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議会報告「発言と答弁」全文

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2025年12月議会

倉元達朗市議の議案質疑 発言と答弁全文

音声をもとに党市議団が文字起こしし、順番をわかりやすく組み替えたものです

  1. 経済対策
  2. 漁港無許可貸付問題

倉元市議私は、日本共産党市議団を代表して、議案第259号一般会計補正予算案のうち経済対策について、議案第201号福岡市漁港管理条例の一部を改正する条例案について質疑を行います。


経済対策

倉元市議質問の第一は経済対策についてです。

今議会に約127億円規模の経済対策が提案されております。物価高騰は止まらず、実質賃金も前年同月を下回り続け、暮らしの苦しさは深刻になるばかりです。高市政権は先月、総合経済対策を打ち出しました。その柱の一つとして「生活の安全保障・物価高への対応」を掲げ「物価高から暮らしと職場を守る」と述べておられます。そして重点支援地方交付金の拡充として2兆円を計上し、1世帯あたり平均1万円程度の支援を行うとしております。政府はお米券を推奨しようとしていましたが、どのような施策を行うかについてはそれぞれの自治体に裁量が任されております。そこで福岡市の選んだ施策が物価高で苦しむ市民への支援になりうるのか、質していきたいと思います。


下水道使用料減免(1問目、2問目)

倉元市議1点目は、下水道使用料の減免についてです。

今回、31億6186万円余の補正予算が提案されています。これは約93万5千世帯の一般家庭の下水道使用料の2ヶ月分を全額減免するものです。下水道はほとんどの世帯で使われるものであり、使用料を減免することは広く家計の支出を減らすことになるため、我が党も以前から要求していたものであります。

そこで、今回なぜ下水道使用料の減免をやろうと思われたのか、理由についてお尋ねします。また、減免される2ヶ月の使用料とはいくらくらいになるのか、答弁を求めます。

道路下水道局長一般会計補正予算案のうち、下水道使用料の減免に関するお尋ねについてお答えいたします。まず、減免を行う理由でございますが、国の重点支援地方交付金を活用し、市民生活に密着した幅広い支援を迅速に行うため、下水道使用料の減免を実施するものでございます。

次に減免額につきましては、対象期間の一般家庭における下水道使用料見込み額を世帯数で割った平均で申しますと、2ヶ月分で1世帯当たり約3350円となる見込みでございます。以上でございます。

倉元市議減免をやること自体は良いと思います。しかし、問題は規模です。2ヶ月分の全額減免といっても答弁にあったように平均3350円にすぎません。「生活が大変なので経済対策に期待をしていた。しかし、この程度ではとても喜べない」と城南区の女性は語っておられました。

今回の経済対策で誰もが恩恵を受けることができる施策がこの下水道使用料の減免だけに、どの程度の支援がなされるのかは大きな問題です。今、市民の生活実態は厳しいものがあります。話を聞いた女性は食費を切り詰めるために安いスーパーに行き、安い食材を買い、冷凍庫に入れて保存し、少しずつ使っているとのことです。中小企業に働く20代の女性は「給料が上がらない。同僚にランチを誘われても断っている。スーパーの値引き品を買っている」とのことでした。

そこで下水道使用料の2ヶ月分減免だけでは、物価高から暮らしを守れないのではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

道路下水道局長今回、下水道使用料の減免を迅速に実施し、物価高騰の影響を受けている市民の負担の軽減をしっかりと図ってまいります。以上でございます。


介護・障害者施設への支援(1問目、2問目)

倉元市議2点目は介護施設、障害者施設への電気代・食費支援についてです。

今回、介護施設には、10億42万円余、障害者施設には2億94万円余の補正予算が計上されています。これは市内の介護施設、障害者施設等に対して、電気代・食費の価格高騰相当分を助成するものです。電気代は高圧の場合10.7%、低圧の場合9.9%、食材費は17.0%の物価上昇率を定め、単価を設定し支援しようとしています。

そこで、介護施設、障害者施設を支援する理由についてお尋ねします。また、物価上昇率と単価の算定根拠について説明を求めます。

福祉局長介護・障がい者施設等への物価高騰対策についてのご質問にお答えいたします。支援理由につきましては、電気料金や食料品価格等の上昇など物価高騰により厳しい状況にある介護施設等に対し、緊急かつ実効性のある事業を行うためでございます。

次に、支援金の単価については県と同じとしており、県内の複数の施設、事業所の電気料金および食材料費の実績に令和5年度からの物価上昇率を反映させて設定したと聞いております。物価上昇率については、高圧電気料金が10.7%、低圧電気料金が9.9%、食材料費が17.0%と設定されております。以上でございます。

倉元市議ある障害者施設の施設長さんは暑い日が以前より長くなって、年中エアコンをつけていなければならないと言われています。障害の特性でトイレにこもってしまう人がいるそうです。付き添いの人と長時間トイレにいなければならず熱中症の恐れがあるために、トイレにもエアコンをつけたそうです。電気代だけでなく設備費もかかっていると語っておられました。食材費も値段が高くなっているため安い食材を選ぶから似たようなメニューになって苦労しているとのことでした。

市内の特別養護老人ホームの事務の方にもお話を聞きました。食材費について、1日の食費は1445円で賄わなければならないと語っています。しかし、この施設は委託費も含めて1日平均1867円かかっているそうです。その差額は施設が負担しており、年間400万円を超えます。この施設は今回の支援額が160万円程度になりそうですが、全く足りません。

そこで、介護施設・障害者施設ともに今回の支援だけでは苦しい運営が強いられるため、さらに拡充する必要があると思いますが、ご所見をお伺いします。

福祉局長支援が不十分ではないかとのお尋ねですが、県において物価高騰の状況を踏まえて適切に支援の対象および単価を設定されたものと考えており、国の交付金を活用し、必要な支援を実施するものでございます。以上でございます。


保育所等への支援(1問目、2問目)

倉元市議3点目は保育所等への電気代支援についてです。

市内保育所等に対して、電気代の価格高騰相当分を助成するとして5千611万円の補正予算が出されています。介護・障害者施設と同じく電気代は高圧の場合10.7%、低圧の場合9.9%の物価上昇率を定め単価を設定し支援しようとしています。

そこで、保育所を支援する理由についてお尋ねします。また、物価上昇率と単価の算定根拠について説明を求めます。さらに、なぜ保育所には食材費の助成を行わないのか理由を求めます。

こども未来局長保育所等への光熱費支援についてお答えいたします。今回の支援策については、物価高騰の影響を受けた事業者の負担軽減のために、国から交付される臨時交付金や福岡県の補助制度を活用し、福岡県の補助要件に合わせて適切な支援を行えるよう、助成を行うものでございます。今回の助成に係る単価については、福岡県において各種統計情報および県内の複数の施設の電気料金の実績をもとに、令和5年度からの物価上昇率を反映させて設定されております。物価上昇率は高圧電気料が10.7%、低圧電気料が9.9%となっております。

次に、保育所等の食材費への支援についてでございますが、令和7年度当初予算に計上し、現在支給の手続きを進めております。以上でございます。

倉元市議市内保育園の園長先生に話を聞きました。近年の猛暑でクーラーをつける時間が長くなっているとおっしゃられていました。熱中症対策で外に出て遊ぶ時間が少なくなり、その分、室内で過ごすため、なおさらクーラーの使用が多くなり電気の使用が多くなっていると言います。冬場も感染症予防のため、こまめに換気を行うためにやはり電気をよく使うということです。この保育園の今回の助成金はだいたい約18万円くらいになるようですが、「ありがたいけれど、もっと助成を」と訴えておられます。

そこで、異常気象が続くなか、今回の電気代の助成だけでは、昨今の電気代の上昇に対応できないと思いますが、ご所見をお伺いします。

保育園への食材費の支援については当初予算で措置しているという答弁がありました。しかし、その措置で十分なのかということが問われています。ある保育園の園長先生は食材費の支援を受けても大変だと言っておられます。月150万円の食材費の予算を組むけれど、毎月ギリギリでやっている。足らない月もある。野菜の値段が上がって市の献立通りに提供したら赤字になるので、八百屋さんに相談して安い食材に変えてもらうこともあるそうです。このように、限られた予算の中でやりくりしているのが保育園の給食であり、年度当初に支援をしたからなどと言わずに、今回もさらに支援すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

こども未来局長今回の電気代の支援および当初予算で計上している食材費の支援については、県の補助要件に合わせており、県において物価高騰の状況を踏まえ、適切に支援額の単価が設定されたものと考えております。以上でございます。


商品券事業(1問目、2問目)

倉元市議4点目は、全市版プレミアム商品券事業についてです。

今回、福岡商工会議所等が取り組む、市内全域の登録店舗で利用可能な電子版プレミアム付商品券の発行を支援するとして15億円が計上されています。商品券事業はコロナで本市経済が低迷し始めた令和3年7月から始まって以来、たびたび行われています。「またも商品券事業か」という声が業者の中から出ていることも事実であります。

そこでお尋ねしますが、なぜ繰り返し商品券事業を行う必要があるのか、ご所見をお伺いします。

経済観光文化局長全市版プレミアム付商品券事業についてお答えします。本事業は、用途や利用先が多く、市民への支援に資することに加え、消費喚起や経済効果が期待できることから、広く市内中小企業を支援できるものであり、また、過去に実施実績があることから、市民、事業者の皆様に迅速に支援をお届けできるものでございます。

倉元市議繰り返し行う理由について消費喚起の取り組みであり、これまでも効果を出してきたという答弁ですが、物価高から暮らしや営業を守る施策にはならないんです。商店街向けの商品券事業ならお金落ちるところが限定されますが、全市版となれば、それこそどこの大手スーパーやショッピングモールでも買い物することができるわけです。つまり、地元商店や中小企業へどれだけお金が落ちるのかわからないし、落ちる割合も少なくなります。先日、私の地元で今回の経済対策について説明する機会がありました。商品券事業のことを話すと、多くの人が「商品券がもらえる」と思ったみたいで、私が「お金を出して買わないといけないんですよ」と説明すると「もらえるんやないね」と言われる場面が多々ありました。ご承知の通り、商品券を手に入れるためには、金銭的余裕がある人でないと買えません。ですから、経済的に困窮している人たちにとっては縁のない事業なんです。さらに、消費の先食いにすぎないという批判、電子版なので消費者・事業者ともに制度から弾かれる人が出るという問題もあります。そこで、全市版プレミアム付商品券事業は、今求められている物価高騰対策としては、不適格だと思いますが、ご所見をお伺いします。

経済観光文化局長全市版プレミアム付商品券事業が物価高騰対策になじまないとのご指摘については、過去の実施実績において、スーパーや飲食店など市民が日常的に利用する身近な店舗で多く使われていることから、消費の下支えに寄与するもので、物価高騰対策として一定の効果があるものと認識しております。


中小業者光熱費等支援(1問目、2問目)

倉元市議5点目は、中小企業等への光熱費等支援についてです。

これは市内中小企業者等に対して、光熱費等の価格高騰分の一部を助成するというもので7億9000万円が計上されています。これまで行われてきた「燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援制度」を再度行うということです。本事業は、電気、ガス、燃料費などで価格高騰の影響額の2分の1、上限60万円を助成するものです。

そこで、今回で第5弾となる燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援ですが、これまで支援を受けた業者の意見にはどのようなものがあったのか、お尋ねします。

経済観光文化局長中小企業等への燃料費等支援については、物価高騰により影響を受けた市内中小企業等の事業継続と雇用を支えるため燃料費および光熱費について、価格高騰分の一部を支援するもので、事業者や経済団体からは、本事業を継続実施して欲しい等の要望をいただいております。以上でございます。

倉元市議燃料費等の高騰の影響を受けた事業者支援制度への意見について局長が述べられました。「継続してほしい」という意見があったとのことです。私のもとにも様々な意見が寄せられますが、やはり多いのはですね「書類作成に手間がかかる割には、もらえる金額が少ない」っていうことなんです。仕事を休んで作った人もいますが、「これだけか」ていう感じです。もちろん。中小企業・小規模事業者向けの直接支援策ですから大事だと思います。しかし、今の制度のままでいいのかが問われています。やはり価格高騰の影響額の2分の1、上限60万円というスキームでは、事業者を応援するには足りません。さらに、燃料費に限らずに、高騰している食材費、建設資材など対象を広げることも必要です。したがって、燃料費高騰の影響を受けた事業所支援は、対象品目を広げるとともに、影響額の割合、上限額を引き上げるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

経済観光文化局長中小企業等への燃料費等支援については、本来上昇したコストは価格に転嫁し、賃金の上昇につなげることが肝要であることなどを踏まえ、支援額を価格高騰による影響額の2分の1とするとともに、燃料費等の高騰による影響が様々な業種において生じていることから、市内中小企業を幅広く支援するため、多くの事業者に共通する経費である燃料費および光熱費を対象とし、上限を60万円としているものでございます。以上でございます。


なぜ市の財政を出動させなかったのか(1問目、2問目)

倉元市議6点目は歳入の財源についてです。

今回の経済対策は一部に県支出があるものの、約98%が国からの交付金を財源としています。

お尋ねしますが、経済対策の財源のうち本市の持ち出しはあるのか、答弁を求めます。

財政局長一般会計補正予算についてお答えいたします。補正予算案の財源につきましては、全て国庫支出金などの特定財源となっております。以上でございます。

倉元市議市の持ち出しは何もないということです。こんなに市民が暮らしに喘いでいるのに、冷たい態度だと思います。国の財政規模も不十分ですが、それならば、市がため込み金を崩して、必要な措置を取ることは当たり前ではないでしょうか。お尋ねしますが、なぜ今回の経済対策に市の財政を出動させなかったのか、ご所見をお伺いします。

財政局長補正予算案につきましては、物価高に対応する施策をいち早く市民や事業者に届けることができるよう、交付金を活用した事業として、下水道使用料の減免やプレミアム付商品券事業の他、中小企業や社会福祉施設等への光熱水費等の支援など効率的かつ迅速な支援が可能となる事業を実施するものでございます。以上でございます。


市長答弁(3問目)

倉元市議まず経済対策です。今回の経済対策で、誰でも受けることができるという施策が下水道料金の使用料減免です。しかし、平均3350円ぐらいの金額ですから、物価高から暮らしは守れません。局長は迅速に届けたいと言われたんですけど、やっぱそれだけじゃ駄目だと思うんです。やはり2ヶ月の減免では全く足らないと思います。プレミアム商品券事業は、物価高騰対策として不適格だという指摘に対しても局長は否定されました。しかし、プレミアム付商品券事業のデメリットは、さきに私が指摘した通りであり、その予算を燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援制度に振り分けた方がよっぽど効果があります。支援策の拡充については拒否されましたが、燃料費をはじめとする物価が上昇しているのは、業者の責任じゃないんです。ならば、行政がしっかりと支援すべきです。物価高に加え、人手不足の常態化、米国の高関税措置や日銀の利上げなど中小企業・小規模事業者にとって先行きは不透明ですから、支援策の拡充は不可欠です。介護施設、障害者施設、保育園への支援についても今提案している通りで構わないといった答弁を各局長がされました。これも現場の声を無視した冷たいものです。県の試算のせいにされるんですけど、ぜひね、現場の声を聞いていただいて、市独自の試算していただきたいなと。そして、十分な支援をね、やってくださいよ。この介護・障害者・保育施設っていうのは、全てこれらの施設は公定価格で運営されておりまして、経費、材料費の高騰を価格に転嫁できず、全て事業所の負担となります。各施設の努力だけでは解決できません。今回の経済対策は、物価高に苦しむ市民にとって待望されたものでした。しかし、これまで述べてきた通り、規模も内容も不十分です。財政局長はいろいろ言われましたけれども、今回の経済対策に1円たりともお金を出さなかったことを正当化されました。市民の方が言っていました。「市民の生活が目に入ってない。地下鉄延伸などやってる場合ではない」と。私もその通りだと思います。高市政権が打ち出した総合経済対策では、消費税減税を拒否し、最低賃金時給1500円の引き上げ目標も投げ捨てる、医療費の削減も企てられています。政府は、庶民の暮らしを助けるどころかもっと負担を増やそうとしています。だからこそ、本市が国の悪政から市民の暮らしを守らなければならないのです。従って市長は市のため込み金を崩して予算を増額し、今回打ち出した下水道使用料減免、介護・障害者・保育施設、中小業者への支援施策をさらに拡充するとともに、子育て世代だけでなく、全世代を支援する独自の施策を行うべきと思いますが、ご所見をお伺いします。また、国に消費税の減税、政治の責任での賃上げ、医療介護年金など社会保障の充実を要求すべきと思いますが、あわせて答弁を求めます。

市長今般政府が策定をした総合経済対策につきましては、国において、厳冬期の電気・ガス代支援やガソリン・軽油の暫定税率廃止などに取り組まれるとともに、地方公共団体において、地方の実情に応じた生活者、事業者の支援を行うことができるよう、重点支援地方交付金の拡充を行うこととされております。福岡市といたしましては、この経済対策の趣旨を踏まえ、全ての世帯に速やかで、公平な支援が可能な下水道使用料の減免や、用途や利用先が多く、消費喚起・経済効果が大きいプレミアム付商品券事業、また中小企業や社会福祉施設等への光熱費の支援など、効率的かつ迅速な対策を実施するものであります。今後とも、物価高の状況や国の動向などを踏まえ、必要に応じて国への要望を行うとともに、必要な施策を着実に取り組んでまいります。


漁港無許可貸付問題

倉元市議質問の第2は漁港管理条例の一部を改正する条例案についてです。


条例改正の概要(1問目、2問目)

倉元市議8月27日付西日本新聞は「福岡市の所有・管理する漁港で、市の条例で漁船以外の係留が禁じられているにもかかわらず、市漁港の支所が係留場所を市に無許可で、一般のプレジャーボートなどに有料で貸している」と報じました。この問題を我が党・堀内議員が質したところ、市は事実を認め、1999年から把握していたにも関わらず、黙認してきたことが明らかとなりました。我が党は徹底調査と全容解明を求めてきました。

市は「福岡市管理漁港におけるプレジャーボートの係留等のあり方に関する有識者会議」を設置し、今後の対応策や原因検証および再発防止策について意見を徴収し、12月4日「福岡市管理漁港におけるプレジャーボート等への今後の対応について」という見解を発表しました。そこでは放置艇への対応と今後の管理運営について、条例と施行規則に基づく使用許可を行うために条例を改正することが謳ってあります。

そこでまず初めに、今回の条例改正の概要について説明を求めます。

農林水産局長福岡市漁港管理条例の一部を改正する条例案についてのご質問にお答えいたします。まず今回の条例改正の概要につきましては、これまでプレジャーボートの受け入れを行ってきた浜崎今津漁港以外で、玄海漁港を除く市管理漁港におきましても、受け入れを行い、市が使用料を徴収することとなるものでございます。

倉元市議条例改正によって、来年の4月1日から市が漁港に係留している放置艇から使用料を取ることができるようになるという答弁でした。そこでお尋ねしますが、使用料は市が利用者から直接徴収するのか、答弁を求めます。

農林水産局長プレジャーボート利用者からの料金徴収につきましては施行期日である令和8年4月1日からは、福岡市が直接利用者から使用料を徴収することとなります。


漁協が出してきた収支資料は信用できるのか(1問目、2問目)

倉元市議2点目は市が漁協へ「返還請求は行わない」と結論づけたことについてであります。

今回の事件の大きなポイントは市民の財産である漁港で民間団体である漁協が不当な利益をあげているならば大問題であるということです。第2回有識者会議では漁協から提出されたというプレジャーボートの係留に係る収支が提出されました。資料1を投影してください。これが資料です。2018年から2024年までの7年間で1億9358万円余の収入を漁協が得ていたことが明らかになりました。同時に管理経費とその差額も示されております。毎年100万円から400万円台の差額があったけれども、これは漁港全体の修繕や維持管理経費に充当したので漁協には利益は何もないという説明であります。有識者会議に示された収支の資料はこれのみです。投影ありがとうございます。そこで、この事件の当事者である漁港が自ら出してきたという資料の数値は果たして信用できるのか、ご所見をお伺いします。

農林水産局長漁協の収支につきましては、監督官庁である福岡県に提出されております。業務報告書に記載されており、会計処理や税務申告につきましても、適正に行われていると聞いております。この内容につきましては、有識者会議において、収支には大まかなところで不合理は感じないとの意見をいただいております。

倉元市議漁協が出してきた資料について、県にも報告しているものだから信用できるとの答弁ですが、そんなことはありません。なぜなら、その報告書の収入のうち、いくらが漁港を使っていた収入かっていうことがわからないからなんです。ただ、漁協は毎年、県に報告書を出しているから、プレジャーボート係留に係る収支の数字も正しいとあなた方が決めつけるのはあまりにも飛躍した論理であります。例えばですね、管理経費の内訳で、先ほど投影した(資料の)中にあるんですが、令和6年の人件費を見てみますと「巡回・点検・清掃」これに2347万円かかっているというのが漁協の言い分なんです。しかし、その内訳、つまり何人が何日業務にあたって、いくらの報酬を受け取っているのかという算定根拠、こういったものが明らかにならないと、正当性は担保されません。つまり、現在漁協が提出している資料だけでは信用に値しないんです。

そこで、市は漁協が行っている「収入」「管理経費」の内訳の詳細を確認しているのかお尋ねします。また、漁協の帳簿を確認したのか、答弁を求めます。さらに、漁協の出した数字は、つじつま合わせの数字を並べたものではないかとの疑念を拭えませんが、ご所見をお伺いします。

農林水産局長漁協の収入管理経費につきましては、帳簿等は確認していないものの、監督官庁である福岡県に提出されている業務報告書に記載されている決算の数値をもとに、十分な根拠を持って算出されたものと聞いております。また、会計処理や税務申告につきましても適正に行っていると聞いております。この内容につきまして、有識者会議において、収支には大まかなところで不合理は感じないとの意見をいただいております。


漁協は収入を得る権利はないのでは(1問目、2問目)

倉元市議漁港は管理経費がかかっていると主張していますが、そもそも市と漁港は管理契約を結んでおりません。無許可で貸付を行っており、9月議会の農林水産局長の答弁でも条例違反であることを認めています。

そこで、漁協は条例違反を知っていてこの間、料金を取り、管理していたのか、お尋ねします。あわせて無許可であるならば漁協は法律上、収入を得る権利はないのではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

農林水産局長漁協による管理や料金徴収につきましては、福岡市漁港管理条例および同施行規則において浜崎今津漁港のみプレジャーボートの係留および使用料の徴収が可能となっております。今回の適正化の取り組み以前においては、その他の漁港において、プレジャーボートの係留等ができないことについて市では漁協の認識を把握しておらず、本市から漁協に対して、具体的な協議を申し入れた記録はございません。

次に、漁港使用につきましては福岡市漁港管理条例に基づき、市への届け出または許可を受けた上で使用することとなります。

倉元市議漁協は条例違反を知っていたのかについてはわからないということです。しかし、知らないなんていうことはないんじゃないでしょうか。無許可の状態で漁協が収入を得る権利がないのではという問いに対しても、問題ないという信じがたい答弁をされております。市と漁協の間に何か特別な関係があるのではないかと思わせます。局長は法律家の意見を聞いたと、だから正しいんだっていうふうに言われているんですね。西日本新聞の11月21日付に広島大学法科大学院の油納健一教授の談話が掲載されています。市の漁協の収益について「不当利得と認められる可能性はある」と語り、「漁協が係留を条例違反だと認識し、利用料を得る権利がないとわかっていて徴収していた場合、経費の控除は認められない」と言っています。私自身も何人かの弁護士を始め法律家に意見を聞いてみましたが、どの方も漁協が無許可で使用料を取り、経費がかかっているから問題はないとしていることには批判的な意見でした。そこで、収入を得る権利がない漁協に経費の控除を主張する権利はないと思いますが、ご所見をお伺いします。

農林水産局長漁協による収入および経費につきましては、今回の事案が、市が長年にわたり不作為を続けていたことが原因であり、漁協が漁業活動に支障がない範囲でプレジャーボートを実質的に受け入れ、利用者との契約に基づき収入を得て、管理に必要な経費に使用したものと考えております。


今回の事件の原因は?政治家の関与は?(1問目、2問目)

倉元市議3点目は本事件の原因についてです。

有識者会議の「意見のまとめ」では今回の事件の原因について「今回の事案は、長年にわたる市の不作為が大きな原因であるため、市は大いに反省」するように促しています。しかし、市にすべて落ち度があるとし、漁協の責任には何も触れておりません。市の見解である「今後の対応について」でも同じ論調で再発防止策を述べています。そこで、もちろん市に責任があることは当然ですが、漁協の責任に触れていないのは不自然だと思いますが、ご所見をお伺いします。あわせて、原因についての有識者会議の意見や市の見解は、事件の本質を矮小化しているのではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

農林水産局長今回の事案の原因につきましてはその検証のため、有識者会議における法律の専門家のご意見をいただきながら関係職員へのアンケート調査を実施しており、多くの職員が放置艇の事実を知りつつも長期間にわたりその状態が継続されていることから、改善するハードルが徐々に高くなり課題の整理も十分になされず、先延ばしにされたものと考えております。また、組織的な情報共有が適切に行われなかったことから上司によるマネジメントが及ばなかったことも一因と考えております。今回の事案の責任につきましては、放置艇の事実を知りながら、長年にわたり必要な措置を行ってこなかった。市にあるものと考えております。以上でございます。

倉元市議漁協は悪くない、あくまでも市が悪かったんだと答弁されます。まるで何かをかばっているかのようです。しかし、事件の舞台が漁港という公の施設ですから、市民の税金にも関わってくる事案です。真相をちゃんと究明しないといけません。9月議会で我が党・堀内議員は、「この事件は、市の施設を無断で使用して、何十年にもわたり億単位に及ぶお金が動いている可能性がある前代未聞の大事件です。こんなことは行政だけではできません。何らかの大きな力がないとできません」と述べた上で「今回の事件に政治家の関与があったのではないか」とただしました。局長は「把握していない」と答弁されました。私は後の経済振興委員会で「政治家の関与についても調査すべき」と強く主張しました。今回のようなイレギュラーな構図が長年にわたって放置されていたのは、大きな力が動かないとできないと私も思ったからです。過去にもケヤキ・庭石事件、副議長あっせん収賄事件など議員が関与した本市の事件がありました。しかし今回、市は調査を一切行いませんでした。お尋ねしますが、政治家の関与について一切調査しなかったことは、市民に知られたくないことがあって、それを隠すためではないかと思いますが、ご所見をお伺いします。

農林水産局長政治家の関与の調査につきましては、まず関係市職員へのアンケート調査において、今回の不作為の原因について多くの回答を得ましたが、政治家の関与に関する回答は一切ありませんでした。また、有識者会議においてプレジャーボートに係る漁協の収支について提出された資料により確認したところ、収入は全て管理経費等に充当されております。このようなことから、政治家の関与については把握しておりません。以上でございます。


市長の関与はなかったのか(2問目)

倉元市議政治家の関与とともに、市長の関与についても言及しておかなければなりません。市長は、漁港の管理者であると同時に、水産業政策を推進する上で漁業との関係は浅くありません。先日、2024年度の政治資金収支報告書が公開されました。市長の資金管理団体であるアジアリーダー都市研究会のパーティー収入は約3500万円、支出は約650万円、約2850万円の利益、利益率は約81%でした。自民党の政治資金パーティーを通じた裏金事件や日本維新の会幹部の公金還流疑惑など政権与党による「政治とカネ」の問題が政治の大きな焦点になっています。それにも関わらず、市長は未だに政治資金パーティーを開催し続けています。極めて問題です。今回の事件で漁協の責任を全く問わないでいるのは、2024年度に行ったパーティーで、市長が漁業関係者からパーティー券を購入してもらっているからではないかと思いますが、明確な答弁を求めます。以上で、2問目を終わります。

市長市政報告会につきましては、市内外から幅広い分野の皆様にご来場いただいており、私を応援・支援いただいている方々に、市政報告などを行うため、政治活動の一環として開催したものであり、法に基づき適切に対応しております。なお、いずれの業界の方ともご懸念のような不適切な関係はございません。以上です。


市長答弁(3問目)

倉元市議漁協が出した収支の数字ですが、「問題ない」と言い切られますが、とんでもない答弁です。それこそ、あなた方の答弁こそ不合理を感じますね。ただでさえ、事件の当事者が出している資料だけに、客観的な根拠が求められるのに、数字の詳細内訳についてはわからない、知ろうともしない、帳簿も確認していない。これで信用しろというのが無理な話です。この数字をもって有識者会議は「収支には大まかなところ不合理はない」「漁協の利得を認定想定しづらい」などと意見をまとめ、市はその意見に追随して、漁協には利得の返還請求は行わないなどというのは、全くの茶番としか言いようがありません。そもそも条例に違反して有料貸しを行っていた漁協に利用料を取る権利もこれだけ経費がかかりましたから徴収した利用料を返還する必要はないなどという権利も全くないんです。それをあなた方が道理をねじ曲げて不問にしようとしている。行政のあるまじき姿です。漁協が条例違反を知っていたのかについても、市は知らないと答弁される。そんなことも聞かないで、何が調査ですか。漁協に都合の悪いことは聞かないで、漁協が主張する数字は何も検証することなく受け入れる。市と漁協の不自然な関係性を疑わざるを得ません。こんなことができるのは、やはり政治家の関与があったからだと思います。しかし、市の職員に聞いたけど、何も出てきませんでしたと答弁されるんだけど、そもそもあなたたち聞いてないじゃないですか。政治家との関与があったのかっていうことについて、調査すらやっていない。これで事件の真相がわかるはずがありません。市長についても漁業関係者からパーティー券を買ってもらったかどうか。明確に答弁されません。買ってもらっていないならば、「買ってもらってない」って明らかにすればいいんじゃないんですか。それができないならば、漁協との癒着があり、今回の返還請求をやらないという市の決定に影響を及ぼしていると言われても仕方がありません。糸島市でも同様の事件が起きています。しかし、糸島市は漁協に不当利得の返還請求を行い、漁協が市に対して10年間の漁港使用料相当額約1545万円を返還する内容で和解に合意したという報道がなされています。「不当利得には当たらない」として1円たりとも返還請求を行わない市長の態度は極めて異常であり、このまま幕引きは許されません。更なる真相究明を市長だけに任せるわけにはいかず、漁業関係者を招へいできる百条委員会の設置はますます必要性が高まっています。したがって、市長は漁業関係者からパーティー券を買ってもらったかどうか明らかにするために、購入してもらった団体・企業を全て明らかにすべきと思いますが、答弁を求めます。また、返還請求しないという方針を撤回し、更なる調査で徹底究明を行うべきと思いますが、最後に市長の明確な答弁を求めて、私の質疑を終わります。

市長市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づき適正な手続きを行い、必要な届け出および公表は全て行われております。漁協に対する返還請求につきましては、法律の専門家も入った有識者会議の意見や顧問弁護士の法的な見解を踏まえると同時に、職員アンケートの結果、福岡市の不作為の実態が明らかになったことを総合的に勘案し、請求を行わないこととしたものでございます。プレジャーボートの管理については、現状を踏まえた今後の管理方法などについて、幅広い分野の専門的な意見をいただくため、弁護士、公認会計士などの学識経験者を初め、民間マリーナ運営者、地元自治協議会会長、福岡県の担当者などで構成をする有識者会議を設置し、それぞれの専門的見地から、適正化に向けた貴重な意見をいただけたものと考えております。

また、有識者会議における法律の専門家のご意見をいただきながら、職員アンケートを実施し、非常に高い回答率を得ることができたことからも、しっかりとした原因検証ができたと考えております。今回の放置艇の問題については、少なくとも25年にわたり福岡市として不作為が続いていたことについて重く受け止めており、大変申し訳なく思っています。今後このようなことが起こらないように、再発防止策を徹底し、全庁を挙げて市民に信頼される市政運営に取り組んでまいります。以上です。

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2025年12月議会 一覧

不十分な物価高騰対策の拡充、漁港無許可貸し問題徹底究明求める(2025年12月11日 倉元達朗市議の議案質疑)

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