漢を根絶すること。「性暴力被害者支援センター・ふくおか」においてはSNSを使って気軽に相談ができる体制や、被害者の精神科受診の公費負担の拡充など抜本的に充実するとともに、本市独自のワンストップ支援センターや病院拠点型のセンター創設および警察を通さなくても病院で証拠保全ができる体制をつくること。
  • 刑法の性犯罪規定について、当事者や支援者から性被害の実態に見合った改正を求める声があがり、本市議会においても「性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書」が採択されている。暴行脅迫要件の撤廃、同意要件の新設、地位関係利用型の犯罪化、公訴時効の廃止、性交同意年齢の引上げなど性被害の実態に見合った改正を国に求めること。

(5)DV

コロナ禍でDV被害が増え、困難も多様化、複合化する中で、ニーズに沿った切れ目ない支援を行うことが必要であり、急いでDVの相談支援体制を充実すること。各区の子育て支援課やアミカスに保育士や学習援助者を配置し、子連れの相談者が相談しやすい体制をつくること。民間シェルターへの補助金など支援の拡充、中長期滞在できる中間的施設(ステップハウス)の開設・運営へ助成するとともに、自立に要する費用の補助を拡充すること。男性DV被害者が相談しやすい体制の強化をはかること。また、国に対して保護命令の対象や期間の拡大、緊急保護命令の導入などDV防止法を改正するよう求めること。



(6)生理の貧困

コロナ禍で顕著になった「生理の貧困」対策は、女性の健康や尊厳に関わる重要な課題として、生理用品を学校トイレに常設することが全国的に広がっている。本市においても独自で実施している小学校があり、学校任せにせずすべての学校において実施すること。また、公民館や地下鉄の駅など公的施設でも実施すること。



(7)ハラスメント

ハラスメントは女性をはじめとする労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為であり、働き続けることを阻害する大きな要因の一つになっている。国に対し、ILO条約を批准できる水準のハラスメントの禁止を明確にした法整備を行うよう求めること。本市としてハラスメントが違法であることを明確にした「ハラスメント禁止条例」を制定すること。市職員のハラスメントの相談・調査・判断をすべて同じ部署で行うことは問題であり、啓発・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を設置すること。



(8)同性婚・LGBT

  • 同性婚を認める国・地域は約30にのぼっている。日本でも「同性カップルが結婚(法律婚)できないのは憲法違反だ」とする裁判が各地で起き、2021年3月には札幌地裁が、同性婚を認めない現行の民法などの規定を「違憲」と判断した。世論調査(2021年3月朝日新聞)でも全体の65%、若い世代(18~29歳)では86%が、同性婚を「認めるべき」と回答するなど、世論が広がっている。同性婚を認める民法改正を国に求めること。
  • 性的指向・性自認等を理由とした差別を禁じ、多様性を尊重する立場を市長が明確にすること。また、性の多様性を認め合い、誰もが「個人の尊厳」を尊重される社会をつくるために、LGBT平等法を制定するよう国に求めるとともに国の動きを待たずして、本市においても同趣旨の条例をつくること。

(9)パートナーシップ制度

本市のパートナーシップ宣誓制度は、対象を一方又は双方が性的マイノリティの場合のみと限定しているため、受領証提示の際に意図せぬカミングアウトにつながる恐れがある。性的マイノリティではない異性間の事実婚も対象とすること。また、全ての民間事業者に是正勧告ができるパートナーシップ条例を制定すること。



(10)選択的夫婦別姓

選択的夫婦別姓について、世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけであり、国連の女性差別撤廃委員会も、日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだと勧告している。国民の間では、とりわけ若い世代の中での賛成意見が多数であり、8割近くが選択的夫婦別姓制度の導入に賛成している。民法を改正し、選択的夫婦別姓を法制化するよう国に求めること。



(11)緊急避妊薬

どんな避妊法でも完全ではなく、性暴力被害を受けた時に特に有効であることから、緊急避妊薬が必要とされている。性交後72時間以内に服用すれば約8割の妊娠を防ぎ、内服が早ければ早いほど避妊効果が高いとされている。G7のうち日本以外の全ての国では医師の処方箋なしに購入でき、世界保健機関(WHO)も推進している。しかし、日本では医師の処方箋が必要とされ、保険も適用されないため、価格も高額である。子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決めるリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の観点から、緊急避妊薬を安心して入手しやすくする手立てを講じるよう国に求めること。

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9、憲法の平和・民主主義の理念を福岡市のすみずみに

(1)市長の政治倫理

  • 市長の政治資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」の2021年報告内容によれば、政治資金パーティーで約2978万円の売上、2138万円の収益を上げており、利益率72%にも及ぶパーティー券の購入は対価的意義の乏しい事実上の寄附である。財界関係者や市の受注業者から巨額の政治資金を受け取ることは市政をゆがめるものとなる。市長は、本市及び外郭団体が発注した公園や公共施設の維持管理に伴う樹木剪定業務において過大に処分費が請求されていた不正が判明した問題で、不正に関わった業界や事業者から政治資金パーティーのチケットを購入してもらったかどうかについて明らかにしていない。市長政治倫理条例第3条には「道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しない」等の規定があり、「政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑をもたれ」(同条2)ているにも関わらず、市長は、利害関係者による購入の公開など「自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当た」(同前)ろうとしていないのは問題であり、このような疑惑をもたれる、市長の政治資金パーティーはやめること。
  • 市政における最高責任者である髙島市長の日程についてホームページで公表しているというが、詳細については市長室も把握することなく、事実上どこで何をしているのかわからない状況となっている。このような状況は異常であり、市長の日程を公開すること。また、登退庁盤については、「防犯上の理由」で表示しないというのは問題であり、表示すること。

(2)統一協会問題

福岡市は2016年と2020年の2回にわたり、統一協会の関連団体である「九大CARP」に環境行動賞奨励賞を表彰した。安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、統一協会(世界平和統一家庭連合)とその関連団体の反社会的活動や政治家との癒着が浮き彫りとなり、大きな社会問題となるなかで、市は「九大CARP」の表彰について取り消したが、同じく統一協会の関連団体である「世界平和女性連合」の福岡NPOボランティアセンター「あすみん」への利用登録について、遡って取り消さなかったのは重大である。市として統一協会とその関連団体について反社会的集団であると規定するとともに、「世界平和女性連合」の「あすみん」利用登録を取り消すこと。また、表彰や名義後援、公共施設の使用等において統一協会とその関連団体に対して市がお墨付きを与えた実績がないか等について全庁にわたる調査を行い、今後もそのようなことがないようにすること。



(3)住民参加

  • 市長が独断専行で物事をすすめるやり方に、市民や議会から大きな批判の声が出されている。また、さまざまな住民団体や要求団体との直接の対話を拒否する市長の姿勢は許されず、市政の進め方については市議会と市民の意見をよく聞き、住民投票・住民意向調査・住民討論会などを活用して、住民参画の上での政策決定を基本とすること。
  • 2021年度、本市が実施したパブリックコメントは11事案であるが、意見提出件数は少ないものでは7件、多いものでも201件であり、市民の意見を広く聴取できていないのが実態である。パブリックコメントの周知方法や期間の延長など進め方を改善し、多くの市民意見を集めること。また、市の施策への反対意見を無視するなど、実質切り捨てることが行われており、少数意見を排除しないこと。あわせて、市民の意見を市政に反映させるために、説明会や懇談会など行政が出かけて行き意見を聞くこと。また、各種審議会など委員の市民公募枠を新設・拡大すること。
  • 市有地の活用などにおける民間サウンディングは、大企業に意見を求め、その結論を市民や議会に押しつける手法である。住民の声を聞かないこのような手法はやめること。

(4)「行革」・民間参入・業務委託

  • 市長が2024年度まで推進する政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランは、人工島事業やウォーターフロント再整備構想、「天神ビッグバン」、「博多コネクティッド」などの大型開発は聖域にする一方、「持続可能な個人給付施策の構築」として第三子優遇事業、福祉乗車券、就学援助など、97事業1858億円の事業を見直し、縮小・廃止しようとしている。地方自治体の本来の役割は、住民の福祉の増進を図ることであり、3つのプランは抜本的に見直すこと。また、この間「事業の選択と集中」と言って切り捨てられてきた市民サービスをもとに戻すとともに、これ以上の市民生活サービス削減は行わないこと。
  • 本市の特別定額給付金事業で、委託先のパソナがやるべき業務に市職員を大量に動員したことについて、住民監査請求も行われ、“事務処理上の不備が多く、市の契約行為に関する意識が著しく低い”という厳しい意見が監査委員から出されたにもかかわらず、非課税世帯等に対する1世帯5万円の給付金事業を、昨年度末の1世帯10万円の給付事業で給付を大幅に遅らせるという重大なミスをおかした日本トータルマーケィング株式会社に随意契約で委託した。この会社は東京オリンピックにかかわる入札で談合を行った博報堂グループであり、二重に許されない。再委託や労働者賃金の中抜きも行われており、このような大企業への大規模業務委託は縮小・廃止し、労働者の適切な賃金や待遇を保障する直接雇用に転換すること。
  • 2021年5月に公表された、会計検査院が実施する「国が実施するPFI事業について」の随時報告では、国主体の 2002~18 年度の26 事業で、契約で定めたサービスを民間事業者が適切に提供していないなどの不備や欠陥が 2000件超であることが報告されたように、PFIそのものの問題が明らかになった。市が実施している給食センターや福岡市総合体育館などのPFI事業においても、サービスの提供状況や労働者の賃金などの労働条件を把握しておらず、経費削減の実態もわかっていない。PFI方式はやめること。
  • 指定管理者制度によって公的施設の管理運営にかかわる人件費などの労働条件さえも市が把握できない事態が生じている。また、市民サービスの低下につながる不適切な管理・運営、行政の責任放棄も顕著となっている。営利企業参入を抜本的に見直して、原則直営に戻すこと。あわせて、制度が導入されている施設にはモニタリングの基準を強化するとともに、抜き打ち点検や専門家による現場点検、現場労働者から直接、聞き取り調査をおこなうこと。
  • 株式会社クリーンエナジーの操業に伴う、九州電力への配当金は14億4550万円にもなっており、市財政を食い物にしている同社を廃止し、直営に戻すこと。また、市政を財界いいなりに誘導する役割を果たしている、「福岡アジア都市研究所」は廃止すること。

(5)市職員の配置・労働条件

  • 本市の人口1万人当たりの職員数は108人となっており、政令市最下位である。このような中、大型台風や集中豪雨などの災害対応や、コロナ感染への対応も充分にできない状況となっており、残業時間についても「年360時間以内」と定めている厚生労働大臣告示を超えて時間外勤務をさせられている職員が2021年度は895人となり、改善されるどころか悪化している。また、過労死ラインとされる月80時間を超える時間外勤務を行っている職員が2021年度は1117人とさらに悪化している。市職員が足りない状態が、長時間・過密労働となり、過労死をうみだしかねない状況をつくっている。職員を抜本的に増やし、直ちに改善すること。
  • 市は職員をまともに増やすことなく、「最小の経費で最大の効果」と称して、窓口業務などを民間委託している。公務職場の民間委託化によって、職員が継続的に従事することで蓄積される公務に必要な専門性やノウハウ、経験が失われている。また、住民からの苦情や発生した問題が、市政運営に反映されず、信頼を損なっている。よって、これ以上の民間委託化はやめ、正規職員を基本とすること。
  • 福岡市の非正規職員である会計年度任用職員は、2021年5月時点で5489人となっている。会計年度任用職員の処遇は8割以上が年収300万円未満と劣悪となっており、しかも圧倒的多数が女性となっている。女性の非正規、低賃金というジェンダー不平等が典型的に現れており、希望する者については、正規職員として採用すること。
  • 2022年人事委員会勧告に基づいて、市職員の月例給は436円、期末手当は0.10か月分年間平均給与は4万5000円引き上げられた。しかしながら、20年前と比較すると年間で平均100万円近く引き下げられており、公務員としてのモチベーションを低下させ、生活設計や地域の景気にも深刻な影響を与えている。臨時・非常勤職員などの非正規労働者はただちに時給1500円以上にすること。あわせて、市職員給与の大幅賃上げを行なうこと。

(6)市有地

2021年に策定された財政運営プランでは、「民間事業者のノウハウも活用しながら」「市有財産の有効活用に取り組(む)」としている。市は、浜松団地集会所跡地や脇山北公園、内野幼稚園跡地などを売却予定地としているが、そもそも市有地は市民の財産であり、営利企業のもうけのために売却するのは許されない。売却方針はあらため、不足している保育所や特別養護老人ホームなど、市民の生活を守るために活用すること。



(7)名義後援

  • 市は2015年以降、市民団体が開く「平和のための戦争展」の名義後援を拒否しつづけており、新型コロナの影響で3年ぶりに開催された2022年の「戦争展」についても名義後援の申請を「不承諾」とした。市は「行政の中立性」をことさら強調し、「特定の政治的立場」だと判断する企画は一切後援しないという態度を取っているが、そもそも2022年7月に、特定の政治家である安部元首相の死去に際し、市役所ロビーに献花台や記帳台を設置し、公共施設等で弔旗の掲揚をするという対応を行ったのは、まったく矛盾した態度に他ならない。市が戦争展を政治的であるとして名義後援を拒否することは違法であり「名義後援の承認に関する取扱い要領」を抜本的に見直すこと。
  • なみきスクエアの「ひまわり広場・会議室」は、市民に広く貸し出されているスペースであり、事実上「公の施設」として扱われている。しかしながら、市民団体などが利用する際には名義後援がなければ認めないとしており、これは「住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」とする地方自治法第244条の精神に反するものであり、運用を改めること。

(8)消費者

本市の消費生活センターは、相談業務が営利企業に委託され、啓発や事業者指導をおこなう行政担当職員との円滑なコミュニケーションができず、消費者安全法が求める消費生活センターとは大きくかけ離れている。2021年度の相談件数は1万753件と前年度と比べて大きく落ち込んでいる。相談体制について、そもそも市が作った仕様書によると100%対応する体制になっておらず、十分な相談活動ができていないのは明らかである。仕様書の見直しを行うとともに、本来の消費生活センターの趣旨に立ち返り、市直営に戻すこと。



(9)デジタル化

  • 本市が進めている行政手続きの急速なデジタル化は、対面での窓口サービスや紙による手続きの縮小・廃止が懸念され、デジタル機器を所持していない人や使いこなせない人が行政手続きから排除されるおそれがある。加えて、デジタルを使いこなせない人への市の支援はあまりにも貧弱である。デジタルデバイド対策をさらに強めると同時に、市民の多様なニーズに応えるために、デジタル手続きとともに、紙による手続きを含めた対面での窓口サービスの拡充をはかること。
  • デジタル関連法の成立にともなう個人情報保護条例の改定にあたっては、「地域の特性等に照らし、地方公共団体は法律の範囲内で条例により必要最小限の独自の保護措置を講じることは当然可能である」とする国の答弁をふまえ、本人の知らないうちに個人情報が利用されることがないよう、個人情報の自己コントロール権を保障するための市独自の措置を講じるようにすること。

(10)人権教育・同和

「福岡市人権教育・啓発基本計画」は、実質同和問題や差別の問題に偏重しており、憲法で保障された幅広い人権を取り扱うものに改善すること。また、部落差別を理由にした団体や個人への特別扱いを一切やめ、一般行政に徹するとともに、行政の主導による市民と企業への「人権啓発」名目での「同和」研修の押しつけはしないこと。あわせて、「部落差別解消推進法」の運用において、参議院の付帯決議を厳守し、「同和」の特別対策に類するものの復活や、人権侵害を生み出しかねない特別な教育啓発や実態調査を実施しないこと。



(11)ヘイトスピーチ・外国人

  • 民族差別をあおるヘイトスピーチは依然として繰り返されており、放置することは許されない。ヘイトスピーチがどのような状況にあるのか、現状把握し、差別解消に向けた計画策定を行うこと。また、市長が毅然として根絶宣言を行うとともに、その立場に立った条例を制定すること。
  • 福岡市の外国人居住者は2022年10月で4万228人となっている。労働法令違反の働き方を強いられるなど、過酷な労働環境に加え、コロナ禍で解雇され苦しんでいる外国人居住者が数多く存在する中、相談窓口がわからず、各区役所の市民相談窓口への外国人の相談件数も少なく、必要なサービスを受けることができない状況が続いている。在留外国人が容易に相談窓口にアクセスできるよう公共施設・駅・商店街・スーパーマーケット・コンビニに協力依頼し、多言語でのポスターなどで周知するとともに外国人コミュニティなどのキーパーソンと連携して相談窓口の周知徹底を図ること。また、市独自の専用相談窓口を各区役所に設置すること。さらに、外国人居住者の人権保障をすすめていくために、市として総合的な多文化共生推進計画をつくること。
  • 日本には123万人の永住外国人が生活しており、地方参政権を付与すべきだという世論が高まっている。外国籍であっても、わが国の地方自治体で住民として生活し、納税を始めとする一定の義務を負っている人びとが住民自治の担い手となることは、憲法の保障する地方自治の根本精神とも合致する。永住外国人の地方参政権を保障するよう国に求めること。

(12)地域コミュニティ

「共創による地域コミュニティ活性化条例」は、自治会や町内会が任意組織であるにもかかわらず、住民が町内会への加入を現場で押しつけられたり、町内会の活動や運営を縛ったりするものになりかねない。また、防災や福祉について公的責任の明記がなく、民生委員の推薦や、災害時に援護が必要な人の避難計画の作成など、本来市の責任である事業が事実上町内会に丸投げされている。町内会の行政下請化を強化しかねない条例を撤回し、町内会や市民の自主的活動を真に応援すること。



(13)投票促進・若者の政治参加

  • 投票区について、距離や地形など総合的に判断して分割し、投票所を抜本的に増やすとともに、すべての投票所のバリアフリー化をさらにすすめること。また、在宅投票制度、郵便投票、学生に対する不在者投票、在外投票、洋上投票など、制度を周知徹底し、投票機会の保障をはかること。
  • 期日前投票は導入以降、投票所の増設なども行われ、国政・地方選挙問わず定着が進んできた。選挙実施のたびに利用割合が増加し、国政選挙では40%程度まで上昇している。2022年の福岡市長選挙では商業施設等への期日前投票所の設置が若干進んだが、さらに投票率を高めるために、市内各地に「共通投票所の設置」「大学や高等学校、商業施設等への期日前投票所の設置」をすること。また、現在唯一の「共通投票所」である市役所1階と区役所は投票日当日も投票所として利用できるようにすること。さらに、病院や高齢者福祉施設への入院患者、入所者が施設内において不在者投票ができるよう、未指定施設等への働きかけを強めること。そのうえで、外出が困難な有権者の投票行動を保障するために、選挙管理委員会が立会人と一緒に、投票箱を持って車でまわり、施設や自宅など要望がある場所に行く「巡回投票」を行うこと。
  • 選挙公報は有権者に候補者情報を届ける重要な公的媒体であるが、全市的に配布日が投票日直前だとの苦情も多い。それにもかかわらず、まともな手立てがとられていないのは問題であり、少なくとも投票日の1週間前に有権者に届くよう手立てをとること。また、不在者投票の指定施設ではない、病院や高齢者施設にも、選挙公報を配布するようにすること。
  • 18歳選挙権によって高校生にも選挙権が広がった。しかし、政府は高校生だけ政治活動を禁止・制限する通知をだしており、政治活動の自由を侵害している。高校生にも政治活動の自由があることを明確にし、「通知」を撤回するよう国に求めること。

(14)平和、基地

  • 高島市長は、2020年からの3年間で、市民の反対を押し切って自衛隊に対して、本人の同意もなく、延べ9万人もの若者の名簿提供を強行し、青年をはじめ市民の中に怒りが広がっている。このことは、憲法の保障するプライバシー権や自己情報コントロール権を侵害するものであり、断じて許されない。また、自衛隊は憲法が禁じる集団的自衛権の行使を容認され、海外で「殺し殺される関係」に投げ込まれる危険があり、本市の青年をそのような場に送り出すことは認められず、自衛隊への対象名簿の提供をやめること。
  • 福岡空港の滑走路増設工事に伴い、同空港内にある米軍板付基地の施設(倉庫等)が移転され、福岡市はそのための経費を2億7000万円負担した。さらに1972年に返還された米軍基地の跡地に残存していた燃料輸送管(パイプライン)に沿ってベンゼンなどの土壌汚染が確認され、汚染土の除去費用を約1億3400万円支払っている。市は基地の返還を求めておきながら、米軍施設の移転費用や米軍基地が原因の土壌汚染対策費用を市が負担することは異常であり、米軍基地の移転費用や原状回復費の返還を求めるとともに、市は、米軍基地の固定・強化につながる税金の支出をやめること。米軍板付基地の即時全面返還と福岡空港の軍事利用の中止を、国と米国に対して強く要求すること。
  • 福岡市の「平和都市宣言に関する決議」にも「博多港港湾施設管理条例」にも反する、博多港への米艦船及び自衛隊艦船の入港を拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。
  • 市長の就任以来、核兵器廃絶や非核三原則の遵守などをうたう「非核平和都市宣言」を求める議会請願が、被爆者団体や高校生など幅広い市民から、12年間に8回も出されているが、市長は「アジア太平洋都市宣言」や議会議決を持ち出し、理由にならない理由で、頑なに拒否する異常な態度を続けている。市民の切実な願いを真正面から受け止め、ただちに宣言すること。
  • 国連の軍縮大使や各国政府代表などが参加している原水爆禁止世界大会や、広島・長崎市の原爆資料館に、高校生をはじめ若者や親子を派遣するなどの事業について、北九州市等を見習って予算化すること。また、市として、原爆資料展をおこなうこと。
  • 福岡は広島、長崎に次いで被爆者が多く、また日本最大の引揚げ港を持ち、犠牲者1000人を超える大空襲を受けている。現在、戦争の史実を学ぶ公的な場は、市民福祉プラザの一角にある「引揚港・博多」常設展示施設や、空襲で大きな被害が出た地区にある博多小の平和祈念室などに限られている。北九州市では2022年4月に、「北九州市平和のまちミュージアム」が開館し、小中学生をはじめ、多くの市民が訪れている。2021年9月、「福岡市に平和資料館の設置を求める会」が2万8000筆の請願署名を提出しており、本市にも常設の平和資料館を設置すること。
  • 2022年3月に福岡市市民福祉プラザ1階の「引揚港・博多」関係資料の常設展示がリニューアルオープンしたが、定期的に入替えを行うとしている特集展示は5~6点しかない。定期的に入替えを行うことは当初からの約束であり、常設展示を含めて毎年入替えを行うこと。また、資料について説明する学芸員も配置し、博多港引揚げの史実を学校教育の課題に位置付け、子どもたちに戦争の悲惨さと平和の大切さを教える教材として使うこと。引揚げ記念碑「那の津往還」は記念樹とともに、ウォーターフロントの再整備の中で移転することなく、維持すること。
  • ロシアによるウクライナへの軍事侵攻やアメリカが中国やロシアと対立を深める中で、核兵器使用の危険が危惧されている。一方、2021年1月に核兵器禁止条約が発効したことで、核兵器廃絶への新たな展望が開かれている。禁止条約はすでに68か国が批准し(9月25日現在)署名した国は91か国に達し、国連加盟国の過半数の97に迫ろうとしている。福岡市議会でも「核兵器禁止条約を速やかに締結するよう政府や国会に求める意見書」を決議しており、平和首長会議に加盟する市長として、市長自ら首相に対して同条約の批准を強力に働きかけること。

(15)憲法

自民・公明両党が「反撃能力」=「敵基地攻撃能力の保有」で合意した。「平生から他国を攻撃するような兵器を持つことは憲法の趣旨ではない」という従来の政府答弁を踏みにじる最悪の立憲主義破壊に他ならない。日本への武力攻撃が発生していない「存立危機事態」においても、相手国の中枢機能を含む施設への日本からの攻撃が集団的自衛権を行使して行われ、米国が始めた戦争に参戦することになる。これは相手国から見れば明白な先制攻撃であり、相手が反撃してくれば日本や本市にも戦火が及ぶことになる重大な問題である。本市市民の命を危険にさらす「敵基地攻撃能力の保有」を行わないよう国に求めること。また、憲法第9条の改定はこうした米国の海外での戦争への全面参加を意味するものであり、改定をやめるよう国および自民・公明両党に求めること。

以上

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