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議会報告「発言と答弁」全文

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2025年6月議会

倉元達朗市議の議案質疑 発言と答弁 全文

音声をもとに党市議団が文字起こしし、順番をわかりやすく組み替えたものです

  1. 物価高騰対策
  2. 医療的ケア児・者を介護する家族への支援強化
  3. 強度行動障がいがある人の家族支援

倉元市議私は日本共産党市議団を代表して、議案第118号一般会計補正予算案のうち定額減税補足給付金、医療的ケア児・医療的ケア者等への支援の拡充について質疑をおこないます。


物価高騰対策

倉元市議質問の第1は、物価高騰対策についてです


定額減税と市民への物価高の影響(1問目、2問目)

倉元市議今回、社会福祉総務費として7億9917万円余の補正予算案が計上されています。これは昨年、6月に政府が行った定額減税の給付対象者の増などに伴う事業費の増額分であります。そこでまず、いわゆる不足額給付制度の概要、対象者数、支給金額について答弁を求めます。

福祉局長物価高騰緊急支援給付金についてのご質問にお答えします。給付金につきましては、定額減税を補足することを目的に、令和6年度に定額減税しきれないと見込まれる額を支給しておりますが、6年中に扶養親族などが増加した方、退職などにより収入が減少し、減税しきれなかった方について、1万円単位で支給するものでございます。加えて、事業専従者など新たに対象者として示された方に対しても、1人当たり4万円を支給するものでございます。対象者数につきましては18万7千人でございます。

倉元市議定額減税は、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、実施されました。しかし、その効果は極めて限定的であり、仕組みが非常に複雑であり自治体と企業は膨大な負担に悲鳴をあげました。その後も物価は上がり続け国民生活は極めて困窮しております。現在、米の値段の高騰が大きな問題となっていますが、問題は米だけではありません。帝国データバンクの調査では主要食品メーカー195社が6月に飲食料品1932品目の値上げを予定しています。2023年に2万品目を超えたとき以来の今年は1年間の値上げになるとみられます。さらに電気・ガスなどエネルギーコスト増による料金値上げもありうることです。また、「賃上げは好調」と石破首相は言いますが、働く人の多くが、賃金が物価高に追いついていません。実質賃金は昨年1年間でマイナス0.3%、ピーク時・1996年から年額74万円も減っています。さらに、年金も物価上昇に見合った金額が支給されておりません。

そこで、物価高騰は止まらないうえに賃金も上がらず年金も上がらない。このような状況のもと市民の暮らしは以前に増して厳しくなっていると思いますが、ご所見をお伺いします。

福祉局長物価高につきましては、市民生活に一定の影響を及ぼしているものと考えております。

倉元市議物価高騰期円緊急支援給付金の追加についてご説明をいただきましたが、ごく一部の人しか支給をされません。現瞬間の市民の生活実態と照らせばまったく間尺に合わないものです。また、市民の暮らしぶりについてお尋ねしましたけれども、大変であることは否定されませんでしたが、淡々とまるで役所は関係ないかのように答弁をされました。そんな態度が今回の議案にも表れていると思います。私たち共産党市議団は去る4月28日、市長に対して「物価高騰から暮らしと営業を守る緊急対策の要請」を行いました。詳細については後で述べますが、物価高騰が続くなか、市民の暮らしや地域の中小業者の経営の困難を打開し、安心とゆとりをもたらす支援が必要だとして、緊急に市独自の物価高騰対策を行うことを求めました。ついては、5月の臨時議会に関連議案を提出するよう要望したのですが、市長は応じませんでした。ならば、この6月議会に何らかの議案が出るのかと思いきや、商店街プレミアム商品券事業の追加予算以外何もありません。安い米を買うために開店前に何時間も並ぶ、食事の回数を減らす、子どもにご飯のおかわりを禁止する、それほど困窮している市民に対して本来的には国が何らかの措置をやるのが当然ですが、何も見えません。それどころか自民党の幹事長は「政治生命をかけて減税に反対する」など言い放つ始末です。ならば国の悪政から市民を守るのが地方自治体の役目ではないでしょうか?これだけ物の値段が上がり、国が無為無策のなか、市独自のまともな経済対策を講じようとしないのは、市長が市民の暮らしが厳しいと思っておられないからではないのか、ご所見をお伺いします。

福祉局長物価高につきましては、市民生活に一定の影響を及ぼしているものと考えております。


物価高騰対策の提案(2問目)

倉元市議では、今、本市がやるべき対策は何かという問題です。「1万円札を崩すとあっという間にお金がなくなってしまう」「買い物に行くのが怖い」という声があちらこちらで聞こえてきます。どんどんお金が出ていってしまう。ならば市民の可処分所得を増やすことが必要です。

まず1点目は高齢者乗車券制度の拡充です。高齢者の頼みの綱である年金は、マクロ経済スライドによる12年間でマイナス7.8%の「年金実質削減」が行われ、高齢者から「暮らしていけない」という悲鳴が上がっています。この間の年金引き上げは「数千円」「数百円」という程度で物価高騰には到底届いていません。そこで、高齢者の日常生活を支えている高齢者乗車券制度について、利用上限額を現行の倍の2万4千円にすべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

福祉局長高齢者乗車券につきましては、社会参加を促進するため、外出のきっかけとなるよう公共交通機関の乗車料金の一部を助成するものであり、今後とも持続可能な制度としながら、利便性の確保に取り組んでまいります。

倉元市議2点目は、上下水道料金の減免です。市民が例外なしに使用しているのが上下水道です。その料金を減免するということは幅広い市民にその恩恵を与えることになります。上下水道ともに単年度利益を出しており、インフラ整備に係る企業債も計画以上に返済してきています。過去にもコロナ禍で本市は下水道料金を2ヶ月分全額減免した実績があります。したがって、上下水道料金の緊急減免措置を講じるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

水道事業管理者水道料金につきましては、物価高騰が続く中においても様々な経営努力を続け、平成9年度から据え置いております。水道事業は近年の物価上昇や建設単価の高騰などにより厳しい経営環境に置かれており、独自の水道料金の減免につきましては企業債残高の増大や老朽化した施設の更新および地震対策の遅れを招くなど、水道事業の運営に多大な影響を及ぼすことが危惧されるため、慎重に判断すべきものと考えております。以上でございます。

道路下水道局長下水道使用料につきましては物価高騰が続く中においても、様々な経営努力により平成17年度から据え置いております。下水道使用料の減免につきましては、使用料収入の大幅な伸びが期待できない一方で、改築・更新や地震対策など、費用の増大が見込まれる中、下水道事業の運営に多大な影響を及ぼすことが危惧されるため、慎重に判断すべきものと考えております。以上でございます。

倉元市議3点目は、中小企業・小規模企業者への支援です。電気代やガス代、燃料費などが再び上昇するといわれるなか、地域の中小業者への影響がますます深刻になっています。さらには、「トランプ関税」の不安も強まっており、物価上昇につながる懸念とともに、大企業などが受けた損害を雇用や下請け事業者に転嫁する可能性も否定できません。そこで本市が行っている業者への直接支援策である「燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援」について影響額の2分の1の支援では足りず、割合を引き上げるとともに資材や食材を含めたものに支援の対象範囲を広げるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

経済観光文化局長中小企業等への燃料費等支援についてのご質問にお答えいたします。現在実施している燃料費等支援につきましては、本来上昇したコストは価格に転嫁し賃金の上昇につなげることが肝要であることなどを踏まえ、支援額を価格高騰による影響額の2分の1とするとともに、燃料費等の高騰による影響が様々な業種において生じていることから、市内中小企業を幅広く支援するため、多くの事業者に共通する経費である燃料費および光熱費を対象としているものでございます。

倉元市議4点目は国への要望です。物価高騰から暮らしを守るために国会でも論戦が行われています。食料品、電気、水道、ガソリン、毎日の買い物にかかる負担を減らすことこそ一番の暮らしの応援です。そこで世論調査では7割の方が望んでいる消費税減税とフリーランスや個人事業主などに多大な負担を強いているインボイス制度の廃止を国に要求すべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

財政局長消費税などの税制度につきましては国において適切に検討されるものと認識しております。以上でございます。

倉元市議また、物価上昇をはねのける大幅賃上げも必要です。大企業の内部留保に課税して財源をつくり中小企業の賃上げ支援を行った上で、すみやかに最低賃金を全国一律時給1500円に引き上げるよう国に求めるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。

経済観光文化局長中小企業の賃上げについてお答えいたします。内部留保につきましては各企業が経営状況などに基づいて判断するものと認識しております。また、最低賃金につきましては、最低賃金法に基づき、厚生労働大臣または都道府県労働局長において、中央または地方の最低賃金審議会に調査・審議を求め、その結果を踏まえ適切に決定されており、中小企業の賃上げ支援についても促進税制や助成金など国において必要な施策が実施されているものと認識しております。以上でございます。


市長答弁(3問目)

倉元市議今議会にまともな物価高騰対策がない問題ですが、局長はですね、今の物価高に対して一定の影響を及ぼしているというふうに繰り返し答弁をされるわけですが一定どころじゃないんですよ。非常に厳しい状況だと。それに対して、福岡市が何もしなくていいのかということを私は問うているわけです。国が無為無策なんですから地方自治体が市民の暮らしを守るのが当たり前です。市長は職務を放棄しています。まったくの怠慢です。この間、日本共産党市議団は、市民に対して、暮らしの実感を教えてくださいと、アンケート活動を行いました。多くの人が「不安が多く、ゆとりがない」と回答しています。自由記述欄には切実な声がたくさん書いてありました。77歳の女性「生活が逼迫して死にたいと思うことがあります」城南区の女性「次から次へと食料費、電気代など物価が上がり生活費がかかる。年金暮らしではとてもやっていけない」南区の女性「物価が高くて死活問題。米も買えずラーメンや食パンでしのいでいる」東区の男性「仕事をしても食べていくのがやっと。税金をまけてほしい」。時間の関係で紹介はこのぐらいにしておきますが、この悲痛な叫びに答えるのが市長の役目です。しかしながら、高齢者乗車券制度の拡充には「持続可能な制度にするために」などと言いますが、そもそもが他都市と比べて利用枠は極めて少ない。東京都シルバーパスは負担金を払えば、利用可能路線は乗り放題。名古屋市も負担金を払えば乗り放題です。バスの運賃もこんなに上がっているのに4半世紀、この制度ができて4半世紀、一度たりとも利用枠が増えたことがありません。上下水道料金の減免もやらないとのことですが、東京都は日本共産党都議団の要求を受けて、4ヶ月間水道料金基本料を無料にすることを決めました。このように自治体が独自に暮らし応援策を行うことはできるんです。中小業者への対策についても拒否されました。2024年度の全国企業倒産件数は2013年度以来11年ぶりに1万件を超えています。もちろん本市にもその影響は及んでいます。それなのに何もやらなくていいんですか。さらに消費税減税、賃上げについては、国にモノを言おうとしない。どれだけ冷たい市政でしょうか。

そこでお尋ねしますが、高齢者乗車券制度の拡充、上下水道料金の減免、中小業者対策の更なる上乗せなど市民の暮らしを守るための市独自の物価高騰対策を今議会に追加で提案し、審議すべきと思いますが、市長の明確な答弁を求めます。

市長物価高対策につきましては、福岡市はこれまでも国の交付金等を活用しながら、低所得世帯への給付金をはじめ、中小企業等に対するエネルギー価格の高騰への助成や介護障害者施設、保育所などへの支援など、様々な物価高対策に取り組んでまいりました。今回の補正予算案におきましては、給付金の増に加えまして、国の予備費によって追加をされた交付金を活用することで、商店街プレミアム付商品券を追加発行し、市民および市内中小企業等への支援を迅速に実施してまいります。今後とも国の経済対策や物価高の状況を踏まえ、必要に応じ、国への要望を行うなど、必要な施策に着実に取り組んでまいります。


医療的ケア児・者を介護する家族への支援強化
(1問目)

倉元市議質問の第2は医療的ケアが必要な障がい児・障がい者への支援の拡充についてです。胃ろうやたんの吸引、人工呼吸器といった医療的ケアやデバイスとともに生きる障害児「医療的ケア児」は国内で約1万8千人と、ここ10年間で2倍に増えています。今年1月5日、博多区のマンションで人工呼吸器をつけていた7歳の女の子が心肺停止となりその後死亡した事件が起こりました。逮捕された母親は「娘と一緒に死ぬために人工呼吸器を外した」と語っているとのことです。警察によると死亡した女の子は先天性の疾患で呼吸器がなければ生命が維持できず、自ら動くことができないため、訪問介護を利用しながら、母親と父親が日常的に介護していたとのことです。

極めて残念で忙しい痛ましい事件ですが、本事件に関して福岡市としてどのように受け止めておられるのか、ご所見をお伺いいたします。

医療的ケア児の多くは数ヶ月から1年ほどでNICUから退院し、在宅医療に移行します。医療的ケア児を育児する親御さんのうち母親のほとんどが仕事を辞め、24時間つきっきりで子どもの介護にあたっている現状があります。このように在宅で医療的ケアを必要とする子どもを養育する人には相当な精神的なストレスと体力的な負担がかかっていると思いますが、ご所見をお伺いいたします。

今回補正では、こども育成支援費として3889万円余が計上され、医療的ケア児在宅レスパイト事業の拡充と相談体制の増員が図られます。本事業は、訪問看護事業者が医療的ケア児のもとを訪問して行う看護などの訪問看護を、自宅または自宅以外の場所で利用することができるものです。現行制度では利用時間が年間48時間に制限されていますが、今回の拡充によって24時間人工呼吸器を使用する障がい児について利用時間を338時間にするとのことです。また、障がい児だけでなく、重度な医療的ケアが必要な障がい者に対しても、訪問型レスパイト事業について同様の拡充を行うために今回補正で、障がい保険福祉費のうち4325万円余が計上されております。

そこで今回の両制度の拡充によって医療的ケアが必要な障がい児・障がい者の家族の負担はどのぐらい軽減されるのか。お尋ねいたします。

こども未来局理事一般会計補正予算案のうち、医療的ケア児への支援についてお答えいたします。1月に発生した事件については大変痛ましい事件と受け止めており、このような事件を繰り返すことがないよう、関係病院と意見交換や保健師による訪問調査等により、実態の把握に努めるとともに、必要な支援策を検討してきたところでございます。今回は、速やかに対応できるものとして、既存事業である。福岡市医療的ケア児在宅レスパイト事業の拡充および相談支援体制の強化に係る補正をお願いするものでございます。

次に医療的ケア児を養育する方の負担でございますが、重度の医療的ケア児を日常的に介護するご家族につきましては、特に困難な状況にあると認識しております。

次に、今回の事業拡充による家族への負担の軽減につきましては、24時間人工呼吸器を使用している医療的ケア児およびその家族について、訪問看護の利用時間を大幅に拡充するものであり、一定の負担軽減が図られるものと考えております。

最後に、医療的ケア児の相談支援体制については、現在、医療的ケア児等統括コーディネーターを1名配置し、地域における医療的ケア児・者の支援体制づくりを行っておりますが、現行の体制では、医療機関入院時から継続した医療と福祉の連携体制が十分ではないため、新たに相談支援員を配置し、アウトリーチ型の相談支援を行いながら、伴走的な支援体制の構築を進めるものでございます。以上でございます。

福祉局長医療的ケアが必要な障がい者への支援についてのご質問にお答えいたします。今回の拡充による家族の負担の軽減につきましては、24時間人工呼吸器を使用している医療的ケアが必要な障がい者に対し、訪問看護の利用時間を大幅に拡充するものであり、一定の負担軽減が図られるものと考えております。


(2問目)

倉元市議今年1月に起こった事件に関しては私も大変胸が締め付けられる思いです。母親が行った行為は許されるものではありませんが、母親に思いとどまらせることができなかったのか。行政や社会のあり方はどうだったのか。私自身も重度の医療的ケアが必要なご家族にどれだけ関心を持ち思いを寄せていたのか、反省させられます。ご家族のストレス、負担については当局も認めるところです。2019年、厚労省の委託で三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行った「医療的ケア児者とその家族の生活実態調査」によれば「慢性的な睡眠不足である」「自らの体調悪化時に医療機関を受診できない」「医療的ケアを必要とする子どもを連れての外出は困難を極める」と答えた養育者が6割にのぼっています。また、「行いたいが行われていないこと」についての設問には、いずれも「問題なく行われている」と回答した家族の割合はわずか2割未満にとどまっており、自分の時間、家族の時間を確保することの難しさを示しています。このように一般的な家庭では当たり前にできることが、当たり前のこととしてできていない状況があります。このような厳しい現状の中、今回、支援を拡充するとのことですが、答弁にもあるように、家族の負担が一定減るとのことです。そこで、もう少し深く、見ていきたいと思います。

1点目は拡充の対象です。今回の拡充は24時間人工呼吸器を使っている人のみが対象となっています。こども未来局の話ではその数は23人だそうです。医療的ケア児には人工呼吸器の使用の他にも様々なケアがあり、何らかのケアが必要な子どもは福岡市内だけでも推計283人にのぼると言われています。もちろんケアの度合いの違いはあるでしょうが、先の調査結果からしても総じて当事者家族は困難を抱えており、レスパイト事業においても、現行のままでいいのかが問われます。

したがって、人工呼吸器を24時間使用しているだけ使用している人だけではなく、それ以外のケアを行っている家族も制度の拡充を求めているのではないかと思いますが、ご所見を伺います。

2点目は拡充した時間についてです。現行の利用上限48時間を338時間に増やすというのが今回の内容です。その根拠は週に1回は8時間程度のレスパイトを確保できるようにという説明を受けました。「週に1回だけでもありがたい」という意見もあるかもしれません。しかし、これだけでいいのかということを考える必要があると思います。調査結果の自由回答にこのようなものがありました。「常に気が張った状態で、イライラがおさまらない。1人になりたくてもなれない。発狂しそうになる」――8割以上の家族が「日々の生活は、緊張の連続である」という結果も載っていました。そこで、このような状況から見ても「週1回8時間」に利用時間を拡充しても家族の負担に比して十分とは言えないと思いますが、ご所見をお伺いします。

医療的ケア児に対する相談体制の充実については現行の統括コーディネーターに加え新たに1人を増員するとのことであります。そこでお尋ねしますが、現行の相談体制と課題について答弁を求めます。あわせて、体制を強化した場合、どのような効果を見込んでおられるのか。答弁を求めます。

次に相談体制についてですが、伴走型の支援を行えるように増員されることはいいのですが、今までそのような体制になっていなかったことは驚きです。ご家族は子どもの支援に関することで、何度も行政窓口や事業所に足を運ばなければなりません。しかし、医療的ケアを必要とする子どもを連れての外出は極めて困難であると同時に、家族以外に子どもを預けられない人も多い状態です。家族の不自由さを認識し、相談申請方法の工夫や書類の事前調整といったきめ細やかな対応が求められます。

したがって、家族の負担をなくすために今回の増員で十分なのかお尋ねします。

福祉局長医療的ケアが必要な障がい者への支援についてのご質問にお答えいたします。福岡市訪問型在宅レスパイト事業の補正につきましては、頻回なケアが必要であり、家族の介護負担が特に重いと考えられる24時間人工呼吸器を使用している医療的ケアが必要な障がい者を対象に試行的に拡充するものでございます。今回拡充の対象となっていない方とご家族の支援については今後の施行の状況等や国の動向を踏まえ、引き続き検討してまいります。次に時間数につきましても引き続き検討してまいります。

こども未来局理事一般会計補正予算案のうち、医療的ケア児への支援についてお答えいたします。福岡市医療的ケア児在宅レスパイト事業の補正は、頻回なケアが必要であり家族の介護負担が特に重いと考えられる24時間人工呼吸器を使用している医療的ケア児を対象に、試行的に実施・拡充するものでございます。今回拡充の対象となっていない医療的ケア児の支援につきましては、今年度の施行の状況や国の動向等も踏まえ、引き続き検討してまいります。また時間数につきましても、同様に今回の施行の状況等を踏まえ、引き続き検討してまいります。

医療的ケア児の相談体制については、医療的ケア児・者とその家族が安心して地域での生活を送ることができるよう寄り添った相談体制の充実が急務と考えております。今回新たに相談支援員を配置し、アウトリーチ型の相談支援を行いながら医療と福祉の連携についての課題を整理し、令和8年度以降に向けて伴走的な支援体制を構築してまいります。以上でございます。


(3問目)

倉元市議在宅レスパイト事業の拡充についてですが、まずは週1回8時間からという趣旨の答弁だったと思いますが、それでは対象も、そして時間も到底足りないことは明らかです。先ほど紹介した厚労省のアンケート結果でも「命の危険と隣り合わせで、目が離せない。慢性的な不眠で、とてもきつい」「夜中数回起きて寝返りさせたり、体調が悪いときに常時ケアをしてあげたりして心身の疲れが溜まっている。毎日子どものケアに当たって、徐々に社会から孤立している感じがする」と母親の声をいくつも紹介しています。また同居するきょうだいの「多少の体調不良は放っておかれる。母に甘えたくても相手にされない」という、何とも言えない切ない声もあります。そこで、このような医療的ケアが必要な障がい児・障がい者を持つ家族への支援は、今回の拡充にとどまらず、更なる拡充が求められると思いますが、市長のご所見をお伺いします。また、在宅での介護の負担を減らすためにも施設や保育園などの受け皿整備をさらに進めるべきと思いますがあわせて答弁を求めます。

市長医療的ケア児・者とそのご家族が安心して生活できるように、社会全体で支え、支援していくことは大変重要と考えており、福岡市はこれまで、早い時期から医療的ケア児・者の支援の充実に努めてきたところです。そのようななか、令和7年1月に発生した事件については、大変痛ましく感じており、このようなことを繰り返さないためには、家族へのレスパイト支援や相談支援体制の更なる充実が急務であり、先日、国に対しても支援の拡充を要望したところでございます。引き続き支援の充実に向け、医療と福祉の両面から必要な施策を検討してまいりますが、福岡市のみの取り組みでは限界があることから、国や県に対しても継続して要望を行い、医療的ケア児・者およびそのご家族の支援に取り組んでまいります。


強度行動障がいがある人の家族支援
(1問目)

倉元市議質問の第3は、強度行動障がいがある人の家族等への相談体制の強化についてです。強度行動障害とは、自傷、他害、こだわり、もの壊し、睡眠の乱れ、多動など、本人や周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こる状態を指します。特に重度・最重度の知的障害や自閉症のある方に多く見られ、環境や支援がうまくかみ合わないことで、ストレスや不安を感じ、不適切な行動として現れることがあります。今回補正では、在宅で強度行動障がいがある人を対象にした相談支援体制の強化を行うとして1192万円余が計上されています。これは当事者とその家族が安心して地域で生活を送ることができるよう、相談支援を行う職員を、市の障がい者基幹センターに新たに2人配置し、伴走型の支援体制を構築するものであります。そこでお尋ねしますが、現行の相談体制と課題について答弁を求めます。あわせて、体制を強化した場合、どのような効果を見込んでいるのか、答弁を求めます。

福祉局長強度行動障がいのある方への支援についてのご質問にお答えいたします。強度行動障がいのある方とその家族の相談支援体制につきましては、市内14ヶ所の区障がい者基幹相談支援センターにおいて、障がいのある方やその家族からの相談対応を行っております。同センターの現在のコーディネーターは、多数の相談対応を行っていることから、長時間家族に寄り添う伴走型支援を行うことは困難であるため、相談員を新たに2名配置することにより、家族の負担軽減や行動障がいの特性に応じたサービス利用の促進ができると考えております。以上でございます。


(2問目)

倉元市議相談体制が充実することは喜ばしいことですが、これも医療的ケアが必要な人、家族への相談体制と同じく、今回の増員でニーズに応えられているのかが問題であります。あわせて、相談に応じたけれども、必要なサービスが受けられているのかも見る必要があります。2021年、福岡市社会福祉事業団が行ったアンケート調査結果を見てみると、家庭内での他害、破壊、自傷行為、家族が家庭生活に危険と不安、恐怖を感じているなど壮絶な家族のご苦労がつづられています。あわせて「福岡市には施設が足りない、もしくは無い」「医療機関も施設も受け入れが難しい」といった意見・要望を散見しました。強度行動障がいがある人を施設が受け入れる場合、マンツーマンで職員が対応しなければならないことが多いです。あるいはそれ以上の体制が必要なときもあります。そうなると、どうしても受け入れられない施設が出てきて、家庭外での介護・援助を求めていても叶わず、やはり家庭で介護せざるを得ないことになるケースが少なくありません。

そこでお尋ねしますが、このようなケースを解消するためには受け皿づくりが必要だと思いますが、どのような方策をとっていこうとしているのか、ご所見をお伺いいたします。

福祉局長強度行動障がいのある方の受け皿づくりにつきましては、事業所等への受け入れを促進するため、事業所職員を対象に、強度行動障がいの特性を理解し、支援技術を習得する講義、実習形式の研修を実施する他、支援に精通している社会福祉法人の職員を派遣し、事業所職員の負担を軽減する強度行動障がい者共同支援事業を実施しております。さらに、強度行動障がいのある方などを受け入れるグループホームを増やすことを目的に、市独自の運営費補助などに取り組んでいるところでございます。以上でございます。


(3問目)

倉元市議強度行動障がいのある人の受け皿づくりについては、進めていくとのことですが、これも家族にとっては待ったなしの課題だと思います。奇声や多動によって周辺住民から苦情が来る。他人を傷つけたり、粗暴行為に家族が対応できないなど在宅介護が難しいケースであっても受け入れ先がなければ問題は解決しません。今回の質問に当たってご家族の意見・要望に目を通すと、本当にご苦労が絶えない。これは家族だけではなく、社会全体で支えていく必要があると思いましたし、行政の果たす役割は極めて大きいと感じました。したがって、強度行動障がいがある人の相談体制や受け皿整備の更なる拡充を急いで行うべきと思いますが、最後に市長のご所見をお伺いして、私の質問を終わります。

市長強度行動障がいのある方とそのご家族が地域で安心をして暮らし続けることは大変重要であると考えております。福岡市ではこれまで、強度行動障がいのある方に対する集中支援やグループホームにおける受け入れ促進、支援に当たる人材の育成などに取り組んできたところであります。今後とも、強度行動障がいのある方とその家族のニーズや事業所の実態を把握し、相談体制や受け入れ体制の充実に取り組んでまいります。以上です。

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2025年6月議会 一覧

市独自の物価高騰対策、医療的ケア児家族などへの支援強化求める(2025年6月10日 倉元達朗市議の議案質疑)

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