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議会報告

2010年予算議会

「住宅リフォーム助成条例」の提案理由説明

2010年2月24日 倉元達朗議員

私は、ふくおかネットワーク及び社民・市政クラブ福岡市議団並びに日本共産党福岡市議団を代表して、ただいま上程されました議案第87号、福岡市住宅リフォーム助成条例案について、提案の趣旨を説明いたします。

本条例案は、市民の生活環境の向上に資するとともに、多岐にわたる業種に経済効果を与え、市内産業全体の活性化を図ることを目的として、市民が市内施工業者により、自己の居住する住宅等の改良・改善工事、いわゆるリフォームを行った場合に、その経費の一部を助成する制度を定めるものであります。


提案する理由の第一は、本市経済の主役である中小業者の深刻な現状を打開するためにはその仕事確保が切実に求められているからであります。

昨年来の深刻な経済危機のもとで、失業や倒産は底なしの悪化が続いています。とくに中小業者の経営は不況の影響を受けて大変厳しい事態であり、なかでも建設不況と言われる中で、中小零細建設業者の廃業・失業が相次いでいます。本市においても、新設住宅着工戸数が2年で3割減となるなど建設業者の仕事は激減しており、建設業の倒産件数は昨年度、全体の4分の1を占める53件にのぼり、建設業の従業員数は5年で8,500人も減少しています。

私はこの間、たくさんの建設業者や職人のみなさんから切実な声をお聞きしてきました。「仕事がなく生活に困って道具まで売ってしまった」、「所持金がなくなり、食料品が底をつき家にある粉まで食べてしまって、自殺しようかとロープまで準備した」など、本当に悲痛な声ばかりであります。職人気質(かたぎ)の人が多く、「人の迷惑になったらいけない」と言って生活保護を受けることをはばかる方も少なくありません。建設職人の技術が継承されなければ、日本社会にとって大きな損失と言わなければなりません。こうした中、市内の中小業者や建設職人のみなさんが仕事確保を求め、「住宅リフォーム助成制度を実現する会」を立ち上げ、請願が提出されています。この声に本市議会はどう応えるのか、鋭く問われております。

「住宅リフォーム助成制度」は、中小業者の仕事確保や地域経済の活性化策、緊急経済対策として、昨年5月時点で全国19都道府県の83自治体で実施されています。昨年8月から筑後市が導入するなど県内でも広がりつつあります。秋田県は都道府県段階として全国で初めて、この3月から実施します。札幌市議会は昨年11月、住宅リフォーム促進条例を全会一致で可決しました。「住宅リフォーム助成制度」によって中小業者の仕事が確保されれば、職人さんを含む労働者の雇用を守ることもでき、生きる希望にもなります。今こそ、本市議会として、中小業者の切実な願いにこたえて住宅リフォーム助成制度の実現を決断する時であります。

提案理由の第二は、住宅リフォーム助成が地域経済活性化に効果があるからであります。

私たちが提案する「住宅リフォーム助成制度」は、上限30万円で工事費の1割を助成するものですが、助成対象をエコなどに限定せず、どのようなリフォームでも助成を受けられるものです。住宅の外装、内装の改修はもちろん、バリアフリー化、太陽光・太陽熱発電の設置、耐震・耐熱・防音、防犯のための工事、駐車場の工事も対象とします。これによって、市民が気軽に利用できるようになります。

経済効果については、助成額の10倍の工事が市内の中小零細建設業者に発注され、それにとどまらずリフォームを機に家具や家電、カーテンなどを買い替えるなど、多岐にわたる業種にも大きな波及効果があります。経済効果が13.9倍だった宮崎県日南市の事例を参考にすれば、本市でも例えば5億円の予算で少なくとも70億円の経済効果が生まれることになります。まさに内需拡大を促進するのが住宅リフォーム助成であります。


提案理由の第三は、環境にやさしく、安心して安全に住み続けられる住宅を求める市民ニーズがあるからであります。

いまや地球温暖化防止や資源の有効活用は人類的課題となっており、住宅についても「壊して新築」から「より良いものを長く使う」への転換が叫ばれております。今ある住宅をリフォームすること自体、環境に優しいものと言えます。住宅の断熱効果を高め、また太陽エネルギーを導入することは、家庭の電気・ガスの使用量を減らすことになり、温室効果ガス削減に貢献するものです。さらに、市民の防災・防犯意識が高まる中、住宅の耐震化や、防犯機能の強化は市民の強い願いとなっています。こうしたことから住宅リフォームのニーズは年々高まっていますが、一方で家計の冷え込みや将来不安からリフォームしたくてもできない市民も少なくありません。そうした時に、リフォーム工事費用の一部を助成する制度を設ければ、きっかけをつくり促進する効果は大きいものがあります。建設業界だけでなく広く市民に喜ばれることは間違いありません。

以上が提案理由であります。なお、施行期日についてですが、三カ月以内に規則で定めることを附則で規定しています。これは、規則等の整備に一定の期間を要する上に、実施するには補正予算を組む必要があるからです。予算については、一定の効果が期待できる5億円程度が妥当だと考えますが、その財源は大型開発推進の予算を削減し、財政調整基金も活用すれば十分確保できると考えます。条例案が可決されれば、速やかに準備を進め、6月議会に補正予算を提案することを市長に要求するものです。なお、助成対象は4月1日以後に着工した工事にもさかのぼって適用することとします。


最後に、今回市長提案の予算案に新規事業として盛り込まれた「住宅省エネ改修助成」についてです。これは、住宅リフォーム助成の実現を求める中小業者の要求を受け、当局もついに助成制度の必要性を認めたものであり、一歩前進であります。しかしながら、助成の対象を国の住宅版エコポイントの適用工事に限定しており、これでは地元中小業者の仕事確保と経済効果は限られたものにならざるを得ません。対象を限定せず、あらゆる住宅リフォーム助成を対象にする制度こそ求められていることを強調するものであります。


以上、市民の熱い注目を受けている「住宅リフォーム助成条例案」に、議員各位のご賛同を心からお願いしまして、私の提案趣旨の説明を終わります。


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