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2002年6月11日 比江嶋俊和議員

議案128号「福岡市介護保険条例の一部を改正する条例案」及び
議案129号「福岡市在宅介護サービスの利用料の助成に関する条例案」についての提案主旨説明

2002年6月議会本会議第1日

私は、日本共産党市議団を代表して、議案第128号「福岡市介護保険条例の一部を改正する条例案」及び議案第129号「福岡市在宅介護サービスの利用料の助成に関する条例案」について、一括して提案主旨の説明を致します。

議案第128号は、本市介護保険条例の第17条、第18条を改正し、保険料の徴収猶予と減免の対象者に、生活に困窮している第1号被保険者を加えることによって、低所得者の保険料を減免できるようにするものであります。

また、議案第129号は、低所得者に対する介護保険の在宅介護サービスの利用料の助成について定めることにより、低所得者の負担の軽減及び介護保険制度の円滑な運営を図るものであります。

これらを提案する理由の第1は、極めて重い保険料と利用料が、低所得者の生活を脅かし必要な介護が受けられないなど深刻な事態となっているからであります。

本市の集計によると、介護保険料に対する苦情・相談は、2001年度で1万5千件にのぼっており、2001年度福岡市高齢者実態調査でも、介護保険制度について不満に思うこととして「保険料が高い」との回答が最も多く、また自分の保険料についても「高い」との回答が過半数をしめています。こうした中で、2002年2月末現在、保険料が払えない低所得の高齢者が5300件以上、未納額は約1億3600万円にもなります。保険料が高過ぎるため、少ない年金から保険料を天引きされているお年寄りは、生活費を削らざるをえない深刻な事態にあり、「介護保険に怒る福岡県一揆の会」に見られるように、集団不服審査請求が相次いで起こっています。

また、生活保護「境界層」の減額制度ではごく限られた人がわずかしか減額されず、現状では全く不十分です。そこでいま、抜本的な低所得者の保険料減免制度が急務となっております。

次に、利用料については、1割負担が在宅サービスの利用の妨げになっていることは、利用率が支給限度額の4割程度にとどまっていることを見ても明らかです。本市の、利用料に対する苦情・相談は約6千件にのぼっており、利用料が払えずに必要な介護を受けられない実態は深刻です。低所得者に重い利用料を助成して、必要な介護を保障することは、緊急の課題であります。

提案理由の第2は、今一番困っている住民を救済する独自の施策にふみだすことこそ、自治体の役割だからであります。

もともと、生計費には課税しないというルールは、憲法第25条の生存権を税制の上で具体化したものであります。住民税非課税のお年寄りから保険料を取り立てることは、生存権を否定するにも等しく、決して許されません。本来、国が介護に係る国庫負担割合を元の50%に戻すなどの財政措置も含めて、住民税非課税者の保険料と利用料を免除して、恒久的な低所得者対策を行うべきです。政府に対し、こうした施策を求めつつ、その実現までの間、本市が独自の施策として、一定の手続きにもとづいて、低所得者の保険料と利用料を減免・助成するものであります。現在、保険料で431の自治体が、また利用料で825の自治体がそれぞれ独自減免を実施しているように、

地方自治の本旨を発揮して何らかの低所得者対策に踏みだす流れが全国的に広がっています。本市が、住民の健康と福祉の増進を図るという地方自治の本旨を発揮することが今何よりも求められているのであります。

今回わが党が提案した2つの条例案による施策に要する費用は、平成15年度で、保険料減免が約9億8200万円、また利用料助成が約8億3800万円と見込んでおります。人工島の破綻救済など無駄な大型開発に莫大な税金を投入するのでなく、介護保険制度の充実をはじめ市民の暮らしと福祉を最優先する方向に税金の使い方を改めれば、財源確保は十分可能であります。

なお、実施時期については、一定の準備期間も必要であり、本年10月からの実施とすることを附則で規定するものです。

必要な人に必要な介護を保障するため、当面、一番に求められている低所得者に対する保険料減免と利用料助成のための条例案に、議員各位のご賛同をお願いして、私の提案主旨説明を終わります。


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議案第128号

福岡市介護保険条例の一部を改正する条例案

上記の議案を次のとおり地方自治法第112条及び会議規則第14条の規定により提出します。

平成14年6月11日

福岡市議会 議長 稲員 大三郎 様

提出者 福岡市議会議員
倉元 達 朗
綿貫 英彦
比江嶋 俊和
星野 美恵子
原田 祥一
宮 本 秀国
黒田 ハツ子

理 由

この条例案を提出したのは、第1号被保険者の保険料の負担の軽減を図るために必要な規定の整備をする必要があるによる。


福岡市介護保険条例の一部を改正する条例

福岡市介護保険条例(平成12年福岡市条例第44号)の一部を次のように改正する。

第17条第1項に次の1号を加える。
 (5)生活に困窮していること。

第18条第1項中第5号を第6号とし、第4号の次に次の1号を加える。
 (5)規則で定める要件に該当し、生活に困窮していること。


附 則

この条例は、平成14年10月1日から施行する。

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議案第129号

福岡市在宅介護サービスの利用料の助成に関する条例案

上上記の議案を次のとおり地方自治法第112条及び会議規則第14条の規定により提出します。

平成14年6月11日

福岡市議会 議長 稲員 大三郎 様

提出者 福岡市議会議員
倉元 達 朗
綿貫 英彦
比江嶋 俊和
星野 美恵子
原田 祥一
宮 本 秀国
黒田 ハツ子

理 由

この条例案を提出したのは、在宅介護サービスを利用する低所得者の負担を軽減するために利用料を助成し、もって低所得者の在宅介護の拡充を図る必要があるによる。


福岡市在宅介護サービスの利用料の助成に関する条例

(目的)
第1条 この条例は、低所得者に対する介護保険の在宅介護サービスの利用料の助成について定めることにより、低所得者の負担の軽減及び介護保険制度の円滑な運営を図ることを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、「低所得者」とは、福岡市介護保険条例(平成12年福岡市条例第44号)第9条第1号又は第2号に掲げる者(生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第1項に規定する被保護者を除く。) をいう。
2 この条例において、「在宅介護サービス」とは、介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第5項に規定する居宅サービスをいう。
3 この条例において、「利用料」とは、在宅介護サービスに要する費用のうち、当該在宅介護サービスを受ける者が負担すべき額をいう。
4 この条例において、「指定居宅サービス事業者」とは、介護保険法第41条第1項に規定する指定居宅サービス事業者をいう。

(利用料の助成)
第3条 市は、規則で定めるところにより、低所得者が負担すべき利用料を助成する。

(在宅介護サービス助成証の交付)
第4条 この条例の規定による助成を受けようとする低所得者は、規則で定めるところにより、本人又はその家族等があらかじめ市長に申請し、助成の対象者であることを証する書類(以下「在宅介護サービス助成証」という。) の交付を受けなければならない。
2 前項に規定する低所得者が指定居宅サービス事業者から在宅介護サービスを受けるときは、当該指定居宅サービス事業者に対して布宅介護サービス助成証を提示するものとする。

(助成の方法)
第5条 この条例の規定による助成は、原則として、助成する額を指定居宅サービス事業者に支払うことによって行う。

(返還)
第6条 偽りその他不正の行為によってこの条例の規定による助成を受けた者がある場合は、市長は、その者から当該助成の全部又は一部を返還させることができる。

(譲渡又は担保の禁止)
第7条 この条例の規定による助成を受ける権利は、譲渡し、又は担保に供することができない。

(委任)
第8条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

附 則

この条例は、平成14年10月1日から施行する。

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