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2006年4月21日 日本共産党福岡市議団

日本共産党のとりくみと見解

福岡市のオリンピック計画概要と試算

福岡市は2016年オリンピックの開催計画概要と試算を発表し、市議会にも報告しました。

概要は、北天神・須崎地区を中心に競技施設や運営施設、選手村と新たな道路を整備するもので、関連整備の費用総額を5370億円と見積り、そのうち福岡市負担は970億円としています。招致経費の20億円を含めると990億円となります。市民一人あたり約7万円です。

◆空想的な試算

18日の市議会第一委員協議会で、日本共産党議員の追及に対し、市は「市負担990億円」という試算の根拠を示すことができず、総事業費も市負担も大きく膨らむことは避けられないことが鮮明になりました。

山崎市長は「すばらしい案」と自画自賛していますが、市長が昨年公言した「1000億円以下」の枠にあわせたもので、その根拠と実現性はなく、まさに空想的な試算と言わざるを得ません。市民から「いいかげんな試算だ」「ムダづかいは許せない」と批判の声があがり、新聞やテレビでも「根拠の乏しい採算性」「再開発のための五輪?」と指摘されています。

◆真のねらいは都心再開発

オリンピック招致の真の狙いは、須崎ふ頭の再開発を含め、「新・福岡都心構想」に基づく都心エリアの大改造プロジェクトを推進することにあることがいよいよ浮き彫りになっています。市長が「オリンピックが招致できなくても再開発は進める」と述べているように、オリンピック開催は単なる口実です。こんな大型開発優先の市政運営は認められません。

日本共産党市議団は、福岡市のオリンピック招致に一貫して反対してきました。その立場から、今回の計画概要と試算の問題点を指摘し、計画の撤回と開催都市立候補の断念を強く求めるものです。


(1)須崎ふ頭の再開発

計画概要の中心をしめるのが須崎ふ頭の再開発です。現在約200ある港湾関連事業所や倉庫などを人工島などに移転し、また競艇場を移転して跡地を埋立て、競技施設や選手村、国際放送センターなど運営関連施設をつくる計画です。総事業費は3850億円で、福岡市負担は648億円としています。

事業主体は福岡市ではなく、新たに設置する再開発会社。市が相当分の出資金を出したり、融資したりして関与することになりますが、その全体像は全く明らかになっていません。

土地買収するための借金の返済は、開発後に土地と建物を売却した収入でまかなう、つまり「独立採算」が想定されています。しかし、計画通りの価格で売れるのか、その見通しは全くありません。人工島と同様に市が税金で次々買い取るか、臨港地区指定の解除によってバブル経済のような不動産価格のつり上げを誘導するかで、いずれにしても市民に犠牲が押し付けられることになります。

人工島の第三セクター博多港開発の二の舞となるのは間違いありません。「民間資金の活用」などというのは建前だけで、莫大な税金が投入されようとしています。

また、短期間の土地収用を行うため、事業所などの地権者が強制的に追い出されることも懸念されます。

こうした指摘に対して、市は「事業化検討委員会」を設置して採算性や手法について検証するとしています。しかしメンバーの中心は財界や銀行。これでは財界に実質的に判断をまかせるもので、行政は「カネは出すが口は出さない」というものです。須崎ふ頭の再開発は、かねてから財界が要求してきたもので、オリンピック招致をきっかけに一気に事業化に踏み切る、ここに真の狙いがあります。


(2)競技施設

競技施設は、37施設のうち、オリンピックスタジアム(約355億円)の他、メインアリーナ、プール、雁の巣体育館などを新設します。長野オリンピックの際の「国庫負担50%の閣議決定」を根拠に、建設費の半分を国からの補助金として見込んでいます。しかし福岡市は国と何の調整もしていません。長野では国庫補助は実際には34.7%にとどまり、そのぶん自治体負担が増えました。50%の根拠はなく、福岡市負担が膨らむことは必至です。

「仮設」を想定している8つの競技施設などの整備費506億円は、国際オリンピック委員会IOCの運営費に含むため、福岡市の負担はないとしていますが、IOC・JOCとの協議や調整は全くなく、これが認められなければ、これらの施設は「仮設」でなく新設となり、福岡市負担が大幅に増えることになります。

また今回試算には、オリンピック後の競技施設の維持管理費が含まれていません。長野オリンピックで新設された施設は毎年9億円の赤字です。札幌市の試算が維持管理費の30年間の負担も明らかにしたことと比べても、福岡市の試算は全く不誠実です。


(3)道路建設

道路関係については、渡辺通を須崎ふ頭へ延伸する道路などで合計427億円とし、福岡市負担は254億円と見込んでいます。しかし、都市高速道路のランプ改良についての具体的な計画がないことや、国庫補助率についても50%の保障はないことなど、市当局はその内訳も積算根拠も「今後検討する」などとして明確にできませんでした。まさに丼勘定の「試算」であり、市民を愚弄するものです。今後計画が具体化されれば、「試算」を越えて大きく膨らむことは避けられません。


(4)試算以外の大型事業

試算には、オリンピック開催に関係する、「新都心構想」関連の新たな都市計画道路や、人工島などの港湾機能の移設、須崎公園の再整備、市民会館と県立美術館の建て替えなどの事業費が含まれていません。公共交通など新たな事業が浮上することも考えられます。長野県では新幹線や高速道路を含めて関連事業費は2兆円にのぼりました。大阪市はオリンピック招致に失敗した後も新鉄道建設などを続けて深刻な財政破たんを招いています。

また、中央市民プールと市民体育館プールが廃止されることも明らかになりました。住民が日常的に利用している公共のスポーツ施設が地域からなくなり、天神周辺に集中配置されることがオリンピックを理由にして行われるなら、本末転倒も甚だしいと言わなければなりません。

◆オリンピックの招致やめ くらし最優先の市政を

福岡市がオリンピック招致を続ければ、ムダな大型開発が強行され、今でも「日本一の借金都市」の市財政がいっそう圧迫されます。そしてそのツケが、暮らし・福祉・教育の削減となり、市民に犠牲が押し付けられることになります。

いま、雇用不安や庶民増税に多くの市民が苦しんでいます。これ以上負担を増やさないでほしい、足りない特別養護老人ホームや保育所をもっと増やし、校区に児童館をつくってほしいという声が満ちあふれています。

日本共産党は、市民のみなさんと力をあわせて、市民生活を最優先した市政をめざし、オリンピック招致に反対して奮闘するものです。

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