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議会報告「発言と答弁」全文
2025年9月議会
倉元達朗市議の一般質問 発言と答弁全文
音声をもとに党市議団が文字起こししたものです
倉元市議私は日本共産党市議団を代表して、多文化共生社会、中小企業・小規模事業者への賃上げ支援、福岡城天守閣について質問いたします。
多文化共生社会
倉元市議質問の第一は、デマやウソ、差別のない多文化共生社会をどうつくるかについてです。7月20日投開票された第27回参議院議員選挙では外国人政策が初めて争点に押し上げられました。これまで国政選挙において、外国人に関する政策はほとんど議論されてきませんでした。それ自体が問題でしたが、今回の論戦では外国人政策というより外国人敵視、排外主義の言説がふりまかれました。少なくない政党が保守層の取り込みを狙い、競うかのように、外国人への規制強化、排外主義促進につながる公約を掲げました。選挙戦が始まると世論が吸い寄せられ、メディアも飛びつき、あたかも「外国人問題」が選挙の中心争点であるかのように取り上げられました。このような状況の中、外国人犯罪や不正をめぐるデマが、印象操作も含めて大量にまかれました。デマやウソがまかり通るようになれば民主主義が破壊され、社会が荒廃します。私たちが暮らす福岡市がそのような街にならないように、以下質してまいります。
まず、福岡市における外国人の数、割合についてお尋ねします。以上で1問目終わり2問目以降は自席にて行います。
総務企画局長福岡市の令和7年7月末時点の在住外国人数については5万6142人であり、市登録人口全体に占める割合は約3.5%となっております。以上でございます。
倉元市議多くの外国人が居住しており本市を構成しています。選挙中にふりまかれた言説に生活保護に関連するものが散見されました。その中に「生活保護受給世帯の3分の1が外国人」といったものがありました。そこで本市で生活保護を受給している外国人の割合について答弁を求めます。
福祉局長生活保護受給世帯に占める世帯主が外国籍の世帯の割合は、令和6年7月末現在で1.60%となっております。以上でございます。
倉元市議1.60。全国でも2%程度です。3分の1などという数字がいかにデタラメかがわかります。それでも日本人の保護率、2022年で1.6%より高い。「外国人は生活保護が受けやすい」「優遇されている」といった言説も流布されました。そこで、生活保護行政においてこのような外国人向けの優遇策があるのか、答弁を求めます。
福祉局長生活保護において外国人を優遇する制度はございません。以上でございます。
倉元市議そのようなものはありません。ないものをあると言う、まさにデマです。優遇策どころか外国人であるが故に適用されない制度があります。保護の決定に対する不服がある場合、審査請求を都道府県知事に行うことができますが、外国人には認められているのか、お尋ねします。
福祉局長外国人につきましては、生活保護法の適用対象とはされておらず、国の通知に基づき、法による保護に準ずる取り扱いを行っているものであることから、不服申し立てはできないこととされております。以上でございます。
倉元市議日本人には認められている権利が外国人にはなく不利な立場に置かれています。ではすべての外国人が生活保護を受給する資格を有しているのか、ご所見を伺います。
福祉局長外国人につきましては、活動に制限を受けない永住・定住等の在留資格を有する方について、法による保護に準ずる取り扱いをすることとされております。以上でございます。
倉元市議在留外国人の半分以上は生活保護を受ける資格さえ与えられていないのが現状であります。
次に、健康保険について質したいと思います。これも言われなきデマが流されました。ある党首はテレビ討論で「3ヶ月日本にいれば外国人でも制度を使える。数万円払ったら1億6千万円の治療が受けられるのは日本の納税者や社会保険料を払っている人の感覚からするとどうなんだ」と煽りました。1億6千万というのは高額療養費を指しているのでしょう。そこで本市の国民健康保険加入者分で高額療養費の総額、そのうち外国人分の割合を答弁してください。
保健医療局長令和6年度の高額療養費の総額は110億4297万円余で、そのうち外国人被保険者の割合は1.22%でございます。以上です。
倉元市議本市の国保加入者の外国人の割合が約8%ですから、とりわけ外国人が高額療養費制度を濫用しているなどという事実はありません。これは本市だけでなく全国データでも同じです。では、本市国民健康保険の医療費のうち、外国人の医療費の割合はいくらなのか、お尋ねします。
保健医療局長令和6年度の医療費の総額は、1095億519万円余で、そのうち外国人被保険者の割合は1.34%でございます。以上です。
倉元市議外国人の加入者の割合は8%にも関わらず医療費は1.3%しか使っておりません。国のデータにも加入者は4%に対し医療費の割合は1.4%です。これは日本に来る外国人は現役世代中心だからです。そこで、もし外国人を国民健康保険から除外するならば、日本人の保険料負担は増えることになると思いますが、ご所見をお伺いします。
保健医療局長保険料の水準は、医療費や被保険者数の状況に加えまして、所得の状況や収納率など様々な要素をもとに定まりますので、単純に外国人被保険者を除いた場合の保険料負担をお示しすることは困難でございます。以上です。
倉元市議困難だと言われましたけれども、外国人加入者は若く疾病が少なく、診療にあまりかからないので保険財政に寄与していることを私たちは認識する必要があると思います。
次に「外国人が増えて治安が悪化している」というウソも拡散されました。そこで、全国の外国人検挙人員数をピークの2004年と直近の数字をお尋ねします。
市民局長警察庁が公表しております。統計資料による来日外国人による刑法犯の検挙人員でお答えをいたしますと、平成 16年が8898人、令和6年が6368人となっております。以上です。
倉元市議これも下がっている。外国人の犯罪数は減っています。見てきたような数々の根拠のないデマやウソは外国人に対する言葉の暴力であり、差別を煽る行為で決して許されるものではないと思いますが、福岡市のご所見をお伺いします。
市民局長デマやウソであるかに関わらず、外国人であるという理由で、地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動は許されないものであると認識をしております。以上です。
倉元市議到底許されるものではありません。しかし、実際に先の参議院議員選挙では、政治家が堂々と、実態のない外国人への優遇や特権を挙げて排他的な発言を繰り返しました。これまで民間団体などによるヘイトスピーチとは質的に異なります。影響力のある政治家が、公然と差別的な内容を語ることによって、人々に差別や偏見が急速に浸透してしまうことを懸念します。また、そうした発言をしても良いのだという誤解が生まれ、差別意識が助長されないか。「社会のタガ」が外れてしまわないか危惧します。本市は、総合計画でめざす姿を「年齢や性の違い、国籍、障害の有無などにかかわらず、すべての人の人権が尊重され、市民一人ひとりがお互いに多様性を認め合うことで、誰もが自分らしく輝いています」と多文化共生社会をうたっています。7月23、24日に開催された全国知事会議では、排他主義・排外主義を否定し、多文化共生社会を目指すという「青森宣言」が全会一致で採択されました。そこで市長は、外国人は日本人と同じ生活者であり、外国人に対するデマや差別は決して許さないことを明言するとともに、今後、デマや差別発言を認識した際には行政として迅速に対応すべきだと思いますが、ご所見を伺います。
市長外国人、日本人を問わず、一人ひとりが心豊かに暮らし自分らしく生きるためには、すべての人の人権が尊重されることが重要であり、差別は決して許されないものであります。在住外国人が増加をする中、地域住民が安心して暮らせる生活環境を守り、外国人が地域コミュニティを構成する一員として生活できるように、外国人に日本の風土や文化、地域における生活のルールやマナーをしっかりと理解してもらうとともに、地域における交流により相互理解を促進するなど、日本人はもとより外国人にも暮らしやすい多文化共生の街づくりの実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
倉元市議排外主義を押し返す大同団結へ。「社会のタガ」を外さないために、外国人との多文化共生の社会を構築するために、排外主義者以外のすべての人々との共同を呼びかけて、この質問を終わります。
中小企業への賃上げ支援
倉元市議質問の第二は、中小企業・小規模事業者への賃上げ支援についてです。物価高騰が続くことで、実質賃金を引き上げることは、国民の暮らしを守ると同時に「失われた30年」とも言われる長期停滞から日本経済を立ち直らせていく上でも重要課題です。そこでお尋ねしますが、厚生労働省の毎月勤労統計調査の現金給与総額は実質でどのような動きになっているのか。2022年から24年の3箇年の前年比をお答えください。また、2025年、今年1月以降、直近の6月までの前月比も答弁を求めます。
経済観光文化局長国の毎月勤労統計調査における実質賃金の前年比につきましては、令和4年度がマイナス1.8%、5年度がマイナス2.2%、6年度がマイナス0.5%となっております。また、令和7年における前年同月比につきましては、令和7年1月がマイナス2.8%、2月がマイナス1.5%、3月がマイナス1.8%、4月がマイナス2.0%、5月がマイナス2.6%、6月がマイナス0.8%となっております。以上でございます。
倉元市議一部では賃上げが実施されているなどというふうに報道されていますが、数字を見れば、労働者の賃金は、答弁にあったように、全然上がっていません。このような中、最低賃金の引き上げは、大企業、中小企業問わず、全労働者の賃金の底上げにつながるとともに、非正規ワーカーの賃上げに直接結びつくもので、まさに政治の決断と責任で実行できるものです。そこで福岡県の最低賃金はこの5年間、どのように推移してきたのか、答弁を求めます。
経済観光文化局長福岡県における過去5年間の最低賃金につきましては、時間額で、令和2年度が842円、3年度が870円、4年度が900円、5年度が941円、6年度が992円にそれぞれ改定されております。以上でございます。
倉元市議年々上がりはしていますが、この金額が妥当なのかということが問われています。福岡県労働組合総連合は昨年9月に最低生計費試算調査の結果を発表しています。男性は月額26万6498円、女性は27万3418円であり、最低賃金は少なくとも1500円は必要であるとしています。そこで、現在の最低賃金水準では、まともな生活はままならないと思いますが、ご所見を伺います。
経済観光文化局長最低賃金につきましては最低賃金法に基づき厚生労働大臣または都道府県労働局長において、中央または地方の最低賃金審議会に調査審議を求め、その意見を踏まえ、適切に決定されているものと認識しております。以上でございます。
倉元市議あたかもこれで十分かのような答弁ですが、実態を見てないと思うんですね。この最低賃金基準では生活ができない。とりわけ非正規雇用者の低賃金は深刻です。本市の非正規労働者は29万人にのぼります。その賃金は、正規労働者の67%にとどまっています。ボーナスや各種手当の不支給等の格差もあり、年収200万円以下のワーキングプアを形成しています。そこで、非正規雇用の増加が低賃金構造を拡大し、日本を「賃金の上がらない国」にし、経済の長期停滞の大きな原因になっていると思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長国の就業構造基本調査によると、平成29年と令和4年を比較いたしますと、福岡市においては、正規雇用労働者が4.2%増加したのに対し、非正規雇用労働者は0.8%の増加にとどまるなど、全体に占める正規雇用労働者の割合が増加しております。また、本市経済はコロナ禍以降、好調な観光需要をはじめとして着実に回復基調にあるものと認識しております。以上でございます。
倉元市議そんなふうに言われるならですね、先ほど答弁したみたいに、賃金が軒並み、3年前もそれから今年1月から見てもずっと前月比、前年比でマイナスになることはないんですよ。非正規雇用の増加が経済の低迷を招いているのは明らかです。また、非正規雇用の7割が女性であり、男女賃金格差の大きな要因になっており、ジェンダー平等を阻害しています。さらに、非正規雇用者が多い業種は、飲食・宿泊業、卸売・小売業、サービス業、医療福祉などです。つまり、第3次産業の就労人口が多い本市の雇用構造から見ると、非正規ワーカーの賃金引き上げは、本市の労働者の賃金の底上げとなるとともに、経済の振興につながると思いますが、ご所見を伺います。
経済観光文化局長国が令和7年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2025」においても、「賃上げを起点とした成長型経済の実現」を掲げ、物価上昇を安定的に上回る賃上げに取り組み、経済成長につなげることとしており、本市においても同様に重要であると認識しております。以上でございます。
倉元市議福岡市の産業構造こそ低賃金を招きやすいことは明らかです。だからこそ、非正規労働者が多く勤める中小企業・小規模事業者における賃上げを重視しなければなりません。では、福岡市における事業所数に占める中小企業の割合および従業員数に占める中小企業の割合についてお尋ねします。
経済観光文化局長「令和3年経済センサス活動調査」によると、市内事業者における中小企業が占める割合につきましては、事業所数が99.7%、従業者数が84.4%となっております。以上でございます。
倉元市議事業所数も、従業員数も圧倒的に中小企業・小規模事業者で占められています。では、その中小企業・小規模事業者の現況についてお尋ねします。本市が行った「中小企業振興に関するアンケート調査」で、売り上げがコロナ前の水準に回復した中小企業の割合を答弁してください。
経済観光文化局長令和7年度に福岡市が行った「中小企業振興に関するアンケート調査」では、売り上げがコロナ前水準に回復した中小企業の割合は62.9%となっております。以上でございます。
倉元市議では、令和2年から6年までの「第二次中小企業元気都市プラン」での成果指標についてお尋ねします。
経済観光文化局長令和6年度で計画期間を終了した「第二次 みんなで応援!中小企業元気都市プラン」においては、成果指標を売り上げがコロナ前水準に回復した中小企業の割合とし、最終年度である令和6年度の目標値を75%と設定したものでございます。以上でございます。
倉元市議いま答弁にあったように、75%以上という目標を掲げていましたけれども、62.9%にとどまっています。これはコロナ前から多くの中小企業が、売り上げが回復していないということがうかがえます。もう一つ、中小企業を襲っているのが原材料価格、人件費、エネルギー価格の高騰です。アンケートでは、価格転嫁について回答を求めていますが「反映されなかった」「あまり反映されなかった」と答えた企業の割合について答弁を求めます。
経済観光文化局長アンケート調査では価格転嫁が「反映されなかった」「あまり反映されなかった」と回答した事業者の割合は合計で41.5%となっております。なお、上昇したコストを4割以上価格に転嫁した事業者の割合は50.5%となるなど、価格転嫁の動きは着実に広がりつつあるものと認識しております。以上でございます。
倉元市議着実に転嫁していると言うけれども、実際に4割しか転嫁できてないっていうところに着目しなければならないと思うんです。一方で「価格に転嫁しすぎると顧客離れが加速する可能性もある」との声が先日行われた中小企業振興審議会で委員から出されていました。このようなアンケート結果、コロナ前から売り上げが戻ってない、価格転嫁もなかなか難しい。こういった結果を見ると、本市の中小企業・小規模事業者の現状は厳しいものがあると思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長コロナ禍後、着実に売り上げは回復している一方で、アンケート調査では今後の事業展開における課題として「人手不足や人材育成」「価格転嫁」「生産性の向上」などが高まっており、令和7年6月に策定した「第3次福岡市中小企業振興プラン」においては、「人手不足の対策と生産性の向上」「経営基盤の強化と持続的発展」「新しい価値・ビジネスの創出」を「重点的に取り組む三つの柱」に掲げ、必要な支援に取り組むこととしております。以上でございます。
倉元市議やっぱりいま厳しいということを直視する必要があると思うんですね。アンケート結果でも、売り上げが前年度に比べて同水準あるいは伸びたという企業は63%ですが、粗利益で見ると59%に過ぎず伸びが低くなっています。さらにアンケート結果で注目すべきは、中小企業・小規模事業者の賃上げ意向についてです。どんな結果が出たのか、前年と比較して答弁してください。
経済観光文化局長アンケート調査では半数を超える54.1%の事業者が「賃上げを実施予定」と回答していますが、昨年度の61.6%からは7.5ポイント減少しております。以上でございます。
倉元市議「賃上げを実施予定」と答えた中小企業が前年度比で約7%減ってるんです。中小企業・小規模事業者での賃上げが極めて重要であるにも関わらず、賃上げの動きが鈍くなっているということは看過できません。先ほど、最低賃金の推移を答弁してもらいました。労働者にとって、上がり幅は極めて不十分でありますが、業者にとっては大きな負担になっています。先日の中小企業振興審議会でも、商工団体の代表の委員から「最低賃金が上がって大変だ」という意見が次々に出されました。そこで、本市は最賃が上がっていることによる中小企業・小規模事業者への影響についてどのような所見をお持ちなのか、答弁を求めます。
経済観光文化局長引き上げ後の最低賃金より低い賃金水準であった事業者は、人件費の負担が増すこととなるため、生産性向上に向けた取り組みが必要になっているものと認識しております。以上でございます。
倉元市議最賃は法律ですから守らなければならないんですね。しかし、先ほどから見てきたように、中小企業・小規模事業者は長引く経済低迷に仕入れ原材料高が加わり、さらにインボイスの導入で苦境に立たされています。そういう中で従業員の賃金引き上げに必死の思いで努力されています。全国商工会連合会の森義久会長は今年3月12日、首相官邸で開催された「政労使の意見交換」会に出席し、中小企業・小規模事業者においても、賃上げは重要とした上で、石破茂首相にそのための支援を求められています。特に最低賃金引き上げへの支援について「賃上げや直接的なコスト削減の支援を実施していただきたい」と直接支援を求めています。しかし政府は5月14日「新しい資本主義実現会議」において、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画の政策パッケージ案」を発表していますが、具体的には「価格転嫁・取引適正化」「生産性向上」などを支援するというものになっています。つまり、中小企業・小規模事業者に自己責任で賃上げを求めるもので、全国商工会連合会が求めた直接支援に背を向けたものになっています。最賃の引き上げで、中小企業・小規模事業者の経営者が苦労をされているにも関わらず、賃上げについて、国が企業に対して直接支援しないことは、あまりにも無責任だと思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長国の「経済財政運営と改革の基本方針2025」では、物価上昇を安定的に上回る賃上げに取り組むこととしており、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画の施策パッケージ」において、官公需も含めた価格転嫁、取引適正化、中小企業・小規模事業者の生産性向上、事業承継、M&A等の中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化に取り組むとともに、地域で活躍する人材の育成と処遇改善を進めるための施策が盛り込まれるなど、国において適切に取り組まれているものと認識しております。以上でございます。
倉元市議局長、「5か年計画の政策パッケージ案」を答弁されるならそれ読んで答弁してほしい。直接支援、賃上げのための直接支援なんてどこにも書いてないんですよ。だから言ってるわけです。国をかばう必要はありません。そういうもとで、岩手県、徳島県、群馬県、茨城県、奈良県などで、中小企業の賃上げへの直接支援、補助金制度がスタートしています。岩手県では、今年2月から時給60円以上の賃上げを実施した中小企業に対して、労働者1人当たり6万円、1事業所当たり最大50人分300万円の支給を行っています。最低賃金の引き上げによる直接の賃金負担の増加をこの支援金で吸収できる水準となっています。群馬県では、今年度、従業員の賃金を5%以上引き上げた中小企業対象に1人当たり5万円を支給する制度を立ち上げています。茨城県は、時給で35円以上引き上げた中小企業に、正規雇用1人当たり5万円、非正規雇用1人当たり3万円を支給し、1事業者に最大50万円を補助する制度を作っています。そこで、福岡市においても、他県が行っている中小企業に向けた賃上げ補助制度が必要だと思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長福岡市では継続的な賃上げを促進するため、コスト削減や生産性向上といった取り組みが必要であると認識しており、IT・デジタル技術を活用した業務効率化などにより、中小企業や小規模事業者を引き続き支援してまいります。以上でございます。
倉元市議それじゃあね、やっぱり効果がないんですよね。今までもやってこられてるんだけどね。中小企業の経営者、小規模事業者の皆さんは、苦しい経営の中でも非正規を含む従業員の賃金を上げられるものならあげたいと真剣に考えておられます。その姿勢を粋に感じ、寄り添って支援するのが行政の役目ではないでしょうか。
では角度を変えて、公契約の分野での中小企業・小規模事業者の賃上げにつながる施策について質します。福岡市が発注する官公需契約金額、うち中小企業者向け契約実績の割合と金額について答弁を求めます。
財政局長令和6年度の官公需契約実績に占める中小企業者の割合につきましては、契約実績の総額1449億4千万円余に対しまして、中小企業者向けは1211億5100万円余であり、割合は83.6%となっております。以上でございます。
倉元市議中小企業向け契約がほとんどを占めてるわけですね。大きな金額です。公契約において労務単価、時給のアップが行われれば、中小企業・小規模事業者への賃上げ波及効果は大きいものがあり、地域経済の活性化にも寄与すると思いますが、ご所見をお伺いします。
財政局長地場中小企業の育成・振興をはかることは、本市経済の活性化の観点からも重要であると認識しており、本市の契約におきましては、適切な労務単価や実勢価格に基づいて発注を行っております。以上でございます。
倉元市議適切だと言われますが、以前私は福岡県建設労働組合の賃金調査で、本市が行う公共工事においても、国が定めた設計労務単価の6割しか労働者に支払われていない問題を取り上げました。千葉県野田市では、2010年4月からの全国初の「公契約条例」が施行され、市の公共工事等を受注した企業や下請け業者等は、市が定める賃金以上を支払うことを義務づけられています。川崎市、相模原市などの政令指定都市を含む全国で90自治体に広がっています。発注する公的機関と受注者等の間で結ばれる契約において、生活できる賃金をはじめ、人間らしく働くことのできる労働条件を保障する「公契約条例」の制定は、中小企業・小規模事業者で働く人たちの賃上げにつながると思いますが、ご所見をお伺いします。
財政局長最低賃金法とは別個に賃金の下限額を定めることにつきましては、国において労働法制のもとでのあり方が検討された上で、条例ではなく法制で整備される必要があると考えております。なお、建設工事につきましては、標準労務費を国の審議会が作成勧告し、官民問わず下請けも含めてこれを著しく下回る見積もり・契約を禁止する法改正がされており、本年12月までに全面施行されますことから、福岡市におきましても、適切に対応してまいります。以上でございます。
倉元市議国がやらない。だからね、各自治体が制定してるわけですね。本市がやる気になれば、中小企業・小規模事業者の賃上げの可能性は高くなるわけです。先ほどから紹介している福岡市が行ったアンケートでも「人材の確保(人手不足)」は全体の6割近い事業者が課題に挙げており、人手不足感が常態化しています。賃上げを中小企業や小規模事業者でも経営への影響を少なく実現することは人材の流出を防ぐことにもつながり、人材不足解消の一助にもなります。したがって、福岡市においても、他県が行っている中小企業に向けた賃上げ補助制度を創設するとともに、国においても同様の制度を作るよう要望し、あわせて公契約条例を制定すべきと思いますが、市長のご所見を伺いします。
市長公契約条例については、国において法制を整備することが適当と考えております。福岡市では市内企業の99%を占め、地域経済を支えている中小企業・小規模事業者の振興は大変重要であると認識をしており、国の施策の周知に加え、本年6月に策定をした「第3次中小企業振興プラン」に基づき、経営基盤の強化や生産性の向上を初め、必要な施策に取り組むとともに、市の契約におきましては、受注機会の確保に努めるなど、引き続き中小企業・小規模事業者の持続的発展を支援してまいります。以上です。
倉元市議本市の中小企業・小規模事業者が悲鳴をあげているにも関わらず、看過しようとする態度は全く冷たいと厳しく指摘しておきます。
福岡城天守閣
倉元市議質問の第三は福岡城の天守閣問題です。国指定史跡の福岡城跡の天守台で本市は6月末から発掘調査を始めております。私は今年度の予算議会で、この調査は「天守閣は存在した」という特定の学説を支持する立場に立ち、科学的な根拠もないまま行われようとしており、浪費以外何物でもないと厳しく批判しました。その立場は何ら変わるものではありません。8月22日、西日本新聞は「福岡城 発掘範囲を拡大」と見出しをつけ、「発掘調査について、市が発掘範囲を広げる方向で検討していることがわかった」と報じました。調査の拡大については、議会に何も報告があっていないと思いますが、一体この報道は正しいのか、市の見解を求めます。
経済観光文化局長福岡城の天守台調査については、かつての状況を確認し、貴重な文化財を保存・継承していくため6月末より発掘調査を行っているところでございます。また、発掘の進捗や分析を踏まえ、今後の発掘調査の方針を検討してまいります。以上でございます。
倉元市議この新聞記事は正しいんですか。答弁を求めます。
経済観光文化局長繰り返しになりますが、現在6月末より発掘調査を行っているところでございまして、今後の発掘調査の方針につきましては、現在行っている発掘の進捗や分析を踏まえ検討してまいります。以上でございます。
倉元市議はっきりした答弁しませんね。「市は調査範囲拡大の検討に入った」と記事にあります。西日本新聞には訂正記事が載ったわけではありません。調査を始めてわずか2ヶ月しか経っていないにも関わらず「発掘範囲を拡大」などという記事が出るということは、市長をはじめとする上層部が既に議会にも諮らず、方針を決定しているのではないかと思いますが、明確な答弁を求めます。
経済観光文化局長発掘調査につきましては、現在行っております発掘調査の進捗や分析を踏まえ今後の発掘調査の方針をこれから検討してまいります。以上でございます。
倉元市議そんな答弁をしよっていいんですね、なるほど。市長が天守閣の復元に前のめりである限り、この発掘調査はさらに進んでいくという可能性があるということです。現在行っている調査は文化財自体を発掘するもので慎重でなければなりません。だからこそ、文化庁の許可を得て行っているわけです。これ以上発掘範囲を広げると、文化財の破壊につながりかねないと思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長福岡城の天守台調査については、文化財の保存に十分配慮した計画を立てた上で、文化庁の許可を得て実施しているものでございます。発掘の調査や分析を踏まえ今後の発掘調査の方針を検討してまいります。以上でございます。
倉元市議文化庁の許可が要るんですよ。それなしでね「範囲を拡大する」なんていう答弁していいんですか、大体。これは残りますよ、議事録で。無意味な調査拡大はやめるべきです。7月31日に経済振興委員会は、金沢城二の丸御殿の復元整備事業を調査し、私も参加しました。現地で説明を受け、質疑応答が行われました。「金沢城には天守閣もあったと聞いていますが復元しないのですか」という問いに、「この事業は江戸後期の状態を復元しているので天守閣は復元しない」とした上で「天守閣は江戸後期にはなかった。いろんな時代の建物を混ぜて復元するとありえないものになってしまう」と職員の方は語っておられました。私は史跡を復元・整備するにあたって重要な観点だと思いました。そこで、福岡城跡の整備には、金沢城の事業のような基準を設けているのかお尋ねします。
経済観光文化局長まず8月22日付の西日本新聞の記事についてお答えします。こちらについては誤報であるというふうに認識しております。続きまして、国の基準には、史跡の復元・整備における時代設定について記載がございませんが、平成26年に策定した国史跡福岡城址整備基本計画では、それまでの調査によって幅広い時代の資料が得られている中で、復元・整備に活用できる写真などの資料が多く残されていることから、原則として幕末期を復元対象の時代としております。以上でございます。
倉元市議福岡城跡整備基本計画、これには明確に「復元時期は幕末期」と書いてあるんです。福岡城天守閣があったのかどうかについては諸説ありますが、もしあったとなれば、いつの時代にあったのか答弁を求めます。
経済観光文化局長福岡城天守に関する資料については、福岡城を築城した黒田長政の書状において「天守の欄干が腐ったとの報告を受けたので、修理を命じた」という内容が確認されており、江戸時代初期に天守があったという説が補強されているものと考えております。以上でございます。
倉元市議その答弁もね、どうかわからないんですよ。もし本市が行っている復元事業と違った時代のものであるならば、先ほど紹介した金沢城の職員の方が言葉にあったように、「ありえないもの」になってしまいます。そんなことは許されず、復元には史実を尊重した整備が求められていると思いますが、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長福岡城には築城期から幕末期まで幅広い時代の遺構がございますので、復元対象については、新しい資料収集の成果なども踏まえて、史跡の本質的価値を構成する要素であること、また、位置、規模、構造、形式等について十分な根拠を持つことなどの事項を検討していくものになると考えております。以上でございます。
倉元市議7月28日の西日本新聞には、中・近世の城郭を研究されている滋賀県立大学名誉教授の中井均さんが「福岡城跡天守台」について述べています。この方はこれまで明らかになった史料をもとに「福岡城に天守が存在していたことは間違いない」と主張されています。しかし「百歩譲って再建が可能になったとしても、容姿のわからない天守を模擬として建てる必要性はどこにもない」と述べ、むしろ大切なのは、防御施設である石垣をこれから崩れることなく保存していくこと、と言われています。そこでお尋ねしますが、中井さんはこの記事の最後に「資料が残されていない模擬天守閣を建てるのは、福岡城跡という遺跡の破壊に他ならない」と厳しい指摘を行っておられますが、福岡市としてどのように受け止めておられるのか、ご所見をお伺いします。
経済観光文化局長ご指摘の記事については資料が不十分な状況で天守を建造する場合での研究者ご自身の見解が記載されたものと認識しております。以上でございます。
倉元市議市長は2012年の時点でも、「個人的には復元できたら思っている」と発言されています。諸説ある中で「存在する」という特定の立場での発言もあっています。市長や経済界の方々は復元されたら観光客がやってきて本市にお金を落としてくれるだろうと軽々に考えておられるかもしれませんが、そんなものではありません。そこで市長はこれまでの天守閣復元に前のめりの発言を撤回し、提言書を出している経済界にも説明して、史実を尊重した福岡城跡の復元整備を行うべきと思いますが、ご所見をお伺いして、私の質問を終わります。
市長福岡城は1607年に黒田長政によって築城された福岡市の歴史を語る上で欠かせない貴重な史跡でございます。かつての福岡城の状況を確認することで、学術的な議論を一歩ずつ前に進めるとともに、市民がより地域に対する誇りと愛着を持つ一助となるために、天守台の発掘調査と文献調査をしっかりと進めてまいります。以上です。
外国人への差別許さない市政や中小企業への賃上げ支援を求め、福岡城天守閣についてただす(2025年9月5日 倉元達朗市議の一般質問)