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議会報告

2018年12月議会

「ロープウェイなどのウォーターフロント地区の公共交通
アクセス強化の検討に関する決議」について賛成討論

2018年12月19日 倉元達朗議員

私は、日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております決議案第7号、「ロープウェイなどのウォーターフロント地区の公共交通アクセス強化の検討に関する決議」について賛成し、討論を行います。

高島市長は先の市長選で博多駅から博多港を結ぶ地域にロープウエーを導入することを公約に掲げました。他都市での過去の実績に照らせば、建設費用は最大で1キロ100億円とされ、仮に有識者の研究会が示すように天神まで延伸して4キロを供用すれば400億円もの費用がかかる、超大型プロジェクトです。


そもそもこの計画は、幾重(いくえ)もの虚構の上に築かれた「砂上の楼閣」です。

第一に、この計画は、ウオーターフロント地区の再整備によって20年後に同地区に現在の3倍の人の出入りが起きるという、市の行政内部での計算を前提にしていることです。20年後の政治経済情勢など一体誰が正確に予想できるでしょうか。しかも、専門家でもない市の職員が、市長の顔色をうかがいながら鉛筆なめなめ、はじき出した数字をもとにしています。このような虚構を計画の土台においている異常を、まず指摘しないわけにはいきません。

第二に、「人の出入りが3倍に増える」ことを前提にした上で、「ではその輸送をまかなうには、どれが一番安いか」といって、あらかじめ絞り込まれた選択肢の中から選ばせるという、悪質な誘導をしていることです。

市長は地下鉄、モノレール、スカイレールなどといった選択肢を並べ、あろうことか「ロープウエーが一番安い」などという、とんでもない結論を導こうとしています。

そもそも人の移動が3倍に増えるという前提自体が根拠のないものであり、したがって「新交通システムなどつくる必要はない」という選択肢が初めから除外されていることこそ、この議論の虚構性の最たるものです。

第三に、もっとも根源的な問題として、安倍政権仕込みの「呼び込み型観光」、それを口実にした大型開発をやっても、もうかるのは一部の大企業のみで、市民の暮らしは貧しくなっていったことです。

高島市政になる直前の2009年度と最新の2015年度を比較して、民間法人企業の所得は1.6倍にもなっているのに、同時期の市民の家計の可処分所得は減っていったのであります。市長の言うようにウオーターフロント地区を再整備して、仮に人の移動が増えたにしても、市民にその「おこぼれ」が回ってくることはない、というのが厳然たる統計的な結論です。

このような何重(なんじゅう)もの虚構の上に築かれ、市民の莫大な税金を大企業の食い物にするだけの計画こそが、市長の「夢」であるというロープウエー導入の公約に他なりません。

ロープウエー計画は、そのほかにも、防災や安全の問題、景観や地域文化の問題などが懸念されております。

だからこそ市長選挙での読売新聞の出口調査で63%もの人が「反対」と答えざるを得ないものでした。しかもこれは、その7割が高島市長に投票したという人たちの中での数字であり、広い市民の中ではさらに多くの人がこの計画に反対していることは明らかであります。今議会でも本会議だけでなく、委員会において、わが党以外の議員の方々から反対、慎重意見、注文、疑問が相次いだのは当然です。


これほどまでに異常な計画なだけに、高島市長は市民や議会の疑念を払拭する「お墨付き」が欲しかったのでしょう、税金2300万円を使って有識者の研究会を立ち上げました。

ところが、驚くべきことに、その研究会がまだ調査研究している最中に、高島市長はロープウエー導入を早々と選挙公約に掲げてしまいました。

選挙公約に掲げて当選すれば、研究会の結論など待たずに、手っ取り早く「市民が承認した」という大義名分を得られると思いついたのかもしれませんが、研究会の調査研究を初めから無視するものに他なりません。市長がいくら「研究会の結論を尊重する」などといってみても、無言の強い政治圧力になることは明らかであり、研究会に対する冒涜以外の何ものでもありません。自らがつくった研究会の調査研究費用をドブに捨てる、税金の浪費です。

有識者が自由で客観的な調査研究を進めることと、その最中に市長がその調査研究を1つの方向に結論づける選挙公約を掲げて当選したこととは、絶対的な矛盾をきたすものであり、民主主義の手続きの上で重大な瑕疵をつくりだしたと言わねばなりません。

従って、わが党は、市長がロープウエー導入という前提をいったん白紙に戻すことを含め、全ての手続きを根本的に見直す慎重な対応を強く求めるものであります。


以上で、決議案に対するわが党の賛成討論を終わります。


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