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議会報告

2020年5月臨時議会

5月議会賛成討論

2020年5月20日 堀内徹夫市議

私は日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっておりますすべての議案について、新型コロナウイルス感染症が収束していない現下の必要性と緊急性を踏まえ、賛成の立場で討論を行います。

福岡県に発令されていた、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言は 5月14日に解除されました。

しかし、今回の解除に際して最も心配される点は、PCR検査の数が伸びていないことであります。

本市における1日あたりのPCR検査の数は、最高時の300件から、5月になって平均60件ほどへと大幅に減少しています。検査数が足らないもとでの解除という状況について、率直に言ってわが党は強い懸念をもたざるをえません。

引き続き、感染拡大防止のための警戒を決して緩めてはならないという立場から、議案に関連して3つの点で意見を述べます。

第一に、PCR検査をはじめ検査を抜本的に増やし、感染の全体像をつかむことです。検査を抜本的に増やしてこそ、仮に感染拡大の次の波が起こった際にも、迅速で的確な対応ができるようになります。また、段階的に経済活動を再開していくうえでも、これは判断にとって不可欠なものです。

今回提出されている議案第123号「令和2年度 福岡市 一般会計 補正予算案(第3号)」には、地域外来・検査センター 運営業務 委託費 7775万円が計上されており、PCR検査センターの3か所増設が含まれております。

しかしながら、すでに検査センターが新たに1か所設置されていますが、冒頭に述べた通り肝心の検査数そのものは大幅に減っており、これでは感染の全体像はわかりません。

わが党は議案質疑で、市全体の検査数を増やすとともに、少なくとも医療従事者・患者、福祉従事者・入所者などへの検査を行い、安心して医療や福祉の仕事ができサービスが受けられるようにすべきだと提案しました。市は審議の中で“入院患者に一律に検査を受けさせるのは医療保険の考えにそぐわない”などと稚拙な言い訳をしましたが、行政検査でやればいいだけのことであり、全く理由になっておりません。

現在本市では引き続き1日400から500件の相談が市民から寄せられておりますが、厚生労働省が“無症状の人にも受けさせてよい”と通知をしているように、相談を受けた際に医師が判断をして検査を受けさせれば、検査数はさらに増やせます。検査数を増やすことは専門家や経済界から提案されており、本議会でも委員会審議の中でわが党以外の会派からも出ております。市としてしっかり受け止めるべきであります。

髙島市長のもとで科学的な根拠にもとづかない判断が繰り返されていることは、重大な弱点として指摘しておかねばなりません。わが党は感染が起きてから一貫して、市の「新型インフルエンザ等 対策行動計画」に定めてあるように「福岡市 感染症 危機管理 専門委員会」を設置し、機能させることを要求しています。熊本市では市長のイニシアチブで熊本市版の専門家会議をすでに3月に設置しており、市と専門家会議でリスクレベルを策定して市の施設や学校の休業・再開など対策の判断基準として活用しています。本市でも、PCR検査の抜本増とあわせて、改めて設置を要求しておきます。

第二に、医療提供体制の抜本的強化を図り、逼迫(ひっぱく)を打開することです。重症者や中等症患者のためのベッド、軽症者の療養施設を確保するとともに、とりわけ、本市においては医療機関に対する財政支援が必要です。

今回の補正予算案および議案第125号「福岡市 医療・介護従事者等 応援基金 条例案」では、医療従事者や介護従事者への給付はありますが、医療機関そのものへの財政支援はありません。審議の中で紹介しましたが、コロナ患者を受け入れている、ある医療機関は、法人全体で月に約2億8000万円の減収となることが見込まれており、このままでは資金ショートしかねない状況になっています。医療機関が潰れてしまったら、地域医療は崩壊してしまいます。

市長は審議の中で、それは国の仕事だという旨の冷たい答弁をされましたが、北九州市でも医療機関の財政支援としても使えるようにわざわざ制度を変更しましたし、東京都杉並区でも1医療機関あたり月2億円の減収に対する全額補助をしています。まさに自治体のトップの決断次第ではありませんか。

なお、基金に関わって、宣言解除後の地下鉄乗車にあたり、未着用の市民にマスクを50円で買わせてそれを基金に入れようとしている問題について一言申し上げます。わが党が交通局に確認したところ、これはあくまで「マスク着用についての協力のお願い」という以上のものではありませんでした。ところが、市長がブログなどで「当面の間はマスクを『必ず』着けてご利用いただくルールにします」などと書いて、ことさら地下鉄の入り口で「見張り番」を置いて「声かけ」まで始めたために、まるで法令上の強制であるかのごとく市民を威圧する結果となりました。

本来、飛沫感染について科学的に、そしてていねいに呼びかけることで、マスクの着用の必要性を市民に理解してもらうというのが、市長の取るべきリスク・コミュニケーションであります。誤解を誘い・萎縮をさせて・強要するという髙島市長のやり方は、民主主義に悖(もと)るものであり、断じて許されません。猛省を促しておきます。

今後市政が踏まえるべき第三の点は、暮らしと営業に対する支援と補償措置をしっかり行うことであります。

今回の補正予算案では休業・時短要請への協力店舗等に対する家賃支援を継続するとともに、要請対象外の施設へも支援を行います。今回市が新たに補正を組んで支援メニューを用意したこと自体は、わが党が前回の臨時議会で要求していたことであり、まさに市民の声が市政を動かしたものであります。

しかし、わが党が審議の中で明らかにしたように、国の支援策が遅れに遅れているもとで、本市の家賃支援策はこれまでの支援上限額を引き下げるなど、質量ともに圧倒的に不十分なものです。わが党が質疑の中で要求していたように、家賃支援を継続・充実させることが求められております。

苦境に立つ中小業者に一刻も早く現金を渡すという趣旨から、手続きに必要な書類は徹底的に簡素化し、また、そろわないものがあっても、柔軟に対応するよう改めて要求しておきます。もちろん、市税滞納などの条件は一切つけないことは言うまでもありません。

福祉の職場なども家賃支援の対象になることが委員会審議で明らかになりましたが、自分たちのところがどんな制度の対象になっているのかわからない現場がほとんどであり、市側からのきめ細やかな周知が欠かせません。

こうした手続きの簡素化や、行政側からの制度の周知徹底の必要性は、家賃支援にかかわらず、他の給付金や支援金の支給についても同様であります。熊本市では生活保護世帯への10万円給付について、高齢者が半数近くを占め、精神的な障害を抱える人もいるなど申請に困難が予想されることから、担当課が申請を行っています。こうした手立てこそ、本市にも求められているのではありませんか。

さらに、他の対策も必要とされております。高い学費の支払いのもとでバイト収入などが激減している学生に対して、国は最大20万円の給付をすると決めましたが、学生団体の代表が「対象が狭すぎて救済に見合わない」と批判していたように全く不十分なものです。福岡市は学生の人口割合が政令市の中で2番目に高い街ですが、本市として何の支援策もありません。また、前回の臨時議会で要求しましたが、本市の半分近くは年収300万円未満の低額所得世帯であり、上下水道料金の減免などの生活支援策も待ち望まれております。これらについて、速やかに手立てをとることを求めるものであります。

以上3つの点について、今回の議案に関連して、宣言解除後に市政がとるべき方向を述べてまいりました。こうした手立てをとるうえで、本市の市政運営自体を抜本的に改める必要があります。

今は平時ではなく、有事、非常時であります。新型コロナウイルスの感染拡大を食い止め、史上最悪の経済危機に対応して、市民の命と暮らし、地元中小業者の営業を守ることを最優先にしなければなりません。平時に市長がとってきた大企業優先の大型開発・規制緩和で外から呼び込む事業の多くが不要・不急のものになっており、それらを抜本的に見直して、市民生活の防衛に回すことが求められています。

特に、新型コロナウイルスの感染拡大によって政治や経済の動向自体が数年のスケールで変わりつつあることに留意すべきであります。クルーズ船観光については、主だったクルーズ船社は2020年前期の航海を取りやめ、その再開のめどはたっておりません。また、オフィス需要についても15日付の日経新聞によればオフィスの解約が目立ち始め、在宅ワークの劇的普及とともに、潮目が変わり、「様相が一変」「オフィス全体の供給がだぶつく可能性」について報じています。さらに、「経済がかつてないほど不安定になっている」という理由で、グーグルがカナダのトロントにおける「スマートシティ」構想から撤退を始めました。こうした新たな動向を見る限り、市長の進めてきた「ウォーターフロントネクスト」「天神ビッグバン」「福岡スマートイースト」などの構想は、少なくとも今年度大幅な見直しをせざるを得ないではありませんか。

市民に「新しい生活様式」への切り替えを説教する前に、まず市長自身が「新しい政治」への切り替えをして、市民生活を最優先にするという自治体本来のあり方に立ち返るべきであります。

最後に、本会議の議案質疑でも述べましたが、これから梅雨と台風の季節を迎え、大規模な災害が起こることを想定しておかねばなりません。新型コロナウイルスの感染を予防しつつ、安全に避難をする計画を具体化するなど、本市として早急な手立てを求めて、わが党の賛成討論を終わります。


以上


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