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議会報告

2023年3月臨時議会

補正予算に対する賛成討論

2023年3月30日 松尾りつ子議員

私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております議案第132号「令和5年度一般会計補正予算案(第1号)」に賛成し、討論を行います。

本議案は、国の物価高騰対策の閣議決定を受け、「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」を住民税非課税世帯などに1世帯当たり3万円、「子育て世帯に対する生活支援特別給付金」を児童扶養手当受給世帯などに児童1人当たり5万円支給するために、約106億円を増額補正するものです。

物価高騰に苦しむ低所得世帯および子育て世帯を支援するために、一刻も早くこの給付金を届けるべきであるというのがわが党の立場であり、本議案に賛成いたします。


同時に、わが党としていくつかの点について意見を述べておきます。

この間、自民・公明政権、そして髙島市政は、コロナ禍や物価高騰への対策と称して、低額所得の一般世帯、子育て世帯などへの同様の給付金の給付を繰り返してきました。

わが党はそのたびに、コロナ禍や物価高騰の影響は深刻かつ広範なものであり、給付金の対象や金額がこれでは全く不十分であることを指摘してきましたが、国においても本市においてもその指摘を踏まえた対策はまともに検討されてきませんでした。今回もやはり住民税非課税というきわめて限定された水準の世帯への給付にとどまっており、抜本的な拡充が必要であります。今回の給付も、いつから行われるのか、見通しが明らかにならず、この間および今後の物価上昇をカバーするのかどうかも定かではありません。

物価高騰で市民生活が窮迫するたびに、小出しに不十分な給付を行うのではなく、根本的な対策を取ることが政治の責任として問われています。昨日付の毎日新聞の社説でも「政府の追加物価対策 対処療法では不安拭えぬ」と題して「支援を必要としている人に給付金が届かない恐れがある」「対象外でも低賃金の非正規労働者など生活に苦しんでいるケースは多い」「政府が一時的な給付を繰り返しても、生活の基盤そのものを安定させなければ、国民の不安は拭えない。最低賃金引き上げを通じた非正規労働者の待遇改善など抜本的な対策を急ぐべきだ」と主張しているのは、まことに当を得たものです。


そもそも自民・公明政権は、この間の自分たちの対策で物価高騰の伸びが鈍化したと自画自賛しておりますが、高騰自体を止めることはできていません。エネルギーや食料にとどまらず、あらゆる分野に効果のある対策として、世界の100か国以上で実施されているように、付加価値税・消費税の減税にこそ踏み出すべきでありますが、自民・公明政権はこの切実な要求に背を向けております。市長は消費税減税を国に対し直ちに迫るよう、強く求めておきます。

そして、根本的な対策としては、物価の上昇を上回る大幅な賃上げが必要です。自民・公明政権のもとで、日本は長らく成長ができない国となり、その大もとには、非正規労働を激増させた規制緩和や大企業によるリストラの横行によって、賃金が上がらない国になってしまったことがあります。

昨今の賃上げを求める国民世論の前に、今年の大企業の春闘では満額回答を含めた賃上げが相次ぎましたが、その多くが物価上昇に見合っていないという事実は、あまり知られておりません。また、日本経済の大多数を占める中小企業についても、少なくない事業所で賃上げが行われたものの、昨日付の神戸新聞では「現実は中小零細を中心に、臨時手当などを含む上積み分が物価に追いつかないケースが大半」だと報道しています。

物価上昇を上回る賃上げを政治の責任で主導することが必要です。

この点で、わが党が12月議会で立案した、「物価高騰の中で最低賃金の緊急的な引上げを求める意見書案」に対して自民党・公明党など多くの会派が背を向けたことは、政治の責任を果たさなかったという点で重大な禍根を残すものでした。

全労連などが要求してきたように、大企業の巨額のためこみの還元が今こそ求められています。大企業がコロナ禍の約3年間で内部留保を459兆円から505兆円へ約46兆円も膨張させているもとで、アベノミクスで増えた分に5年間の時限的課税を行うことで10兆円の財源をつくり、中小企業の賃上げ支援を行うこと、あわせて、課税対象から賃上げ分を控除して賃上げを促進することをわが党は提案しています。中小企業の賃上げへ直接支援を行い、最低賃金を時給1500円に引き上げることにより、政治のイニシアチブで、日本経済全体が物価上昇を上回る大幅な賃上げを実現することができます。髙島市長は、この立場で直ちに国に提案すべきです。


そして、住民の暮らしを守る基礎自治体である本市にもできる手立てがあります。それは、物価高騰の中だからこそ、社会保障や教育の公的負担を軽減して、国民の生活を守り、消費の減退と景気の後退を防ぐことであります。

わが党は先の定例会の代表質疑において、わが党に寄せられた市民アンケートでも要望の高かった、国民健康保険料・介護保険料の引下げ、学校給食費の無償化、高齢者乗車券の拡充、18歳までの子どもの医療費の完全無料化、家庭用ごみ袋の値下げ、非正規の市職員の賃上げ・待遇改善など、物価高騰から市民生活を守る特別対策を市長に求めました。今こそこれらを断行すべきであります。

これらの軽減策は、当面市民生活を物価高騰から防衛する上で役に立ちますが、それだけでなく、コロナ禍でその破綻が明らかとなった新自由主義を転換し、社会の脆弱さをもたらした、貧弱な社会保障を立て直す第一歩となるものです。

とりわけ日本社会の基盤をゆるがす重大問題である少子化の克服にとって、安心して子どもを産み育てられるようにするためには、教育費の負担軽減は最も重要な柱です。政府が2020年に行った意識調査では、「育児を支援する施策として何が重要か」という設問に対して、断トツ1位は「教育費の軽減」で、69.7%にのぼっています。3月25日付の日経新聞に公表された同社の子育て世代1000人へのアンケートでは「実現してほしいこども施策」のトップは、給食費を含めた「国公立の小学校から大学までの無償化」でした。大学の授業料を半額にすることを国に求めるとともに、本市としても学校給食費の無償化や市独自の給付制奨学金の創設に踏み切るよう、わが党は「少子化傾向の克服」を綱領でうたう政党として強く要請しておきます。

また、高齢化対策についても、自民・公明政権は「今の給付は高齢者中心、負担は現役世代中心だ」などといって、高齢者の負担増や給付カットを煽っていますが、年金減額や医療・介護の保険料の引上げなどによって、厚生労働省が2021年に行った意識調査でも「生活が苦しい」と答えた高齢者は過半数になっています。内閣府の調査でも、日本では、自分自身の生活状況の見通しが「よくなっていく」と答える人の割合が、他の先進国に比べて2分の1から3分の1しかなく、高齢者を標的にした社会保障の破壊は、かえって若い世代の将来不安を高める結果となっています。年金の減額をやめ物価上昇に見合うよう引き上げること、75歳以上の医療費の窓口負担2倍化の改悪を中止することなどを国に求めるとともに、本市として国民健康保険料・介護保険料の引下げ、高齢者乗車券の拡充などを行うよう強く求めるものであります。

さらに、非正規の市職員、会計年度任用職員の待遇改善は、本市がただちにできる独自の賃上げの手立てです。本市の会計年度任用職員はフルタイムもパートも8割が年収300万円未満であり、本市が規定する「低所得世帯」に該当することが昨年12月議会のわが党の質問で判明しました。

とりわけ、学童保育の支援員や図書館司書などの専門職が非正規にされ、低劣な待遇に置かれていることは大きな問題であります。「学校司書は、学校図書館の日常の運営管理や、学校図書館を活用した教育活動の支援等を行う役割があり、それらの職務に携わるための知識、技能が専門性として求められております」と教育長自身が答弁しているように、専門性の高い職種です。ところが、その平均年収は110万円にすぎないことがわが党の質問で明らかになったにも関わらず、教育長は「適切な水準だ」などと答弁したのであります。このような認識をあらため、抜本的な賃上げと正規化などの処遇改善を行うべきです。

あわせて、給付金の給付事業についても、民間企業に丸投げする方式を今回も踏襲しようとしています。しかしこのやり方は、この間、給付が間にあわず市職員を大量に動員する、給付が大幅に遅れ市長が謝罪に追い込まれる、再委託による中抜きで現場の労働者にまともな賃金が行き渡らないなどの問題が数多く発生しており、無反省に続けるべきではありません。市が給付作業のための人員を直接雇用して、市の責任で給付事業を行うようにすることを要求しておきます。


以上で、わが党の賛成討論を終わります。


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