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議会報告

2010年12月議会

定数条例改正案に対する反対討論

2010年12月22日 宮本 秀国 議員

私は日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております議案第222号、福岡市議会議員定数及び各選挙区選出議員数に関する条例の一部を改正する条例案に反対し、討論を行います。

自民党、公明党、民主市民クラブ、みらい福岡、社民市政クラブ、福政市民クラブ、平成会の7会派共同提案の本条例案は、議員定数を現行の63名から1名減らし、定数を62名にするとともに、南区と早良区の議員の数をそれぞれ1名減らし、西区を1名増やすというものであります。

地方議会は、それぞれの地方自治体における地域住民の意思を代表する機能や、自治立法権に基づく立法機能、執行機関に対する批判、監視機能という基本的機能を担っているものであります。そして、その目的を達成するために、地方自治法は人口規模に応じて議員定数を定めているのであります。本市における議員定数の法定上限は72名であり、現行でも9名の減数となっています。しかも、本市の人口は今年4月1日現在の推計で145万人を超え、現行定数となって以来12年間で17万人も増えており、議員が多すぎるという指摘は当たらないのであります。


そもそも憲法は、地方自治体の首長と議会は両者ともに住民が直接選挙する「二元代表制」をとり、その精神から地方自治法は議会と首長の権限と役割をそれぞれ定め、相互にチェックアンドバランスの関係を保ちつつ、全体として住民から選ばれた地方自治機関としての役割を果たすとされているのであります。最近、議会や市民を無視して首長が暴走する事例が各地で起きて話題となっていますが、制度的に優位な立場にある首長を、主権者である住民を代表する議会が厳格に抑制、監視することは民主的な地方政治の発展にとって欠かせないことであります。議会はその権限と役割にふさわしく適正な規模を確保し、さらに機能を発揮することが求められており、議員を減らすことはそれに逆行するものと言わなければなりません。


さらに、議員定数削減の狙いは、少数会派の切り捨てに他なりません。すなわち住民の多様な民意を反映することができなくなるのであります。それは少数意見を無視することにとどまらず、行政に対するチェック機能を弱め、議論を停滞させ、住民参加を阻害するものであります。議員を減らすことは大政党、大会派による議会の独占につながるものであり、断じて認められません。

提案会派は、定数を削減する理由として、「行財政改革、財政状況、国会での議員定数削減の流れ、市民感情等を考慮するとともに、議会改革を着実に進める」などと説明しています。しかしながらこれらは、到底まともな理由とは言えず、市民の理解は得られないものであります。

「行財政改革」や「財政状況」というなら、毎年100億円規模の予算を充てている人工島事業にこそメスを入れるべきであり、その莫大なムダづかいを無批判に推進してきた会派と議員が、「財政」を理由に言うのはまったく筋違いであります。


だいたい、経費削減というなら、議員を減らす前にやるべき事があります。議員を1人減らすことによる経費削減額は、年額約2,000万円程度です。それに対し、わが党が提案した議会改革は、その3倍以上の経費削減効果があります。

その一つは海外視察の廃止であります。これは4年前に1人100万円の豪華海外観光旅行ではないかと市民の厳しい批判を受けて、一時自粛されたものの、わが党の反対にもかかわらず、1人80万円として復活されたものです。その後、自民党が13人、民主市民クラブが7人、福政市民クラブが2人、社民市政クラブが1人、計23人が海外視察に行き、その費用は1,764万円にのぼりました。議員特権に他ならない制度はきっぱり廃止すべきであります。廃止によって4年間で5,040万円の予算削減が可能です。県議会においては、日本共産党の提案を受け、1人100万円の海外視察費制度が来年度から廃止されることになりましたが、本市議会も見習うべきであります。

わが党提案の議会改革の二つめは、議員報酬の1割カットであります。現行月額88万円の本市の議員報酬は他の政令市と比較しても、また市民感情から見ても、高い水準にあります。他都市では報酬カットが議論されたり、実際に特例で引き下げたりしていますが、本市においてはこれまで議論されていません。そこでわが党は、1割カットを提案しましたが、これによる経費削減は年額7,500万円にもなります。

この2つをあわせると4年間の経費削減は3億5,000万円となります。市民は給与や年金が切り下げられて深刻な生活苦にあるなかで、議員の報酬や特権に厳しい目を向けており、「財政が厳しいから、議員自ら身を削る」というなら、この海外視察廃止と報酬カットにこそ踏み出すべきであります。

わが党は議員定数調査特別委員会においてこの議会改革を提案しましたが、自民、公明、民主など提案会派は「同委員会で議論すべき問題ではない」などと言って、一顧だにしなかったのであります。少なくとも代表者会議などに切り換えて協議すべきだったはずですが、提案会派はこぞって議員定数削減という結論先にありきの審議を進めたのであります。こうした態度にわが党は抗議するものであります。


また、提案会派は、定数削減の理由として「市民感情」とも言われています。それは「議員は何をしているのか分からない、市民のために働かない議員はいらない」という憤りであって、問題は我々議員が住民の代表としてその負託にこたえるという本来の仕事をしているのかどうかということではないでしょうか。地方議員のバイブルである全国町村議会議長会編集の「議員必携」には「議員の職責」としてこのように記されております。「議員は、住民から選ばれ、その代表者として議会の構成員となるのであり、『選良』ということばで呼ばれるように、人格・識見ともにすぐれた代表者である。したがって、議員の一言一句は、とりもなおさず住民の意見であり、住民からの声であるというべき」「議員は、住民全体の代表者であり、奉仕者であって、これが議員の本質というべきである」。

ところが現実には、国政でも市政でも政治家が公約と期待を平気で裏切り、願いが政治に反映しない。本市においては、こども病院の人工島移転問題しかり、高すぎる国民健康保険料の問題しかり、かつてのオリンピック招致問題しかり、こうした市政の大事な問題で市民の願いが議会に届かないという体験を市民はしてきたわけであります。また政治不信の根っこには政治とカネの問題もありますが、こうした問題は議員を減らしたからといって解決するものではないことは自明であります。すなわち、議員を減らすことが市民感情にこたえることだという説明には根拠がなく、議員定数削減をごり押ししようとする自民、公明、民主など提案会派の党利党略は許されません。

さらに、「国会での議員定数削減の流れ」などという説明はまるで次元の違う話であり、道理がありません。


以上の点から、わが党は、法の原則を踏まえ、民意の反映を保障するため、議員定数は法定上限に近づけることとし、各選挙区選出議員数は人口比例にして、格差を解消すべきだと提案してきました。同時に、すでに選挙まで3ヵ月余りという状況になっており、国勢調査の速報値の公表も間に合わないことから、今回見直しは見送るのが妥当だと主張してきたところであります。

しかるに、7会派は、反対意見を押し切って、本日、定数削減の提案を行ったのであります。わが党は、強引で、道理のない議員定数削減の条例案に対して強く反対するものであります。


以上でわが党の反対討論を終わります。


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