議会報告

2009年12月議会

>>>議案第241号に対する反対討論(除斥議案)

議案に対する反対討論

2009年12月22日 倉元達朗議員

私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第216号ないし230号及び233号、235号ないし237号、239号ないし240号、247号ないし251号に反対し、討論を行います。


まず、議案第233号、235号ないし237号、249号、250号、福岡市立病院を廃止し地方独立行政法人へ移行するための諸議案について述べます。

今回関連議案は来年4月の独法化に向けたものですが、独法化すれば医療内容よりも経営効率が優先されることは明らかです。それは「金のかからない病院」を目指すことであり、看護師や事務職の給与の大幅引き下げや非正規雇用への置き換え、高価な医療機器を必要とする高度専門医療からの撤退、差額ベッドの導入や新たな患者の経済的負担増も懸念されるのであります。重い病気を患う子どもや高齢者を励まし懇切丁寧な治療にあたることよりも、患者数やベッドの稼働率、診療報酬のことを優先せざるを得なくなります。長年、小児高度専門医療や地域医療の拠点の役割を果たしてきた、こども病院と市民病院が大きく変質することは目に見えています。また、病院職員から公務員としての身分を奪うことは、その職務を全うしようという意欲や誇りを踏みにじるものであり、ひいては患者へのサービスの低下を招くことになりかねません。さらに当局は、法人が赤字になった場合の財政補助について「ケースバイケース」などと言って確約しようとしませんが、これでは市が経営責任からも手を引くことになり、法人に独立採算の圧力をかけることになります。直営から独法化した全国の事例は、すでに医療内容の後退や労働条件の悪化、患者の負担増など様々な問題が起きていることを示しており、吉田市長がいくら「市が関与し、責任を果たす」と言っても、公的責任が維持される保障は何もありません。だいたい、当局は来年度からの具体的な収支計画も示さないまま今回独法化関連議案を提案していますが、病院機構の根幹に関わる重要な問題を隠したままの議案上程は言語道断であります。

もともと、こども病院が担う小児高度専門医療も、市民病院が担う成人病治療も、国の歪んだ医療政策のもとで独立採算が成り立たない分野となっており、だからこそ本市が政策的に予算も確保し自治体病院として運営してきたのであります。ところが、構造改革路線のもとで、公務員削減を強要する行政改革推進法や、地方自治体の財政状況判断に病院事業会計の赤字まで含む財政健全化法が制定されるとともに、公立病院の民間委譲や民間手法導入が地方に押し付けられてくる中、本市も市立病院の独法化と新病院整備のPFI導入を打ち出しました。しかしながら、悪法を推進した自公政権に退場の審判が下された今、公立病院は維持、充実する方向へおおもとから切り替えるべきであります。したがって、わが党は市立病院の独法化に係る諸議案に断固反対するとともに、公的責任を放棄する独法化と、病院経営破たんを招くPFI導入をやめるよう強く要求するものであります。


次に、議案第216号、一般会計補正予算案について述べます。

第1に、職員給与の引き下げについてです。一般会計のほか、特別会計、企業会計の給与引き下げ予算補正及び、議案第233号、福岡市職員の給与に関する条例改正案は、福岡市人事委員会が民間給与との均衡を口実に給与月額の引き下げ、期末手当・勤勉手当の引き下げを勧告したことを受け、その内容をそのまま実施しようとするものです。これにより、本市職員1万214人の平均年間給与が17万5,000円も減らされ、10年前と比べると77万円もの減収となります。国の人事院は若年層の引き下げを行わないよう勧告したにもかかわらず、本市は初任給含め一律の引き下げとしていることは問題です。総額26億5,000万円にものぼるこうした大幅な給与引き下げは、市職員の生活設計を狂わせ、生活をいっそう苦境に陥れるものです。しかも月給引き下げ分を4月にさかのぼり来年3月の期末手当から差し引こうとしており、これは不利益の不遡及の原則に反するものであります。職員給与引き下げは、本市の嘱託職員、臨時職員、委託企業の労働者の賃下げにも連動し、さらには民間保育所や社会福祉施設の職員1万人以上、市内の民間労働者にまで賃下げの影響を与えるものです。物が売れず労働者の賃金が引き下げられ、購買力の低下でさらに物価が下がる「デフレスパイラル」現象に陥っていると言われている今、大幅な賃下げを強行することは、市長自ら経済危機を加速させるものと言わなければなりません。そもそも人事委員会がマイナス勧告を行うこと自体が、労働基本権の代償措置としての役割を放棄するものであります。わが党は、このような職員給与引き下げの条例案と補正予算案に反対いたします。

第2に、桑原敬一元市長の彫像建立経費700万円の追加についてです。当局は寄付を財源にすると説明していますが、総額800万円の費用には公金が含まれています。言うまでもなく桑原元市長は、市民の反対を押し切って人工島事業を着工させるなど「ブルドーザー市長」との異名を持ち、アジアの拠点都市づくりと称して無駄な大型開発を次々推進し、そのもとで税金を食い物にする政官業の癒着構造を作り出して自ら「ゼネコン疑惑」を受け、のちに刑事事件となったケヤキ庭石事件の首謀者である志岐元助役、談合贈収賄事件の木山元総務企画局長など汚職幹部の利権あさりを助長させた張本人であります。大型開発推進の結果、莫大な借金を後世に残す一方、自助努力、民間活力の導入、受益者負担など福祉切り捨てを柱とする行財政改革を進め、国保料の滞納を理由にした保険証不交付を全国に先駆けて実施、保育料の連続値上げ、さらに敬老無料パスの縮小方針まで打ち上げた結果、4選を目指した市長選挙で落選して市民から見放されたのが桑原氏であります。その人物の銅像を市民の大事な税金を使って公共施設内に建てるなど断じて認められません。わが党の全政令市調査によれば、公費によって元市長の銅像を建立した例は一つもありません。今回の桑原元市長銅像建立は自民党市議団などが主導してきたものですが、銅像が必要だと言われる一部の方々が私的に作ればよいのであって、公費を使う理由は何一つありません。市民からは「暮らしの大変な時に何をしているのか」「税金無駄づかいをするな」と厳しい声があがっているのであります。わが党は、不当極まりない桑原元市長彫像建立経費の削除を求めるものです。

第3に、約6,880万円の所得税不納付加算税等納付及び、議案第234号、市長給与条例改正案についてです。市職員に係る源泉所得税は各月の給与から徴収し、その翌月10日までに納付することが法で定められていますが、本市はこれを怠ったことにより福岡税務署から過去5年間にわたって納付額に5%相当の不納付加算税と延滞金、総額6,879万4,900円が課税され、納付するための補正予算が提案されています。また、この問題の道義的責任をとるとして、市長の給与の10分の1を3か月間減額する条例改正案もあわせて提案されています。源泉所得税を期限内に納付しないという基本的な会計処理ミスが長年にわたって繰り返されていたことの原因について、当局が「関係職員の認識不足」などと個人の責任に矮小化し、事務処理システムなど組織的な問題にまで踏み込んで徹底究明しようという姿勢が見られないことは問題です。第三者を含む調査を行い、研修や内部チェックの確立など再発防止に取り組むべきです。多忙を極める職場を増員して過密労働を解消すること、なによりも法令遵守と市民奉仕をないがしろにしてきた幹部こそ襟を正すことが必要です。

この問題の処分と対応についても、当局は、上司の指示通りに事務処理を行ったに過ぎない係員にも「戒告」の厳しい処分を下し、加算税分の補てんとして多額の募金を拠出させたことは行き過ぎであります。さらに広く職員に募金を呼び掛けて不足分を補てんしようとしていますが、事実上の募金の強制となるのは必至です。そもそも、加算税とは納税義務を犯した事業主に対する罰則であって、それを職員から徴収するのは事業主である市長の責任逃れに他なりません。募金呼びかけはやめるべきです。加算税納付に公費を充てることは市民の理解を得られないため、事業主である吉田市長の責任で対応することが求められます。市長は、わずかばかりの給与減額でお茶を濁すのではなく、来年度手にするであろう退職金3,744万円を返上し、副市長にも退職金減額を求めて補てんに充てるべきであります。

第4に、経済・雇用対策と生活保護費の追加についてです。総額11億5,000万円の今回補正のうち、地域活性化・公共投資臨時交付金事業7億円余は、人工島の小中学校校舎を施設整備公社から買い取るもので、経済対策としての効果は何もありません。緊急雇用創出事業約1,900万円は、業務委託やデータ入力作業の雇用55人分ですが、同事業にかかる今年度の新規雇用創出効果1,184人に対し、実績は840人に過ぎません。しかも内訳を見ると現況調査や業務委託がほとんどで、1ヶ月間など短期間かつ低賃金の非正規雇用ばかりです。これでは安定した雇用を求める市民の願いに応えるものになっていません。

また今回補正には、生活保護の申請が激増し給付が当初予算を超える見込みであることから扶助費99億円余の追加が盛り込まれています。失業・廃業などで住居を失うなど生活困窮の広がりに対応するため、保護課のケースワーカーを国基準の80対1に照らして不足している85人を増員して、生活保護の相談・申請の体制強化を図ることは急務であります。年末年始に派遣村の事態を生まないよう、街頭相談、住居や緊急避難所の確保、ワンストップサービスの充実などに取り組むよう求めるものです。


次に、議案第239号ないし240号及び247号、公の施設の指定管理者の指定に係る諸議案についてです。

わが党はかねてより、公の施設の管理は直営を基本にし、営利企業の参入をやめるべきだと主張してきました。今回市長は、西部地域交流センターや九電記念体育館、男女共同参画推進センターの指定管理者を民間企業に指定する提案を行いましたが、いずれも直営で管理すべきものを公募にかけ、公的団体が営利企業と競争させられた結果、営利企業が落札したものです。公の施設を儲け道具にする営利企業の指定管理者指定にわが党は反対します。


以上でわが党の反対討論を終わります。

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議案第241号に対する反対討論(除斥議案)

2009年12月22日 倉元達朗議員

私は日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっています議案第241号に反対し、討論を行います。


本議案は、東部療育センターの管理を社会福祉事業団に指定するというものですが、福祉施設の管理は公共性が極めて高く、効率化やコスト削減とは相容れないため直営で行う必要があり、指定管理者制度を導入すべきではありません。利用者・保護者からも直営管理を希望する声があがっています。よって、東部療育センターの指定管理者指定はわが党の同意しがたいところであります。


以上でわが党の反対討論を終わります。

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